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夜に霞む
【5】 ※
しおりを挟むそんな馬鹿な……。
眷属のラインなんて疾うに超えている。
死のラインも超えて、もう殆ど血は残ってないはずだ。あと一飲み二飲みで終わるはずだった。
顔色だって、青を通り越して、白い。紙のように白いじゃないか。
ベッドの上に蝋人形のような遺体が出来る上がる予定だったのに。
「お前、また、やったな…」
紫色の唇が言葉を紡ぐ。
「またって…」
タクさん殺すの初めてなんですけど?
オレ忘れてるだけ?
血だって、もう流れてないんじゃ……滲んで、一雫、垂れて、流れ…た。溢れてる? 垂れてる?!
「タク、お前って……」
傷も裂いてたのに、塞がりだしてるし……。
睨みつけてた視線が外れた。俯き、ベッドに両手をついて大きな身体を震わせ低く唸り出した。
白い肌に赤みが差してくる。
「あー、射精?…オレ主導が不味かった? ごめんね」
軽く謝罪。コレでいいかな?
苦しそうだね……。すごい汗。
眷属じゃないのは確実なんだよ。だって、匂いがね。
タクの匂いのままな上、陽だまりの雰囲気が変わんないの。夜の匂いがしない。
俺たち種族にはどうしても夜の香りがついて回る。
じゃあ、コレは……何?
吐きそうなのに吐けない? 嘔吐いてる。ゲホゲホと苦しそうだね。ぼたぼたとシーツに汗か唾液か分からない液体が落ちてる。
オレ的には見守るしかなさそう。というか見届けたい。何が起こってるんだ???
随分経ってしまった。
もう暫くは付き合えるけど、朝になると、オレ役立たずだし。
息が楽になったみたい?
水いるかな?
「水飲む?」
「要らん……」
ハァと息をついて、顔を上げた。
顔色が戻ったタクがいた。
掻き上げる黒髪が少し……白い?
「何かしたか?」
そう言うよねぇ……。
「殺そうとしました。えへへ」
明るく言ってみましたぁ。
「はぁあ?」
掌を見てる。身体も触ってる。うんうん、生きてるね。心音してる。めっちゃ元気に動いてる。
お互いまだ全裸です。
「致します?」
きゅるんと小首を傾げて、取り敢えず言ってみる。
「あぁあ?」
髪を掻き回してる。うわぁ、ぐちゃぐちゃ。
「お前、何者だ」
あー、さっきまで金髪男が、数時間でこの焦茶じゃねぇ。
髪色で人って雰囲気変わるんだろ? だから、人間って髪染めたりするんだろ? オレ美容院行った事ないけど、それぐらい知ってる。
「吸血鬼? 色々混じってるけど…」
人差し指を顎に添えて、考えながら、言語化してみる。
信じるか信じないかは、あなたの自由ですよぉ~。
「ハァァァ…。俺もお前の仲間?」
「それが、違うみたい」
順応早い。受け入れちゃった?
「じゃあ、なんなんだよ?!」
睨まれちゃった。混乱中のようです。分かりにくい御仁だ。
さて、タクさんがめっちゃ苦しんでた時間に考えてた事を話す時が来た! 聞いて下さいよぉ~。
ただ見てただけじゃないんですよぉ~。
「仮説だけどね。オレってさ。ご先祖さまが変わり者だったのか。色々な血が混じっててね。発現しなかったら、分かんないって感じなのね。
オレが今発現してるのは『淫魔』の血なのね。それから、嗅覚から考えて、オオカミさんが入ってるんじゃないかなぁ~~と、前から思ってたの。
で、タクも入ってたんじゃないかなぁって思うんです」
「俺は、生まれも育ちも日本だ。両親も。生粋の日本人だ」
オレの話に被せてきた。
「遠いご先祖さまの事なんて知らないでしょ? 言い伝えとかあるかも知れないけど……」
あらぁ、考え出したようだ。心当たりでもある?
浅黒い肌に筋肉質な身体。腕だって頼りになりそうな筋肉がついて太い。スーツを着るとスッキリ見えるから、着痩せするタイプなんだと思う。胸板も厚いし、腹筋も割れてる。
ただ、今はそれがちょっと、かなり?がっちりに変化してる気がする……。筋肉倍増?
「オレが全部飲む気で吸ってたから、オレの唾液もめっちゃ傷口から入ってたし呼び水みたいになって、オオカミ男さんの血が、こう、どばーっと発現して、タクを救ったのではないかと……」
あと、言わないけど、射精の主導権での怒りとかが、生きる原動力というか…。だって、前2回ともオレの首絞めるぐらい頭にきてたんだろ?
