26 / 26
26
しおりを挟む
静まり返った部屋にウィルフレッドの二人きりなり、あれだけ会いたかったのに緊張して顔が見れない。心臓が煩すぎて、聞こえてしまうんじゃないかと心配になる。
(ど、どうしよう…)
もじもじと躊躇しているリーゼの後姿を見たウィルフレッドは「クスッ」と微笑み、優しく包み込んだ。
「おや?俺の姫様は随分恥ずかしがりのようだな?」
リーゼの為にわざと茶化すような言い方で問いかけてくれた。戦場帰りで疲れているだろうに、ちゃんと自分に気を使ってくれることが嬉しくて申し訳ない…
ゆっくりと顔を向けるが…
「ーん゛!?」
待てないとばかりにグイッと顔を持ち上げられ、唇を重ねられた。
そのまま押し倒される形でベッドに倒れ込んだが、唇は離してくれない。新鮮な空気を求める為に口を開ければ、舌が入り込んできて更に苦しくなる。
「んんん゛~……!!」
必死に訴えると、ようやく唇が離れた。
「は、堪らんな…」
「へ?」
とろんと蕩けた表情のリーゼに、ウィルフレッドは舌なめずりをしながら見下ろした。その眼は捕食者の様だったが、恐さよりも色気の方が勝っていて目のやり場に困る。
「考え事か?」
首筋にキスされ、ビクッと身体が反応する。
「…それとも、他の男の事でも考えているのか?」
目を細めながら胸元の痕をなぞり言われ、慌てて「違う!!」とウィルフレッドも驚くほどの声が出た。
「私が想う人はただ一人です。例え話でも誤解されるような言葉は慎んでください。こればかりはウィル様でも許しませんよ」
はっきり告げると、ウィルフレッドは一瞬目を見開いていたが、すぐに笑い出した。
「あはははは!!そうだな。すまない俺が悪かった。俺はロドルフに嫉妬していたんだ」
「するほどの価値はありませんよ」
「ああ、だが、このような痕を付けられた…」
(んなっ!!)
眉を下げて落ち込む姿は、まるで大型犬のようで堪らなく可愛い。
普段は団長として勇ましい姿で剣を振るっているのに、このギャップは反則だ。完全に胸を撃ち抜かれてしまった。
「あ、あの…じゃ、じゃぁ、ウィル様が上書きしてくれますか…?」
真赤に染まった顔でリーゼが問いかけた。
普段では絶対にこんな恥しい事言わないが、今のウィルフレッドを見ていたら自然と口から出ていた。問いかけられたウィルフレッドは、驚きのあまり言葉を失っているようだった。
その姿を見て、リーゼは急に羞恥心が込み上げてきて「す、すみません!!」と体を起こし誤解を解こうとしたが、肩を押されて再びベッドに倒れ込んだ。
リーゼの目に飛び込んできたのは、大型犬が獰猛な野獣に変わった姿だった。
「煽ったのはお前だぞ。…止めるなら今だ。これ以上は待たんぞ」
覆い被さりながら最終通告をされるが、リーゼの心は決まっている。
黙ったままウィルフレッドの首に抱き着いた。ウィルフレッドは眉を歪め、リーゼを力強く抱きしめ返すと、どちらともなく唇を合わせた。
❊❊❊
その後、ロドルフとアリアナの処分が決まったと教えられた。
まずアリアナだが…この女、戦場で数人の騎士と身体の関係を持っていた。その事実を聞いたロドルフは驚愕とは言い表せない表情で、アリアナを見ていたらしい。信じて送り出したのに、見事に裏切られたんだ当然だろう。
アリアナは最後まで「わたくしは皆の為に…!!」と自分は悪くないと主張していたが、そんな主張が通るはずもなく、北部にある最果ての修道院に送られることになった。
