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47. 小麦
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よく「知らない天井だ」っていうけどね。
この世界というか、地球でも近代までは二階とかない場合「天井がない」というのがスタンダードだったんですよ。
うちも平屋で当然天井はついていない。屋根裏と部屋を分ける理由がないんだよね。
だから寝てて、上を見ると梁があるだけで、その上は屋根裏が見えている。
暖房で部屋だけ暖めるという考え方もなく、まあこの辺は暖かい地域というのもあるけど、とにかく暖房も囲炉裏とかなので。
煙が部屋に充満するくらいなら、天井がなくて屋根部分の通気口から煙が外に出たほうが、現実的でしょう。
天井はないし、ついでに言えば、窓ガラスもないので、窓は板だけで閉じると真っ暗になってしまう。
幸い明かりはあって、油のランプが普及しているので、夜は真っ暗にはならないかな。
あれからドロシーは兵士たちに「ドロシー様」と様呼ばわりされている。一目置かれる存在になっている。
毎日の訓練も気合いが入るってもんだ。
父ちゃんたち建築組は、五軒目を建て終わった後、本当の宿舎を建てている。
今の五軒目は設計が家用なので、多くの兵士が寝泊まりするのに向いていないし、執務室とかもないのだ。
ということで、この集落で一番豪華な宿舎を建設中だったりする。
宿舎が完成したら、五軒目から兵士は引っ越しして、五軒目のほうを新しい村人用にする予定になっていた。
秋になったので、ようやく小麦の収穫に入る。
小麦には、春蒔き小麦と秋蒔き小麦がある。
春蒔き小麦は春に植えて、秋に収穫する。
秋蒔き小麦は秋に植えてある程度成長してから冬を越して、春を過ぎて六月ごろに収穫するんだとか。
俺たちの畑は、春蒔き小麦を栽培している。一応、パン向きらしいが、その辺は薄焼きパンにしているので、あんまり関係ない。
小麦の裏作で菜種で油を取ってるのもある。
連作障害ってのも気になるには気になる。田んぼはずっと田んぼだけど、米は連作障害にならないらしい。
だから田んぼのイメージと、輪作で植える畑では、だいぶイメージも異なる。
「ささ、収穫しますよ」
「「「はーい」」」
ドロシーが兵士たちを従えて、麦畑で声を上げた。
兵士たちが麦畑の収穫を手伝ってくれるらしい。
採集用鎌とかもちゃんと持ってきている。準備がいい。
こうして早々に、麦の収穫が終わった。
収穫祭とはいかないけど、ちょっとした鍋パーティーをした。
新麦で作った薄焼きパンも振る舞われた。
あと、木琴とみんなの歌を、兵士一同の前で披露した。
「らららら~♪」
俺はひとり木琴だ。まだ声変わり前だから一緒に歌ってもいいんだけど、せっかく美少女天使合唱団みたいな女の子たちがいるから、まあメインは任せよう。
「ドロシー様、リズちゃん、メアリアちゃん、みんな可愛いよ」
「いい歌だった」
「こんな辺境で歌を聴けるなんてな、わはっはっ」
兵士一同にも好評だった。
「これは、町でやったら、おひねりがたくさんもらえるな」
「違いないなああ」
「天使ちゃんたちは可愛いなあ。うちの娘も仲間に入れてほしいくらいだ」
自分の娘を思ってか、ちょっと年嵩の一般兵のおじさんが涙ぐんでいた。
トハムン村では客引きと子供たちを集めるために使ったけど、そうかおひねりももらっておくんだった。
まあ貧乏村ではそうもいかないか。普段、旅芸人も吟遊詩人も来ないから、そういう文化がないんだよ、村には。
「ほう、なんだこれ面白いな」
「同じ歌をずらして歌うんだな」
新技。そういえば一部の歌は輪唱ができるな、と思い出したので、三人に順番に歌ってもらって、輪唱にしてみた。
三人しかいないので個人の技量も重要だ。でも三人ともびっくりするぐらい歌がうまいので、大丈夫。
今度はハモったりするのも、教えようと思う。あれはあれでかなりかっこいい。
