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episode.23
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「そんじゃ、まずは自己紹介からいきましょか?僕はパウル・ディ・ドルマン。パウルって呼んで。こんななりでも商人やっとります。よろしゅうに」
「えっと、私はシルヴィ・ベルナールです。ご存知の通り、しがない貧乏令嬢です。宜しくお願いします」
こうして始まったお見合い。
パウルは姿絵で見るより断然顔が良い。
それに独特な喋りが新鮮で、眼鏡も相まってシルヴィの興味は最高潮なのだが、このパウル、残念な事に雰囲気が半端なく遊び人オーラ全開なのだ。
(これは推せるが、関わりたくない人間だ……)
その証拠に、周りの女の子達に愛想良く手を振り黄色い悲鳴が店内に響き渡ってる。
出来ることならこの場から秒で逃げ出したい。しかし、それを許さないのが”お見合い”と言う言葉の呪文。
さて、どうしたものか。シルヴィは考えた。
父と邸のことを考えれば無碍にも出来ない。──と言うか、推しを無碍になんて出来ない。
チラッと向かいに座っているパウルを見ると、視線に気づいたパウルが微笑み返してくれた。
(あぁぁぁぁぁぁぁ!!!顔がいいだけに残念すぎる!!!)
シルヴィは頬を染め、顔を隠すように手で覆った。
このままでは駄目だ。そう思うが、この人の攻略法が見つからない。
正直この人との結婚、あるかないかで聞かれたら即答でない。
推しとか関係なしに女性にだらしのない人はお断り。
この人と結婚したら幾多の修羅場をくぐり抜けねばらんのか、今から頭が痛い。
だが、シルヴィから断れば角が立つ。
相手は男前の金持ち。こっちは没落寸前のなんちゃって貴族。
ここはどう破談に持っていくかが焦点だ。
「えっとぉ、パウル様?」
「パウルでええよ」
「……パウル。こんな事も言うのは何ですが、うちは相当な貧乏でして、援助してくださるのは大変嬉しいのですが、没落も時間の問題かと……」
ここぞとばかりに貧乏アピール。
「ほら、今着てる服だって安売りで買った物ですし、食事はほぼ自給自足。私も仕送りの為に城勤めしてますが、借金は減るどころか増える一方で、いよいよ首の皮も擦り切れ始めた所なんです」
なんか言ってて自分が虚しくなってきた。だが、ここが頑張りどころ。
こんな所に投資するなんて無駄金だと分かってもらわなきゃいけない。
幸いな事に金の扱いになれている商人だ。不易な取引はしないだろうと考えた。
その考えは間違っていなかったようで、パウルは黙ってシルヴィの話を最後まで聞いた。
「──という訳で、今の私は売れ残りと言うより不良品なんです。商人であるパウルが不良品を手元に置くなんてことはしないですよねぇ……?」
パウルを見ると何やら考え込んでいるようだった。
(よしっ!!上手くいった!!)
そう思ったのも束の間。
パチパチパチパチパチパチッ!!
いきなりパウルが手を叩いた。
「素晴らしい!!」
「は?」
「言葉巧みに僕の気を引こうなんて中々のやり手やねぇ。売り込みとしては合格や」
「え?いや、売り込んではない……」
「むしろ、その逆……」という言葉は既に聞こえていない。
「いや~、どないな子が来るか博打の様なもんやったけど、大勝ちやね!!」
「多分大負け……」
「君ならええ商人になれる。僕が保証したる!!」
パウルは良い笑顔で言い切った。
(あれ?私、面接に来てるのかな?)
シルヴィはこの場がお見合いなのか面接なのか分からなくなってきた。
まあ、この際どちらでもいい。この人と関わりにならなくていいのなら……
「うん。ええね。僕は気に入った。どない貧乏言うても僕からすれば端金やしね」
「端金……」
(言ってみてぇぇぇ!!!!)
シルヴィはテーブルに突っ伏しながら心の中で叫んだ。
「それに、投資にはリスクが付きもんや。まあ、僕、負けたこと一度も無いねんけどね!!」
「あはははは」と扇を振りかざしながら笑った。
天は二物を与えずと言うが、二物所か三物ぐらいこの人持ってますよ!?
(神様は不公平だ……)
パウルは開いていた扇をパンッと音を立てて閉じた。
そして、シルヴィの目をじっと見つめながら問いかけた。
「僕はこの縁談受けてもええと思うとるが、君はどないするん?このまま貧乏生活続ける言うなら別に引き止めんよ?」
ニヤッと笑うパウルにシルヴィは苦々しく笑った。
貧乏アピールしたらまさかの好感度爆上がりなんて誰が思うか。
このままでは本当にこの人と縁談が纏まってしまう。
貧乏を嵩にかけたつもりだろうが、こちらとら伊達に何年も貧乏おくってないんじゃ。
こうなりゃとことん嫌われてみせよう。
「パウル。確かに貴方はお金持ちで、顔が良い。そこに眼鏡なんて最高な組み合わせで、私も思わず見惚れましたよ。出来れば絵姿にも眼鏡は欲しかったですね。お見合いが失敗に終わっても絵だけは残るじゃないですか。眼鏡を付けてたら見た目が悪い?それは凡人の考えですね。眼鏡は宝石と類義。付けているだけで高評価間違いなしです」
いつの間にか自身の眼鏡論を熱く語り始めたシルヴィにパウルは困惑……と言うより若干引いている。
「そんなパウルですが、ただ一つ惜しい点があります!!」
「ほお?それは?」
シルヴィのあまりの気迫に、思わず聞き返してしまった。
「貴方は女性にだらしない!!」
ビシッと言い切った。
「えっと、私はシルヴィ・ベルナールです。ご存知の通り、しがない貧乏令嬢です。宜しくお願いします」
こうして始まったお見合い。
パウルは姿絵で見るより断然顔が良い。
それに独特な喋りが新鮮で、眼鏡も相まってシルヴィの興味は最高潮なのだが、このパウル、残念な事に雰囲気が半端なく遊び人オーラ全開なのだ。
(これは推せるが、関わりたくない人間だ……)
その証拠に、周りの女の子達に愛想良く手を振り黄色い悲鳴が店内に響き渡ってる。
出来ることならこの場から秒で逃げ出したい。しかし、それを許さないのが”お見合い”と言う言葉の呪文。
さて、どうしたものか。シルヴィは考えた。
父と邸のことを考えれば無碍にも出来ない。──と言うか、推しを無碍になんて出来ない。
チラッと向かいに座っているパウルを見ると、視線に気づいたパウルが微笑み返してくれた。
(あぁぁぁぁぁぁぁ!!!顔がいいだけに残念すぎる!!!)
