【完結】ハロウィンでの出会いに乾杯

アキノナツ

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【その後】好きってナニ? [2]

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お待たせしました(>人<;)

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呟くように言ったオレを見つめてる彼は、目を合わせたまま、空になった缶ビールをローテーブルに置いた。
コツンと軽い音が響く。

テレビの音だけが部屋に響いていた。

沈黙が続く。

なんだか落ち着かなくなる。

「もう1本呑む?」

こんな言葉、ここにいた間、一度も言った事ないのに。沈黙が耐えれない。声は上擦り、掠れていた。

「俺って、やっぱ餌か。餌結構。上等な餌だろ?」
真面目な表情で言ってくる。

「うん。最高だよ。今までで一番かも知れない」

目を見たまま喋るのが辛くなってきた。
きゅっと抱きついた。
首に回す腕をぎゅっと締めた。
肩や背の筋肉を掌で感じる。
肩口に埋めた顔があげれない。

涙が溢れて来た。

言葉が出て来ない。
この男よりも長く生きて来たというのに、オレは何をしてきたのだろう。
自由気ままに生きて来て、ちょっとした失敗でこの島国に流れ着いて、死にそうになりながらも、狩りに必死だった。
懸命に生きて来て、淫魔と出会い、縄張り争いのようなものに巻き込まれ、身体のサイズを小さくして、なんとかせいにしがみついてきた日々。

振り返ってもこの国に来てからというもの碌な事はなかった。なかなかに大変な日々であった。

風前の灯だった…。

この男に出会えて、救えれ、余裕も出てきて…こんなにも同じ人間と言葉を交わし触れ合った事など今まで生きて来て、数えるほどで、こんな気持ちになった事はなかった。
こういった身体の関係になったのは初めてだ。
未経験の肉欲に溺れてるのか?

この関係だって、この男以外とするかと思えば悪寒が走る。要はこの男ならしてもいいと思える行為なのだ。
多分この男を見送る事があったら、それ以降こういう事はする事もない気がする。

この男だけ・・がオレを自由にしていい…。していい…と思うんだ。

オナホ扱いされても、どんな事されても、お前ならいいんだ。お前だけなんだ…。

涙で言葉は音にならない。
頭の中で溢れて渦巻く。

抱きしめてれていた。
男の膝の上に乗せられて、オレを力一杯抱きしめてくれてる。

そして、泣いていた。
この男が泣くんだ…。
自分の事を棚上げで、ぼんやり思った。

コイツの笑顔しか知らない。
自信ありげな尊大な男が、泣くんだ。

オレより俺様の男がか…。
滑稽だな。

「お前は、オレと共に夜に生きる気はあるか?」

涙も引っ込み、抱き合う温もりに全てを預け揺蕩う。揺蕩いながら、ポツリと言葉を紡いだ。

しばらく後に首が振られた。
ああ、お前はオレの花嫁ではないのか…。

「俺は、この仕事に誇りを持ってる。この仕事を失ってまでお前の餌にだけのは、成れない。お前が好きなのは変わりないんだ。俺の矜持の問題だ…」

『仕事』と『餌』としてオレだけのモノになるかのどちらかの選択は出来ないという事か…。

コイツ、種族なんて関係ないって言ってた…。

ーーーーそうか。

唐突に胸の辺りのつっかえが取れて、ふわっと温かいものが湧いてきた。

制服姿で立っていた男を思い出す。
何故、あの時接吻がしたくなったのか。
腑に落ちた。

この男の仕事がこの男そのものなんだ。
これ込みの人間なのか。それ込みでオレはこの男を好きになってる。

オレは、オレをこの男に渡したい。
オレが、この男と共に居たいんだ…。

「オレを、もらって、くれ…」

声を押し殺して静かに泣いていた男が、グズと鼻を鳴らして、息を殺して、泣き止もうとしてる。

じっと待った。

そう言えば、国際結婚がどうのこうのと言ってたな…。
男の言葉を待っていたのだが、ぼんやりと声に出していた。

「国際結婚って言ってたな…」

言った事に気づいていなかったから、次の言葉に驚いた。

「結婚いいな…。人間の契約をしないか? お前の方の契約は先延ばしでいいか?」

涙に濡れた顔が笑っていた。
肩口から引き剥がされて、男の膝に跨ったままの格好で見詰め合っていた。

ああ、えらく情けない顔になってるのに、オレはこの顔の状態などどうでも良かった。この男から目が離せない。

『付き合ってあげなよ』淫魔の言葉が蘇る。

付き合わさせてくれ。

「お前がやり切ったと思った時、オレのものになればいい」
湧き上がる想いを素直に言えなかった。
お前のものにしてくれと言えなかったが、精一杯の言葉だった。
オレの矜持か…。

「ありがとう」
男が笑顔で礼を言ってきた。

「……。どういたしまして」
どうにか返す。
言葉のチョイスは間違ってないだろうか…。
笑顔を作ってるつもりだが、頬が引き攣ってる気もする。

というのも、全身燃えるように熱い。
彼の方に置かれた自分の手が見えてるんだが、真っ赤になってる。
全身真っ赤かも。
な、なんで…???

そして、この湧き上がる芳醇なワインのようなうっとりするものはなんだ?

「あ、あの、これは、なんだ?」

相談に乗ると言ったのだ。最後までつき合って貰いたい。

「これ?」

「こう、ココがふわふわしてて、全身でお前に抱きつきたいというか……嬉しい」

胸に手を当てて訴える。
苦しいような弾むような、なんだか分からないものがココに渦巻いてて…。

よく分からない『嬉しい』が飛び跳ねてる。

「吸血鬼くん、それが『好き』というモノですよ」

静かに告げられた。

「好き? 好き…す、き…。そうか。好きなのか」
至福…そうだ、これは至福というヤツではないだろうか。

「オレはお前が好きだ。オレは、お前の、花嫁になろう…してくれ。この至福を分かち合いたい…」

『花嫁を手に入れた時至福を味わえる』

そうか。これがその時なのだな。

「ああ、俺と共に…」

唇が触れ合った。
互いを受け取り受け止める。



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ウサギの回も意味があったんです( ̄▽ ̄;)

二人ガッチリです。
自分、どっぷりのこの感じ好きみたいですw
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