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夜に霞む

【9】 ※

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今回も血が多めです。
男性の妊娠出産表現あります。


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『我は、嫁と仲良くしたかっただけなのだがなぁ』

『父、嫁とは誰ぞ?』
目の前の尻尾が、ウズウズさせる。
なかなか捕まえられない。

『アレの弟だったらしい。アレは怖いのぉ。嫁は可愛くてのぉ。いい匂いがした』

『オッカァは怖くないよぉ~。優しいよぉ~』
隣で、同じように尻尾を追いかける毛玉。

『お前たちは、嫁には優しくするのだぞ。食い散らすと怖いのに睨まれる。食うのは、気持ちが通じてからぞ? 人の身体は壊れ易い』

『『分からん』』

『よいよい。嫁を見つけた時に思い出せば良い』

『『分かった!!』』
尻尾を捕まえれた!


「やったぁー」
気分良く目が覚めた。

「やったぁあ?」
タクが横で肘をついてに横たわって、オレを見てた。目覚めるのを待ってくれてたんだろうか。

「最近は、目を開ける前に夢を見てる?」

「んーーーー、どうかなぁ」
白いふさふさが目の前をゆらゆら。

「あー、ふさふさはワクワクするね」
ガバッと起きる。
夢の続きのような。ぴょんぴょん跳ねてた気分のままだった。

「うぅぅ……」
おなかを押さえる。

「ゆっくり起きないと……もうすぐだろ?」

「足! 今見た? 蹴ってる。二匹は居るね? ウチも双子かな?」
「こんだけ大きいから、三匹居るんじゃないか?」

最近タクは仕事を休んでる。
オレの出産が近いからだという。

兄上は、男だから女性みたいにお腹は大きくならないと言ってたのに。確かに女性みたいに大きくはないけど、膨らんでます。
外に出れない。

あ、兄上は見えてると思うけど、子どもの数は敢えて訊いていない。

「おなか空いたぁ」
「血か? こっちか?」
「タクはどっちがいい?」
「こっち」
股間を指してニヤついてる。
ワンワンはエッチがお好きらしい。

「仕方ないなぁ。でも自分で動くにはやめてね?」
動かれるのは苦しいんだよぉ~。
おなか大きいから更に苦しくってさ。息が止まるかと思ったよ。
喉の奥をズボズボ抽挿された時は……さ。

でも……アレってゾクゾクしたんだよねぇ。出産終わったら、して貰うように仕掛けてみるかなぁ。
前が勃って来ちゃった。後ろもズクズク疼く。

タクをベッドに座らせて、腹を抱えて、身体を脚の間でに持っていく。

前を寛げると、既に勃起してる雄が飛び出してくる。
「エッチぃ。……あむぅん……うふぅん、うふっ、ぅ…ん、んぅう……」
咥えるギリギリまで喋って、息を吹きかけながら、咥えた。
確かな硬度が上顎に当たって、擦れて、喉を刺激して、オレの前と後ろはズクズクと疼いて、息が漏れる。

タクが耐えてる姿を盗み見つつ、唇で竿を摩り舌を這わせる。

自分で動きたいんだ。腰がソワソワ。
耐える姿が堪らない。

咥え切れない竿をコシュコシュ手で刺激する。

一旦口から出して、下から舌をべったり這わせて、舐め上げていく。
プルプルと内腿が震えてる。

カリを舌先でコショコショ。べったりと舌を亀頭に貼り付け撫でて舐めて、きゅっと鈴口に舌先を突っ込んで小刻みに動かして刺激する。

「うぐぅぅぅ……」
タクが耐えてる。可愛いッ。
オレの両肩に手を置いた。
手が震えてる。
オレの頭を押さえつけて、ズボズボしたいんだろ?

