上 下
19 / 36
ナニをさせるのさ?!

1-中.見えてないから…。 ※

しおりを挟む
 
 不意に仏頂面の彼と目が合う時は、淫靡な匂いを感じて、心臓が不自然に跳ねる。でも、オレは、彼の為に変わっていく自分に喜びを見出していた。

 洗浄に適したトイレを幾つか見つけた。
 陰毛が無くなった、パイパンになった日からトイレは個室を利用している。
 もし、見られた時が怖い。リングも目立ってる。陰毛で隠せないのだ。パイパンの言い訳は出来てもリングの言い訳が思いつかない…。だから、個室。

 個室利用なので、ウォシュレットチェックも出来た訳だが。何が幸いするか分からないね。

 金曜には、ひがしの提示してたミッションはクリアした。
 だが、早めにしたのが不味った。最後の業務は変な汗をかく事になった。

 もっと大きいプラグもあるって言われた。徐々に大きくしていくって。今、オレのに嵌ってるのは、一番小さいヤツだと思う。色々怖くて未だにそちら系の調べ物はほとんど進んでない。
 必要最小限。
 避けてる。

 自分に何されるか想像しちゃうから、怖いんだよ。東がそれをどうこうするヤツじゃないと思うけど、あの拘束具の入った箱を見てしまっては、正直逃げたくもなってた…が、今は彼が好きだという思いがまだ強い。

 その辺り彼も分かってるのか、わざと手の内をチラ見せしてこちらの様子を伺いながら、ハードルを調整してる風にある。

 それに、彼は日中のリングチェックは調子が良くなるみたいで、業務の進みがいい。

 だから、彼の要求は譲歩できる事はしてあげるのも、サポート業務としてはいいのではないだろうかと…都合のいい思考が働いてる事がある。これは由々しき事態なので、要改善案件とも言える。切り離して考えないと…。危ない。

 業務を終えて、エレベーターを待ってる。お尻にずっと嵌ってる。慣れるかと思ったが、動くと異物感が鮮明になってくる。動かないようにお尻全体で絞めてみたら、形が感じてしまって、週末で反応の良くなってる前がむっくりして来た。

 痛いのは嫌だ…。視界が滲んでくる。
 そっと肩に手が置かれた。匂いと足音で彼だと分かってたが、振り返れなかった。

 落ち込んでる同僚を慰めてるって感じでエレベーターに乗り込む。

「軽食の食べれるクラブがあるんだけど…」

 お誘いの言葉を耳に吹き込むように言わないで…。くすぐったい。笑っちゃった。

「行く?」

 笑うオレを面白そうに見てる。返事が遅ければ、脇腹を擽ぐるぞと手がにぎにぎしてる。面白いな。

「行くよ」

 目尻の涙を拭いながら、返事をした。
 どうもプラグも角度とかあるのか、上手く嵌ってくれたようで、少しマシになった。慣れかもしれないが。



 来て、少し後悔。

 学生の頃行ってた音楽が流れてるダンスとかのかと思ったら、お姉ちゃんがいっぱいのところでもなかったけど、音楽も掛かってたけど、どうも性的な香りのするところでした。

 奥に個室のような薄布で区切られた空間があるのが、いつかの日本料理の店みたいだけど、あの健全な隠れ家的な雰囲気は影が薄い。

 あの透けて見えるあのシルエット絡んでません?

 薄暗いし、音も大きいからよく分からないんだけどね。

 壁のディスプレイが、ムチとかマスクとかって、これは、SMクラブですか?

 オレの視線を感じて「軽い感じだよ。ノリのディスプレイ」と戯けて言っております。怪しい。
 オレも甘いなぁ…。「ふーん」で流してしまったよッ。

 ボーイの人と話してるなぁと思ったら、奥の部屋に案内された。入ってる後ろで布が落とされた。
 音楽が満ちてて、ソファとローテーブルになんだか細々入ったカゴが乗ったワゴンがあるだけの空間。
 よく分からん。

 ボタン押してる。呼び出しかな?
 ボーイさん来た。正解だったようです。ヨッシャ。

 パスタとか頼んでる。カクテルだろうか。カタカナの名前多くてついていけないよぉ~。完全なアウェイ感。
 今までがホーム的かって言われたら全然違うけどさ。完全に置いてきぼりですよ。とほほ…。

 今のオレの頭は畑違いの専門用語とかで、脳みそのカタカナ枠は、ほぼいっぱいです。
 誰かの助けをするこの仕事はオレには天職なのかもしれない。性に合ってるんだろうな。色々知らない事を知るのは楽しいが、今回のプロジェクトは、初めてな事が多くてキャパいっぱいだ。

 特別に『東枠』作って対応してるだけだからなッ。努力してんだゾォ~。オレってマジに彼の事好きです。付き合い出して、更に募ってます。

 変態ちっくだけどね。そこ、大目に見てあげる。

「ここのボロネーゼ美味しいんだ」

 こうやって、自分が美味しかった物を共有しようしてくれたりしてくれる。彼を知れて嬉しんだけど、ここは…。

「へー」

 場所の雰囲気に圧されつつ、気のない返事しか出来ない。

 運ばれて来たパスタは美味しかった。見た目はミートパスタ?って思ったけど、味も具の感じも違う気がする。
 今度パスタ屋さんに行った時注文してみようかな。あればだけど。オレって『ミートパスタ』か『ナポリタン』で終わってるんだよな。

