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大人の恋、始めようか。 ※

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「いいか?」
ベッドの上で、思いっきり股を開いて、相手を脚の間に座らせて、腰を持ち上げ、後孔に切っ先を当てがわれて、漸く挿れて貰えるかってところで訊きますぅう?

「もぉお! いいに決まってるじゃん。十分解してくれたんだから、大丈夫だって。挿れてッ!」
膨れっ面も自覚してるが、不満です。

「僕初めてじゃないんだから!
お前だって、色々食ってきたんだろってんだ」

「お前なぁ、これからって時に…。
言っていい事と悪い事があるんだよ? そんな事思っても口に出しちゃダメだよ? 悪い子には、ちょっとお仕置きがいるかな?」

「お、お仕置き?」

「お前なぁ、後ろがヒクついてるけど、そういうのもいける口?」

「違う!」

「違うのかぁ」
ニヤニヤしてる。

腹立つなッ。
僕が言い返しを考えてると、ツプツプといきなり挿れてきた。

「あ、はぅッ」

這入ってるぅぅぅ。
ちょっと感慨深い。
太い部分も飲み込めて、感覚に浸って、力を抜いて受け入れて、もっと…と覚悟してると…。

前立腺の辺りで侵入が止まった。

ん?

クニクニと先で突いてくる。
あぅ……、そこ…弱い、のぉ…。
前後して擦り付けてくる。
カリで肉壁を掻いて亀頭で前立腺を刺激してくる。

「あ、あ、あうぅう、ま、待ってぇ、はぁぁ……あ、ん、うぅんん…」

執拗い刺激から逃れる為に腰が揺れる。
自らの揺れが快楽を産み、さらに逃れたくカクカクと蠢く。

「どう、して、欲しい?」
優しい声。
『お強請り』してごらんって言われてるみたいな声音。キュンとしちゃう。
後ろがキュッと彼を包んで扱く。

「はぁぁん、お、奥に…来てぇん……そこ、ばかり、やぁああん…」

そこの刺激から逃れたくて、『奥に来て』と強請ってしまった。

「可愛いな。なんでお前振られてたのかなッ」
ククッと揺すられる。

「言っていい事と悪いぃぃんんッ!」

ドチュンといきなり突っ込んできた。
最後まで言わせろ!
言わせたくなかったのか?!

目の前がチカチカする。
脳天に快感が突き抜ける。

「はぁぁあああんん……!」

中に馴染む間もなく、激しく突き入れてくる。
激しいツキに翻弄される。
身体が揺れる。
奥の奥。トントンとノックされる。
このままだと、あそこが……!

「ダメダメェェんッ! そこはぁぁあああ…」

結腸を抜きにかかってるというか、余裕で届いてますよね?
長いの?!
突っ込まれたモノが大きいなとは思ってたんだけどねッ。
マジかぁぁぁああ?!

背が高いとは思ってたけど、さっきまで見てたけど、よく見ようとしたのに、なんか躱されて、フェラさせてくれないなぁとは思ってたけど、そういう事?!
長いの隠してた?
だから、挿れる前に訊いてきた?

だったら、ハッキリ言ってよぉぉぉ~。

こっちの心構えってあるじゃん。
何が大人のお付き合いだよ。
隠し球はなしにしようよぉ~。

こんなにいいところ押し潰しながら、中を擦られたら、喘ぎしか出てこないよ。
あああ、コレ、今までのと比べようがない程…。
中を埋める質量が半端ない。
みっちり埋まって、激しい突き入れと奥への刺激に悶えて、慄く。
言い返せないし、文句も喋れない!

絶頂が近い。
彼ももうすぐみたい。

奥がノックされる。

這入っちゃうの?
あぁあああん! ダメだってぇぇぇ……

クポっと抜けた。

「ーーーーーーッ!!!!」

スッコーンと頭が白くなり、身体が勝手にカクカクと揺れる。
イった……。
自分の雄から勢いよく精液が吐き出された。
全身がキューーーーーッ絶頂に硬直して仰け反った。

「うぐぅ……」
彼の呻きが遠くに聞こえる。
強張りが解けると、悶えるような疼きが全身を駆け巡る。
中がうねってると思う。イき続けてて体の疼きをどうしていいか分からず、目の前の身体にしがみついた。
うぐ、うぐと喘ぎながら、快感に身体中が蹂躙されてます。

お前、なんちゅうモノをもってんだぁ!

揺すられ、奥の扉を開き奥の奥を肉杭を打ち込んでくる。

「あぐぅ、ゔぐぅん、がぁぁゔ…」
喘ぎが湧き上がってくる。口を噤んでるのも限界…ッ。

「イツゥッ!」
彼の声。

口の中に鉄の味が広がる。
彼の肩に噛み付いていた。

「噛むな。喘いでろ。その声イイ。聞かせろ」

「叫んじゃうぅぅうゔん、ん、ん」

声を飲む。
嘘つくな!
僕の声って、汚いって。
喘ぎ声が引くって。
言われてたんだよ。

だ、か、ら、聞かせられないぃぃぃ。

「俺、もちょいだから、付き合え。叫べ」

「いやぁああん。お前、長いッ!」
ブンブン首を振る。遅漏野郎ッ!

