城で侍女をしているマリアンネと申します。お給金の良いお仕事ありませんか?

甘寧

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侍女兼便利屋

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ジェムさんは何とか一命を取り留めました。

餌になりかけ、片足を失った方も一命を取り留めジェムさんと仲良くベッドを並べております。
他の奴隷の方達も無事手当を受けられ療養しております。

そして私達は何処にいるかと申しますと、勿論、今回の根源クレメール伯爵邸です。

私はクレメール伯爵を屋根裏から見張り。ゴリさん、ヤンさんはクレメール伯爵の悪事を暴く為の証拠を探しに屋敷の中を飛び回っております。

「おいっ!!ワームが殺されたとはどういう事だ!?」

「す、すみません旦那様!!」

「しかも餌に逃げられただけではなく、見張りに付けていた奴らもやられただと!?」

「も、申し訳ありません!!」

ほお、あの方がクレメール伯爵ですか。
……なるほど、こちらが本性ですね。

「まずいぞ!!追っ手が来る前にこの国を出る!!」

おやおや、そうはイカの金時計ですよ。

クレメール伯爵は慌ててこの屋敷を出る準備を始めますが、見て見ぬふりは出来ません。
天井を破り、クレメール伯爵の目の前に降り立ちます。

「だ、誰だ!!?」

「……名乗るほどの者ではありません。まあ、敢えて言うなら正義の味方でしょうか?」

隠密服の為、顔を覆っているので私が分からないのでしょう。
まあ、顔を出していても分からないでしょうけど。

「ふざけた事を……!!おいっ!!早くこいつを始末しろ!!」

数人の方が前に出てきました。
雇われた殺し屋か、そこら辺のゴロツキでしょうか?
クレメール伯爵はそそくさと部屋を出て逃げるつもりです。

──逃がしません!!

クレメール伯爵を追いかけようとしたら、一人の方が私に斬りかかって参りました。

なるほど、行かせないつもりですか。

「仕方ありませんね。時間が無いので一斉にお願いします」

「……ぶざけやがって!!!」

相手は五人。
私の言葉に腹を立て、一斉にかかってきましたが、私の敵ではありません。

「ぐはっ!!」

「ごほっ!!」

一人ずつ倒していき、残るは一人。

ただこの方、顔は真っ青で足はガクガク、持っている剣も震えています。

「……あの、こんな事言うのは何ですが、貴方、殺し屋には向いてませんよ?」

「あっ、やっぱり?」

自覚はあったんですね。
それなら、早く足を洗いなさい。

「……だけど、弟の為には仕方ないんだ!!」

そう言うと、震える手で私に斬りかかって来ましたが、ヒョイっと足を出すとその足に躓き、転がりました。

「うわっ!!」

そのまま私に縄で縛られ、お仲間達と一緒に転がしておきます。

弟さんの為とは、難儀な方ですね。
職を紹介してあげたい所ですが、この感じでは便利屋この仕事は無理ですね。

まあ、この方のことは置いといて、クレメール伯爵を追いましょう!!

「──うぷっ!!」

急いで部屋を出た所で、何かポヨンとした物にぶつかりました。

「おっ!!すまん!!って、マリーか」

「……ゴリさんですか」

どうやらポヨンの正体はゴリさんの体みたいです。

「ゴリさん、もう少し痩せた方がいいですよ?」

「何だと!?このフォルムを維持するのは大変なんだぞ!?」

食っちゃ寝ちゃしてればいいのでは?
そんなんでは、婚期をまた引き伸ばしますよ?

──って、そんな事言ってる場合ではありません!!

「クレメール伯爵は!?」

「ああ、ヤンが捕まえた。ティムに頼んでおいた騎士達も到着したらしいしな」

流石、用意周到ですね。

──ティムさん、戻ってこないと思っていたら騎士団へ行っていたんですね。

「……ご苦労だったな」

ゴリさんが私の頭をポンッとしながら、労いの言葉をくれました。

「言葉より、お給金ください」

「あはははは!!それでこそ、マリーだ!!今回は多少色をつけてやる」

本当ですか!?頑張った甲斐がありました。



本日のお給金……クレメール伯爵成敗85000ピール(ゴリさんの気持ち入)

借金返済まで残り5億8千100万2100ピール
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