この世界でそういう技があるとは思えないので、かなり受けると思う。
この世界というか、地球でも近代までは二階とかない場合「天井がない」というのがスタンダードだったんですよ。
うちも平屋で当然天井はついていない。屋根裏と部屋を分ける理由がないんだよね。
だから寝てて、上を見ると梁があるだけで、その上は屋根裏が見えている。
暖房で部屋だけ暖めるという考え方もなく、まあこの辺は暖かい地域というのもあるけど、とにかく暖房も囲炉裏とかなので。
煙が部屋に充満するくらいなら、天井がなくて屋根部分の通気口から煙が外に出たほうが、現実的でしょう。
天井はないし、ついでに言えば、窓ガラスもないので、窓は板だけで閉じると真っ暗になってしまう。
幸い明かりはあって、油のランプが普及しているので、夜は真っ暗にはならないかな。
あれからドロシーは兵士たちに「ドロシー様」と様呼ばわりされている。一目置かれる存在になっている。
毎日の訓練も気合いが入るってもんだ。
父ちゃんたち建築組は、五軒目を建て終わった後、本当の宿舎を建てている。
今の五軒目は設計が家用なので、多くの兵士が寝泊まりするのに向いていないし、執務室とかもないのだ。
ということで、この集落で一番豪華な宿舎を建設中だったりする。
宿舎が完成したら、五軒目から兵士は引っ越しして、五軒目のほうを新しい村人用にする予定になっていた。
秋になったので、ようやく小麦の収穫に入る。
小麦には、春蒔き小麦と秋蒔き小麦がある。
春蒔き小麦は春に植えて、秋に収穫する。
秋蒔き小麦は秋に植えてある程度成長してから冬を越して、春を過ぎて六月ごろに収穫するんだとか。
俺たちの畑は、春蒔き小麦を栽培している。一応、パン向きらしいが、その辺は薄焼きパンにしているので、あんまり関係ない。
小麦の裏作で菜種で油を取ってるのもある。
連作障害ってのも気になるには気になる。田んぼはずっと田んぼだけど、米は連作障害にならないらしい。
だから田んぼのイメージと、輪作で植える畑では、だいぶイメージも異なる。
「ささ、収穫しますよ」
「「「はーい」」」
ドロシーが兵士たちを従えて、麦畑で声を上げた。
兵士たちが麦畑の収穫を手伝ってくれるらしい。
採集用鎌とかもちゃんと持ってきている。準備がいい。
こうして早々に、麦の収穫が終わった。
収穫祭とはいかないけど、ちょっとした鍋パーティーをした。
新麦で作った薄焼きパンも振る舞われた。
あと、木琴とみんなの歌を、兵士一同の前で披露した。
「らららら~♪」
俺はひとり木琴だ。まだ声変わり前だから一緒に歌ってもいいんだけど、せっかく美少女天使合唱団みたいな女の子たちがいるから、まあメインは任せよう。
「ドロシー様、リズちゃん、メアリアちゃん、みんな可愛いよ」
「いい歌だった」
「こんな辺境で歌を聴けるなんてな、わはっはっ」
兵士一同にも好評だった。
「これは、町でやったら、おひねりがたくさんもらえるな」
「違いないなああ」
「天使ちゃんたちは可愛いなあ。うちの娘も仲間に入れてほしいくらいだ」
自分の娘を思ってか、ちょっと年嵩の一般兵のおじさんが涙ぐんでいた。
トハムン村では客引きと子供たちを集めるために使ったけど、そうかおひねりももらっておくんだった。
まあ貧乏村ではそうもいかないか。普段、旅芸人も吟遊詩人も来ないから、そういう文化がないんだよ、村には。
「ほう、なんだこれ面白いな」
「同じ歌をずらして歌うんだな」
新技。そういえば一部の歌は輪唱ができるな、と思い出したので、三人に順番に歌ってもらって、輪唱にしてみた。
三人しかいないので個人の技量も重要だ。でも三人ともびっくりするぐらい歌がうまいので、大丈夫。
今度はハモったりするのも、教えようと思う。あれはあれでかなりかっこいい。
この世界でそういう技があるとは思えないので、かなり受けると思う。
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