後悔 「あるゲイの回想」短編集

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第3話 「友達」

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地方から上京し、東京の大学に通い始めた僕には、同じ東京に高校時代からの友達が2人いた。
2人とも大学は違ったが同郷なので、よく会って話をしていた。
2人ともゲイだった。
僕は自分がゲイであることを最初は隠していたが、2人は僕に自分がゲイであることを告白していた。
僕も高校2年の時に2人に自分もゲイであることを告白した。

この2人は高校時代から曰くつきの2人で、中学時代は僕と違う学校だったので知らなかったが高校が同じになり、2人の間に僕が入った形になった。
2人は仲が良さそうで悪かった。
2人とも僕はタイプじゃなかったし、相手もタイプじゃなかったみたいで、3人とも友達の関係だった。

ただ、2人と僕の決定的な違いは、2人はゲイであることをオープンにしていたので(大声で宣言していた訳じゃないので、知っている人は知っていると言う感じ)、高校内で男の取り合いをしたりもしていた。
僕は普通通りを装っていたので、テニス部の彼に片思いはしていたが、思わせぶりな行動など、性格的にも無理だったし、そんなキャラでもなかった。
ただ、2人とも僕から言わせれば、似たり寄ったりだった。

2人は確かに可愛いタイプだった。
内向的な、どこにでもいるようなタイプの僕とは、まるで違っていた。
僕は内向的なだけでなく、主体性もなかった。
2人が言うことに、ほぼ従っていると言った感じだった。
2人は好きな男の取り合いだけでなく、友達としての僕の取り合いまでしていた。

それだけでなく、2人とも意地悪だった。
僕が片思いをしている彼にも、僕に見せつけるように、モーションをかけたりした。
彼もふざけて、2人と接近するようなことまであった。
あくまでもふざけて、だが。
もう少し僕が積極的だったら、もう少し僕が上手く立ち回れたら、とも思うが、人の性格は、そんなに簡単に変えられるものではない。
特に自分が変わるのは難しい。
2人と笑顔で遊ぶ彼を見ながら、僕は何もできなかっただけでなく、そんな意地の悪い2人に振り回されても、怒ることもできなかった。

大学に入り、友達の一人は一緒に上京した。もう一人の友達は入試で上手くいかず地元で浪人生となり予備校に通っていた。
だから最初の2年間は2人の友達の一人M君との付き合いだけだった。
この時は2人のゲイの友達M君とK君は完全に絶交していた。
でも大学生になり、なぜこの2人が僕を取り合ったのか、何となく分かるようになった。
2人は、自分たちより容姿の劣る(人によって見方が違うことを、この段階では理解できていなかった)僕を引き立て役にしたかっただけだと。

K君は1年遅れで大学に入学したが、1年次だけキャンパスが東京以外の場所だったため、2年間はM君と友達としての交流は続けていた。
僕も大学が違うので、高校の時のような露骨な意地悪をされることはなかった。
僕も大嫌いだった高校時代の自分を大学時代の東京で変えたかった。

大学3年20歳の時、K君が上京し、僕とコンタクトを取るようになると、自然とM君は僕から離れていった。
このK君は、これから先の僕の人生に、およそ悪い意味で関わることになる。

僕は友達としてM君、K君を拒否できなかったことを後悔している。
これは2人が悪いのではなく、僕の主体性のなさ、嫌なことも我慢してしまう性格が招いたことだと思っている。
友達なんて、自分で好きに選べるんだから。
でも、本当に自分の性格を変えることは難しい。
特にK君を突き放せなかったことは、間違いなく僕の人生最大の後悔だ。
自業自得だけど。
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