120 / 177
墓荒らし
2
しおりを挟む
──嵐は突然やってくるのですね……
その日、私は夕食を頂きに『マム』を訪れました。
しばらく来ない間にロンさんは料理の腕が上がっており、あまりに美味しくてテーブルいっぱい料理を頼んでしまいました。
口いっぱいに頬張り食べていると「バンッ!!」と扉が開きシャーロットさんが飛び込んできました。
「ルッツ!!ルッツはおるか!?」
どうやらゴリさんに用事があるらしく、ミレーさんの制止も聞かず店の中を物色している所に、騒ぎを聞き付けたゴリさんが地下から出てきました。
「なんだなんだ!?何事だ!?──あん?シャーロットか?」
「ルッツ!!探したぞ!!」
ゴリさんを見つけたシャーロットさんはゴリさんに「話がある」と伝えると、何故か私が座っていたテーブルを囲み、何故か私の注文した料理を食べています。
──どうして、こうなったのですか?
このお二人は遠慮もなく食べるので、テーブルいっぱいにあった料理が次々と空になっていきます。
──……これは、誰が支払うのですか……?
まるで野獣の様に食べ尽くしているお二人を見ているだけでお腹一杯になります。
呆気に取られている私に気づいたゴリさんが「ここの支払いは俺がする」と宣言してくれました。
ゴリさんの奢りならば遠慮は無縁です。
追加の料理をロンさんに頼み、ミレーさんにはお酒を頼みました。
当然シャーロットさんも遠慮なしに注文し始め、騒ぎを聞き付けた便利屋の皆さんも駆けつけて来て、ちょっとした宴会場と化しました。
「お前ら!!少しは遠慮しろ!!」とゴリさんが文句を言っておりましたが「いいじゃん。レナとクルトとニルスの歓迎会とすれば」ティムさんが素晴らしい提案を出しました。
因みにレナとはセクスさん。クルトとはドゥオさんの本名です。
「ちょっと!!シモーネ!!それ、私のよ!!」
「レナ、最近太り気味って言ってたじゃない。変わりにスリムな私が食べてあげる」
レナさんとシモーネさんの言い合いは健在ですが、仲は悪くないようです。
──喧嘩するほど仲が良いと言いますからね。
そして、クルトさんの方は一応剣士なので手の空いた時にヤンさん達と打ち合いをしております。
ヤンさんなど、頻繁にクルトさんを呼びつけるのでクルトさんはげっそりしておりました。
最後にニルスさんですが、この方が最も癖が悪い……
なんせ他人に成りすませるので、容易に城へ侵入出来るのです。
そして、私の事を当然の様に付けていたのです。
早い段階で気が付き、ゴリさんに苦情を入れるとすぐに対応してくれ、今はゴリさんの目がなければ外にも出れない状況です。
「──……で、何しに来た?」
ゴリさんは料理を口に含みながら、シャーロットさんに尋ねました。
「あぁ……お主ら、最近墓荒らしが現れていると聞かんか?」
ピクッと私の耳が動きます。
つい先日、エルさんから聞いたばかりです。
更にシャーロットさんは続けます。
「その墓荒らしじゃが、どうもただの墓荒らしではない」
「なに?」
「──……アンデッドを作っておるらしい」
その日、私は夕食を頂きに『マム』を訪れました。
しばらく来ない間にロンさんは料理の腕が上がっており、あまりに美味しくてテーブルいっぱい料理を頼んでしまいました。
口いっぱいに頬張り食べていると「バンッ!!」と扉が開きシャーロットさんが飛び込んできました。
「ルッツ!!ルッツはおるか!?」
どうやらゴリさんに用事があるらしく、ミレーさんの制止も聞かず店の中を物色している所に、騒ぎを聞き付けたゴリさんが地下から出てきました。
「なんだなんだ!?何事だ!?──あん?シャーロットか?」
「ルッツ!!探したぞ!!」
ゴリさんを見つけたシャーロットさんはゴリさんに「話がある」と伝えると、何故か私が座っていたテーブルを囲み、何故か私の注文した料理を食べています。
──どうして、こうなったのですか?
このお二人は遠慮もなく食べるので、テーブルいっぱいにあった料理が次々と空になっていきます。
──……これは、誰が支払うのですか……?
まるで野獣の様に食べ尽くしているお二人を見ているだけでお腹一杯になります。
呆気に取られている私に気づいたゴリさんが「ここの支払いは俺がする」と宣言してくれました。
ゴリさんの奢りならば遠慮は無縁です。
追加の料理をロンさんに頼み、ミレーさんにはお酒を頼みました。
当然シャーロットさんも遠慮なしに注文し始め、騒ぎを聞き付けた便利屋の皆さんも駆けつけて来て、ちょっとした宴会場と化しました。
「お前ら!!少しは遠慮しろ!!」とゴリさんが文句を言っておりましたが「いいじゃん。レナとクルトとニルスの歓迎会とすれば」ティムさんが素晴らしい提案を出しました。
因みにレナとはセクスさん。クルトとはドゥオさんの本名です。
「ちょっと!!シモーネ!!それ、私のよ!!」
「レナ、最近太り気味って言ってたじゃない。変わりにスリムな私が食べてあげる」
レナさんとシモーネさんの言い合いは健在ですが、仲は悪くないようです。
──喧嘩するほど仲が良いと言いますからね。
そして、クルトさんの方は一応剣士なので手の空いた時にヤンさん達と打ち合いをしております。
ヤンさんなど、頻繁にクルトさんを呼びつけるのでクルトさんはげっそりしておりました。
最後にニルスさんですが、この方が最も癖が悪い……
なんせ他人に成りすませるので、容易に城へ侵入出来るのです。
そして、私の事を当然の様に付けていたのです。
早い段階で気が付き、ゴリさんに苦情を入れるとすぐに対応してくれ、今はゴリさんの目がなければ外にも出れない状況です。
「──……で、何しに来た?」
ゴリさんは料理を口に含みながら、シャーロットさんに尋ねました。
「あぁ……お主ら、最近墓荒らしが現れていると聞かんか?」
ピクッと私の耳が動きます。
つい先日、エルさんから聞いたばかりです。
更にシャーロットさんは続けます。
「その墓荒らしじゃが、どうもただの墓荒らしではない」
「なに?」
「──……アンデッドを作っておるらしい」
1
お気に入りに追加
99
あなたにおすすめの小説