そこは監獄よりも厳しく寂しい場所だ。少しは自分の今後と向き合ってくれればいいが…今の段階では無理だろう。
アリアナと関係を持った騎士も、除隊や降格の処分が下った。
そしてロドルフだが、思っていた通り王位継承権の剥奪。廃嫡が決まった。なによりも、リーゼを誘拐したということで父と兄であるマティアスの怒りが収まらず極刑を望んでいたが、下手な刑を言い渡すよりプライドの塊であるロドルフは、身分を失った後の方が地獄になるとリーゼに言及され大人しくなった。
当のロドルフだが、アリアナの事が余程ショックだったのか処分を言い渡されても反論することなく、黙ったまま茫然としていた。
今後は、細々と生活していくことになるだろう。
そして、ウィルフレッドとリーゼだが──……
「「おめでとう!!」」
「ありがとう」
雲一つない青天の今日、真っ白なドレスに身を包んだリーゼは、沢山の人に見送られながらウィルフレッドの元へ嫁いでいく。
「本当にいいのかい?いくらなんでも早急すぎるだろ?よく考えた方がいいよ?」
心配そうにリーゼに声を掛けるのは、シスコンの兄マティアスだ。
「もう、いい加減になさい」
「だってさ…!!」
涙目になりながら訴えるが、父と母に宥められていた。
「相変わらずだな」
クスクスと笑いながら入って来たのは、これまた真っ白なタキシードに身を包んだウィルフレッドだった。いつもとは違った装いにドキッと胸が高鳴る。
「ようやくこの日が来たな」
「ふふっ、子供みたいですね」
「余裕がなくてかっこ悪いだろ?」
「いいえ。とても素敵ですよ」
差し出された手を取り、みんなの待つ会場へと足を進める。
「リーゼ、愛してる。もう逃がさんからな」
「私も愛してます。しっかり私の手を握っていてくださいね?」
「上等だ」
軽くキスを交わすと、大きな扉が開き大きな拍手と共に歓声が上がった……
(ど、どうしよう…)
もじもじと躊躇しているリーゼの後姿を見たウィルフレッドは「クスッ」と微笑み、優しく包み込んだ。
「おや?俺の姫様は随分恥ずかしがりのようだな?」
リーゼの為にわざと茶化すような言い方で問いかけてくれた。戦場帰りで疲れているだろうに、ちゃんと自分に気を使ってくれることが嬉しくて申し訳ない…
ゆっくりと顔を向けるが…
「ーん゛!?」
待てないとばかりにグイッと顔を持ち上げられ、唇を重ねられた。
そのまま押し倒される形でベッドに倒れ込んだが、唇は離してくれない。新鮮な空気を求める為に口を開ければ、舌が入り込んできて更に苦しくなる。
「んんん゛~……!!」
必死に訴えると、ようやく唇が離れた。
「は、堪らんな…」
「へ?」
とろんと蕩けた表情のリーゼに、ウィルフレッドは舌なめずりをしながら見下ろした。その眼は捕食者の様だったが、恐さよりも色気の方が勝っていて目のやり場に困る。
「考え事か?」
首筋にキスされ、ビクッと身体が反応する。
「…それとも、他の男の事でも考えているのか?」
目を細めながら胸元の痕をなぞり言われ、慌てて「違う!!」とウィルフレッドも驚くほどの声が出た。
「私が想う人はただ一人です。例え話でも誤解されるような言葉は慎んでください。こればかりはウィル様でも許しませんよ」
はっきり告げると、ウィルフレッドは一瞬目を見開いていたが、すぐに笑い出した。
「あはははは!!そうだな。すまない俺が悪かった。俺はロドルフに嫉妬していたんだ」
「するほどの価値はありませんよ」
「ああ、だが、このような痕を付けられた…」
(んなっ!!)