「『オオカミ男』さんになっちゃったと思いますッ」
ムフフ。言い切った。結論まで言えた。決まった?
オレの仮説はどうだい? いい線いってると思うんだけどなぁ~。どう?
「今まで通り生活出来んのか?」
あらら、響かない?
「さぁ、どうだろう……」
そろそろ塒に帰りたい。身体が重くなってきてる。
「吸血鬼じゃないから、昼も活動できると思うよ。その髪は染めないといけないかも」
慌てて鏡見てる。
「なんか白いの混じってるけど、俺そんな年齢じゃねぇぞ」
「そんなの知らないよ。目の色は変わってないからいいじゃん」
オレも両親の血をしっかり受け継いでるらしい。
「そろそろ塒帰るわ。朝が近くなってきた」
下の毛を確認してるタクに声を掛けてベッドを降りる。
シャワーは諦めてる。
服を着込んで、タクを振り返る。
頭抱えてる。オレが寝てる間に考えてくれたらいいか。
「今日の料金いいから。晩にまた会うでいい? オレ眠い」
命取ろうとしてた男の言葉じゃないなっと思いつつ言い募る。続きはひと眠りしてからにして欲しい。
返事を待たずに、部屋を出た。
栄養たっぷり貰って身体が軽い。
姿を限りなく消して、軽やかに屋上を路地を駆けて塒に向かった。
バキバキ身体が鳴ってる。
活動時間になった。
シャワーを浴びて、身支度して、洗濯物を新しく買った全自動洗濯機に放り込む。
コイツ賢いの。乾燥までしてくれるんだよ。めっちゃ便利。周りは留守だから、音がしても苦情がないから心置きなく稼働させる。
「タクどうしてるかなぁ……マジか」
タクの匂いがする。
玄関扉の外……。
玄関を開けた。
「お待たせ」
タクの背中に声を掛ける。
缶コーヒーを片手に廊下の柵の手摺りに凭れて、外を見てた。こちらを見ようともしない。
「ああ…」
元気ないね。
オレの今の部屋も寝るだけの部屋だから招き入れても何も出来ないから、外に出る。
タクは、缶コーヒー片手に横を歩いてる。ポツリと昼間の報告を始めた。
「昼間、なんの問題もなかった。ただ…」
缶コーヒーを飲み干した。ぷらぷらとこちらに向かって振って見せてから、握った。グシャっと変形した。
道にあったゴミ箱に投げ捨てた。
「力加減が難しくなった」
「あらぁ…」
繁華街に向かう途中ホテル街を通る立地なんで、ここはホテル街だったりする。
腕を掴まれると、引き摺り連れ込まれました。
「力加減の調整の相手しろ」
エッチで学習?
さっさと手続きして、只今身包み剥がれてます。
「吸血鬼なら、多少乱暴にしても大丈夫だろ?」
あー、たぶん?
「どうかなぁ…」
ポンとベッドに投げられる。
ぽすんと中央に背中から着地。
人間の時と変わんないけど? 乱暴さん。
チマっと中央で丸まってると、上に影ができた。
ローションを手に取って後ろを触り始める。
一瞬で潰れたスチール缶が思い浮かぶ。
ちょっと身体が強張る。
「どうした? 力抜け」
どうしたもこうしたも…治るけど、痛みがない訳じゃないから…ね。
見た目は髪色以外は変わりないね。
全体に灰色ぽく見える。
「同族じゃなければ、血は吸えるんだろ?」
「うん、まぁ……」
よく知らないよ。オオカミ男さんなんてもう絶滅種だと思ってたし、会った事ないもん。
「皮膚が裂けても、骨折しても治るよな?」
「それは勿論ですよ。血が有れば、即効で治癒ですね」
「じゃあ、問題ない」
えー、問題なし?
確かに後ろで解してる指は繊細に動いてますし、感覚としては、お変わりないかと……。
「俺のテク落ちた?」
「えーと、オレの方に問題があるかと……」
「そうか…」
顎掴まれて、唇が重なる。
キスは変わってない。なんか安心する。
クチュ、チュッ、クチュ……
蕩ける……。
お尻で立ててる音がグチョグチョと激しくなってきた。
腰も揺れて、中で蠢く指を自ら感じるところに当てにいく。
「挿れるぞ」
コクンと頷いて、下を見て固まった。
えーと、ソレもバージョンアップ?!
「脚閉じんな。広げろ。なんなら、脚持ってろ」
M字開脚をご所望で…。
ビビる強張った手で膝裏を持って、思いっきり開いて待ち受ける。
前のも大きかったよ。太くて。
今のは、更に大きくなって長くなってない?
