城で侍女をしているマリアンネと申します。お給金の良いお仕事ありませんか?

甘寧

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侍女兼便利屋

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ロンさんの話を聞く前に、私達の順番が来てしまいました。
仕方なくロンさんのクレープも購入し、広場のベンチへとやって参りました。

因みに、ロンさんの分のクレープは私の奢りです。
同じ身内の負債を抱える同士助け合って行きましょう。

「──それで?その弟やらはどこで借金を作ってきたの?」

カリンがクレープを食しながら、単刀直入にロンさんに問いました。

因みに私の頼んだクレープは木苺と生クリームの入った人気NO.1のオススメ商品です。
カリンはアイスと果物てんこ盛りのクレープ。
ロンさんは、人気No.2のチョコと生クリームです。

「……それが、お恥ずかしい事に娼婦館やら博打でして……」

ロンさんは言いずらそうにしながらも、教えてくれました。

──クズの極みですね。
何故それをご本人じゃなく、兄のロンさんが支払っているか謎ですね。

「──貴方、何故弟に支払わせないの?娼婦館に行くぐらいだもの、色々と元気なんでしょう?」

カリンが私の言いたいことを全て代弁して下さいました。

「いや、まあ、そうなんですが……。僕が何か言うと、手のつけれない程暴れてしまって、最終的に僕が払った方が早いかなと……」

ロンさんは項垂れながら、ボソボソと小さな声で答えてくれました。

──なんと情けない!!
兄の威厳が何もありません。

暴れたら拳で黙らせればいいだけの事。
何故、それをしないのですか?

「……貴方、それじゃあ弟の為にならないわよ。どんなに借金をしても、貴方が返してくれると思ってしまうもの。いつまで経っても返済出来ないわよ」

カリンは口に生クリームを付けながら、ロンさんに物申しました。

カリンの言っていることは最もです。
きっと現在進行形で、借金が増えている事でしょう。
私ならそんな輩、身内だろうと関係なく真っ先に切り捨てます。

ウチの脳筋バカ夫婦にも「次、借金を作ったら親子の縁を切る」と断言しておりますから。

ロンさんはクレープを握りしめたまま、黙って俯いたままです。

「──よしっ、ここで会ったのも何かの縁よ。貴方の家に案内しなさい。私がその弟やらに説教してやるわ」

既に食べ終わったカリンは、パンッと手を叩き、ロンさんの家に行くと言い出しました。

その提案を聞いたロンさんは、目を白黒させています。

「私はカリンって言うの。マリーの友達よ。宜しくね」

未だに理解出来ない様子のロンさんに、カリンは手を差し出し改めて、自己紹介しました。

ロンさんは戸惑いながらも、カリンの手を握り返しすばやく手にもていたクレープを完食していました。

私はその様子を横で見ながら、クレープを美味しく頂いておりました。

とても美味な一品でした。


◇◇◇


私達はまず、ロンさんが頼まれていた買い物を『マム』に置いてからロンさんの家へと向かいました。
ロンさんは何故か森へと足を進め、そのまま森の中へ。
暫く歩き進めると、小さなボロボロの小屋が見えてきたました。

──まさかここじゃないですよね?

「……ここです」

私の思いも虚しく、ロンさんは小屋の前で立ち止まりました。

「ここ!?このボロ屋、人が住めるの!?私の家で飼ってる番犬の小屋より小さいじゃない!!」

ロンさんの家を見るなり、カリンが叫びました。

──まあ、カリンは公爵家のご令嬢ですから番犬にも立派な小屋が用意されているのでしょう。

しかし、これは確かに人が住める状態ではありませんね……

「……すみません。なにぶん返済が多くて、家を借りられないんです」

これは、相当切羽詰まった状況ですよ?

まあ、立ち話もなんですし家の中へ参りましょう。

ロンさんはゆっくり家の扉を開けると、すぐにアルコール臭が鼻をつき、更に中を覗いてみると足の踏み場も無いほど床がゴミで埋まり、そのゴミの上に横たわる1人の方がいました。

──あの方が、ロンさんの弟さんですね?

「……あ?」

私達の気配に気付き、こちらを見てきました。

ロンさんの弟と聞いていましたが……。あまり似ていませんね。

ロンさんの外見はそれ程良くもなく、悪くもなく、一言で言えば普通。
対してこの弟さんの外見は、中々綺麗な顔立ちで女性ウケしそうな感じです。

「おい、ロン。誰だよその女共」

「……この方達は、僕の仕事場の人達だよ」

ロンさんの弟は体を起こすと、ゴミの上に座り足を組みこちらを見据えてきました。

──性格も真逆な感じですね。

さて、お説教のお時間です。
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