絡める指のその先に…

アキノナツ

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《5》 ※

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まだ…続くね(>人<;)


==========



前の店の方がマシだった。

なんか借金先が変わったとか言われた。
よく分かんない。

返済は終わってないって。
おかしいと思う。
絶対終わってる。
オレ、随分働いた。

眠い…。

時間まで休もう。
起きたら、働いて、どっか出かける?
身体が動けたらいいけど、クタクタだよな、きっと。
あー、そうだ。『クーにゃん』さんの動画、久しぶりに観たいな。

ここでもメガネさんみたいな人が出来ないかなぁ。
あっ、メガネさんが来てくれたらいいじゃん。
あー、なーんもお話し出来ずに、連れてこられたから、メガネさんが来てくれる可能性はないか。うん、無理だよね。
写真見て来てくれないかなぁ。

そんな事をつらつら思って、眠りに落ちた。



「いつまで寝てんだよ!」
怒号と共に衝撃。ベッドの縁を蹴られた。
頭が揺れる。
乱暴だよ。オレって商品でしょ?

痛いのは嫌だから口答えしないけど、嫌になる。

ここに来てすぐに、難癖つけられて殴る蹴るの暴行。
痛みに暫く動けなくなった。
傷が癒えたと同時に、お店に出された。

前の店みたいにマッサージ店を全面に出してる店じゃない。性的な方がメインって感じ。看板はマッサージみたいだけど。店の外に出ないから分からない。

オレも落ちたもんだよ。

30過ぎて風俗にどっぷりか……。

モデル時代が懐かしい。
みんな元気かな。
あおくん……元気かな。
お客さんのちんぽしゃぶりながら、青くんとの行為をなぞって、やり過ごしてる。
彼氏との行為なんて思い出せない。思い出したくもない。

あの頃は幸せだったかも知れない。

青くん…、オレ、君が好きだったかも知れない。

ーーーーー違うね。

仕事仲間だもの。セックスが優しくても仕事だもんね。いい画の為だもの。
勘違い。
でも、今は好きだったて事にさせて。勘違いでも。ごめんね、青くん。ごめんね…



「あんたのナカって気持ちいいな」
今日も好きでもない男のモノを突っ込まれてる。
オレ何やってんだろう…

「ありがとうぉ。もっとぉ、気持ちよくなってぇ」
男の上で大きく脚をガニ股に広げて、身体を反らし後ろ手についた手で身体を支えて腰を振る。
結合部からはジュボジュボと水音が響いてる。
オレの雄はペチペチと跳ねるだけで、一向に力を持たないが、男は気にもしないようだ。

「いい眺めだねぇ」
下から激しく突き上げられる。

「あグゥ…うぅ、あ、あぁぁああん、あん、はぅ…」

下から打ち付けられる雄を孔に打ち込んで貰えるよう身体が動かないように姿勢を固定して耐える。
内腿が震え、ナカイキを自覚するもストップをかける事なく嬌声を上げて、髪を振り乱しながら孔を締めた。ナカも痙攣しているだろう。
男が呻きながら、オレの腰を掴み思いっきり突っ込んだ。

ナカに熱い昂りを感じる。
ーーーーー終わった。
後始末して、お客さんを綺麗にしたら、終了。

ゴムを始末して、身体を泡だらけにしてオレの身体を使って洗う。
慣れたのかどうかは分からないが頭を空っぽにして作業をする。

なまでさせてくれよ」
シャワーの飛沫の中で尻を揉まれながら言われる。
首を振って拒絶する頃にはタイマーが鳴る。

さっきのセックスで大体時間がなくなるように調整してる。
オレも慣れたもんだよ。

「お時間ですよ。次の予約が入ってるんで、延長はできないんです。ごめんね」

店も客単価より数で回したいようで、延長はよっぽど空いてない限りはしない。
客がいるって事だ。
その代わりプレイ中はやりたい放題。オプション盛り盛りだ。
客は渋々服を着てお帰りになる。

