城で侍女をしているマリアンネと申します。お給金の良いお仕事ありませんか?

甘寧

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グロッサ国

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ルイスさんと別れた私は、警戒しつつ廊下を進んでおります。
たまに外のルーナにも目を配り、変わりがないか確認も怠りません。

──この静寂を守らなければいけませんからね。

そう思いつつ、レナード様の部屋の辺りまでやって来ました。

──ここまでは問題なく来れました。

キィィィとレナード様の部屋のドアを開け、中の様子を伺います。
因みに、この行動はレナード様から承諾を得ております。

そっと中に入りレナード様の様子を確認すると、寝息を立ててお休みになられておりました。
この部屋は問題なさそうと判断し部屋を出ようとした時、外のルーナが慌ただしく飛び回っているのが目に入りました。

──何かありましたか!?

すぐさま外に出て、ルーナ元に寄ると「キュルルルル!!!」と、ある部屋を指しているようです。

その部屋は、二階にあるゲルダさん部屋です。

また屋敷に戻ってゲルダさんの部屋に行ってては時間がかかります。

「ルーナ!!頼みます!!」

ガシャ--ン!!!

私はルーナに掴まり、ゲルダさんの部屋の部屋の窓を蹴破りました。
窓ガラスの破片を叩き落としながら中の様子を伺うと、腹部を抑えたルイスさんとその傍らでルイスさんを支えるゲルダさんの姿がありました。

カチャ

何やら私の頭に当たってますね……まぁ、十中八九銃口ですね。

「……もう一匹いたか……」

横目で伺うと真っ黒の覆面を被った方が、案の定、銃口を頭に突きつけていました。

──これまた、大きなネズミが潜んでましたね。

「……マリー……」

ルイスさんが苦しそうに私の名を呼んできました。
意識があるぶん安心しましたが、早めに片をつけた方が良さそうですね。

「──……すみません。撃たれる前に一つお聞きして宜しいでしょうか?」

私は両手を挙げ、覆面の方に問いかけました。

「あ?命乞いは聞かんぞ?」

命乞いなんて、そんな恥をさらす様な事いたいません。
私は銃口を頭に突きつけられた状態で、覆面の方と話を続けます。

「命乞いなんて致しませんよ。──貴方は、毒蜘蛛の方で間違いないでしょうか?」

「あぁ、そうだ」

私が問うと、簡単に正体を明かしてくれました。
では、次に──

「貴方達の狙いは何でしょうか?レナード様?……それとも、ウチのボスでしょうか?」

「……その質問には答えられない」

……でしょうね。まぁ、教えてくれる訳ないと思っておりましたけど、聞くだけ聞いときたいじゃないですか?

これ以上聞いても無駄のようですから、この方を捕獲しましょうか。

……とは言うものの、状況的にこちらが圧倒的不利。

「どうした?もう質問は終わりか?」

覆面の方がカチャと銃を持ち直しました。

──これは、動いたら一瞬で頭を撃ち抜かれるパターンです。

ルイスさんは戦闘不可能。ゲルダさんなど、お話になりません。
さて、どうしましょうか……

私が悩んでいると「キュル!!」と、ルーナの鳴き声が聞こえました。
その鳴き声は、猛スピードでこちらに向かってきました。

「うわっ!!なんだ、こいつ!!グリフォンか!?」

ルーナは迷いもなく覆面の方目掛けて攻撃を仕掛けました。
覆面の方が驚き、私からルーナの方に気が逸れました。
そのおかげで私は動けるようになり、すぐに戦闘態勢を取ります。

「──くそっ!!邪魔だ!!」

覆面の方がルーナに銃口を向け、今まさに引き金を引こうとしておりますが、そうはさせませんよ!!

私は覆面の方目掛けて、思いっきり飛び蹴りをお見舞いしました。

しかし、流石はプロの暗殺者の方。見事な受け身ですぐに体勢を持ち直しました。

「──……嬢ちゃん、不意打ちとは卑怯じゃないのか?」

「いえ、ルーナを助ける為なので、卑怯な事ではありません」

跳び蹴りの衝撃で、銃が何処かに飛んだようすね。手に何も持っておりません。

「ほお?ルーナってんだな。そいつは嬢ちゃんのペットか?」

「えぇ、ペットと言うより家族です」

覆面の方がルーナを指さし問い掛けてきましたが、ルーナは既に家族の一員です。

ルーナは私の言葉を聞くと、嬉しそうに私の肩に乗ってきました。

「ははっ。おもしろい嬢ちゃんだ。まさかグリフォンを従えてるとはな……」

いや、ですから家族なので従う従わないとか関係ありません。私の話聞いてましたか?

まあ、こんな話をしてる暇はありませんね。
早いとこ片付けて、ルイスさんを手当てしなければ。

そう判断した私が身構えると「決着といくか?」と覆面の方も身構えました。
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