14 / 17
第14話 製塩
しおりを挟む
ガルドとの話で少量だが製塩してみようという話になった。
使うのは塩と鍋だ。
鍋の数も今四個あって二つはバッダグに渡してあるので、手元にも二つある。
昼間の空いている時間に作業する。
昼飯はあまり食べないが、子どもたちにはジャーキーや未発酵パンを食べさせている。
ゴブリンの子どもは大食漢ですくすく成長するのだ。
岩塩を綺麗な湧水に溶かしていき限界まで入れる。
それを一度、器に移していき、底に溜まった砂を捨てる。
「よし、いい感じだ」
「ぱぱ、製塩してる?」
「そそ。この前話したやつな。塩を作ってるんだ」
塩水を沸騰させて、結晶化させれば、ほぼ完成となる。
ポイントは一度、砂を捨てるところだろうか。
それで最後に残った水分が「にがり」となる。
岩塩があれば、どこでも誰でもできそうなものだが、知識がないとできないといえばそうかもしれない。
それから鍋を煮るだけの火も必要だ。
ここは森があるので、薪はいくらでもある。
ゴブリンは枝を拾って来るのは、手が長くて無駄に上手だ。
「よしできた。後は革袋に移して終わりっと」
綺麗な塩を革袋につめて完成だ。
袋はオオカミをなめしたもので、革の服も余り気味になっている。
ゴブリンは替えの服とかいう概念がないので、一巡したら余ってしまう。
「上出来だな」
ガルドに岩塩と一緒に持たせる。
「ということで試作した製塩した塩だ」
「いいですね。売ってみましょう」
一粒つまんで口に入れて、しょっぱいという顔をする。
そりゃしょっぱいだろうが。
シャーリア村の人は岩塩が豊富に使えるようになってニコニコだった。
ガルドがデデム町の冒険者ギルドに商品を降ろす。
「岩塩、精製した食塩、ジャーキー、スパイダーシルク、宝石各種、牙のアクセサリーですかね」
「そうですね」
ギルド嬢を見ると目が呆れている。
「こんなに商品を持ってくる人、あなただけですよ」
「でしょうね。ちょっと伝手がありまして。私はタダの行商にすぎません」
「はい、金貨です」
「まいど、どうも」
「ところでガルドさん。その……それだけの商品を出してくださる村の村長にお会いしたいと、マーベルス侯爵がおっしゃっていて」
「あぁ、いいのかな、わかった。連れてくる」
侯爵クラスの貴族の「お願い」というのは事実上の命令に等しい。
ただの冒険者の判断で拒否していいことではないことくらいガルドも承知していた。
「ただ、ここだけの秘密なのだが、彼らはゴブリンでして」
「野生のゴブリンなのか?」
「はい」
「ほほう。ますます興味深いですね」
「ゴブリンの長を連れてきますとお伝えください」
「ゴブリンねぇ」
さてどうしたものかと考えながら、頼まれたものを買い込んだガルドがゴブリン村へと戻っていく。
ルフガル洞窟にガルドが再び戻ってきた。
そのころ、また新たに西のゴブリン村を同じように脅迫して同盟を結んでいた。
まだ人員の入れ替えなどはしていないが、予備の鎧や槍などを提供して、ゴブリンが行きかっていた。
それから他の村でもジャガイモ畑を作ることになり、いませっせと耕している。
三つの洞窟の総人口は百人といったところだろうか。
すでに小さな人間の村と同規模くらいにはなっていたのだ。
「ドル、厄介事だ」
「なんだ、ガルド?」
「マーベルス侯爵が、リーダーに会いたいとご要望だ」
「え、俺?」
「だろう」
「まあ、そう言われればそうだが」
「おとなしく、ついてきてもらうぞ」
「いっそ、ガルドの奴隷にでも擬態していようか」
「やめてくれ」
「いうと思った」
さて冗談を交わしたので、今度は真面目な話をしなければならない。
「土産に製塩、宝石、それから魔石を出すか。オークの魔石がいいな。オークを倒せると言えば強さを証明できる。まぁ昔の実績で嘘くさいが、嘘は言っていない」
「あはは、まあそれくらいの見栄は張るよな」
「だろ」
皮鎧を着て、手には単槍を左手には火魔法の棒を装備する。
ゴブリンにしては重装備に見えるだろう。
結局、土産にスパイダーシルクも増やしておく。
