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26 王様と食事会をする
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王様と食事会をした。
いや、ね、俺もいきなりだと思うよ。
でもほら「マルバード1623」「エッセンシャイン1640」の二つが時間経過のない特製のアイテムボックスで保管されてるのが少量ありますが飲みますか、って質問状出したら、すぐに王宮で食事会をするから一緒に食べようと手紙が戻ってきたのだ。
ちなみに俺の名前は不老の変人として王様にも一応認知される程度には知られている存在だった。
王様は国のことは何でもお見通しなのだ。
もう一つちなみに、メイド服を流行らせたのも俺だって知っているそうだ。
今では王宮でもこのメイド服は採用されている。メルベーレ王国の貴族の女性使用人といえばメイドさんだ。
ドレスコードやテーブルマナーが嫌だと言っていたテリアだったが、王様がだいたいできていればいいと寛容だったので、しぶしぶ一緒についてくることになった。
テリアもワインは飲みたいらしい。
王宮のお忍び用の馬車が『マルスのお昼寝時』に到着した。
俺たちを乗せて、ドナドナしていく。
その馬車は一目見て高級品でサスペンションとかの構造が一般的なものと違う。
見た目はシンプルだが知識人にはバレバレだろうこれ。
「ではお願いします」
御者さんに挨拶をして王都内を走る。
なんだかタクシーというよりハイヤーにでも乗った気分だ。
異世界人のテリアには説明しがたいが。
夕方の王都の中を馬車が駆けていく。
建物の横をどんどん通過して、この前観光で見た王宮の正面の門を通過して入っていく。
中も広い。
建物の前には車寄せがあり、そこへ馬車が滑り込んでいく。
「ようこそいらっしゃいました」
執事服の人が俺たちを迎え入れる。
そしてたくさんいるメイドさんたちが一斉に頭を下げる。
なんだか圧巻だ。
どの子も美少女ばかりでそれからプロポーションも抜群な子たちばかりだ。
ミニスカートとガータベルトから覗く生の太ももがまぶしい。
その壮絶なお迎えを受けて中へと進む。
一番大きな謁見室ではなく、横の会議室のような部屋へと通された。
「ようこそ」
そこにはすでに王様、妃様、それから二人の姫様がお待ちかねであった。
ちなみに王子様は今、南方へ行っていて留守だそうだ。
「北の方では、いただきます、というそうだな」
「ええ、よくご存じで」
俺たちの習慣までご存じらしい。
誰か情報を話したな、これは。
俺が情報を集めているので、情報屋には知り合いが多い。
その中の誰かだろう。まあ口止めはしていないので問題はないが、なんだか知られていると思うと、迂闊な発言はできない。
「ワイバーンのステーキでございます」
おぉぉお噂に聞くワイバーンのステーキか。
山の方に行くとワイバーンの巣がある。
ベテランのAランクパーティーとかがたまに狩ってきてこうやって卸していくのだ。
いい稼ぎになると言う話だった。
彼らはいい馬もあるし、大きな荷物が入るマジックバッグも所有している。
「美味しい!」
「美味しいわ」
俺もテリアも、旨味たっぷり、それでいて柔らかい。
いい肉だ。これは美味しい。
「そしてこのマルバード1623」
「はい」
赤ワインのビンテージが見事にマッチする。
いい肉にいいワイン。素晴らしい組み合わせだ。
「続いてシーサーペントの唐揚げです」
「おぉおぉ、なんと」
サーペントはヘビに近いが分類としては亜竜だ。
ここ王都メルリードの高級食材だ。
かなりの難敵だという話だが、しつこくない淡白な肉質の唐揚げはジューシーで美味しかった。
ベテランの漁師がチームで捕獲してくる。
難易度としては捕鯨に近いという。
なんでもあのミサイルみたいなものに近い魔道具を射出して仕留めるという。
サラダも山盛り新鮮野菜だった。
コンソメスープは透き通っているけれど旨味があり、とても上品だ。
「食後にはエッセンシャイン1640をどうぞ」
「うむ、素晴らしい香り。これほど状態がいいのははじめて飲むな」
「大切に保管しておりました」
そうそう、この白ワインは数年寝かせるくらいがちょうどいい。
寿命が短いので、普通ならもう飲めないのだ。
「素晴らしい食事会だった。わが友、アラン・グリフィン・スコット」
「はっはい」
「たしか、その顔で九十過ぎだったな。達者で暮らせよ」
「ええ、いつまで生きてるかはちょっと分かりません」
「そうか」
俺だって自分の寿命が分からないんだよな。
ワインはちょっとずつ飲むしかあるまい。
王様は案外気さくで話しやすかった。