パクッと咥え、ジュポッと喉奥へ一気に挿れ込んで、喉を締めて、吸い上げた。
射精の主導権握られるの、首絞めまでしちゃうぐらい嫌がってたタクが、オレに委ねてる。
この事実だけで、前が痛くなるほど勃ってる。

耐えてるタク。
もっと奥に喉を絞めたまま、ググッと奥に導く。

ビクビクとタクが喉で跳ねてる。
竿を舌で撫でて、もうひと吸い。
オレの後頭部に手が添えれ、震えて耐えてたが、グンと押さえ込まれた。

嘔吐きながら、奥に迎え入れる。
叩きつけるような猛り狂う射精が喉奥を襲う。
オレはゾクゾクする快感に浸りながら、吐露していた。ダラダラと断続的な痙攣を起こし漏れ出るオレの白濁。
下着の中で広がっていく。

流し込まれる精液を受け入れていく。胃に直接流し込まれる容赦ない射精。
タクの腰が小刻みに揺れてる。全てを出し切りたいんだ。

溢れさせないように喉を大きく開いて飲み干していく。顎がだるい。

緩い流れになったところで、吸いとるように喉から引き抜いて、もぐもぐ、コキュコキュと飲んで、残滓を吸い取って、舐めまわし、綺麗にする。

チュポン…

「タク、汚しちゃった……お風呂入りたい」
言って、恥ずかしくなって、下を向いちゃった。

横抱きにされて、お風呂に連れてってくれる。
タクさんをチラリと見てば、満足気です。
……オレも、満足、です。

恥ずかしくて、きゅっと抱きついた。
好き!
言いたいけど、恥ずかしい!
大好き!


湯船でゆらゆら抱っこ。
気持ちいい。
眠くなるね……。



大神おおがみさまは、優しいよ。オレ好きになったと思う。嫁なんだよ。迎えに来てくれるんだ。ーーー早く山治めて、来てくれないかなぁ。子どもが出来たって知ったら、驚くね。くふふ……』

この音は好き。
優しく響き。この水を揺らす。
この振動も好き。
くふふって鳴ると、小さく振動する。

このままずっとならいいのに。
隣も同意。気が合うね。

『大神さま、まだかなぁ。ーーー送って貰えば、迷わなかったよね……おなか空くし、散々。白無垢って動きにくいし、ボロボロになったんだよね。返せなくなった。……お腹少し大きくなった?……十月十日かぁ。長いもんだなぁ』

優しい音。ポンポンと振動が広がる。
温かい……ここはいいところだ。



目を開けると、テーブルに何かが積み上がってる。
よいしょ。起き上がる。

ん? そう言えば、最近バキバキ言わないなぁ。
タクが夢見てるか?って言ってたけど、もしかして、動いてる?

近寄って、牛丼の容器だと判明。近くにドリンク剤の瓶も転がってる。
錠剤のシートもある。

タクはソファでイビキをかいて寝てる。

イタズラしちゃおうかなぁ。
ウキウキと近づこうと、一歩前へ。
ズク……
なんだろう……?
立ち止まる。

お腹が、気持ち、わ、る……い?

その場でヘナヘナと座り込んでしまった。力が抜けていく…。

「タァ…クゥ…」

声を出すのも辛い。脂汗が出てくる。クラクラする。視界が急激に狭くなって……嗚呼、このまま倒れる。

頭に衝撃を感じたが、痛いともなんとも感じない。
おなかが変だ。その事だけが、気がかりだった。お尻が妙に温かいというか……お漏らし? いやぁ~ん。

「エド?ーーーーエド?!」

振動と声が五月蝿い!
あーーーーーーッ! 腹が立つ!

スマホ落としてる音してるし、何故スマホ?



オレが気持ち悪さにベッドの上での身を捩らせてる周りで、タクが忙しく動いてる。

その物音にイライラする。

「タクぅッ!」
スタッと横にくる。犬だな!
腕をむんず掴むとイライラのまま齧り付いた。

キーーーーーッ!
チューーーーッと飲んでやった。

「イテェーーーーッ!」

「派手にやってるな」
兄上ッ?!

「犬コロ、いつも連絡が遅いぞ!」
「前以て、連絡はしましたよ」

「ミッター、準備はいいか」
クーラーボックスを抱えた、秘書の三田みたさんが入ってきた。

「大丈夫ですよ。鮮度抜群です」
漁師か。
開けたクーラーボックスには、赤い液体が入ったパックが詰まっていた。

頷いてる兄上をぼんやり見ながら、ちょっと薄いタクの血を飲んでた。

このところ腹が空くので、よく吸ってた気がする。あっちも。

「選りすぐりだが、緊急時だ。我慢しろ」
頭を優しく撫でてくれる。
おなかはズクズクと地味に痛さが続いてる。
いつまで続くの?

