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本編
終】散々…そして、抱きしめて(後) ※
しおりを挟む「おぉ~、いい感じじゃん」
「だろ? いっぱい楽しみたかったら丁寧によろ。ローションしっかり使ってね」
角度が悪いとお腹の下にタオルか何か突っ込まれて、固い事務机に擦れる苦痛は無くなったが、突っ込まれる肉棒が何本かをカウントするのは、片手を超えたところでやめた。
軋むドアがあの後も開いては閉まる。人が入ってくる。
腰に添えられる手の感じがどれも違って、どうでも良くなっていた。口のタオルを噛み締めていたがそれも緩く食んでるだけになっていた。
お尻に衝撃を感じて身体が跳ねた。
叩かれた。
「おぅ、締まった。まだいける。サク、追加ッ」
時々お尻を叩かれて、肉棒で直腸が擦られて、ぼんやりしてきて、揺すられ、服の布に擦られる乳首がツンと勃ってきて、タオルを食んでる口から喘ぎが漏れてた。
「サク、タオル外せよ。コイツ感じてやがる」
後ろで腰振ってる男が何か言ってる。
「男の喘ぎ聞く趣味ないって言ってたじゃん」
「聞いてみたくなった。賛成の人、挙手ッ」
「満場一致かよ~」
タオルが外されて、息がしやすくなった。
突き上げるたびに声が出る。喘いでる訳ではないけど、母音だけが漏れ出る声は喘ぎにも聞こえるかもしれない。
パンパンとお尻が叩かれ、結腸はメリ込むだけで抜ける事はなかったけど、接触する下っ腹が気持ち悪かった。肉の打ち合う音と精液の臭い。ボクの喘ぎ声。男たちの呻きと嗤い声が部屋を満たしていた。
目を開けると、クシャクシャのお札が顔の横に置いてあった。
手足が動く。机に長く伸びていた。お尻が冷たい…と思う。
誰もいない…。
足元で絡んでたズボンとかを引き上げて、なんとか痺れたお尻を布の中に納めた。ヘナヘナと座り込んで事務机にもたれてぼんやり。
立って帰れそうにない。
視界の隅に転がってる荷物が見えた。
手伸ばせば後ろから気持ち悪いのが漏れ出てきた。ローションたっぷりって言って、なんかお腹膨れる感じで入れられたりしてた。もう、イヤだ…。
サクに会わなかったら。
あそこに行かなかったら。
のこのここんなところに来なかったら…。
たら、ばっかり。イヤになる。
リュック横に入れてたスマホを取り出す。
サクのメッセージをブロックにする。ダグのアイコンを見て、同じようにブロックしようとして、指が止まった。
ひとりで帰れそうにないからと言い訳して、迎えに来て欲しい旨を書いて、場所を書き込み送信。
手伝ってもらってからブロックしてもいいよね…。
ダグは、たまに会ってもほとんど身体を重ねる事はなかった。
あった時も優しかった…。
涙が次々と溢れて、自分の馬鹿さ加減に泣けて…泣けて仕方なかった。
ダグからコールされても、出ても言葉はでなかった。ただただ嗚咽が漏れるだけだった。
暫くして、うつらうつらしてるところに軋むドアが開く音に身体が跳ねて起きた。
ダグが立ってた。
安堵して、気が遠くなってくる。
ダグが何か怒鳴ってるが、その声も心地よかった。
目が覚めたら知らない天井だった。
身体はさっぱりしてる。
起きようとして、お腹とお尻の違和感に思わず呻いてしまった。起き上がれない。
「起きたか」
傍でバリトンボイス。心地いい声。ちょっと掠れてる。寝起きのようだ。ベッドの縁で頬杖をついて、無精髭のダグが困った顔でボクを見てる。
「お家に帰りたかっただけで…」
酷い声です。
「ひとりに出来ねぇから、連れてきた。なんとなくだが、何が起きたかは分かった」
ボクは何も言えなかったけど、ダグは分かったみたい。
普段もボクが言いたい事が全部言ってないのに、なんとなく察してくれる。
セックスだって、ボクがしたいなぁって思った時しかしなかったもんね。ダグは優しい。
「泣くな。目が溶けるぞ」
ぶっきら棒な物言い。だけど、ボクは優しく感じてしまう。サクは出会った時は優しかったけど、あれ以降全然優しくなくて、学校やアパート知られてるから、なんとなく呼び出されたら会ってただけで。でも、もう会わない。
「サク、今いいか? ーーーーまたやりやがったな…。ーーーーータクト、もう会わないって。お前ももう要らないんだろ? あんな事するって事はさ。ーーーー俺が貰っていいな」
流れる涙を大きな手が掌で拭ってくれる。
スマホを操作してるなぁと思ってたら、通話し始めた。話し始めて、相手がサクだと分かって、身体が固くなった。
固くなってるボクの頭を髪を梳くようにしながら、ゆっくりと撫でてくれる。話してるリズムと違う。器用な人です。
ボクはダグさんに貰われたようです。
スマホがしまわれる。
「言葉のアヤ。これでサクとは切れた。連絡先は削除させたから」
言葉のアヤ?
「タクトは自由。俺と付き合うとか考えなくていいから。何か食べれそうか?」
ダグは優しい。
目が細まって笑った。笑い皺がある。なんでサクと付き合いがあったんだろう…。
笑顔が好きだと思った。
手を伸ばした。
大きな手が包むように握られた。
「ん?」
器用なダグさんでもボクの意図は伝わらないようです。
引っ張る。びくともしないけど、引っ張る。
「どうした?」
無言で引っ張る。力が入らないから、ちょっとしか引き寄せられない。
ベッドに乗り上がってくれた。
近くなった手を胸に抱きしめる。温かい。
ダグさんは、体温が高いと思う。
「んー、大丈夫か? ゆっくり触るぞ」
ちょっとため息混じりに言葉が紡がれる。頭を掻いてる。困った時にする仕草。短い髪を掻き回してる。
温かい手が肩に触れる。力が入りそうになるけど、温もりに力が抜けていく。
様子を見ながら、スルルと抱きしめられた。
ベッドにキュウキュウです。
ボクはダグの胸に頬を寄せた。
温もりに包まれて、眠った。
起きたら、付き合ってと告白する。そう決めました。
口説き落とします。優しさに漬け込んでやるからッ。
=================
付き合いようにはなるとは思うけど、その辺りは、書かずに終わりです。
書いた方がいいですかね。
ダグは多分逃げ回るような気がします。
気が向いたら書くかな。確約は出来ませんです。
なので、完結とします( ̄▽ ̄;)
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