眉を下げて落ち込む姿は、まるで大型犬のようで堪らなく可愛い。
普段は団長として勇ましい姿で剣を振るっているのに、このギャップは反則だ。完全に胸を撃ち抜かれてしまった。
「あ、あの…じゃ、じゃぁ、ウィル様が上書きしてくれますか…?」
真赤に染まった顔でリーゼが問いかけた。
普段では絶対にこんな恥しい事言わないが、今のウィルフレッドを見ていたら自然と口から出ていた。問いかけられたウィルフレッドは、驚きのあまり言葉を失っているようだった。
その姿を見て、リーゼは急に羞恥心が込み上げてきて「す、すみません!!」と体を起こし誤解を解こうとしたが、肩を押されて再びベッドに倒れ込んだ。
リーゼの目に飛び込んできたのは、大型犬が獰猛な野獣に変わった姿だった。
「煽ったのはお前だぞ。…止めるなら今だ。これ以上は待たんぞ」
覆い被さりながら最終通告をされるが、リーゼの心は決まっている。
黙ったままウィルフレッドの首に抱き着いた。ウィルフレッドは眉を歪め、リーゼを力強く抱きしめ返すと、どちらともなく唇を合わせた。
❊❊❊
その後、ロドルフとアリアナの処分が決まったと教えられた。
まずアリアナだが…この女、戦場で数人の騎士と身体の関係を持っていた。その事実を聞いたロドルフは驚愕とは言い表せない表情で、アリアナを見ていたらしい。信じて送り出したのに、見事に裏切られたんだ当然だろう。
アリアナは最後まで「わたくしは皆の為に…!!」と自分は悪くないと主張していたが、そんな主張が通るはずもなく、北部にある最果ての修道院に送られることになった。
そこは監獄よりも厳しく寂しい場所だ。少しは自分の今後と向き合ってくれればいいが…今の段階では無理だろう。
アリアナと関係を持った騎士も、除隊や降格の処分が下った。
そしてロドルフだが、思っていた通り王位継承権の剥奪。廃嫡が決まった。なによりも、リーゼを誘拐したということで父と兄であるマティアスの怒りが収まらず極刑を望んでいたが、下手な刑を言い渡すよりプライドの塊であるロドルフは、身分を失った後の方が地獄になるとリーゼに言及され大人しくなった。
当のロドルフだが、アリアナの事が余程ショックだったのか処分を言い渡されても反論することなく、黙ったまま茫然としていた。
今後は、細々と生活していくことになるだろう。
そして、ウィルフレッドとリーゼだが──……
「「おめでとう!!」」
「ありがとう」
雲一つない青天の今日、真っ白なドレスに身を包んだリーゼは、沢山の人に見送られながらウィルフレッドの元へ嫁いでいく。
「本当にいいのかい?いくらなんでも早急すぎるだろ?よく考えた方がいいよ?」
心配そうにリーゼに声を掛けるのは、シスコンの兄マティアスだ。
「もう、いい加減になさい」
「だってさ…!!」
涙目になりながら訴えるが、父と母に宥められていた。
「相変わらずだな」
クスクスと笑いながら入って来たのは、これまた真っ白なタキシードに身を包んだウィルフレッドだった。いつもとは違った装いにドキッと胸が高鳴る。
「ようやくこの日が来たな」
「ふふっ、子供みたいですね」
「余裕がなくてかっこ悪いだろ?」
「いいえ。とても素敵ですよ」
差し出された手を取り、みんなの待つ会場へと足を進める。
「リーゼ、愛してる。もう逃がさんからな」
「私も愛してます。しっかり私の手を握っていてくださいね?」
「上等だ」
軽くキスを交わすと、大きな扉が開き大きな拍手と共に歓声が上がった……
95
お気に入りに追加
190
この作品の感想を投稿する
みんなの感想(3件)
あなたにおすすめの小説
「君を愛していくつもりだ」と言った夫には、他に愛する人がいる。
夏八木アオ
恋愛
◆鈍感で優柔不断なヘタレヒーローx高慢で強情な高嶺の花ヒロイン。立場に縛られた未熟な二人が幸せになるまでのお話です◆
幼い頃から王妃になるべく教育を受け、王太子妃になる予定だった公爵令嬢のイリス。
聖女と呼ばれる、異世界から来た女性に王太子妃の座が渡されることとなり、突然婚約解消された。今度はヴェルディア領の次期公爵、ノア・ヴァンデンブルクと結婚することになったが、彼が従妹のアンナに懸想しているのは社交界では有名な話である。
