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第10話 「ビューティフルグループ」
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大学4年生、21歳の時、新宿2丁目の店で、また新しい男から声を掛けられた。
N君、23歳。
背は僕と同じくらいだった。
N君も美容師をしていて、お洒落でカッコよかった。
でも、僕が一番戸惑ったのは、彼が当時、ゲイ友Kたちの間で「ビューティフルグループ」と呼ばれていた、皆、それなりに男前で、お洒落で華やかな集団の一人だったことだ。
彼と付き合うようになって、否が応でも、その集団の中に僕も入らざるを得なかった。
当然、僕は、そんなお洒落でもないし、裕福でもないし、誰が見ても浮いた存在だったと思う。
N君自体は、そんなこと気にしていないようだったけど、僕の方が気を遣った。
「ビューティフルグループ」の面々と食事をする時は、入ったこともないようなお洒落なイタリアンレストランだったり、僕にとっては別世界だった。
彼と会う時は、自分の服装にも気を遣わなきゃいけなかったり、とにかく大変だったけど、彼のことは好きだったし、可愛がってくれたので、ゲイ友のKとも相談しながらKの服を借りて行ったり、なんとか3か月くらいは続いた。
僕が大学の長期休暇に入るので、1か月くらい会えないけど、待っててくれる?と聞いたらN君は「待ってる」と答えてくれた。
だけど、現実には待っててくれなかった。
お別れの言葉もなしに、自然とN君との付き合いは終わった。
やはり、N君にとって、個人的に僕のことは気に入っていても、服装もダサいし、見た目華やかでもない僕は重荷だったのかなと当時は思った。
でも当時の僕でも、「ビューティフルグループ」の虚像は見抜いていた。
N君は周りに合わせてお洒落にしていたけれど、そんなに裕福ではなかった。
美容師さんの給料が、そんなにいい訳でもない(当時)ことは僕も知っていたし、お洒落のセンスも、実はN君でさえ、色々悩んでいたことは、付き合っていた頃から見抜いていた。
N君自体も虚像だった。
でも、僕は黙っていた。
彼を傷つけたくなかったから。
考えてみれば、新宿二丁目自体が虚像の集まりだったような気がする。
当時流行っていたJブランドを身に纏い、つんとした感じの男が一定数いた。
当時は丸井の赤いカードで月賦払いが流行っていた頃である。
みんな身の丈に合った生活をしていなかった気がする。
大体、周りから「ビューティフルグループ」なんて持ち上げられて、いい気になってる連中、それも20代の若い連中だ。
虚栄を張っているだけの集団だった。
N君は、その中に必死でしがみついていた感じだった。
今考えれば、あほらしいほどバカバカしいと思う。
ゲイの嫌なところを曝け出しているようなバカ集団だったと思う。
ユニクロやGUで、自分に合った服を選ぶ今の若者の方が、よほど健全だ。
この時も僕は、自分と言うものを持っていなかった。
21歳と言う若さだけで、他に着飾る必要なんて全くなかったのに、それが分からなかった。
まあ、でもこれは、誰でもそうで、もう少し歳を取ってから分かることなのかもしれない。
若さ自体が最大の武器であると言うことを。
それにしても、本当に僕は自主性、主体性がなかった。
自分に自信を持てないのも、度が過ぎればマイナスになる。
もう少し自分と言うものを持ってたら、N君との付き合いも違うものになっていただろうと後悔している。
N君、23歳。
背は僕と同じくらいだった。
N君も美容師をしていて、お洒落でカッコよかった。
でも、僕が一番戸惑ったのは、彼が当時、ゲイ友Kたちの間で「ビューティフルグループ」と呼ばれていた、皆、それなりに男前で、お洒落で華やかな集団の一人だったことだ。
彼と付き合うようになって、否が応でも、その集団の中に僕も入らざるを得なかった。
当然、僕は、そんなお洒落でもないし、裕福でもないし、誰が見ても浮いた存在だったと思う。
N君自体は、そんなこと気にしていないようだったけど、僕の方が気を遣った。
「ビューティフルグループ」の面々と食事をする時は、入ったこともないようなお洒落なイタリアンレストランだったり、僕にとっては別世界だった。
彼と会う時は、自分の服装にも気を遣わなきゃいけなかったり、とにかく大変だったけど、彼のことは好きだったし、可愛がってくれたので、ゲイ友のKとも相談しながらKの服を借りて行ったり、なんとか3か月くらいは続いた。
僕が大学の長期休暇に入るので、1か月くらい会えないけど、待っててくれる?と聞いたらN君は「待ってる」と答えてくれた。
だけど、現実には待っててくれなかった。
お別れの言葉もなしに、自然とN君との付き合いは終わった。
やはり、N君にとって、個人的に僕のことは気に入っていても、服装もダサいし、見た目華やかでもない僕は重荷だったのかなと当時は思った。
でも当時の僕でも、「ビューティフルグループ」の虚像は見抜いていた。
N君は周りに合わせてお洒落にしていたけれど、そんなに裕福ではなかった。
美容師さんの給料が、そんなにいい訳でもない(当時)ことは僕も知っていたし、お洒落のセンスも、実はN君でさえ、色々悩んでいたことは、付き合っていた頃から見抜いていた。
N君自体も虚像だった。
でも、僕は黙っていた。
彼を傷つけたくなかったから。
考えてみれば、新宿二丁目自体が虚像の集まりだったような気がする。
当時流行っていたJブランドを身に纏い、つんとした感じの男が一定数いた。
当時は丸井の赤いカードで月賦払いが流行っていた頃である。
みんな身の丈に合った生活をしていなかった気がする。
大体、周りから「ビューティフルグループ」なんて持ち上げられて、いい気になってる連中、それも20代の若い連中だ。
虚栄を張っているだけの集団だった。
N君は、その中に必死でしがみついていた感じだった。
今考えれば、あほらしいほどバカバカしいと思う。
ゲイの嫌なところを曝け出しているようなバカ集団だったと思う。
ユニクロやGUで、自分に合った服を選ぶ今の若者の方が、よほど健全だ。
この時も僕は、自分と言うものを持っていなかった。
21歳と言う若さだけで、他に着飾る必要なんて全くなかったのに、それが分からなかった。
まあ、でもこれは、誰でもそうで、もう少し歳を取ってから分かることなのかもしれない。
若さ自体が最大の武器であると言うことを。
それにしても、本当に僕は自主性、主体性がなかった。
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