シルクスパイダーにまた肉を差し出したところ、またおさがりのグルグル巻きをくれたので有難く使わせてもらう。
宝石はあまりなかったので、総出でメルセ川へ探しにいく。
一日の作業で数個、ルビー、サファイアなどが発見された。
実を言うとどこかに金鉱脈もあるようで、砂金もちょいちょい採れる。
「よし、では行ってくる」
「いってらっしゃい~、ぱぱぁ」
「いい子にしてるんだぞ」
「はーい」
グレアの頭を撫でて、機嫌をとっておく。
「リーリア、留守を頼む」
「はい」
「ばあちゃん、頼んだよ」
「あいよ」
リーリアとベリアがいればまあ大丈夫だろう。
使うのは塩と鍋だ。
鍋の数も今四個あって二つはバッダグに渡してあるので、手元にも二つある。
昼間の空いている時間に作業する。
昼飯はあまり食べないが、子どもたちにはジャーキーや未発酵パンを食べさせている。
ゴブリンの子どもは大食漢ですくすく成長するのだ。
岩塩を綺麗な湧水に溶かしていき限界まで入れる。
それを一度、器に移していき、底に溜まった砂を捨てる。
「よし、いい感じだ」
「ぱぱ、製塩してる?」
「そそ。この前話したやつな。塩を作ってるんだ」
塩水を沸騰させて、結晶化させれば、ほぼ完成となる。
ポイントは一度、砂を捨てるところだろうか。
それで最後に残った水分が「にがり」となる。
岩塩があれば、どこでも誰でもできそうなものだが、知識がないとできないといえばそうかもしれない。
それから鍋を煮るだけの火も必要だ。
ここは森があるので、薪はいくらでもある。
ゴブリンは枝を拾って来るのは、手が長くて無駄に上手だ。
「よしできた。後は革袋に移して終わりっと」
綺麗な塩を革袋につめて完成だ。
袋はオオカミをなめしたもので、革の服も余り気味になっている。
ゴブリンは替えの服とかいう概念がないので、一巡したら余ってしまう。
「上出来だな」
ガルドに岩塩と一緒に持たせる。
「ということで試作した製塩した塩だ」
「いいですね。売ってみましょう」
一粒つまんで口に入れて、しょっぱいという顔をする。
そりゃしょっぱいだろうが。
シャーリア村の人は岩塩が豊富に使えるようになってニコニコだった。
ガルドがデデム町の冒険者ギルドに商品を降ろす。
「岩塩、精製した食塩、ジャーキー、スパイダーシルク、宝石各種、牙のアクセサリーですかね」
「そうですね」
ギルド嬢を見ると目が呆れている。
「こんなに商品を持ってくる人、あなただけですよ」
「でしょうね。ちょっと伝手がありまして。私はタダの行商にすぎません」
「はい、金貨です」
「まいど、どうも」
「ところでガルドさん。その……それだけの商品を出してくださる村の村長にお会いしたいと、マーベルス侯爵がおっしゃっていて」
「あぁ、いいのかな、わかった。連れてくる」
侯爵クラスの貴族の「お願い」というのは事実上の命令に等しい。
ただの冒険者の判断で拒否していいことではないことくらいガルドも承知していた。
「ただ、ここだけの秘密なのだが、彼らはゴブリンでして」
「野生のゴブリンなのか?」
「はい」
「ほほう。ますます興味深いですね」
「ゴブリンの長を連れてきますとお伝えください」
「ゴブリンねぇ」
さてどうしたものかと考えながら、頼まれたものを買い込んだガルドがゴブリン村へと戻っていく。
ルフガル洞窟にガルドが再び戻ってきた。
そのころ、また新たに西のゴブリン村を同じように脅迫して同盟を結んでいた。
まだ人員の入れ替えなどはしていないが、予備の鎧や槍などを提供して、ゴブリンが行きかっていた。
それから他の村でもジャガイモ畑を作ることになり、いませっせと耕している。
三つの洞窟の総人口は百人といったところだろうか。
すでに小さな人間の村と同規模くらいにはなっていたのだ。
「ドル、厄介事だ」
「なんだ、ガルド?」
「マーベルス侯爵が、リーダーに会いたいとご要望だ」
「え、俺?」
「だろう」
「まあ、そう言われればそうだが」
「おとなしく、ついてきてもらうぞ」
