上 下
51 / 87

SuperHero準「乳首が感じるSuperHero物語」 第51話

しおりを挟む
西山は

「伊川隊長!」

と思わず口にしたが、胸が張り裂けそうだった。

「やっぱり弘二、隼人にやられたんだ。
いったい何されたんだ。
何しやがったんだ、隼人」

心の中で、西山は隼人を恨んだ。

伊川の突然の告白に幹部たちも動揺していた。

「伊川隊長、マッチョ星人に襲われて大丈夫なのか?」

「今は大丈夫であります。
でも卑怯にも私は逃げてしまいました。
西山隊員に罪はありません。
私が護衛にと引っ張っていったのです」

「嘘だ!弘二!」

西山は思わず幹部の前で伊川弘二の名を呼び捨てで呼んでしまった。

「黙れ!西山!」

しかし、伊川の方がドスが効いた大声を出したため、西山の失言を気にする幹部はいなかった。

「卑怯にも逃げ出した処分は甘んじて受けますので、よろしくお願いいたします。
くれぐれも、西山には非はありませんのでご配慮お願いいたします」

幹部たちはひそひそ話し合っていた。

{今日はこのくらいにしておいたほうが}

{そうですね、詳細はまた後日}

{いやいや、伊川隊長が襲われたとなれば、父親の伊川秀彦議員が黙っていないでしょう。
この件は伏せた方が・・・}

『とにかく二人とも今日は帰りなさい。車を用意しよう』

と言って、部屋をそそくさと出ていった。

残された伊川と西山。

「西山、家に帰れ」

「弘二、今夜一緒に居ちゃダメ?」

「帰れ!帰れと言ってるだろ!」

伊川は大声で怒鳴った。
西山の目から涙がぼろぼろこぼれ落ちた。

「お前にこんな姿見られたくないんだ。帰ってくれ」

土下座して咽び泣く伊川の背中を見ながら、西山は涙を拭いて部屋を出た。

西山は用意された車を断って、地球防衛軍本部の裏口から出た。
誰かガタイのいい男が立っている。

「君は確か・・・」

「飯田高原でお会いした青木小太郎であります」

と西山に礼をした。

「めでたく地球防衛軍に入隊することが出来ました。
今訓練生として勤務しております」

「そうか、おめでとう。悪いな、今日はちょっと」

西山がガクンと倒れそうになった瞬間、小太郎がガッっと西山の体を支えた。

「西山先輩、大丈夫でありますか?
家まで車でお送りいたします」

と、この瞬間を待っていたかのように、すぐ傍に停車してあった小太郎の車の助手席に西山を乗せ、シートベルトを掛けてあげる小太郎。
その時小太郎の手が西山の胸に当たった。

(西山先輩の胸!乳首はどこだ)

「ありがとう、自分でできるよ」

と西山に言われ、手を離す小太郎。
心の中で

(惜しかったー)

と口惜しがる小太郎。
小太郎が運転席に座ると西山が

「すまんな、俺の家は・・・」

「西山先輩、知っております。出発いたします」

小太郎が車を運転している間、西山は涙を浮かべながら、じっと目を閉じていた。
小太郎は心の中で

「西山さん、やっぱエロ!今日襲うか?」

と妄想していた。


その頃伊川は用意された車で送ってもらい、マンションの部屋に帰っていた。
ケータイが鳴り、

「はい」

と出てみると、母親の声

「弘二、大丈夫?」

「はい、大丈夫です。今日はすみません、一人にしてください。
またお礼に伺います」

と言って電話を切った。
どっと疲れたようにソファに座る伊川。
やるせなさと切なさでいっぱいだった。


冥王星の隼人は、謹慎は解けたものの、すぐ地球にいくことは憚れた。
カーキ星人が

{もう少しの辛抱でございます、隼人様}

と忠告した。

「ふむ、来月あたりに地球に行って、西山をおびき出そう」
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

後悔 「あるゲイの回想」短編集

ryuuza
BL
僕はゲイです。今までの男たちとの数々の出会いの中、あの時こうしていれば、ああしていればと後悔した経験が沢山あります。そんな1シーンを集めてみました。殆どノンフィクションです。ゲイ男性向けですが、ゲイに興味のある女性も大歓迎です。基本1話完結で短編として読めますが、1話から順に読んでいただくと、より話の内容が分かるかもしれません。

マッチョ兄貴調教

Shin Shinkawa
BL
ジムでよく会うガタイのいい兄貴をメス堕ちさせて調教していく話です。

ママと中学生の僕

キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。

性的イジメ

ポコたん
BL
この小説は性行為・同性愛・SM・イジメ的要素が含まれます。理解のある方のみこの先にお進みください。 作品説明:いじめの性的部分を取り上げて現代風にアレンジして作成。 全二話 毎週日曜日正午にUPされます。

水球部顧問の体育教師

熊次郎
BL
スポーツで有名な公明学園高等部。新人体育教師の谷口健太は水球部の顧問だ。水球部の生徒と先輩教師の間で、谷口は違う顔を見せる。

膀胱を虐められる男の子の話

煬帝
BL
常におしがま膀胱プレイ 男に監禁されアブノーマルなプレイにどんどんハマっていってしまうノーマルゲイの男の子の話 膀胱責め.尿道責め.おしっこ我慢.調教.SM.拘束.お仕置き.主従.首輪.軟禁(監禁含む)

女体化入浴剤

シソ
ファンタジー
康太は大学の帰りにドラッグストアに寄って、女体化入浴剤というものを見つけた。使ってみると最初は変化はなかったが…

消防士の義兄との秘密

熊次郎
BL
翔は5歳年上の義兄の大輔と急接近する。憧れの気持ちが欲望に塗れていく。たくらみが膨れ上がる。

処理中です...