まあ不老長寿の俺は目立つから知ってるのは当然だったらしい。
こういう交友も悪くはないな。
いや、ね、俺もいきなりだと思うよ。
でもほら「マルバード1623」「エッセンシャイン1640」の二つが時間経過のない特製のアイテムボックスで保管されてるのが少量ありますが飲みますか、って質問状出したら、すぐに王宮で食事会をするから一緒に食べようと手紙が戻ってきたのだ。
ちなみに俺の名前は不老の変人として王様にも一応認知される程度には知られている存在だった。
王様は国のことは何でもお見通しなのだ。
もう一つちなみに、メイド服を流行らせたのも俺だって知っているそうだ。
今では王宮でもこのメイド服は採用されている。メルベーレ王国の貴族の女性使用人といえばメイドさんだ。
ドレスコードやテーブルマナーが嫌だと言っていたテリアだったが、王様がだいたいできていればいいと寛容だったので、しぶしぶ一緒についてくることになった。
テリアもワインは飲みたいらしい。
王宮のお忍び用の馬車が『マルスのお昼寝時』に到着した。
俺たちを乗せて、ドナドナしていく。
その馬車は一目見て高級品でサスペンションとかの構造が一般的なものと違う。
見た目はシンプルだが知識人にはバレバレだろうこれ。
「ではお願いします」
御者さんに挨拶をして王都内を走る。
なんだかタクシーというよりハイヤーにでも乗った気分だ。
異世界人のテリアには説明しがたいが。
夕方の王都の中を馬車が駆けていく。
建物の横をどんどん通過して、この前観光で見た王宮の正面の門を通過して入っていく。
中も広い。
建物の前には車寄せがあり、そこへ馬車が滑り込んでいく。
「ようこそいらっしゃいました」
執事服の人が俺たちを迎え入れる。
そしてたくさんいるメイドさんたちが一斉に頭を下げる。
なんだか圧巻だ。
どの子も美少女ばかりでそれからプロポーションも抜群な子たちばかりだ。
ミニスカートとガータベルトから覗く生の太ももがまぶしい。
その壮絶なお迎えを受けて中へと進む。
一番大きな謁見室ではなく、横の会議室のような部屋へと通された。
「ようこそ」
そこにはすでに王様、妃様、それから二人の姫様がお待ちかねであった。
ちなみに王子様は今、南方へ行っていて留守だそうだ。
「北の方では、いただきます、というそうだな」
「ええ、よくご存じで」
俺たちの習慣までご存じらしい。
誰か情報を話したな、これは。
俺が情報を集めているので、情報屋には知り合いが多い。
その中の誰かだろう。まあ口止めはしていないので問題はないが、なんだか知られていると思うと、迂闊な発言はできない。
「ワイバーンのステーキでございます」
おぉぉお噂に聞くワイバーンのステーキか。
山の方に行くとワイバーンの巣がある。
ベテランのAランクパーティーとかがたまに狩ってきてこうやって卸していくのだ。
いい稼ぎになると言う話だった。
彼らはいい馬もあるし、大きな荷物が入るマジックバッグも所有している。
「美味しい!」
「美味しいわ」
俺もテリアも、旨味たっぷり、それでいて柔らかい。
いい肉だ。これは美味しい。
「そしてこのマルバード1623」
「はい」
赤ワインのビンテージが見事にマッチする。
いい肉にいいワイン。素晴らしい組み合わせだ。
「続いてシーサーペントの唐揚げです」
「おぉおぉ、なんと」
サーペントはヘビに近いが分類としては亜竜だ。
ここ王都メルリードの高級食材だ。
かなりの難敵だという話だが、しつこくない淡白な肉質の唐揚げはジューシーで美味しかった。
ベテランの漁師がチームで捕獲してくる。
難易度としては捕鯨に近いという。
なんでもあのミサイルみたいなものに近い魔道具を射出して仕留めるという。
サラダも山盛り新鮮野菜だった。
コンソメスープは透き通っているけれど旨味があり、とても上品だ。
「食後にはエッセンシャイン1640をどうぞ」
「うむ、素晴らしい香り。これほど状態がいいのははじめて飲むな」
「大切に保管しておりました」
そうそう、この白ワインは数年寝かせるくらいがちょうどいい。
寿命が短いので、普通ならもう飲めないのだ。
「素晴らしい食事会だった。わが友、アラン・グリフィン・スコット」
「はっはい」
「たしか、その顔で九十過ぎだったな。達者で暮らせよ」
「ええ、いつまで生きてるかはちょっと分かりません」
「そうか」
俺だって自分の寿命が分からないんだよな。
ワインはちょっとずつ飲むしかあるまい。
王様は案外気さくで話しやすかった。
まあ不老長寿の俺は目立つから知ってるのは当然だったらしい。
こういう交友も悪くはないな。
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