「いっそ、ガルドの奴隷にでも擬態していようか」
「やめてくれ」
「いうと思った」
さて冗談を交わしたので、今度は真面目な話をしなければならない。
「土産に製塩、宝石、それから魔石を出すか。オークの魔石がいいな。オークを倒せると言えば強さを証明できる。まぁ昔の実績で嘘くさいが、嘘は言っていない」
「あはは、まあそれくらいの見栄は張るよな」
「だろ」
皮鎧を着て、手には単槍を左手には火魔法の棒を装備する。
ゴブリンにしては重装備に見えるだろう。
結局、土産にスパイダーシルクも増やしておく。
シルクスパイダーにまた肉を差し出したところ、またおさがりのグルグル巻きをくれたので有難く使わせてもらう。
宝石はあまりなかったので、総出でメルセ川へ探しにいく。
一日の作業で数個、ルビー、サファイアなどが発見された。
実を言うとどこかに金鉱脈もあるようで、砂金もちょいちょい採れる。
「よし、では行ってくる」
「いってらっしゃい~、ぱぱぁ」
「いい子にしてるんだぞ」
「はーい」
グレアの頭を撫でて、機嫌をとっておく。
「リーリア、留守を頼む」
「はい」
「ばあちゃん、頼んだよ」
「あいよ」
リーリアとベリアがいればまあ大丈夫だろう。
10
お気に入りに追加
16
あなたにおすすめの小説
勇者召喚に巻き込まれ、異世界転移・貰えたスキルも鑑定だけ・・・・だけど、何かあるはず!
よっしぃ
ファンタジー
9月11日、12日、ファンタジー部門2位達成中です!
僕はもうすぐ25歳になる常山 順平 24歳。
つねやま じゅんぺいと読む。
何処にでもいる普通のサラリーマン。
仕事帰りの電車で、吊革に捕まりうつらうつらしていると・・・・
突然気分が悪くなり、倒れそうになる。
周りを見ると、周りの人々もどんどん倒れている。明らかな異常事態。
何が起こったか分からないまま、気を失う。
気が付けば電車ではなく、どこかの建物。
周りにも人が倒れている。
僕と同じようなリーマンから、数人の女子高生や男子学生、仕事帰りの若い女性や、定年近いおっさんとか。
気が付けば誰かがしゃべってる。
どうやらよくある勇者召喚とやらが行われ、たまたま僕は異世界転移に巻き込まれたようだ。
そして・・・・帰るには、魔王を倒してもらう必要がある・・・・と。
想定外の人数がやって来たらしく、渡すギフト・・・・スキルらしいけど、それも数が限られていて、勇者として召喚した人以外、つまり巻き込まれて転移したその他大勢は、1人1つのギフト?スキルを。あとは支度金と装備一式を渡されるらしい。
どうしても無理な人は、戻ってきたら面倒を見ると。
一方的だが、日本に戻るには、勇者が魔王を倒すしかなく、それを待つのもよし、自ら勇者に協力するもよし・・・・
ですが、ここで問題が。
スキルやギフトにはそれぞれランク、格、強さがバラバラで・・・・
より良いスキルは早い者勝ち。
我も我もと群がる人々。
そんな中突き飛ばされて倒れる1人の女性が。
僕はその女性を助け・・・同じように突き飛ばされ、またもや気を失う。
気が付けば2人だけになっていて・・・・
スキルも2つしか残っていない。
一つは鑑定。
もう一つは家事全般。
両方とも微妙だ・・・・
彼女の名は才村 友郁
さいむら ゆか。 23歳。
今年社会人になりたて。
取り残された2人が、すったもんだで生き残り、最終的には成り上がるお話。
元剣聖のスケルトンが追放された最弱美少女テイマーのテイムモンスターになって成り上がる
ゆる弥
ファンタジー
転生した体はなんと骨だった。
モンスターに転生してしまった俺は、たまたま助けたテイマーにテイムされる。
実は前世が剣聖の俺。
剣を持てば最強だ。
最弱テイマーにテイムされた最強のスケルトンとの成り上がり物語。
『収納』は異世界最強です 正直すまんかったと思ってる
農民ヤズ―
ファンタジー
「ようこそおいでくださいました。勇者さま」
そんな言葉から始まった異世界召喚。
呼び出された他の勇者は複数の<スキル>を持っているはずなのに俺は収納スキル一つだけ!?