「そんな、事ない、だろ。イケ!」

「は、あ、あ“、があ”、ゔがぁあ“、あ”あ“あぁぁぁん……」

イった。
意識も手放した。




消毒液の臭い。
滅菌ガーゼの大きな白い不織布のシールを肩に貼ってる。
その後ろ姿をぼんやりベッドで見ていた。

「ごめん、痛いね…」
ポツリと呟く。

僕はやっぱりダメだ。セフレもまともに出来なかったし、恋人なんて向かないんだ。

当初描いていたおひとり様が似合ってる。

「別れよう?」

初めて、自分から別れを切り出した。
「終わりにした方がいいよ。また愚痴聞いてくれたらそれでいいから」
我が儘言ってるよ、僕。

「俺振られた事ないんだわ。告った事も無かったけど。お前が初めてなんですけどぉ~」

後ろ向いたまま呟くように言ってる。
丸くした背中が、、、小刻みに震えてる?
……泣いてる?

「振られるのって痛いな。お前、何度もよく耐えてたな」

くしゃっとした顔がこちらを向く。
どんな表情も男前は男前です。

「でも、俺はとことんなんで、逃がさない。よろしくな」
近づいてきて、抱きつかれた。
「ほへ?」
変な声出ちゃった。

チュッとキスされた。
至近距離で顔見てます。
いつものイケメンさんです。

「変な顔すんなって。恋人続行。大人の恋ってのをするんだろ? 俺もしてみたいんだ。付き合え」

「え、まぁ、その……分かった」

押し切られた!

僕が今まで流されて、諦め、してきた数々の戦歴を、こいつは見聞きしてた訳です。
いかに僕を突けばいいのか、マニュアルを握られてる訳ですよ。

さっきみたいにイレギュラーな事も起きますけどね。別れを切り出しちゃったりとか。

お? おお?! 僕、歴代の彼たちがしてきた仕打ちを今、この僕が、行った訳ですかぁあ?!

「僕、大人の階段登った?!」
「はぁあ?!」
僕を抱き込んだ状態で、さも呆れたって顔と声!

まぁ、いい大人ですけどね。

「振られ続けた僕が、今、振ろうとしたんだよ。これぞ、恋愛。振って振られて、くっ付いて…」
「恋愛ドラマの見過ぎだ」
額をコツンと弾かれた。デコピン。
地味に痛い。

「俺は、お前のそんなとこも好きだけど、さっきみたいな不意打ちは勘弁な。心臓がマジ痛いわ」
赤くなった額に口づけされた。
叩いて撫でて、なんだかなぁ~だけど、嬉しくなってる僕って、もしかして、小悪魔属性とか持ってたり?

「変なこと考えてんじゃねぇの」
ぐふふふと笑ってた僕に再度、チュッチュと顔に唇を降らせてくる。

「擽ったいって…」
腕の中でもがくも、ビクともしない。
バーテンダーの腕力恐るべし。

「噛むのも無し。俺、お前みたいにマゾっ気無いから」
「僕ってマゾ?」
「じゃないの?」
「そうかなぁ」
「そうだよ」
「そうかぁ」
「そうそう」
キスで口が塞がれたら、それ以上の喋れなくて、自分はマゾっ気があるんだって思う事にした。

「声は我慢しない。俺が聞きたいんだから、出しな。聞いてる方がコレが硬くなる」
グリグリ硬くなったナニを擦り付けてくる。

「お前の奥の方をこれで、ブチ抜いてやるから、汚ない声で喘げよ。俺が全部受け止めてやるって、安心せーや」

なんか違う気がするけど、なんだかぞわぞわする感覚は、僕がマゾっ気があるから?

「ここも欲しそうに、ヒクヒクしてる。もう一回する?」
後ろの窄まりを撫でられる。
ゾワワって背中を気持ちいい何かが這い上がってくる。

「え? あ、その……お、お願い、しますぅ」

僕も実はもうちょっとしたいんです。
今まで感じた事がない程の圧迫感が、後ろに恋しくて……。
歴代のナニと比べちゃってる。歴代の方々申し訳ない。

「コレって大人の恋?」

いそいそと準備をしている彼に訊いてみちゃった。

「そうだよぉ~。身体のお付き合い。恋人同士のラブセックスってぇヤツ」

コンドームとローションでテカつくナニを片手で扱きながら、高圧的に近づいてきた。

「ちょっと怖いぃい。僕の縮こまっちゃうじゃん」
「悪りぃ。これはダメか。でも、らぶらぶ、イチャイチャはしたいよな?」

暫く考えてみたが、「してみたい」と僕の脚を折り曲げ開く彼に腕を伸ばす。

「俺もしてみたい。いくぞ?」

「うん。いいよ。キテ」

「ヤベェな」

さっきより硬いナニが挿さってくる。
ググッと穿ってくる楔に、仰け反りながら、恍惚感に浸り、口走っていた。

「好きッ、大好きぃぃ」

「俺もめっちゃ好きッ」

ドチュンと行き止まりまで嵌った。
息が止まるかと思う衝撃に、チカチカと星が散る。

これが幸せ? 大人の恋?

まだまだ始まったばかり。僕たちの恋は手探りで進む。






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コレが大人の恋? そんな事あるかい!
そのバーテンダーに騙されてるぞってツッコミながらも、楽しんで書いてた自分も大概だな。

感想とか一言貰っちゃったら、作者が元気になります(๑╹ω╹๑ )
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