その温もりで抱きしめて。【時々番外投稿〜♡】

アキノナツ

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恋の奮闘

3】セフレの作法?(前)

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「オヤッサン、終わりました。この後、一緒に作業入ります」

 のっそりとダグが現れた。
 うふふ、クマさんみたいで可愛いです。おー、可愛いって感じはこれですか。ん? ボクの可愛いはなんでしょう。
 んー、可愛いは奥が深いです。

「ダグはちょいとズレて来てくれ、彼とつもる話もあるだろ? コレ、確認させて貰うから」

 書類が挟まれたバインダーをおじさんに渡してる。
 おじさんは、この現場の監督さん。ダグの工務店とは別の工務店さんの社長さんです。ここで休憩されてたのはほとんど社員さん。
 いっぱいお話しをしました。

 今度お邪魔する約束をしてしまいました。飲ませて貰ったコーヒーが甘くてまったりしてて。カフェオレしか飲んだ事が無かったので、黒いだけの液体が甘いなんて思わなくて、思ったままを言ったら、おじさんめちゃくちゃ喜んでくれて。挽きたてを飲ませてくれるからお家おいでとなったのです。

 今度は、大福を持っていこうかな。どら焼きがいいだろうか…。

「行くぞぉ~」
 皆さん去っていきます。
 ダグが近づいて来ます。ドキドキです。
 言わないと…。
『お友だちからお願いします』
 何度も繰り返し唱えていた。さぁ、声に出しますよ。

「なんか馴染んでたな」
「はい、楽しくお話ができました。今度おじさんのところにお邪魔する事になりました」

 ダグの笑顔を見たら、スルスルと別な言葉が出てきてしまいます。

「え? そこまで…」
 呆れた顔をされてしまった。

「そういえば、おじさんのお家を知りません。そうだッ、ダグ連れって下さい。一緒に行きましょう」
 ボクだけより馴染みの人が一緒の方がいいですね。
 おじさんたちとお話してたからでしょうか。ボクのお口は滑らかに動きます。

「俺も一緒?」

「お友だちなんですからッ」

 当たり前じゃないですか。それに、ボクはお家を知らないんですよ。
 プンプンしてたら、頭を撫でられた。

 急に体温が上がって、恥ずかしくなって、そばにあったクロワッサンの袋を掴むとダグの大きな胸に押し付けた。

『お友だち』って言っちゃったッ!

 中のクロワッサンがちょっと潰れたかもしれないが、構ってはいられない。

 夢中で今まで来てしまったけど、ボク、大好きダグとこんなに近くでお話ししちゃってますッ!
 お友だちになってて言う前に『お友だち宣言』しちゃった。セックスしよ?って言ってるのも同義語じゃん。ボクからお誘いなんてした事なかったのにぃぃいいいいッ!

「ボ、ボク帰ります。こしあんか粒あんどっちがいいか訊いといて下さいッ」

 一気に捲し立てて、外に出た。気恥ずかしくって。
 どんな顔をしてるか分からないけど、顔が熱いから赤くなってるはず。赤くなった顔を見られたくない。
 元来た道を足早に戻った。



『粒あんが好みらしい。今度の週末迎えに行く』

 メッセージが来ました。
 ブロック解除ですッ。やりましたぁぁあ~。

『ありがとうございます。』

 るんるんで返信。
 好きですと打ち込んで消します。危ない、危ない。

 そう言えば、セフレ…。えーと、セフレとしては何をしたらいいんでしょう。呼び出されたら、すぐに行くんでしたか? 取り敢えずは、ダグからの呼び出し時は準備ですね。

 うんうん、ボクはちゃんと出来ます
 ダグに好いて貰うのです。好きを伝えるのは、控えます。あまり送らないって約束でしたものね。1日1回にしましょう。


『毎朝はやめてくれ』

『なんの事でしょう?』
 ダグのメッセージには、即返信ですッ。えっへん。

 返信が来ません。既読はつくので、見てくれるはずなんですが…。あ、催促してる感じはいけませんね。
 んー、朝のおはようはだめなのでしょうか。

『朝の挨拶は迷惑ですか?』

『そうじゃなくて。挨拶は、いいんだが…』

 いつもハッキリと書いてくれるのに、ダグらしくないです。

『いいのなら、今まで通りで。』

『分かった』とスタンプ。
 このクマさんのスタンプは、ダグそっくりで好きです。実はボクも買いました。使った事は無いですけど。

 好きな人と同じものを持ってるっていうのは心躍りますね。
 さて、午後の講義も張り切って行きましょう。



 挽きたてのコーヒーというのは、味も香りも違いました。おじさんはどら焼きも気に入ってくれました。
 あんことコーヒーはバッチリでした。

 クリームチーズとあんこの変わり種どら焼きも好評でした。おじさんのところには大学生の息子さんがおられました。チラッと顔を出して出かけて行きました。かっこいい感じです。

 帰りの車で二人っきりです。この時間が続いて欲しいです。
「ダグさん、今日は、もっと一緒にいちゃだめですか?」

「ん? 用事もないからいいぞ」

 信号見ながら、ハンドルを回してます。カチカチと鳴ってる電子音も心地いいです。ダグさんは運転が上手です。

「行きたいところあるか?」

「二人ならどこでも」
 即答。ウキウキドライブです。

「お前は、どこで覚えてくるんだか…」
 ダグの顔がなんだか変です。眉が下がってます。

「思ったまま言ってます。大好きなダグと一緒だったらどこでもいいです」

「また口説いてくる…。応えられんと言ってるだろ?」

「おや、これは口説いてるになるのですね。だったら、ボクのダグさんへの言葉は全て口説きになるますね。ボクは、ダグが好きです。でも、まずはセフレからですね」

「はぁあ?!」
 突然、ダグが素っ頓狂な声を上げた。途中までは、なんだか空気が甘ったるくなってる気がしたんだけど、急に空気がピキッと凍った。どうして?

 車はさっきから真っ直ぐに車の列に乗ってどこかへ向かってたのですが、なんだかそれが居た堪れない感じになってます。

「どうしたんですか?」
 車は高速に乗ったみたい。ボク降りたくても降りれなくなってしまいました。

「セフレってなんだ?」



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