「いつまでも居座りよって。育ち過ぎだ」
「破水しましたよ」
「当たり前だ。エドの身体の方が拒否する」
「薬も飲んでたし……」
「確かに渡したが、その為じゃない。様子がおかしいと思ったら、連絡しろ。バカ犬」

「エド、可哀想に。暫く痛覚を鈍らせる。痛いのは嫌いだろ?」
「うん」
兄上は優しい。オレが嫌がる事をしない。

なんだか眠くなってきたぞぉ?
痛覚が鈍くなったら、眠くなるの?

「犬コロよ。孕ませて、弟と一緒に居れてどうだった? もう充分だな?」
冷えた声がする。トゲトゲしてて嫌だなぁ。

タクとは一緒がいい。
おなかの子どもが居なくなっても、一緒がいいの。

おなかに何か侵って……。兄上の手? 心臓の時と同じ? おなかから出されていく。
タクとの子ども……。



『ゆらゆらは気持ち良かったのに……』
隣の毛玉の同意。気が合うな。
柔らかな布に包まれて、ゆらゆらされてる。
『この腕の中も気持ちいいよぉ~』
そうだな。



「デカイな。もう目が開きそうじゃないか。ほら、洗ってやれ」
ベチャ、ベチャと何かが叩きつけられる音がする。

「ミッター、私の着替えも用意……ああ、してるのね。分かった。分かったから。五月蝿い。好きに動け。任せる」

風呂場でキュー、キュンと何かが鳴いてる。

「出血が多いな。犬コロにはこの為に造血剤を渡したのに、肝心なところで役に立たん。この袋も取ろう。異物みたいなものだからな。ーーーエド、上手くいった。すぐ塞ぐ。これを飲め」
チューブを口に突っ込まれる。

流れ込んできた液体は血だった。味は……りょうかな? タクと比べたらダメだね。ゆうですね。

ぷはぁ……!

眠気が晴れてくる。
孕んでから付き纏ってた重い感じと眠気から一気に解放された!

「軽い!」
身体めっちゃ軽い!

起き上がったら、血臭が部屋に充満してる。

パックに繋がったチューブを咥えながら、辺りを見る。
コキュコキュ……チュウチュウ……
兄上が血塗れで笑顔だ。

後ろで三田さんが、掃除とオレのパックの次の準備をしてる。飲み終わるタイミングで替えて、準備。
この血臭の中、顔色ひとつ変えずに作業してる。三田さんまだ人間だったよね。見た目若いけど、もう随分お年だし、兄上どうするつもりなんだろう。

次々パックを空にしていく。この血、オレから出たの? 酷いなぁ…。

周りも綺麗になって、ベッドもマットから変わって綺麗になった。
兄上も着替え終わった。

なんかもの足んないな……。

クーラーボックスが後1/3となったところで、オレの飲み方もゆっくりになってきた。
腹も落ち着いてくると、中にあったものが気になる。

「オレの腹ん中のは?」

「もう要らんだろ?」
「要らない?」
「アレの処遇はこちらで考えるから、お前は回復に集中しろ。アレらに随分持っていかれてボロボロだ」

「要る! タクは?」
「要らん。アレも、腹の中のがあって要ったモノだ。必要ない。もっと早くなる予定を、居座りよって…ッ」

「タクは、タクは……オレの番犬だ」
それだけ言って、後に溢れてくる想いと言葉を飲み込んだ。兄上がちょっと怖い。

この先ずっと一緒にいていいと思った相手だ。ーーーー好きなんだ。結婚して欲しいって言ってくれたんだ。

「暫く、ミッターを置いていく。いい番犬になるだろう。ーーーやめぇい! 離せッ。捨てる訳じゃない。弟の面倒を。会社は社長が上手くやる。もう私は裏方なんだからぁ! やめんかい! 自分の面倒ぐらいみれるッ。うるさいッ」

兄上に三田さんがしがみついて、泣いてる。
めっちゃ泣いてるなぁ。
兄上が本気出したら、三田さんはスプラッターなのに。なんであんなにやんわり触ってるんだろ? なんで人間のままなんだろう……。

もう、パックが数えれる数になっちゃった。
ーーーータクのが飲みたい……。



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反応あると嬉しいです。励みになります。筆が進みます( ̄▽ ̄;)
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