初夜、夫はイリスをベッドに誘わず、少し話をしようと持ちかけた。白い結婚を望まれるのだろうかと推測していたが、ノアはイリスの手を取って、彼女を愛するつもりだと告げた。
※他サイトにも掲載中
【R18】ひとりで異世界は寂しかったのでペット(男)を飼い始めました
桜 ちひろ
恋愛
最近流行りの異世界転生。まさか自分がそうなるなんて…
小説やアニメで見ていた転生後はある小説の世界に飛び込んで主人公を凌駕するほどのチート級の力があったり、特殊能力が!と思っていたが、小説やアニメでもみたことがない世界。そして仮に覚えていないだけでそういう世界だったとしても「モブ中のモブ」で間違いないだろう。
この世界ではさほど珍しくない「治癒魔法」が使えるだけで、特別な魔法や魔力はなかった。
そして小さな治療院で働く普通の女性だ。
ただ普通ではなかったのは「性欲」
前世もなかなか強すぎる性欲のせいで苦労したのに転生してまで同じことに悩まされることになるとは…
その強すぎる性欲のせいでこちらの世界でも25歳という年齢にもかかわらず独身。彼氏なし。
こちらの世界では16歳〜20歳で結婚するのが普通なので婚活はかなり難航している。
もう諦めてペットに癒されながら独身でいることを決意した私はペットショップで小動物を飼うはずが、自分より大きな動物…「人間のオス」を飼うことになってしまった。
特に躾はせずに番犬代わりになればいいと思っていたが、この「人間のオス」が私の全てを満たしてくれる最高のペットだったのだ。
婚約解消して次期辺境伯に嫁いでみた
cyaru
恋愛
一目惚れで婚約を申し込まれたキュレット伯爵家のソシャリー。
お相手はボラツク侯爵家の次期当主ケイン。眉目秀麗でこれまで数多くの縁談が女性側から持ち込まれてきたがケインは女性には興味がないようで18歳になっても婚約者は今までいなかった。
婚約をした時は良かったのだが、問題は1か月に起きた。
過去にボラツク侯爵家から放逐された侯爵の妹が亡くなった。放っておけばいいのに侯爵は簡素な葬儀も行ったのだが、亡くなった妹の娘が牧師と共にやってきた。若い頃の妹にそっくりな娘はロザリア。
ボラツク侯爵家はロザリアを引き取り面倒を見ることを決定した。
婚約の時にはなかったがロザリアが独り立ちできる状態までが期間。
明らかにソシャリーが嫁げば、ロザリアがもれなくついてくる。
「マジか…」ソシャリーは心から遠慮したいと願う。
そして婚約者同士の距離を縮め、お互いの考えを語り合う場が月に数回設けられるようになったが、全てにもれなくロザリアがついてくる。
茶会に観劇、誕生日の贈り物もロザリアに買ったものを譲ってあげると謎の善意を押し売り。夜会もケインがエスコートしダンスを踊るのはロザリア。
幾度となく抗議を受け、ケインは考えを改めると誓ってくれたが本当に考えを改めたのか。改めていれば婚約は継続、そうでなければ解消だがソシャリーも年齢的に次を決めておかないと家のお荷物になってしまう。
「こちらは嫁いでくれるならそれに越したことはない」と父が用意をしてくれたのは「自分の責任なので面倒を見ている子の数は35」という次期辺境伯だった?!
★↑例の如く恐ろしく省略してます。
★9月14日投稿開始、完結は9月16日です。
★コメントの返信は遅いです。
★タグが勝手すぎる!と思う方。ごめんなさい。検索してもヒットしないよう工夫してます。
♡注意事項~この話を読む前に~♡
※異世界を舞台にした創作話です。時代設定なし、史実に基づいた話ではありません。【妄想史であり世界史ではない】事をご理解ください。登場人物、場所全て架空です。
※外道な作者の妄想で作られたガチなフィクションの上、ご都合主義なのでリアルな世界の常識と混同されないようお願いします。
※心拍数や血圧の上昇、高血糖、アドレナリンの過剰分泌に責任はおえません。
※価値観や言葉使いなど現実世界とは異なります(似てるモノ、同じものもあります)
※誤字脱字結構多い作者です(ごめんなさい)コメント欄より教えて頂けると非常に助かります。
※話の基幹、伏線に関わる文言についてのご指摘は申し訳ないですが受けられません
ほらやっぱり、結局貴方は彼女を好きになるんでしょう?
