音に浸る〜組曲〜

アキノナツ

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3.〜アルマンド〜 ※

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おじさまとワンナイト。


ーーーーーーーーー



今日はホテルのレストランでバイト。

メジャーな曲をいくつか弾いてお茶を濁している。

うん、不真面目。
でも、本気で弾いて食事の邪魔はしたくないだろ?

そろそろ時間か。
好きな曲弾いて終わるかな。

今から組曲はシャク的にムリか。愛の挨拶で締めるかな。
みんな知ってるから、気分良く聴いてくれて、オレも気分良く終われる。

スッと弓を滑らせる。

うふぅん。クルねぇ……。
終わったら、上のバーで一杯引っかけて帰るか。

色気たっぷりに奏でて、ふと視線を感じて見遣ると、視線が絡んだ。

あなたに捧げるよ……。

音色が濡れて、視線と共に絡んで、まとわりつく。

乾く唇をチロリと舐めた。

ワイングラスが似合うダンディなおじさま。

連れの人と何か話してるなと思ったら、席を立った。

あの視線キタな。腹の奥でズクンと疼いた。

黒子に徹して、静かに演奏を終えて引っ込む。
支配人に挨拶をして、今日のギャラを貰って、撤収。

相棒を背負って、最上階のバーへ。

ちょっと贅沢してもいいだろ。
滅多にこんなところに入らないんだからね。
言い訳ばかり。
基本が貧乏性なのさ。

相棒を横にカウンターでカクテルを飲んでた。

「先ほどは…」
隣に座った男はさっきのダンディさん。
やっぱり来たね。

「どうも」
ホテルのカードキーをスッとカウンターの上を滑れせながら、オレの手の下に差し込んできた。

「私の為に弾いてくれないか?」

喜んで!!!
おっと! がっついたらダメ。
ふんわり微笑んで「喜んで」と囁く。

後を着いてくのをいい事に、ニヤケ顔で妄想してた。

ダンディさんは部屋に入ったら、いきなり押し倒してくるタイプだったり?

ーーーダンディさんは紳士でした。

本当に弾いちゃってる。

「チェロに触っても?」
「ええ、どうぞ」
弾いてる横にきて、相棒の胴をつーーーッ触って、オレの腕に、肩に、首に、這っていく。

紳士撤回。
このおっさんエロいな。

ゾクゾクする。
音がエロくなるよ。

あぁ、相棒に触れる弓が不確かになってゆく。
年齢を重ねた節くれだった指が、顎に触れてきた。

欲情した目で見上げれば、微笑みを浮かべたダンディさんが近づいてくる。

ああ、キスですね。
唇を啄みリップ音と共に上唇、下唇と交互に啄み舐めてくる。擽ったくて薄っすら開いた隙間に舌が入ってきた。

指が覚えれるけど、弾けてるのかあやしい。

唇の裏の柔らかいところを舌が這う。
ゾクゾクと背筋を快感が這い上がってくる。

吐息が漏れて、更に口が開く。肉厚な舌がずるりと歯茎を舐めながら奥へ這入り込んでくる。

舌に到達すると、へびったりとオレのに合わせてジリジリと擦り付け、絡みついて嬲られる。
背中のゾクゾクが止まらない。

上顎を擦られて、声が漏れそうになりながら、弓を動かす。

隈なく口内を嬲られて息が上がり出した。

口の端から唾液が垂れる。

なんとか一曲弾き終わる頃には、とろっとろになって息が上がって、完全にオレの欲望は立ち上がっていた。

相棒をそっとケースに横たえる。

背後から抱きすくめられる。
カチャッと留め金をかける。
ここからは、オレの番。

耳に吐息がかかって、吹き込むように囁いてきた。
「今度は君の音が聴きたい」
おじさま臭いセリフ。
でも、今はとっても感じる。

「シャワーを借りても?」
腕を緩める。
「行っておいで。ワインを用意しておこう」
「ステキ」
チュっと頬にキスしてから、浴室に向かった。

良いワインと素敵なおじさまとワンナイト。

イイねぇ。
下準備してきてよかった。
手早く処理すると、バスローブを身に付けて顔を出すと、ワイングラスが誘ってくれた。

夜景とワイン。
気分が上がる。

グラスを軽く掲げ、クッと一口。
コレ確実に高いヤツだ。

もう一口、少し口に含んで、グラスをテーブルに置く。

オレの意図を汲んで、不敵に笑う。
渋いね。

おじさまとキス。
ワインを互いの口の中に広がって、互いの唾液と混ざって飲み干される。
ちょっと溢れたのか、白いバスローブに赤いシミが出来てた。

胸元から口に向かって溢れた跡を辿ってあの舌で舐められた。
この舌いやらしくてイイよ。
ゾクゾクする。

ねちっこいエッチを想像してイきそうになってた。

おじさまの前をスラックス越しに撫でると、期待できる硬さと大きさを手に伝えてくる。

期待に胸が昂鳴り、後ろが疼く。

ベッドに押し倒されて、カサついた肉厚な手が身体を這っていく。

今日は良い夜になりそう。
身体を開く。

おじさまだから回数は期待してなかったけど、ごめんなさい。とっても精力的です。

オレがヘタリそう。

今、夜景を見ながら、後ろから串刺しです。

窓にオレが映ってる。
大きく脚を開き、受け入れてるところも丸見え。
ヌチヌチとおじさまの竿が出入りしてる。
視覚的にやられそう。
おじさまはオレの痴態を映して楽しんでるようです。
腰を振ってやると、呻きながら抉るように突いてくる。

「あふぅん……んぅ…ぅふん」
ああ、クル。イケる。

後孔がきゅうっと締まっていく。
肉壁におじさまの形が感じられる。
おじさまの巨根を感じて、悶えるような浮き上がる快感に身を委ねる。

「ひゃぁあん……あああぁぁ!」
お望み通り啼いてやるよ。

何度目かの吐精。もう出ないかも。
オレの中にも熱が広がる。同時にイったみたいだ。



浴室で後始末すると、きっちり着込む。
朝まで一緒も良かったが、名残惜しくてワンナイトじゃなくなりそうで怖い。
こういう時は逃げるに限る。

おじさまはベッドでおやすみ。
さっき腕から抜け出すのに苦労した。

テーブルのグラスに残ったワインを空けると相棒を背負って部屋を出た。




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