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《3》 ※
しおりを挟むここから暫く藍さんが辛い事になりますm(_ _)m
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藍さんが消えた。
事務所は知ってたし、監督をはじめ周りのスタッフも知ってた。
『引退するわぁ~』と精算を終えたところで引き上げたらしい。
貰うものは貰わないとねって笑ってたらしい。
うん。俺にとっては消えただよ。
何にも聞いてないから。
きっとカラカラ笑いながら、「じゃぁねぇ~」と去っていったのだろう。
俺にはなーんも無かったよ。
割と共演してたと思うんですけど?
寂しいなッ。
あー、でもさ、これって、もう仕事仲間じゃないで、OK?
いいかな?
元同僚ってヤツ?
接触を試みてみる?
まだウリしてるかな。
アレから請われるままに買ってたりしてるんだから、俺の信条どうなってるんですかね。そうなんです。買ってましたよッ。泣ける……。肉欲に負けた。
藍さんにとって俺は上客だったかもな。
俺から買いには行ってないけどね。そこは線引き。どんな線引きって感じだけどさ。
だからサイトのメニューなんてあの初めての時に見た切りだよ。
探すところからか…。
藍さんどうしてるかなぁ……。
手の平を見ながら、最後に肌を合わせた時の感触を思い出していた。
ちゃんと食べてるだろうか。
作りに行ってやるか?
ん?
藍さんって何処に住んでるんだ……?
◇◇◇◇◇◇
お腹空いたなぁ……。
青くんのご飯食べたい。
「アイさん、指名入ったよぉ~」
「はーい」
男性向けのサービス業をしてます。
「アイちゃん、お疲れ?」
頭の上でお客さん声を掛けてくれる。
最近指名してくれて通ってくれてるお客。
遅漏で手こずる。
チュポッとやっと固くなったおちんぽ様を口から吐き出す。
「んー、そう?」
指を絡め、舌でチロチロしながら話す。
「寝る前にゲーム実況っての見ちゃったから寝不足かも?」
「へー、ゲームするの?」
「しないよぉ~。見てるだけ」
「もしかして、その実況者がタイプとか?」
「んー、顔出てない。声がね、知った人に似てるの」
「そっかぁ~。好きな人?」
「好き? どうだろう……楽しかった頃の思い出…かな」
手の中で硬度が増す。寝取ってやろうって思ってる? そういう癖? 嫌なヤツ。
「今は楽しくないの? こんなに美味しそうにしゃぶってるのに」
ニヤニヤしてる。
「楽しいよ。いっぱいのお客さんが可愛がってくれるから」
お前だけじゃねぇんだと暗に匂わせる。
面倒臭い。
「追加出すから、挿れてくれよ」
今日も?
まぁ、割り増しはオレに直入るから割はいいんだけど……この人、遅いし、ねちっこいし、声抑えないとお店側はNG行為だからさ。
「いいよぉ~」
コンドームを口で咥えて、這わしていく。
「綺麗な顔して、こんなところで、勿体ないよなぁ」
頭を撫でられる。頬を撫で滑り、顎下をくすぐられる。
キスか…。
キスの要求の仕草。覚えちゃうぐらい通って来てるんだよね。
お客さんとのキスはしない方針だったんだけど、この人しないと髪を毟られるかって程の勢いで掴んでくるから、してる。
痛いのはイヤだし。
キスをしながら、後ろに迎える。
ゴムしてくれるから、そこはよしとしましょう。妥協で生きてる。
騎乗位で暫く腰を振ってたが、今は正常位で身体を折り曲げられて、覆い被さってくる巨体が腰を振ってる。
キスで声が抑えられるけど、鼻にかかる声が勢いに押されて漏れる。
店側は多分分かってる。黙認だ。
まだイってくれない。後ろから突っ込まれてる。
「俺のにならない?」
耳元で囁かれる。首筋に荒い息がかかる。
尻を上げさせられ、背中を押さえつけられるようにして、腰を打ちつけられてる。
両手で口を押さえながら、ふるふると首を振る。
誰がッ! キモいんだよ! 早くイけよ!
自ら角度を調整して当てにいく。
少しでも締め付けを良くして、早くイって貰わないと…。
「腰の動きがエロいよなぁ…」
お前の為じゃねぇ! オレの為だ。
お前が下手じゃなかったら、こんなに動かなくても、気持ちよくなれるんだよ。
青くんだったら、もっと、こう……。
やめよう…考えない。
早く終われ!
