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恋の奮闘

7】ケジメって難しいです。(前)

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前回は、こんがらがせてしまいましたね。大丈夫。書き手もこんがらがってます( ̄▽ ̄;)エッヘン

今回でちょっとはほぐれるといいな~という事でよろしくお願いします。


============

  
 えーと、サクと二人で会う事は無いというか、会わない方向でいたかったのですが…。あくまでも、サクはダグのお友だちで、ボクはそのお友だち。つまり、間にダグが必ず居る間柄です。

 ダグに説明したら、すっごく渋い顔をされました。最後まで聞いてくれるのですが、なんなのでしょう…。

「なんと言うか、分かったような、分からないような…。取り敢えず、タクトは変わってるな」
 ぼやかれてしまった。

「うん、ボク変わってるってよく言われる」
 えっへんッと胸を張る。
『変人』、『変』は褒め言葉っておじいちゃんが言ってた。

 目の前のサクから隠れるように、やっと戻って来たダグの後ろに入る。隙間から様子伺い。

「サク、ちょっかい出して無いな?」
 ボクの頭を撫でてくれる。安心安全のダグさんです。

「んー、どうかな? タックンは、可愛いから周りから隠すのが大変だったよ」

 ボクにニッコリ笑いかけてくる。
 確かにボクのそばで遠くを見たまま立ってるだけでした。
 ダグのスマホが鳴って、お仕事の電話のようで、身振り謝れて、話せそうな静かな方に移動していったのでした。

「何もされて無いよ」
 サクがボクを目だけで促してくる。ダグにちゃんと報告です。報告大事です。ダグは、たぶん離れたくなかったんだと思う。けど、サクをひとりにしとくとどっか行きそうだし、ボクを仕方なく置いて行った訳で。見えるところで電話してたと思うけど、人混みでよく分からなかった。

 去っていくダグの背中を見てると、ついっと側にサクが寄って来たんだけど、それだけだった。
 前は肩を抱き寄せて来たりしてたけど、今回は何もなかった。最初に顔を合わせた時にダグが釘を刺してたから大丈夫だと思ってたけど、緊張してボクの身体が固くなっちゃった。
 サクは周りを気にしてるようだった。短い時間だったけど、守ってくれてたって事なの?

「放って置いたら勧誘さんに連れて行かれそうだね」   
 手のコンビニのコーヒーをかっこよく持って笑顔で言われた。

 サクはイケメンさんです。ダグと同じ年には見えません。なんというか若々しいです。ダグは渋いです。
 社会人のお二人。年上とは思ってたけど、ボクが思ってたより上でした。お二人とも年より若く見られるのではないでしょうか。

「さ、行くか」
 ボクはダグに手を引かれて、ビルに入っていきます。
 カラオケです。

 ジャグジーはありません。ボクは受付をしてくれてるお二人の後ろでキョロキョロしてしまいました。
 壁のポスターに可愛いアニメキャラの女の子とドリンクやスイーツが一緒に並んでて、コラボキャンペーンと書いてあります。このキャラのコースターを得る為に飲食でしょうか。これ全制覇するには、結構大変ですね。お腹チャプチャプです。

「行くぞ」
 ポスターの前でぼんやりしてると手を引かれて、ドナドナです。途中、渡されてたからコップにドリンクを入れてエレベーターへ。小さなエレベーター内はダグさんでいっぱいな感じです。クマさんが小さくなってる感じが可愛いです。

「ダグ、タッくんがエロい目で見てる」

「気のせいだ」

「え、これが?」

「気のせいだ」

「ふへー、やっぱ面白い事になってるね」

 お二人がお話ししてます。テンポ良くて、よく分かりませんが、楽しそうです。

 大きなクマさんが居ても狭い感じがしない部屋に入りました。扉が閉まると外の喧騒から切り離されました。おー、これがカラオケボックスというところなのですか。

 壁に大きな画面と小さなスピーカーがあります。ソファーとテーブル。テーブルの上にマイクに端末が置かれてます。
 その端末を使って、ダグに何か確認してサクが何かしてます。ボクはキョロキョロと部屋を検分です。面白いです。

「タクト、ここ座れ」

 ポンポンとダグの横を示されたので、トトトとそこへ。サクの手が伸びて、ボクが座りかけてた姿勢のままサクに腕を引かれて、二人の間に座らされました。おや?