シルヴィは頬を染め、顔を隠すように手で覆った。
このままでは駄目だ。そう思うが、この人の攻略法が見つからない。
正直この人との結婚、あるかないかで聞かれたら即答でない。
推しとか関係なしに女性にだらしのない人はお断り。
この人と結婚したら幾多の修羅場をくぐり抜けねばらんのか、今から頭が痛い。
だが、シルヴィから断れば角が立つ。
相手は男前の金持ち。こっちは没落寸前のなんちゃって貴族。
ここはどう破談に持っていくかが焦点だ。
「えっとぉ、パウル様?」
「パウルでええよ」
「……パウル。こんな事も言うのは何ですが、うちは相当な貧乏でして、援助してくださるのは大変嬉しいのですが、没落も時間の問題かと……」
ここぞとばかりに貧乏アピール。
「ほら、今着てる服だって安売りで買った物ですし、食事はほぼ自給自足。私も仕送りの為に城勤めしてますが、借金は減るどころか増える一方で、いよいよ首の皮も擦り切れ始めた所なんです」
なんか言ってて自分が虚しくなってきた。だが、ここが頑張りどころ。
こんな所に投資するなんて無駄金だと分かってもらわなきゃいけない。
幸いな事に金の扱いになれている商人だ。不易な取引はしないだろうと考えた。
その考えは間違っていなかったようで、パウルは黙ってシルヴィの話を最後まで聞いた。
「──という訳で、今の私は売れ残りと言うより不良品なんです。商人であるパウルが不良品を手元に置くなんてことはしないですよねぇ……?」
パウルを見ると何やら考え込んでいるようだった。
(よしっ!!上手くいった!!)
そう思ったのも束の間。
パチパチパチパチパチパチッ!!
いきなりパウルが手を叩いた。
「素晴らしい!!」
「は?」
「言葉巧みに僕の気を引こうなんて中々のやり手やねぇ。売り込みとしては合格や」
「え?いや、売り込んではない……」
「むしろ、その逆……」という言葉は既に聞こえていない。
「いや~、どないな子が来るか博打の様なもんやったけど、大勝ちやね!!」
「多分大負け……」
「君ならええ商人になれる。僕が保証したる!!」
パウルは良い笑顔で言い切った。
(あれ?私、面接に来てるのかな?)
シルヴィはこの場がお見合いなのか面接なのか分からなくなってきた。
まあ、この際どちらでもいい。この人と関わりにならなくていいのなら……
「うん。ええね。僕は気に入った。どない貧乏言うても僕からすれば端金やしね」
「端金……」
(言ってみてぇぇぇ!!!!)
シルヴィはテーブルに突っ伏しながら心の中で叫んだ。
「それに、投資にはリスクが付きもんや。まあ、僕、負けたこと一度も無いねんけどね!!」
「あはははは」と扇を振りかざしながら笑った。
天は二物を与えずと言うが、二物所か三物ぐらいこの人持ってますよ!?
(神様は不公平だ……)
パウルは開いていた扇をパンッと音を立てて閉じた。
そして、シルヴィの目をじっと見つめながら問いかけた。
「僕はこの縁談受けてもええと思うとるが、君はどないするん?このまま貧乏生活続ける言うなら別に引き止めんよ?」
ニヤッと笑うパウルにシルヴィは苦々しく笑った。
貧乏アピールしたらまさかの好感度爆上がりなんて誰が思うか。
このままでは本当にこの人と縁談が纏まってしまう。
貧乏を嵩にかけたつもりだろうが、こちらとら伊達に何年も貧乏おくってないんじゃ。
こうなりゃとことん嫌われてみせよう。
「パウル。確かに貴方はお金持ちで、顔が良い。そこに眼鏡なんて最高な組み合わせで、私も思わず見惚れましたよ。出来れば絵姿にも眼鏡は欲しかったですね。お見合いが失敗に終わっても絵だけは残るじゃないですか。眼鏡を付けてたら見た目が悪い?それは凡人の考えですね。眼鏡は宝石と類義。付けているだけで高評価間違いなしです」
いつの間にか自身の眼鏡論を熱く語り始めたシルヴィにパウルは困惑……と言うより若干引いている。
「そんなパウルですが、ただ一つ惜しい点があります!!」
「ほお?それは?」
シルヴィのあまりの気迫に、思わず聞き返してしまった。
「貴方は女性にだらしない!!」
ビシッと言い切った。
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