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後2ー2.外堀を埋める。
しおりを挟む放っておいたらいつまで経っても同棲なんて無理だろう。
その内誰かに掠め盗られたら目も当てられん。
アイツに見合い話が湧き上がる前に外堀を埋めなければ。見た目がいいのが今のところガサツさに邪魔されて深い仲になってる者はいなさそうだ。
まずは、一番気になってる工房からの独立だ。
と言うか、仕事のサポートに着込むベスト型やグローブやハーネスなど色々作ってみたが、どれもしっくりいかなかった。
魔法陣を組み込んだり出来はいいので、別の用途に売り込もうと部屋の隅に置いてある。
そんな紆余曲折あっての結論が、身体に合わない工房から引き離せばいいという事だった。
幸い跡取りと言っても、俺のようにひとりっ子ではない。姉は既に結婚している。都合よく工房の職人と。
その職人は、絶対故郷に帰って工房を開く必要はないようだ。
何よりあそこの親父さんに気に入られてる。
やれる。
女性陣を味方にしてしまおう。
呑気に横で寝てる男の横顔を眺める。
そっと裸の身体を抱き寄せた。
むにゃむにゃ言いながら、俺の胸に頬を擦り付けてくる。
こんな可愛い男、絶対に誰にも渡さない。
俺だけの…。
今日は俺に突っ込んでアンアン言ってた。
どっちが挿れてるんだか分からないじゃないか。
それも可愛いんだよな。
緩く回復魔法をかける。
あまりきついのは反対に身体に悪い。底上げしてるだけだ。後から反動がくる。
立派な魔術師なら反動なしの回復魔法も掛けれるかもだが、俺はそこそこの魔力と魔法技術しか持っていない。
魔力を使ったからだろうか眠気がやってきた。彼を抱き枕に眠った。
久々に家族揃って食卓を囲んでいた。
大柄な父親だが、そこまでガッチリ体型ではない。背が高くてそれに伴って色々パーツが大きいだけだ。
それに俺よりは小さい。
母は標準的な体型。
よくこの母から産まれて来れたと思う。赤ん坊の頃からそこそこ大きかったらしい。
母曰く、初等部の頃はちょっと体格がいいなぐらいだったらしい。
俺もさして周りと齟齬がなかったと記憶してる。中等部に入った11才から14才の4年間で大きく逞しくなって、周りも遠巻きになった。
15で成人だから、それまでに成長を遂げるにしても育ち過ぎだ。
あっという間に両親の背は越え、体格は立派になった。育ってしまった。
変わらず接してくれるのは幼なじみの彼だけ。綺麗な容姿で学校ではモテモテで初体験も早かった。
延々初体験の様子を聞かされたのは、今になったらいい思い出だ。
彼は実家が鍛冶屋だったので、進路は実家での修行と決まっていた。
再会した時、あのキラキラした王子さまは、煤けた兄ちゃんになっていた。
惚れ直した。コレはバレないように秘めた事だ。
真っ黒になって傷まで作って頑張ってるのに周りの評価はあまり良くないようだ。
仕事に打ち込んでるようで浮いた話は聞かない。
仕事仲間と一緒にそれなりのお店に行ってるようなだ。やはり巨乳好きは変わらないようで、娼館の話など聞かされたりしていた。
さて、この両親にカミングアウトのタイミングを図っている。
普段、放任と言うか、個々を大切にされてるので、割とすんなり「そうか」と納得してくれるかもしれないのだが…。
「この前のバザー参加してくれたんだって?」
「いつまでもウチの納屋では手狭じゃない?」
どうも両親も何か話があるようだ。
そうだよなぁ。記念日でも無いのに揃うのは珍しい。父も母も役所関係であちこち顔を出して忙しいのだ。
「友人と共同の工房を作ろうかと思ってたんだ」
渡りに舟とオブラートに包んで話してみる。
結果が同じだったらいいか。
「それじゃ、コレなんてどうだ? 教会に寄進された土地なんだが、ぶっちゃけ教会は金の方がいいんだが、足元見られそうだから売りにも出せなくて困ってるんだよ。で、お前が工房持つならこの土地どうかなって。なんかお前なら、分割でも安く貸しで収めてくれるのでもいいらしい。信用貸しって感じかな」
乗り気なのか畳み掛けてくる。
地図と土地の図面を渡された。
立地は村外れの寂れた土地だ。だが、広い。
工房と店、家も建てられる。菜園も出来そうだ。
悪くは無い。
「いいね。明日にでも教会に行ってみるよ」
両親がひと安心と食事に戻った。
近況を報告しあって、俺の体格の良さは誰に似たんだろうねといつもの話になる。
いいとこ取りで栄養が良かったのだろう。
教会で一定の金額を決めた期間払って、土地を手に入れる話で大体決まった。
友人との共同という事で話したので、友人との話をしてきたから正式にとなった。
さて、女性陣だ。彼女たちは、大きな工房という事もあり婦人会の世話役をしていた。バザーの話や珍しいお菓子やお茶が手に入ったら声を掛けた。
バザーも参加して仲良くなってる。
バザーはココに早く馴染まないと商売が上手くいかないと両親のアドバイスだったが、いい関係が築けている。
そして、今日は、俺の趣味で作ってる魔道具のお披露目。滑らかに動く歯車と機動部を見せた。
さすが工房で機械類も見てきた彼女らは目の色が変わった。
そして、これらの歯車を作ったのが自分の身内と知って更に驚いたのだった。
そして、彼にはまだ話してないがと、話し始めた。
自分の工房が両親の間借りなので、そろそろ自分の工房をと思ってるが、いい土地も見つけたが、自分には少し手が出ない。共同ならなんとかなりそうなのだと。
出資を依頼してるように見せて、息子さんと共同で工房を持ちたいと思い切って相談してる態度で話していく。
「それはいいわねッ」
よっしゃ!と心でガッツポーズ。
あとは本人が「うん」と言えばOKだ。
二人の巣を作れるッ!
同棲まであと少し。
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エロパートまであと少しw
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