この客、時間延長もするが時間いっぱいまでオレの孔を使い倒す。
客の中には添い寝だけでいいと寝かせてくれるメガネさんのような客もいるというのに! このデブオッ! そんなに太ってる訳じゃないし、他のお客さんにも似た感じの体格の人いるよ? けど、嫌なのよコイツ。体格差別してるつもりはないけど、性格が滲み出てるんだと思うよ。だーい嫌いッ。
「もっと、激しくしてぇん」
身体を捩り顔を近づけて甘えた声で囁けば、中の肉棒が元気になりやがった。
あと少し我慢したら…。
グッと歯を食いしばって声を抑える。
パンパン肉を押し付けられて、優しさの欠片もない激しいピストン。自分本位の腰振りで欲望を叩きつけられる。
オレはひたすらに終わりがくるのを待つだけ。
青くんだったら、監督のどんなご無体な要望も受けの子の気持ちよさを重視してやってくれてた。SMチックなプレイでも、いつでも、気持ちいいを気にかけてくれてて……。
こんな暴力的なセックスなんてしなかった。
ーーーーー終わった。
「良かったよ」
チュッと頬にキスされて、離れていく身体に清々しながら、ゴムの始末とお客さんの身体を綺麗にしていく。
チップも上乗せで貰えて「またね」と、ねちっこいキスで別れた。
尻を揉まれながらはいつもの事。
営業と割り切る。
部屋の片付けと自分の始末をざっとする。
あとはお任せ。
ん? 胸にキスマークを見つけた。最悪ぅぅ…。
あー、アイツを出禁に出来ないものか……。
「少し休んでいい?」
控室にたまたま来てたマネージャーに声をかける。
「予約の客までなら」
時計を見る。1時間ぐらい寝れるか。やったぁ~。
「少しでも稼いだら? 今が稼ぎ時だろ?」
「後で頑張る。今は寝たいの」
「借金減らないぞ」
「そぉねぇ~。休んだら、頑張るわ」
随分と返したと思うんだけど、あとどのくらい残ってるんだろう……。
「あのお客さんねちっこくて疲れる。出禁に出来ない?」
毛布を広げる。
「上客だろ?」
呆れた声。
客の選り好みするなという事ね。
「そうねぇ~」
埒が明かない。身体を休めたい。
ソファで毛布にくるまって眠る。
……撫でて…
これは…夢。
青くんがいる訳ないよ。
髪を梳いて撫でてくれる手は、青くんである訳がない。
でも、今は夢でもいい。
腕枕して、頭撫でて……。
今の持ち物は、財布とキャッシュカードが一枚。お店から渡されてるスマホ。
事務所辞めて、スマホも解約して、本体はまだ使えそうだったから中古で売った。有金のほとんどを返済に充てた。思った通り全て終わった。
ウリのページも閉じた。彼が嫌がるから。
全て終わったと報告して、心機一転、彼とやり直そうと家に帰ったら、捕まった。
返済出来たと思ったのに。
彼が謝ってる。
また騙された。
彼が借金取りからオレを守る為だって、帰って来るなって言ってたのを守ってたのに。
たまに荷物をスタッフの子にお願いして取りに行ってもらってたりして、会いたいのも我慢したのに。
頑張ってお金作ったのに。
もう借金は作らないって約束してくれてたのに!
カードを使ってチップや諸々を口座に預ける。
これで家賃の滞納はないはず。
まだあそこに住んでるのかなぁ。
あそこには、オレの宝物がある。
それもどこまで無事か分からないけど。
アイツには詰まらない物ばかりだから放置だろう。
ズルズルの服のフードを被って、コンビニで唐揚げ買ってお店に戻る。
開店時間まで少し時間がある。
新しいゲーム実況動画が上がってる。
少し観ててもいいかな。
この声、青くんに似てる。
日常の出来事やゲームの内容をタラタラと喋ってる。
お客さんが「暇つぶしにいいよ」と、この動画の類を教えてくれた。
色々ハシゴしてたら、たまたまライブ中というのを見かけて、タップしたのが出会いだった。ゲームの事なんて知らないけど、声に惹かれた。
恥ずかり屋さんなのだろうか。顔は出てない。アイコンもイラストだ。
『クーにゃん』さん。
配信の時間は色々。会社員じゃないと思う。学生さんかな……。
2、3年も働けば返済出来ると言われた。
そんなに働く気はない。倍速で返済してやる。
アイツもあそこから追い出してやる。
今は疲れきって動けないけどね。
全部終わったらッ!
今は番犬ぐらいに思っていよう。
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