【完結】男爵令嬢は冒険者生活を満喫する
影清
ファンタジー
英雄の両親を持つ男爵令嬢のサラは、十歳の頃から冒険者として活動している。優秀な両親、優秀な兄に恥じない娘であろうと努力するサラの前に、たくさんのメイドや護衛に囲まれた侯爵令嬢が現れた。「卒業イベントまでに、立派な冒険者になっておきたいの」。一人でも生きていけるようにだとか、追放なんてごめんだわなど、意味の分からぬことを言う令嬢と関わりたくないサラだが、同じ学園に入学することになって――。
※残酷な描写は予告なく出てきます。
※小説家になろう、アルファポリス、カクヨムに掲載中です。
※106話完結。

冤罪で山に追放された令嬢ですが、逞しく生きてます
里見知美
ファンタジー
王太子に呪いをかけたと断罪され、神の山と恐れられるセントポリオンに追放された公爵令嬢エリザベス。その姿は老婆のように皺だらけで、魔女のように醜い顔をしているという。
だが実は、誰にも言えない理由があり…。
※もともとなろう様でも投稿していた作品ですが、手を加えちょっと長めの話になりました。作者としては抑えた内容になってるつもりですが、流血ありなので、ちょっとエグいかも。恋愛かファンタジーか迷ったんですがひとまず、ファンタジーにしてあります。
全28話で完結。