そんなふざけた事になったうえ俺たちを呼び出した国はなんだか色々とヤバそう!
このままじゃ俺は殺されてしまう。そうなる前にこの国から逃げ出さないといけない。
勇者なら全員が使える収納スキルのみしか使うことのできない勇者の出来損ないと呼ばれた男が収納スキルで無双して世界を旅する物語(予定
私のメンタルは金魚掬いのポイと同じ脆さなので感想を送っていただける際は語調が強くないと嬉しく思います。
ただそれでも初心者故、度々間違えることがあるとは思いますので感想にて教えていただけるとありがたいです。
他にも今後の進展や投稿済みの箇所でこうしたほうがいいと思われた方がいらっしゃったら感想にて待ってます。
なお、書籍化に伴い内容の齟齬がありますがご了承ください。
アーティファクトコレクター -異世界と転生とお宝と-
一星
ファンタジー
至って普通のサラリーマン、松平善は車に跳ねられ死んでしまう。気が付くとそこはダンジョンの中。しかも体は子供になっている!? スキル? ステータス? なんだそれ。ゲームの様な仕組みがある異世界で生き返ったは良いが、こんな状況むごいよ神様。
ダンジョン攻略をしたり、ゴブリンたちを支配したり、戦争に参加したり、鳩を愛でたりする物語です。
基本ゆったり進行で話が進みます。
四章後半ごろから主人公無双が多くなり、その後は人間では最強になります。
転生先は石ころのようです――え!?――
ルリカリ
ファンタジー
ある日
超絶よくあるトラックに引かれ死亡した
レンカ、そして期待の!異世界転生!とウキウキ気分でいたつかの間、転生先は!転がってた石!?
鬼神転生記~勇者として異世界転移したのに、呆気なく死にました。~
月見酒
ファンタジー
高校に入ってから距離を置いていた幼馴染4人と3年ぶりに下校することになった主人公、朝霧和也たち5人は、突然異世界へと転移してしまった。
目が覚め、目の前に立つ王女が泣きながら頼み込んできた。
「どうか、この世界を救ってください、勇者様!」
突然のことに混乱するなか、正義感の強い和也の幼馴染4人は勇者として魔王を倒すことに。
和也も言い返せないまま、勇者として頑張ることに。
訓練でゴブリン討伐していた勇者たちだったがアクシデントが起き幼馴染をかばった和也は命を落としてしまう。
「俺の人生も……これで終わり……か。せめて……エルフとダークエルフに会ってみたかったな……」
だが気がつけば、和也は転生していた。元いた世界で大人気だったゲームのアバターの姿で!?
================================================
一巻発売中です。
英雄召喚〜帝国貴族の異世界統一戦記〜
駄作ハル
ファンタジー
異世界の大貴族レオ=ウィルフリードとして転生した平凡サラリーマン。
しかし、待っていたのは平和な日常などではなかった。急速な領土拡大を目論む帝国の貴族としての日々は、戦いの連続であった───
そんなレオに与えられたスキル『英雄召喚』。それは現世で英雄と呼ばれる人々を呼び出す能力。『鬼の副長』土方歳三、『臥龍』所轄孔明、『空の魔王』ハンス=ウルリッヒ・ルーデル、『革命の申し子』ナポレオン・ボナパルト、『万能人』レオナルド・ダ・ヴィンチ。
前世からの知識と英雄たちの逸話にまつわる能力を使い、大切な人を守るべく争いにまみれた異世界に平和をもたらす為の戦いが幕を開ける!
完結まで毎日投稿!
孤高の英雄は温もりを求め転生する
モモンガ
ファンタジー
『温もりが欲しい』
それが死ぬ間際に自然とこぼれ落ちた願いだった…。
そんな願いが通じたのか、彼は転生する。
意識が覚醒すると体中がポカポカと毛布のような物に包まれ…時々顔をザラザラとした物に撫でられる。
周りを確認しようと酷く重い目蓋を上げると、目の前には大きな猫がいた。
俺はどうやら猫に転生したみたいだ…。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる