思い通りにならないもんだ。【後日談をぼちぼち】

アキノナツ

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男の日常 (2)

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今日はラブホか…。
なんかよからぬ事考えてんじゃねいだろうな。

胸元を気にしながら入っていく。
やっぱ、どっかで取ってくれば良かったかな。
シャツを押し上げる乳首の存在がなんとなく嫌になって、強行手段に出た。

別に気にしなければいいようなもんだろうが、明らかに以前に自分のものより大きくなったコレが、服に擦れて、身体が熱くなってしまっては対処を余儀なくさせる訳で。

初めは絆創膏をバッテンに貼って乳首を押し込んだ。こうすれば外からは目立たなくなった。
しばらくは良かったのだが、擦れる気がしたので、手持ちの傷薬の軟膏を塗って貼った。

何かをしてればなんともないのだが、ぼんやりしてると、乳首がムズムズする。
蒸れたかと絆創膏を剥がして、軟膏を拭き取る。敏感になってるようで、ちょっとの刺激でもビクビクしてしまう。
どうしたもんだろうな…。対処が分からん。
困ったよ。

外気から遮断されていたからだろうかと、優しく拭き取り、外気浴さえて呼吸させる気で、のほほ~んとさせてたりした。

最近、色がちょっと薄くなってきたような気がしないでもない。んー、コレどうする?

そんな乳首を持って参上である。
マズイも累乗。ため息が出る。

指定された部屋の前。ノック。
オレと大して変わらない体格の男が現れる。
オレの抱き枕。安眠枕なのだが、おまけ仕様がなんともはやである。

「どうした、その荷物」

「話せば…、長くはならないな。ゆっくりしてから話すよ」

取り敢えず、風呂に入りたい。
荷物を置くと、風呂場に向かった。

「やる気だね」
揶揄い口調。腹も立たなくなったが。うざったい。

「風呂入りたいだけ。最近シャワーばっかだったから」

「はぁあ? お前またなんかしたのか?」

「またってなんだよ…」

湯が溜まってる。やったね。
頭の先からカシガシ。全身洗って、ゆっくり絆創膏も剥がす。
大きさ変わんないな。元に戻らんのな…。
優しく洗って終了。

湯船でまったりしてると、アイツが入ってきた。入った後じゃなかったのか。

「飯あるぜ。惣菜見繕ってきたから、食おう」

なんだか優しいな。調子が狂う。
気遣ってくれてんのかな。
裏がありそうで構えちまうが。

「お、おう。ありがとう」

いい笑顔です事。嫌いじゃない。

洗ってる彼をぼんやり眺める。
暇なので、顛末と現状をぼちぼちと話した。
すぐ済む他愛もない話だ。

公園でタヌキと遭遇した話は面白かろうと力を入れて語ったら、スベった。
不機嫌になっちまった。つまらん。

飯も不機嫌なまま。
折角美味いのに…。
仕方なく黙々と食べる。

「なんで連絡くれないんだよ」
ボソッと言われた。

「ん?」
なんか言われたが、丁度ゴリゴリしたの食べてて聞こえなかった。
僅かに聞こえたのを脳内リピート……。

連絡か?

「連絡? してどうすんの?」
そういえば、オレからコイツに連絡した事ないな。

ご馳走様と手を合わせて、食後の茶に缶ビールに手を伸ばす。

「つ、付き合ってんだし、連絡というか、頼ってくれても」

「なんで? そろそろこの状態も飽きてきたから、不動産屋行くよ?」
適当に見繕って、申し訳ないけど、先生に保証人になって貰って、それで終了。
至って簡単。
簡単なんだけど、オレがやる気にならないからこうなってるだけ。

「飽きて?」

「うん。色々見れたし、楽しかったよ。夜の空気も明け方の冷え込みも楽しかった。あ、荷物取られそうになったのは、びっくりしたけどね」

「で、また寝てないんだろ」

「寝るのが惜しくてさ。公園に忍び込んで芝生で一晩中空見てるの楽しかった。他は、多分寝てると思うけどな」

「お前、人肌ないと寝れないって」

「うん、無いと眠りが浅いかもね。笑っちゃうよ」
かははは…と笑ったのに、笑ってくれない。
今日はホントつまらん。
グビグビ缶を空けた。

ーーーー腹が立ってきたので!
空になった缶を置いて、立ち上がる。

「よっしゃ、今日は寝る。睡眠とる事に決めた。いいなッ!」
お伺いではなく言い切った。

バスローブのまま、ベッドに潜り込んで布団を捲る。ぽふぽふ叩いて促す。
等価の分は後払いにしてもらう。もう寝るって決めた。

諦め顔の男がのっそり入ってきて、オレを抱き込んだ。
ふぅ…と吐息が漏れる。気持ちいいんだよね、コレ。
腕枕を要求して、すぐに眠りに落ちた。
男の心臓の音が心地良かった。

秒で眠った男の頭を撫でる。
酷い顔だ。
セックスする気も無くなった。

ーーーー嘘です。したいです。

勃起してるアレを慰める。
対象が腕の中なのに、自慰って、何コレ。

一回射精したら、落ち着いた。

俺の気持ちは落ち着かない。

帰る場所が無くなったって事か。
じゃあ、今は住所不定?
いや、住所はあるけど、住居がないって事だよな。
取り敢えず、住居を彼は求めてると。

俺のところで良くないか?
部屋ならあるぞ。ファミリータイプのマンションだからな。
眺めがいいからって理由で決めたやつだ…。
遠慮されるか…?
んー、親戚の海外赴任で空いてる部屋の管理を任されてるってのでどうだろう。
俺も仮住まいだからって言えば、気兼ねないんじゃないか。
そこを拠点に物件探せばいいじゃんって勧めるってのはどうだろう。
俺冴えてるね。
目が覚めたら話そう。

ラブホに来て何もせずに寝てるって…なんだかなぁ。
延長しておくか。

涎垂れてっぞ…可愛いなぁ。
きゅっと抱きしめたら、難しい顔をされて、モジモジされた。
眠りが深いのか起きる気配はないが、どうした?
ん?
顔が赤い。熱か?

熱をみようと身体を離すと、力が抜けてすやすや。
ん?
距離が詰まるとモジ…。
胸、庇ってる?

バスローブをちょいと引っ張って中を伺う。
ふふ~ん。
ニンマリである。



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