妹が聖女の再来と呼ばれているようです
田尾風香
ファンタジー
ダンジョンのある辺境の地で回復術士として働いていたけど、父に呼び戻されてモンテリーノ学校に入学した。そこには、私の婚約者であるファルター殿下と、腹違いの妹であるピーアがいたんだけど。
「マレン・メクレンブルク! 貴様とは婚約破棄する!」
どうやらファルター殿下は、"低能"と呼ばれている私じゃなく、"聖女の再来"とまで呼ばれるくらいに成績の良い妹と婚約したいらしい。
それは別に構わない。国王陛下の裁定で無事に婚約破棄が成った直後、私に婚約を申し込んできたのは、辺境の地で一緒だったハインリヒ様だった。
戸惑う日々を送る私を余所に、事件が起こる。――学校に、ダンジョンが出現したのだった。
更新は不定期です。

噂の醜女とは私の事です〜蔑まれた令嬢は、その身に秘められた規格外の魔力で呪われた運命を打ち砕く〜
秘密 (秘翠ミツキ)
ファンタジー
*『ねぇ、姉さん。姉さんの心臓を僕に頂戴』
◆◆◆
*『お姉様って、本当に醜いわ』
幼い頃、妹を庇い代わりに呪いを受けたフィオナだがその妹にすら蔑まれて……。
◆◆◆
侯爵令嬢であるフィオナは、幼い頃妹を庇い魔女の呪いなるものをその身に受けた。美しかった顔は、その半分以上を覆う程のアザが出来て醜い顔に変わった。家族や周囲から醜女と呼ばれ、庇った妹にすら「お姉様って、本当に醜いわね」と嘲笑われ、母からはみっともないからと仮面をつける様に言われる。
こんな顔じゃ結婚は望めないと、フィオナは一人で生きれる様にひたすらに勉学に励む。白塗りで赤く塗られた唇が一際目立つ仮面を被り、白い目を向けられながらも学院に通う日々。
そんな中、ある青年と知り合い恋に落ちて婚約まで結ぶが……フィオナの素顔を見た彼は「ごめん、やっぱり無理だ……」そう言って婚約破棄をし去って行った。
それから社交界ではフィオナの素顔で話題は持ちきりになり、仮面の下を見たいが為だけに次から次へと婚約を申し込む者達が後を経たない。そして仮面の下を見た男達は直ぐに婚約破棄をし去って行く。それが今社交界での流行りであり、暇な貴族達の遊びだった……。

【完結】王女様の暇つぶしに私を巻き込まないでください
むとうみつき
ファンタジー
暇を持て余した王女殿下が、自らの婚約者候補達にゲームの提案。
「勉強しか興味のない、あのガリ勉女を恋に落としなさい!」
それって私のことだよね?!
そんな王女様の話しをうっかり聞いてしまっていた、ガリ勉女シェリル。
でもシェリルには必死で勉強する理由があって…。
長編です。
よろしくお願いします。
カクヨムにも投稿しています。
公爵令嬢の私に騎士も誰も敵わないのですか?
海野幻創
ファンタジー
公爵令嬢であるエマ・ヴァロワは、最高の結婚をするために幼いころから努力を続けてきた。
そんなエマの婚約者となったのは、多くの人から尊敬を集め、立派な方だと口々に評される名門貴族の跡取り息子、コンティ公爵だった。
夢が叶いそうだと期待に胸を膨らませ、結婚準備をしていたのだが──
「おそろしい女……」
助けてあげたのにも関わらず、お礼をして抱きしめてくれるどころか、コンティ公爵は化け物を見るような目つきで逃げ去っていった。
なんて男!
最高の結婚相手だなんて間違いだったわ!
自国でも隣国でも結婚相手に恵まれず、結婚相手を探すだけの社交界から離れたくなった私は、遠い北の地に住む母の元へ行くことに決めた。
遠い2000キロの旅路を執事のシュヴァリエと共に行く。
仕える者に対する態度がなっていない最低の執事だけど、必死になって私を守るし、どうやらとても強いらしい──
しかし、シュヴァリエは私の方がもっと強いのだという。まさかとは思ったが、それには理由があったのだ。

へぇ。美的感覚が違うんですか。なら私は結婚しなくてすみそうですね。え?求婚ですか?ご遠慮します
如月花恋
ファンタジー
この世界では女性はつり目などのキツい印象の方がいいらしい
全くもって分からない
転生した私にはその美的感覚が分からないよ

ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる