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ティナは窓辺に腰掛けながら、あの美しいネモフィラの花畑を思い出していた。
ユリウスの昔話は聞けば聞くほど信じ難かった。
まず、あのユリウスが荒れている姿が想像つかない。それに、話に出てきた女の子はどうした?
ユリウスに特別な感情があったのかまでは分からないが、話を聞く限り気になっていたのは事実。
いくら歳が離れていたとしても、今のユリウスの年齢を考えれば気になる年齢でもないだろう。
……なんだ。ちゃんと本命がいるんじゃないか。
嬉しいはずなのに、胸の辺りがムカムカして仕方ない。
「これは………胸焼けか?」
今までに感じた事のない不快感。ティナはあまり深く考えずに、きっと昼食を食べ過ぎたんだとあっけらかんとした考えでいた。
「あれ?お嬢さんどうしたの?」
胸に手を当てているティナの前にゼノが現れた。
(………出たな似非用心棒)
今すぐにでも怒鳴りつけたかったがグッと堪え、にこやかな笑みを浮かべて手招きしながらゼノを呼び寄せた。
「ゼノ、ちょっと…」
「なぁに?」
警戒する事なく、ホイホイと近付いてきた。射程圏内に入った瞬間、ティナは鋭い目付きに変わり、ゼノの左頬を全力で平手打ちした。
パーン!!と甲高い音が室内に響き渡り、それと同時にゼノが弾け飛んだ。
「──いったァァ!!何すんの!?」
頬をおさえ、涙目になりながら文句を言ってくるが、文句を言いたいのはこちらの方。
「それはこっちのセリフよ。よくもあんた、か弱い女子をあんな何も無い所に置き去りに出来たわね」
仁王立ちでゼノを睨みつけた。
「お嬢さん…いいかい?か弱い女の子ってのは、相手の顔を見た途端に平手打ちなんてかまさないよ?」
「あら、拳の方が良かった?」
拳を作って殴る仕草をすれば、早々に白旗を上げてきた。
「もぉ、ごめんて。女の子が拳なんて作っちゃいけません」
さり気なくそっと拳に手を置かれ、ゆっくり下げられた。
「でもさ、綺麗だったろ?」
「まあね」
花に罪はないから、正直に応える。
「旦那も健気だよねぇ?いつ来るか分からない子の為に、せっせと世話してんだからさ」
ゼノは憐れむように言っているが、ニヤニヤと気持ち悪い笑みを浮かべながらティナを見ている。ティナ以外の女の影をチラつかせて嫉心でも芽生えさせようって魂胆なんだろうが、そう簡単にいくか。
……でもまあ、そっちがその気なら……
「ねぇ、あの人がそこまでして待ってる子って誰なの?」
「は?」
「いや、それとなく聞いてみたんだけど、なんか言いたくなさそうな顔されて…ゼノなら知ってるかなぁ?て思ったんだけど…」
気になってる素振りを見せれば、正体を教えてくれんじゃないかと思って聞いてみたが、驚愕なんて言葉じゃ言い表せない……この世の終わりのような顔をして、こちらを見ていた。
「ちょ、なになになに!?私なんか変なこと言った!?」
予想もしていなかった反応に慌てて取り繕うとするが、ゼノは大きな溜息を吐きながら項垂れるようにして、その場にしゃがみこんでしまった。
「いや、まあ、そんな気はしてたけどさ…もうね、絶望を通り越していっそ清々しいよ…」
薄ら笑いを浮かべて、小馬鹿にするような事を言われたらティナだってカチンと来る。
「あの人といい、あんたといい何なの?そうやってコソコソされる方がむかつくんですけど」
「は、そう言う事には敏感なの?」
「はぁ!?」
珍しくゼノも食ってかかってきて、ティナの怒りも頂点に。
「この際だから言わせてもらいますけど、私はあんたらの事なんてどうでもいいのよ。単純に私に構うなって言ってんの。それを影でコソコソと騙し討ちみたいな事ばかりしやがって……男の癖に女々しいたらありゃしない。大戦で脚光を浴びて腑抜けたんですか?総隊長殿?」
クスクスと嘲笑いながら言い切った。流石に言い過ぎた感はあるが、一度吐き出したら止まらなかった。
「……そこまで言われちゃ、俺だって黙ってられないよねぇ?」
ゼノは最後まで顔を俯いて聞いていたが、聞き終えるとゆっくりと立ち上がった。ティナを映す瞳はいつもの軽々しいゼノとは違い、ゾッとするほど冷たい。
「お嬢さんさ、あいつが本気じゃないと思ってるだろ」
「え?」
「ははっ、鈍感もここまで来るとイラつくよねぇ。あんたさ、自分のことあれこれ言う前にユリウスと向き合えよ」
こんな真剣なゼノは初めてで、思わず後退ってしまう。ゼノの方も逃がさんとばかりに距離を詰めてくる。
「こちらからすりゃ、あんたの考えはおこちゃまだぜ?小さい子供が駄々を捏ねてるのと一緒だ。ユリウスが本気を出せば、すぐにでも婚姻ぐらい簡単に結べるんだよ。それを我慢してんだぜ?あんたの気持ちを尊重してるって分かれよ」
強い口調で言われ、ティナは何も言えずに黙ってしまった。
ゼノの言う通り、ユリウスが本気を出せば婚約なんてすっ飛ばして婚姻ぐらい簡単に出来ると思う。それを婚約という猶予期間を作ってくれた。そう考えれば、確かにこちらを尊重……──ん?
