城で侍女をしているマリアンネと申します。お給金の良いお仕事ありませんか?

甘寧

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墓荒らし

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──嵐は突然やってくるのですね……

その日、私は夕食を頂きに『マム』を訪れました。
しばらく来ない間にロンさんは料理の腕が上がっており、あまりに美味しくてテーブルいっぱい料理を頼んでしまいました。

口いっぱいに頬張り食べていると「バンッ!!」と扉が開きシャーロットさんが飛び込んできました。

「ルッツ!!ルッツはおるか!?」

どうやらゴリさんに用事があるらしく、ミレーさんの制止も聞かず店の中を物色している所に、騒ぎを聞き付けたゴリさんが地下から出てきました。

「なんだなんだ!?何事だ!?──あん?シャーロットか?」

「ルッツ!!探したぞ!!」

ゴリさんを見つけたシャーロットさんはゴリさんに「話がある」と伝えると、私が座っていたテーブルを囲み、私の注文した料理を食べています。

──どうして、こうなったのですか?

このお二人は遠慮もなく食べるので、テーブルいっぱいにあった料理が次々と空になっていきます。

──……これは、誰が支払うのですか……?

まるで野獣の様に食べ尽くしているお二人を見ているだけでお腹一杯になります。

呆気に取られている私に気づいたゴリさんが「ここの支払いは俺がする」と宣言してくれました。
ゴリさんの奢りならば遠慮は無縁です。
追加の料理をロンさんに頼み、ミレーさんにはお酒を頼みました。
当然シャーロットさんも遠慮なしに注文し始め、騒ぎを聞き付けた便利屋の皆さんも駆けつけて来て、ちょっとした宴会場と化しました。

「お前ら!!少しは遠慮しろ!!」とゴリさんが文句を言っておりましたが「いいじゃん。レナとクルトとニルスの歓迎会とすれば」ティムさんが素晴らしい提案を出しました。

因みにレナとはセクスさん。クルトとはドゥオさんの本名です。

「ちょっと!!シモーネ!!それ、私のよ!!」

「レナ、最近太り気味って言ってたじゃない。変わりにスリムな私が食べてあげる」

レナさんとシモーネさんの言い合いは健在ですが、仲は悪くないようです。

──喧嘩するほど仲が良いと言いますからね。

そして、クルトさんの方は一応剣士なので手の空いた時にヤンさん達と打ち合いをしております。
ヤンさんなど、頻繁にクルトさんを呼びつけるのでクルトさんはげっそりしておりました。

最後にニルスさんですが、この方が最も癖が悪い……

なんせ他人に成りすませるので、容易に城へ侵入出来るのです。
そして、私の事を当然の様に付けていたのです。
早い段階で気が付き、ゴリさんに苦情を入れるとすぐに対応してくれ、今はゴリさんの目がなければ外にも出れない状況です。

「──……で、何しに来た?」

ゴリさんは料理を口に含みながら、シャーロットさんに尋ねました。

「あぁ……お主ら、最近墓荒らしが現れていると聞かんか?」

ピクッと私の耳が動きます。
つい先日、エルさんから聞いたばかりです。

更にシャーロットさんは続けます。

「その墓荒らしじゃが、どうもただの墓荒らしではない」

「なに?」

「──……アンデッドを作っておるらしい」
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