これは作業だ。考えたら負けだ。

考えたら何かが壊れる気がする。
何が……? 考えるな。
鏡に映る自分がぼやけて見える。

終わったら、『クーにゃん』の動画観ようっと。


◇◇◇◇◇◇


夜の街。
『眠らいない街』なんて誰が言い出したんだろうね。
昼のような光量。人の流れと騒めき。喧騒と音楽。
客引きとスカウトに何度も声をかけられる。

今日はスーツをラフに着てみた。
仕事帰りのやさぐれ男に見えると思ったんだが。
髪はバックで少し崩し気味に撫で付けメガネで野暮ったくはしてるのにスカウトってなんだよ。俺あんまり酒飲めないんだよね。ホストは無理です。口下手なんで。
酒あんまだから、こういう所は付き合い以外では来ない。

えーと、ここか。
突撃!
「店長いる?」
間怠っこしいのは面倒臭い。訊いてやる。
疲れた表情の男が呼ばれてのっそり現れた。
即対応って。俺の事ろくに訊きもしなかったが、大丈夫か、ここ。

「警察? もう勘弁してよぉ~。届出もしたし、店長変わったし、健全第一。心機一転で頑張ってるんだからさ」

なんかあったの?
まぁ、乗っかるか。

「この子、今どこ?」
スマホを提示。
プライベートの藍さんのみ切り出した写真。
「あー、俺、1週間前に店長になったばかりで。今居る子はここに出てる子が全部。その前は…」
タブレットを滑らせるようにカウンターに乗せて、しゃがんで後ろの棚を漁ってる。
ザッと見た。事前にHPで見たままだ。

「以前所属のは?」
「あー、ここだと思ったんだけど…。こっち来て」
怠そうに店奥の事務室に。
完全に警察かなんかだと思ってるのか?
セキュリティ大丈夫?

「あの時リークして貰ったから、主要な子は移動出来たって聞いてますよ。あれから店長が何回か変わったんで、俺よく分かんないんですよ。会社支給のデータはこれです。自由に見て下さい」
ノートパソコンを開いて見せてくれた。

お前、疲れてんな…。俺にとってはありがたいが。

「店長ぉ~」
呼ばれて出てった。マジにここ大丈夫か?

藍さん……いた。
半年前のデータが最後。
ここで合ってたんだ。こんなとこで…どうして。
メモ書きが。
『付け替え S移動』
なんだ?
とりあえず何処かに移動になったようだ。
見落としがあるかもなので、写真で残す。
字が読める事を確認して、忙しく動いてる店長に声をかけて店を出た。

がぁー!!!!!
叫びたい。
悪目立ち出来ないので、自重。
イライラする。自分に対して腹が立つ。

この界隈に藍さんがいるかも知れない。探さないと。

情けない。
事務所をにこやかに退所していったから、社長は安心してて。その様子に俺も忙しさを理由に大人だしって、本気で探してなかった。

ネオンが歪む。
泣くな。
藍さんの方が辛い事になってる筈だ。
あの人は寂しがり屋で、強がりばっかり言ってるけど、優しくて脆いんだよ。

でも…どこをどう探せば。興信所?
俺その辺のところ何も知らない。
事務所に戻って、社長に相談するか?
社長、ショックだろうな。藍さん育てたの社長だもんなぁ。

スマホが振動。怠く思いながら画面を見る。
カオルちゃん。

足は当てもなく通りをそぞろ歩き。

『出た! 良かった。お願いがあるんだけど。藍さんのアパートに行って貰えない?』
「いいすよ」
詳細はメールすると言われて切れた。
通知が…。どうやら何度も掛けてくれてたようだ。気づかなかった。

トントンと肩を叩かれた。
またスカウトか?

鬱陶しく思いながら、振り返るとメガネの優男が立っていた。細身長身、気弱そう…。
ちょいと猫背が、全てを台無しにしてる。惜しい!

青斗あおとさんですか?」



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