「おい、こら。私の気持ちを尊重してんなら、婚約事態取り消せよ。何どさくさに紛れてそれっぽいこと言ってんの?」
危ない危ない……危なく納得するところだった。
「あれ?気づいちゃった?お嬢さん、結構その場の勢いに弱いからいけるかと思ったんだけど?」
そう言うゼノはいつも通りのゼノだった。
ティナは「ははは」と笑うゼノの両頬をつねりあげながら「ふざけるな」と怒りをぶつける。
「まあ、本音8割冗談2割って感じで聞き流しておいてよ」
あの緊迫した状況下でも冗談が言える奴の神経を疑う。……この男らしいと言えばそれまでだけど。
「ああ、けどね、旦那と向き合えって言ったのは本音だから」
それは分かってる。
「できたら早めに頼むねぇ」
軽く手を振りながら捨て台詞のように言うと、窓から出て行ってしまった。ティナはその場に崩れるようにしゃがみ込んだ。
「疲れた…」
天に向かって呟いた。
ユリウスの昔話は聞けば聞くほど信じ難かった。
まず、あのユリウスが荒れている姿が想像つかない。それに、話に出てきた女の子はどうした?
ユリウスに特別な感情があったのかまでは分からないが、話を聞く限り気になっていたのは事実。
いくら歳が離れていたとしても、今のユリウスの年齢を考えれば気になる年齢でもないだろう。
……なんだ。ちゃんと本命がいるんじゃないか。
嬉しいはずなのに、胸の辺りがムカムカして仕方ない。
「これは………胸焼けか?」
今までに感じた事のない不快感。ティナはあまり深く考えずに、きっと昼食を食べ過ぎたんだとあっけらかんとした考えでいた。
「あれ?お嬢さんどうしたの?」
胸に手を当てているティナの前にゼノが現れた。
(………出たな似非用心棒)
今すぐにでも怒鳴りつけたかったがグッと堪え、にこやかな笑みを浮かべて手招きしながらゼノを呼び寄せた。
「ゼノ、ちょっと…」
「なぁに?」
警戒する事なく、ホイホイと近付いてきた。射程圏内に入った瞬間、ティナは鋭い目付きに変わり、ゼノの左頬を全力で平手打ちした。
パーン!!と甲高い音が室内に響き渡り、それと同時にゼノが弾け飛んだ。
「──いったァァ!!何すんの!?」
頬をおさえ、涙目になりながら文句を言ってくるが、文句を言いたいのはこちらの方。
「それはこっちのセリフよ。よくもあんた、か弱い女子をあんな何も無い所に置き去りに出来たわね」
仁王立ちでゼノを睨みつけた。
「お嬢さん…いいかい?か弱い女の子ってのは、相手の顔を見た途端に平手打ちなんてかまさないよ?」
「あら、拳の方が良かった?」
拳を作って殴る仕草をすれば、早々に白旗を上げてきた。
「もぉ、ごめんて。女の子が拳なんて作っちゃいけません」
さり気なくそっと拳に手を置かれ、ゆっくり下げられた。
「でもさ、綺麗だったろ?」
「まあね」
花に罪はないから、正直に応える。
「旦那も健気だよねぇ?いつ来るか分からない子の為に、せっせと世話してんだからさ」
ゼノは憐れむように言っているが、ニヤニヤと気持ち悪い笑みを浮かべながらティナを見ている。ティナ以外の女の影をチラつかせて嫉心でも芽生えさせようって魂胆なんだろうが、そう簡単にいくか。
……でもまあ、そっちがその気なら……
「ねぇ、あの人がそこまでして待ってる子って誰なの?」
「は?」
「いや、それとなく聞いてみたんだけど、なんか言いたくなさそうな顔されて…ゼノなら知ってるかなぁ?て思ったんだけど…」
