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67. 収穫祭

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 地球でいうところのハロウィンのような行事というのだろうか。
 日本にも収穫祭としては十一月に新嘗祭はある。
 仮装とかはしないけど、この国でも秋の終わりに「収穫祭」があるのだ。

「収穫祭だぞ~」
「収穫祭でーす~」
「収穫祭だにゃぁ~」
「収穫祭、だそうです」

 俺たち子どもが村の中で宣言して回る。

 このために父ちゃんは先日、狩りに出かけて大熊を仕留めてきた。

「お、収穫祭か。小さな村だけど何かあるのかい?」
「ええ、ちょっと熊鍋が出ますよ。もちろん無料です」
「おお、それはすごい。逆に町のほうが質素かもしれないね」
「食料は村のほうが色々収穫がありますもんね」

 ということで熊鍋に色々な野菜を入れ、この前の小麦団子も投入した。
 具沢山スープだ。

 味付けは味噌がいいんだけど、まだ熟成を待っている。
 野菜のコンソメ―スープだ。タマネギを大量に入れてある。

「あちあち」
「ふふふ、熱いからね、気をつけて食べて」
「はーい」

 アンダーソン騎士とジェシカなど、兵士のみなさんもお椀にがっついて食べていた。
 ドロシー、リズ、メアリアは隅っこの方に座って、もくもくとスープをすすっている。
 スプーンでお肉や野菜を掬っては口に放り込んで、もぐもぐと食べる。

 ジェシカが羽をパタパタとやって、よろこんでいた。

「ブラン、このお肉、ボリュームもあって美味しいね」
「でしょ、毎年、父ちゃんが頑張ってきちゃうからね」
「ふふふ。ブランも熊くらい倒せるようになったかな」
「さぁどうだかねぇ」

 肉たっぷりのスープは旨味がすごい。

「さぁえっささ~のさ~」

 一通り、スープを食べ終わると、女性陣が歌い出す。
 それにあわせて男性陣が立ち上がり、広場の中心に集まってくる。

「さぁそーれー」

 なんかよくわからない踊りを踊り出す。
 民族風でもあって、どこか懐かしい感じの変わった歌と踊りだ。
 これがこの国の収穫祭なのだそうだ。
 国中で同じみたいで、兵士の人たちも何人か混ざって踊っている。

 祠には熊肉スープの他、野菜などをお供えしてあった。
 神様の行事なので、こういうところは怠らない。

 一曲終わると、男女が入れ替わって今度は男性陣が歌い、女性陣が躍る。
 それを何回か繰り返した。
 そして今度は何組かの男女が広場に残って、他の人は歌うために隅による。
 なるほどカップルの曲なのか。

「ひゅーひゅー」

 冷やかしの合いの手も頂戴して、盛り上がった。
 そして子供たちが歌う番になった。

「んじゃ、せーの」
「明るい明日~天気は晴れ~毎日いい天気~」

 俺たちが歌って、みんなが躍る。
 女の子たちはみんな歌が上手いからかなり盛り上がった。

 熊肉はたくさんある。
 焚火があって、その周りで欲しい人に肉串を配って自分で焼く。
 塩を振ってみんな食べていた。

「んまい」
「だろ、あはは」

 父ちゃんは今日の立役者なので、なかなかに機嫌がよかった。
 お肉は相当量が残りそうだったが、冬支度として乾燥させてジャーキーにするのだ。
 この収穫祭が過ぎれば、すぐに寒くなり本格的な冬になる。

 ちゃくちゃくと冬の足音が近づいていた。

■■■■■■■■■■■■
この話が現在、執筆済みの最新話です。
ここまでお読みくださりありがとうございました。
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みんなの感想(7件)

アダムスキー

こういう地道な知識チートが読みたかった❗
一気に大きな商会とか貴族の後ろ楯で王都に行ったりってのが多いから
故郷に留まりつつってのが良き・・・

解除
ひとみ
2024.10.11 ひとみ

冬は蜂蜜飴がお勧めですよ。
喉に良いハーブ🌿薬草入りも良いかもよ。

解除
ひとみ
2024.10.05 ひとみ

サツマイモ🍠の葉や茎を義母さんが好きで食べていた事を思い出し懐かしく……

解除

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