やさぐれ令嬢、王子付きメイドになる

無気力で物覚えも悪く、死んだ魚の目をしながら仕事をするマリーヌに振り回されているのは、第一王子のテオフィール。元は穏やかな性格だったのに、マリーヌが来るようになってから、毎日のようにテオフィールの怒鳴り声が響いている。

そんな折、マリーヌは一番上の兄であるイエルに呼ばれた。
一番上の兄、イエルは宰相として国に仕えている。二番目の兄は騎士団で団長の任に付いている。そして、末っ子の私は影の実力者として密偵を担っている。

今この国は権力者争いが水面下で繰り広げられていて、第一王子派と第二王子派の攻防が続いていた。

我々シュロート家はどちらの派閥にも所属していない。理由は簡単、この世は力の強い者が全て。弱者は強者に喰われる。我々が仕えるのはそんな強者だけ。

だから、国王が第二王子になろうが第一王子のテオフィールになろうが関係ない。というか、興味がない。

……はずだったのに、その理を破りテオフィールに手を貸してしまう……
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