気になってる素振りを見せれば、正体を教えてくれんじゃないかと思って聞いてみたが、驚愕なんて言葉じゃ言い表せない……この世の終わりのような顔をして、こちらを見ていた。
「ちょ、なになになに!?私なんか変なこと言った!?」
予想もしていなかった反応に慌てて取り繕うとするが、ゼノは大きな溜息を吐きながら項垂れるようにして、その場にしゃがみこんでしまった。
「いや、まあ、そんな気はしてたけどさ…もうね、絶望を通り越していっそ清々しいよ…」
薄ら笑いを浮かべて、小馬鹿にするような事を言われたらティナだってカチンと来る。
「あの人といい、あんたといい何なの?そうやってコソコソされる方がむかつくんですけど」
「は、そう言う事には敏感なの?」
「はぁ!?」
珍しくゼノも食ってかかってきて、ティナの怒りも頂点に。
「この際だから言わせてもらいますけど、私はあんたらの事なんてどうでもいいのよ。単純に私に構うなって言ってんの。それを影でコソコソと騙し討ちみたいな事ばかりしやがって……男の癖に女々しいたらありゃしない。大戦で脚光を浴びて腑抜けたんですか?総隊長殿?」
クスクスと嘲笑いながら言い切った。流石に言い過ぎた感はあるが、一度吐き出したら止まらなかった。
「……そこまで言われちゃ、俺だって黙ってられないよねぇ?」
ゼノは最後まで顔を俯いて聞いていたが、聞き終えるとゆっくりと立ち上がった。ティナを映す瞳はいつもの軽々しいゼノとは違い、ゾッとするほど冷たい。
「お嬢さんさ、あいつが本気じゃないと思ってるだろ」
「え?」
「ははっ、鈍感もここまで来るとイラつくよねぇ。あんたさ、自分のことあれこれ言う前にユリウスと向き合えよ」
こんな真剣なゼノは初めてで、思わず後退ってしまう。ゼノの方も逃がさんとばかりに距離を詰めてくる。
「こちらからすりゃ、あんたの考えはおこちゃまだぜ?小さい子供が駄々を捏ねてるのと一緒だ。ユリウスが本気を出せば、すぐにでも婚姻ぐらい簡単に結べるんだよ。それを我慢してんだぜ?あんたの気持ちを尊重してるって分かれよ」
強い口調で言われ、ティナは何も言えずに黙ってしまった。
ゼノの言う通り、ユリウスが本気を出せば婚約なんてすっ飛ばして婚姻ぐらい簡単に出来ると思う。それを婚約という猶予期間を作ってくれた。そう考えれば、確かにこちらを尊重……──ん?
「おい、こら。私の気持ちを尊重してんなら、婚約事態取り消せよ。何どさくさに紛れてそれっぽいこと言ってんの?」
危ない危ない……危なく納得するところだった。
「あれ?気づいちゃった?お嬢さん、結構その場の勢いに弱いからいけるかと思ったんだけど?」
そう言うゼノはいつも通りのゼノだった。
ティナは「ははは」と笑うゼノの両頬をつねりあげながら「ふざけるな」と怒りをぶつける。
「まあ、本音8割冗談2割って感じで聞き流しておいてよ」
あの緊迫した状況下でも冗談が言える奴の神経を疑う。……この男らしいと言えばそれまでだけど。
「ああ、けどね、旦那と向き合えって言ったのは本音だから」
それは分かってる。
「できたら早めに頼むねぇ」
軽く手を振りながら捨て台詞のように言うと、窓から出て行ってしまった。ティナはその場に崩れるようにしゃがみ込んだ。
「疲れた…」
天に向かって呟いた。
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