「これの方がいい」
 サクがにこやかに言ってる。ダグは眉間に皺がよってるけど、何も言わない。了解なのかな。
 ボクは、L字ソファーの角の場所に収まって、ドリンクのストローを咥えました。炭酸がしゅわわ~です。

 扉からノック音の後、すぐに開きました。喧騒が雪崩れ込んで来ました。扉の向こうは音の洪水です。白のカッターに黒のベストに黒のスラックス。制服の店員さんが「大盛りポテトとナゲットセットとナポリタン大盛りです。あと、イチにゃんパフェ。以上で」と言って、紙を確認してる。取り皿とか置いてる店員さんにサクが「オッケー、オッケー」と軽い感じで返してる。

 ボクは、完璧な制服の足元を見てた。ショッキングピンクのスニーカー。ちょっと汚れが目立つ白い紐がアクセント。スニーカーも紐と同じに汚れてるかもしれないけど、色の迫力に気にならない。制服とのアンバランスが、とってもいい感じがする。

 ボクの視線に気づいたのか、店員さんがバツが悪そうにしてた。ダメだったのでしょうか。ボクはいいと思います。ニッコリ笑ったら、嬉しそうに帰って行った。

 ボクはこういうやりとりしか出来ない。ちゃんと会話がしたいとは思うけど…。

「ダグさん、タッくんが色目使ってる」

「使ってない」

「誘惑してる」
「してない」
「攫われちゃうよ?」
「見てるから大丈夫」
「見てるだけ?」
「うー~ー、食えッ」

 テンポ良い会話です。
 以前から思ってましたけど、仲良しさんです。
 そのテンポの中、ダグが、ボクのドリンクとパフェを交換してくれて、スプーンを渡してくれました。
 ポスターにあったパフェを食べてると、そのままの流れで、ボクを間に話が始まりました。

 事前に話が聞いてたのでいいのですが、ボクは立ち会いのような感じなのでしょうか。
 サクの指定です。ボクが居なかったら、この話はしないそうです。よく分かりませんが、これでダグのわだかまりが無くなるのなら、ボクは構いませんが…。

 ポスターのパフェは、ストロベリーアイスとバニラソフトクリームにウエハースの小さなパフェです。甘くて美味しいです。可愛らしい。

 ボクは満足です。
 サクが横目でボクの様子を盗み見て、不思議そうな感じ。
 そう言えば、サクと甘い物を一緒に食べた事なかったです。おしゃれな食べ物屋さんとか飲み屋さんに連れて行ってもらった事はありましたね…。

「これ受け取ったら、人雇ったり出来ねぇじゃん。設計の見つけたんだろ? 工務店やるんじゃなかったのかよ」

「名前だけ残ってたらいいよ」

「小せい事言ってないで、返済は今まで通り。こうやって時たま会って遊ぼうぜ? オレの息抜きに付き合えって」

「付き合うが、それとこれは別だ」

 並行線です。

 パフェを食べ終わりました。
 ドリンクと空容器が交換されます。
 お口直しにチューとメロンソーダを飲みます。
 お口を拭かれて、ドリンクとパスタの器が交換されました。

 もちもちのナポリタンです。ナポリタンなのに、ボロネーゼのような粗挽きのお肉が入ってます。
 美味しいです。
 ピーマンの苦味がいい感じです。

 ボクが食べてる間にお話は続きます。
 お口を拭かれて、ポテトとナゲットの盛り合わせが渡されたりします。

「ちょっと待てッ。ダグ、いつもこんな感じなのか?」




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