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墓荒らし
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あれからオスカー様に怪しい人物三名を教えていただきました。
まずは、料理人見習いのジャックさん。
料理人見習いという事は、エリック様の部下に当たる方ですね。
次に、侍女のファニーさん。
初めて聞くお名前です。侍女は多いくいるので、一々名を覚えておりません。
最後は庭師のサイモンさん。
この方は長年城の庭師をしているトムさんの弟子の様で、最近はトムさんの合格を得て一人で任されるようになった様です。
──さて、どなたが教会の者でしょうか。
とりあえず、調べやすい侍女のファニーさんから調べる事にしましょう。
私はテレザ様の元へ行き、ファニーさんの事を聞きました。
「ファニー?珍しいわね、貴方が他人に興味を持つなんて」
テレザ様でも、この事は内密です。
殿下に口煩く言われました「絶対に他人に知られないように!!」と。
「……ある男性からファニーさんの事を聞かれたのですが、私はファニーさんの事を知らないので」
「あら、その方はファニー目当てなのね?まあ、あの子可愛らしくて人気があるものね」
なるほど、ファニーさんは美丈夫なんですね。
「でも、ごめんなさいね。個人情報はいくらマリーでも教えられないの」
テレザ様は頬に手を当て、困ったように仰いました。
まあそうだと思っておりました。
簡単に個人情報が手に入ったら、それはそれで問題です。
でもファニーさんの容姿は教えていただきました。
赤茶色の髪で、瞳はグリーン。
体型はスリム体型で、男性に人気があり侍女ランキング1、2位を常に争っている方らしいです。
容姿は分かりました。次に行きましょう。
「え?ファニーの噂?」
次に訪ねたのは、侍女仲間のユタさんとローザさんです。
「ええ、小さな事でも構いません。何かご存じないですか?」
「そうねぇ……」
ユタさんとローザさんは互いを見ながら、何かあるか考えているようです。
「あっ!!そういえば、ほら、あの、庭師の奴とできてるって噂あるじゃない」
「あぁ~そういえばそうね。あの子顔はいいから狙ってる男共が嘆いていたわね」
なんと!!
庭師と言うと、サイモンさんの事ですね。
なるほど、ファニーさんとサイモンさんは繋がりありそうですね。
となると、疑わしいのはこの二人になるのですが……
──事実確認が必要ですね。
「ありがとうございました」
「こんな事でいいの?」
「てか、なんでファニーの事調べてるのよ?」
お礼を伝え次の行程に移る為、その場を後にしようとしましたがユタさんとローザさんに捕まり根掘り葉掘り聞かれることになりました
その都度「ある男性に頼まれた」とだけ伝え足早にその場を去りました。
そして、中庭を横切ろうと足を踏み入れた所で、何やら話し声が聞こえてきました。
その話し声はなにやら揉めているようです。
「離してください!!」
「いいじゃないか。俺ら付き合ってるって噂されてるみたいだし?」
「そんな噂知りません!!」
そっと覗いてみると、侍女の格好をした女性と土で汚れた男性。
侍女の方の髪色は赤茶色で、華奢な美人。
──十中八九ファニーさんとサイモンさんですね。
しかし、どうも聞いていた話とは少々違うようです。
サイモンさんが無理やり迫っている様に見えますし、ファニーさんはどちらかというとサイモンさんを毛嫌いしている様子。
「いい加減にして下さい!!私は貴方の事なんて知りません!!」
「まぁそう言うなよ。俺と一緒になれば侍女の仕事なんてしなくもいいんだぜ?」
「結構です!!」
「そんなこと言っていいのか?俺はお前とは立場が違うんだよ。俺は陛下に頼まれて来てるんだからな」
クズの発言ですね。
庭師の分際で陛下の名を出すとは……
これは、殿下に報告しておきましょう。
そんなことを思っていると、サイモンさんは嫌がるファニーさんを無理やりどこかへ連れて行こうとしました。
「お待ちなさい!!」
これはマズいと思ったら、無意識に体が動き声を掛けてしまいました。
──泣いている女性を見過ごせるわけありませんからね。
「……なんだ、お前は?」
「私は、そこのファニーさんに用事があるのです。手を放していただけますか?」
「それは残念だな。俺が先約だ」
サイモンさんはファニーさんの腕をしっかり掴み離そうとはしません。
見るとファニーさんは怯えて震えています。
穏便にすましたかったのですが、無理ようです……