望月 或
恋愛
ベラトリクス侯爵家のセイフィーラと、ライオロック王国の第一王子であるユークリットは婚約者同士だ。二人は周りが羨むほどの相思相愛な仲で、通っている学園で日々仲睦まじく過ごしていた。
ある日、セイフィーラは落馬をし、その衝撃で《前世》の記憶を取り戻す。ここはゲームの中の世界で、自分は“悪役令嬢”だということを。
転入生のヒロインにユークリットが一目惚れをしてしまい、セイフィーラは二人の仲に嫉妬してヒロインを虐め、最後は『婚約破棄』をされ修道院に送られる運命であることを――
そのことをユークリットに告げると、「絶対にその彼女に目移りなんてしない。俺がこの世で愛しているのは君だけなんだ」と真剣に言ってくれたのだが……。
その日の朝礼後、ゲームの展開通り、ヒロインのリルカが転入してくる。
――そして、セイフィーラは見てしまった。
目を見開き、頬を紅潮させながらリルカを見つめているユークリットの顔を――
※作者独自の世界設定です。ゆるめなので、突っ込みは心の中でお手柔らかに願います……。
※たまに第三者視点が入ります。(タイトルに記載)
茶番には付き合っていられません
わらびもち
恋愛
私の婚約者の隣には何故かいつも同じ女性がいる。
婚約者の交流茶会にも彼女を同席させ仲睦まじく過ごす。
これではまるで私の方が邪魔者だ。
苦言を呈しようものなら彼は目を吊り上げて罵倒する。
どうして婚約者同士の交流にわざわざ部外者を連れてくるのか。
彼が何をしたいのかさっぱり分からない。
もうこんな茶番に付き合っていられない。
そんなにその女性を傍に置きたいのなら好きにすればいいわ。
よくある婚約破棄なので
おのまとぺ
恋愛
ディアモンテ公爵家の令嬢ララが婚約を破棄された。
その噂は風に乗ってすぐにルーベ王国中に広がった。なんといっても相手は美男子と名高いフィルガルド王子。若い二人の結婚の日を国民は今か今かと夢見ていたのだ。
言葉数の少ない公爵令嬢が友人からの慰めに対して放った一言は、社交界に小さな波紋を呼ぶ。「災難だったわね」と声を掛けたアネット嬢にララが返した言葉は短かった。
「よくある婚約破棄なので」
・すれ違う二人をめぐる短い話
・前編は各自の証言になります
・後編は◆→ララ、◇→フィルガルド
・全25話完結
前世で処刑された聖女、今は黒薬師と呼ばれています
矢野りと
恋愛
旧題:前世で処刑された聖女はひっそりと生きていくと決めました〜今世では黒き薬師と呼ばれています〜
――『偽聖女を処刑しろっ!』
民衆がそう叫ぶなか、私の目の前で大切な人達の命が奪われていく。必死で神に祈ったけれど奇跡は起きなかった。……聖女ではない私は無力だった。
何がいけなかったのだろうか。ただ困っている人達を救いたい一心だっただけなのに……。
人々の歓声に包まれながら私は処刑された。
そして、私は前世の記憶を持ったまま、親の顔も知らない孤児として生まれ変わった。周囲から見れば恵まれているとは言い難いその境遇に私はほっとした。大切なものを持つことがなによりも怖かったから。
――持たなければ、失うこともない。
だから森の奥深くでひっそりと暮らしていたのに、ある日二人の騎士が訪ねてきて……。
『黒き薬師と呼ばれている薬師はあなたでしょうか?』
基本はほのぼのですが、シリアスと切なさありのお話です。
※この作品の設定は架空のものです。
※一話目だけ残酷な描写がありますので苦手な方はご自衛くださいませ。
※感想欄のネタバレ配慮はありません(._.)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
このユーザをミュートしますか?
※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。
うおーリーゼちゃん無事でよかったーでも触られちゃったの可哀想だ!
シン様(謎の様呼びシン様がコワイカラジャナイヨ)これは不手際でしたね。シン様、カナンさんを躾られるのかカナンさんにとって至福タイムじゃないのかこれ?!
ど下衆な王子様も退場したし団長様、リーゼちゃんを癒してあげてくれーーー
白菜様!!
おかげさまで本日、無事に完結です!!ここまでお付き合い頂きありがとうございました(٭°̧̧̧ω°̧̧̧٭)
個人的にシンとカナンのコンビで続編を書きたい気もしております(*^^*)
また、新作や続編で見かけた際に読んでいただけると幸いです( ⸝⸝⸝ ̫⸝⸝⸝)◦♡︎
はーい王子様お帰りはあちらです(ペッっと放り投げたい)(っ`Д´)っ・:∴
団長様早く帰って来てくれ!
計算高い雌豹(アリアナ)がそっち行ったぞー
道中すれ違っちゃえばいいのに(酷い)
作者様今回の作品も楽しいです
続きを楽しみにしておりますー
白菜様
なんと嬉しいお言葉!!(´இ□இ`。)°
ありがとうございます!!(٭°̧̧̧ω°̧̧̧٭)
頑張って更新してきます!!(๑و•̀ω•́)و
最初は「おもしれー女」枠で見てたっぽいのにくそ可愛いリーゼちゃんにどっぷり沼ってる騎士団長様。
…良いですとても良い
シスコンお兄様も登場してこれからもますます楽しみです
白菜様
いつもありがとうございます(٭°̧̧̧ω°̧̧̧٭)
いつも嬉しい言葉をかけていただくので、こちらも頑張れます(๑و•̀ω•́)و
これからも引き続き読んでいただけると嬉しいです(* ᴗ͈ˬᴗ͈)”