城で侍女をしているマリアンネと申します。お給金の良いお仕事ありませんか?

甘寧

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グロッサ国

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長い夜が明けました。

覆面の方を追ったルーナは朝方戻って参りましたが、どうやら見失ってしまったようで「キュル……」と、申し訳なさそうに鳴いて報告してきました。

私はルーナの頭を撫でながら、気にしなくていいと伝えました。

そして、部屋の隅ではヤンさんが破片ごときで気絶してしまったのが、相当恥ずかしかった様で膝を抱えて小さくなっておりました。
その傍らでジェムさんが、一生懸命慰めている様子が見て取れます。

ルイスさんは、腹部に包帯を巻かれた姿で戻ってまいりました。
ゴリさん曰く「上手く臓器は逸れたらしいが、暫くは動けそうにない」との事。

──……動けそうない?

朝食をお代わりした挙句、昨夜の爆乳を屋敷中探し回っていましたが?

ジロっとゴリさんを見ると「──ゴホン。まぁ、怪我人は労わってやってくれ」と、言われてしまいました。

「何よ、ルイス。爆乳じゃなくても、美乳ならここにあるじゃない。──勿論、見物料貰うけどね」

シモーネさんが得意気に胸を突き出し仰っておりますが、ラルスさんは不満のようです。

「……シモーネさんの胸見たって……なぁ?」

「えっ!?何!?僕に振らないでよ!!」

ルイスさんに同意を求められたティムさんが慌てて否定しておりますが、時すでに遅いです。
二人揃ってシモーネさんの小言を聞く羽目になっていました。

さて、このお三方は置いといておいて、なぜゲルダさんの部屋が狙われたんでしょうか?
たまたま飛び込んだ所がゲルダさんのお部屋という事は考えにくいのですが?

私がチラッとゴリさんを見れば、ゴリさんも私が何を言いたいのか分かったようです。

「――まぁ、とりあえずこの話はまた夜だ。今から公爵の護衛に行く」

そうでした。もうそんな時間ですね。

「本日は誰が?」

「今日は、ティムとシモーネ。お前らに頼む」

本日はティムさんとシモーネさんですか。

「仕方ないわね」

「……また、シモーネとか……」

何やらティムさんはご不満のようですが、シモーネさんが睨むと大人しくなりました。

「――マリーは、夜通し警備していたからな。眠いだろう?昼まで休んでくれて構わない」

ゴリさんが不気味なほど優しく私に伝えてきました。
あまりの不気味さに鳥肌が立ちましたよ!!

「――では、お前ら今日も一日元気に生き延びろよ!!」

「「はい!!」」

……ゴリさん、もうちょっと気の利いた掛け声なかったんですか?


◇◇◇


……寝すぎてしまいましたか?

ゴリさんに言わた通りしばらく睡眠を取らせていただきましたが、少々寝すぎたようです。
太陽はすでに傾き始めておりました。

私は慌ててベッドから飛び起き、身支度を整え部屋を出ました。

部屋を出たまでは良かったんですが、この後の指示をいただいていない事に気づきゴリさんの部屋へと足を運びました。

コンコン

「失礼します。ゴリさんいらっしゃいますか?」

「……あぁ、お前か……」

――ん?

私が部屋に入ると、ゴリさんは作業机で書類を確認していたようです。
しかし、何か違和感があります。その違和感が分かりません。

「すみません。昼に起きる予定でしたが、寝坊したようです。――で、私は何をすればよろしいでしょうか?」

寝坊してしまった事を謝罪し、本日の任務を尋ねました。

「――……あぁ、そうだな。お前は昨日に引き続きこの屋敷の奴らを調べてくれ」

ゴリさんは書類に目を通しながら、私に伝えてきました。
ゴリさんと言葉を交わす度に違和感が増します。

「……そういえば、ルイスさんはどうしました?」

私は、このまま違和感を抱えたままでは仕事に支障があると判断し、すぐには立ち去らず、ゴリさんとの話を続けました。

するとゴリさんは「あぁ、隣の部屋にいるぞ」と、こちらを見ずに言い切りました。

──……これは……
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