 考えてみれば、オレの食事情って社食でほぼ終わってた。気づけただけでも世界が広がったね。

 ワイングラスでやって来たカクテルも美味しい。ワイングラスと赤色で赤ワインかと思ったが、なんだか違う。
 飲みやすい。ちょっと辛口かな。

 オレが日本酒も辛口を選んでたから、頼んでくれたのだろうか…。こういうところ好きなんだよな。オレの好みじゃないかと考えてくれてるみたいじゃん。

 パスタ皿は片付けられて、グラス片手にちょいとふわふわしながら、他愛のない話をしてる内に彼の肩に凭れかかっていた。

 あれ? 酔ったかな?
 グラスの中が殆んどカラになってた。

 彼の手がYシャツの上を滑ってる。掌の温もりとさらりとした感触が、身体を熱くしていく。アルコールの所為だろうか。

 グラスが手から抜き取られる。
 ローテーブルの並んだグラスぼんやり見ていた。

 腰骨あたりを撫でられて、お尻の異物を意識し出したら、どうしようもなく肌が粟立ってきて、太ももが擦り合わせては、ビクビクと身体が揺れてしまう。

 彼に縋り付く手が、彼のシャツをぎゅっと掴んでしまってる。シワになっちゃう…。
 仕事終わりなんだから気にする事はないのに、そんな事をぼんやり考えていた。

 耳に音楽が満たされてる。リズムがズクズクと繰り返し。あー、これ、酩酊する部類のヤツじゃん。オレには不味いな…。音に頭がぼんやりする。

 ヤベェ…と思いながらも、尻で疼いてるモノにも溶かされて、オレは彼の首に腕を絡めて、唇を彼に押し当てた。

 彼が少し驚いた顔をしてたのが、ちょっと面白くて、チュッチュと可愛らしくキスをする。
 たちまち彼の目がエロティックな色に染まった。

 舌がオレの唇を舐めてくる。その舌を唇で喰むようにキス。舌でぺこりと舐めれば、絡めら引き込まれる。彼の口の中に招かれて口づけを深くする。

 彼が腰を引き寄せて、オレに跨ぐように促してきた。革靴を脱ぎながら、彼の膝の上に…。

 音楽と布で周りの雑音と気配から区切られる。
 オレと彼の世界…。
 彼の手が尻を揉む。掌全体を使って、痛いぐらいに力強く。今は、その痛みも気持ち良く感じていた。




しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

膀胱を虐められる男の子の話

煬帝
BL
常におしがま膀胱プレイ 男に監禁されアブノーマルなプレイにどんどんハマっていってしまうノーマルゲイの男の子の話 膀胱責め.尿道責め.おしっこ我慢.調教.SM.拘束.お仕置き.主従.首輪.軟禁(監禁含む)

くまさんのマッサージ♡

はやしかわともえ
BL
ほのぼの日常。ちょっとえっちめ。 2024.03.06 閲覧、お気に入りありがとうございます。 m(_ _)m もう一本書く予定です。時間が掛かりそうなのでお気に入りして頂けると便利かと思います。よろしくお願い致します。 2024.03.10 完結しました!読んで頂きありがとうございます。m(_ _)m 今月25日(3/25)のピクトスクエア様のwebイベントにてこの作品のスピンオフを頒布致します。詳細はまたお知らせ致します。 2024.03.19 https://pictsquare.net/skaojqhx7lcbwqxp8i5ul7eqkorx4foy イベントページになります。 25日0時より開始です! ※補足 サークルスペースが確定いたしました。 一次創作2: え5 にて出展させていただいてます! 2024.10.28 11/1から開催されるwebイベントにて、新作スピンオフを書いています。改めてお知らせいたします。 2024.11.01 https://pictsquare.net/4g1gw20b5ptpi85w5fmm3rsw729ifyn2 本日22時より、イベントが開催されます。 よろしければ遊びに来てください。

【完結・BL】俺をフッた初恋相手が、転勤して上司になったんだが?【先輩×後輩】

彩華
BL
『俺、そんな目でお前のこと見れない』 高校一年の冬。俺の初恋は、見事に玉砕した。 その後、俺は見事にDTのまま。あっという間に25になり。何の変化もないまま、ごくごくありふれたサラリーマンになった俺。 そんな俺の前に、運命の悪戯か。再び初恋相手は現れて────!?

【完結】ぎゅって抱っこして

かずえ
BL
幼児教育学科の短大に通う村瀬一太。訳あって普通の高校に通えなかったため、働いて貯めたお金で二年間だけでもと大学に入学してみたが、学費と生活費を稼ぎつつ学校に通うのは、考えていたよりも厳しい……。 でも、頼れる者は誰もいない。 自分で頑張らなきゃ。 本気なら何でもできるはず。 でも、ある日、金持ちの坊っちゃんと心の中で呼んでいた松島晃に苦手なピアノの課題で助けてもらってから、どうにも自分の心がコントロールできなくなって……。

隠れSubは大好きなDomに跪きたい

みー
BL
⚠️Dom/Subユニバース 一部オリジナル表現があります。 ハイランクDom×ハイランクSub

高校生の僕は、大学生のお兄さんに捕まって責められる

天災
BL
 高校生の僕は、大学生のお兄さんに捕まって責められる。

強制結婚させられた相手がすきすぎる

よる
BL
※妊娠表現、性行為の描写を含みます。

処理中です...