ひと回り大きくなった感じ?
奥まで届くよね? 前より届くよね? ヤバくない?!
ズクンと這入ってきた。否、刺された。
「……ッ、はぁあん…ぅぅううん……あぅ…」
ズクン、ズクと小刻みに前後しながら、這入ってくるぅゥゥ。
膝裏を掴む手に力が入る。
「あはぁぁん、う、あ、……ぁぁうぅうんッ」
奥まで届いたと思う。なのに、まだ圧迫してくる。奥が押される。なんなのぉォォ~。
グインクィッと押し込まれた。
顎が上がる。
「うきゅゅゅゅぅうううッ!」
「肉裂いたか?」
ブンブン首を振る。奥の門を開こうとあんたのが押し込まれてるだけ。喘ぐ息遣いで言葉にならない。
でも、そっとしてくれてんじゃん。優しいじゃん。
感覚は優しくないけど。
グインクィッと更に押し込んできたぁぁあああ!
背が反り返って、当たるところが変わる。
角度が変わるのが嫌なのか、腰にめり込む指が更に深くなって固定される。打ち寄せる感覚を逃せない。
グッと押し込まれ、奥の奥に悠々と入り込んで居座ってる。
全部入ったか?
腹の皮膚がタクの形に浮き出てる。
彼の手が腹を撫でてる。むず痒い。尻が揺れた。
「はぅぅんん……」
自滅……。
ナカが痙攣を起こしてる。ゆるゆるとだがしっかりとした快感が暴力的に襲ってくる。
「ココってさ。前立腺だよな…」
腹を指でくりくりと柔らかく触ってた。
ぼんやり見てると、ニヤッと笑ってるタク。
掌をその付近に当てると、陰茎を動かす。
「ああああ????」
中で陰茎が前立腺を擦る。さっき挿れてた時より圧迫感アップで擦れる! 外から押さえられてるのか?!
奥の方が痺れるように擦られて、クプクプと開いちゃいけないところが閉じるとこなく亀頭が行き来する。
「あーーーーッ、ダメダメェェ! クルクル! イクイクゥゥ……! んんんぅぅぅ…」
下半身はがっちり固定されてビクともしない。自由な上半身が激しく反り返る。膝裏を掴む腕もぎゅーっと引き寄せて、意図せず脚を大きく開いてしまった。
更に奥に迎える事になって、身体がカクカクと揺れた。
もう快感過多です。無理です。
ブンブン首を振る。
やめて欲しい!!!!
壊れるぅぅぅ!
爪先がピーーーンと伸び切って、プルプル震えてる。
「いいのかぁ……。動くぞ」
いいけど良くない。誤解だぁぁ! もう動いてるじゃん!
ズク、ズクと抽挿はゆっくり始まり、速度が増してくる。
激しく揺れる身体に、膝裏を掴んでた手が外れて、何か掴むものを求めて、シーツの上を彷徨う。
頭がふわふわしたり、電気が突き抜けたり、おかしくなるぅぅ。
頭を手で押さえるがどうしようもなく、髪を掻き回し、横のシーツを掴む。
手から解放された脚が、タクの動きに合わせて揺れ動いてる。
もうされるがまま。
「あん、あ、あ、あぅぅん、にゃう、ぅあぁん…」
自分の喘ぎ声で耳がいっぱいだ。遠くで呻くようなタクの喘ぎが聞こえる。
「うぐぅ、あぅ……はぁ、はっ……」
タクが感じてる。人間じゃなくなっても感じてる。
なんだか嬉しくなった。
もっと受け入れたくなった時、ズクンと奥に埋め込まれて、熱が放出された。衝撃に恍惚と身体が伸びそうになるのを、抱き込まれる。快感が中で渦巻く。
折り畳まれるのではないかという程、押し込まれ、抱き込まれた。あったかい。うっとりとしてくる。タクの身体の下で彼により密着したくて擦り寄る。
奥に出される熱がドクドクと広がって……終わらん????
「あぅぅん、タクゥゥ。なんで? 出てるぅぅ?」
伝わりそうにない言葉たち。
「なんか、長い……出てるのが止まんねぇ」
伝わったようです。
長い射精って快感が長いって事?
タクが戸惑ってるのがわかる。
奥に注がれてる熱が勢い変わらず肉襞に沁み入っていく…。後孔がググッと拡がって固定されてる気がする? ちょっと苦しい……。
「終わるまで、このままで、いようか?」
呼吸が少し落ち着いてきた。
「おお……」
抱き込み方を変えて、落ち着く形を探してる。
ふぅと息をついて力が抜けた。…見つけたみたい。
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