私がスッと腰を低くして、サイモンさんに飛び掛かろうとした、その時──
「待ちなさい」
まずは、料理人見習いのジャックさん。
料理人見習いという事は、エリック様の部下に当たる方ですね。
次に、侍女のファニーさん。
初めて聞くお名前です。侍女は多いくいるので、一々名を覚えておりません。
最後は庭師のサイモンさん。
この方は長年城の庭師をしているトムさんの弟子の様で、最近はトムさんの合格を得て一人で任されるようになった様です。
──さて、どなたが教会の者でしょうか。
とりあえず、調べやすい侍女のファニーさんから調べる事にしましょう。
私はテレザ様の元へ行き、ファニーさんの事を聞きました。
「ファニー?珍しいわね、貴方が他人に興味を持つなんて」
テレザ様でも、この事は内密です。
殿下に口煩く言われました「絶対に他人に知られないように!!」と。
「……ある男性からファニーさんの事を聞かれたのですが、私はファニーさんの事を知らないので」
「あら、その方はファニー目当てなのね?まあ、あの子可愛らしくて人気があるものね」
なるほど、ファニーさんは美丈夫なんですね。
「でも、ごめんなさいね。個人情報はいくらマリーでも教えられないの」
テレザ様は頬に手を当て、困ったように仰いました。
まあそうだと思っておりました。
簡単に個人情報が手に入ったら、それはそれで問題です。
でもファニーさんの容姿は教えていただきました。
赤茶色の髪で、瞳はグリーン。
体型はスリム体型で、男性に人気があり侍女ランキング1、2位を常に争っている方らしいです。
容姿は分かりました。次に行きましょう。
「え?ファニーの噂?」
次に訪ねたのは、侍女仲間のユタさんとローザさんです。
「ええ、小さな事でも構いません。何かご存じないですか?」
「そうねぇ……」
ユタさんとローザさんは互いを見ながら、何かあるか考えているようです。
「あっ!!そういえば、ほら、あの、庭師の奴とできてるって噂あるじゃない」
「あぁ~そういえばそうね。あの子顔はいいから狙ってる男共が嘆いていたわね」
なんと!!
庭師と言うと、サイモンさんの事ですね。
なるほど、ファニーさんとサイモンさんは繋がりありそうですね。
となると、疑わしいのはこの二人になるのですが……
──事実確認が必要ですね。
「ありがとうございました」
「こんな事でいいの?」
「てか、なんでファニーの事調べてるのよ?」
お礼を伝え次の行程に移る為、その場を後にしようとしましたがユタさんとローザさんに捕まり根掘り葉掘り聞かれることになりました
その都度「ある男性に頼まれた」とだけ伝え足早にその場を去りました。
そして、中庭を横切ろうと足を踏み入れた所で、何やら話し声が聞こえてきました。
その話し声はなにやら揉めているようです。
「離してください!!」
「いいじゃないか。俺ら付き合ってるって噂されてるみたいだし?」
「そんな噂知りません!!」
そっと覗いてみると、侍女の格好をした女性と土で汚れた男性。
侍女の方の髪色は赤茶色で、華奢な美人。
──十中八九ファニーさんとサイモンさんですね。
しかし、どうも聞いていた話とは少々違うようです。
サイモンさんが無理やり迫っている様に見えますし、ファニーさんはどちらかというとサイモンさんを毛嫌いしている様子。
「いい加減にして下さい!!私は貴方の事なんて知りません!!」
「まぁそう言うなよ。俺と一緒になれば侍女の仕事なんてしなくもいいんだぜ?」
「結構です!!」
「そんなこと言っていいのか?俺はお前とは立場が違うんだよ。俺は陛下に頼まれて来てるんだからな」
クズの発言ですね。
庭師の分際で陛下の名を出すとは……
これは、殿下に報告しておきましょう。
そんなことを思っていると、サイモンさんは嫌がるファニーさんを無理やりどこかへ連れて行こうとしました。
「お待ちなさい!!」
これはマズいと思ったら、無意識に体が動き声を掛けてしまいました。
──泣いている女性を見過ごせるわけありませんからね。
「……なんだ、お前は?」
「私は、そこのファニーさんに用事があるのです。手を放していただけますか?」
「それは残念だな。俺が先約だ」
サイモンさんはファニーさんの腕をしっかり掴み離そうとはしません。
見るとファニーさんは怯えて震えています。
穏便にすましたかったのですが、無理ようです……
私がスッと腰を低くして、サイモンさんに飛び掛かろうとした、その時──
「待ちなさい」
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