25 / 55
本編
12】決行。そして…(後)
しおりを挟む気づいたのは俺が最初だったらしい。
重なり合うように倒れていた。
魔法陣が消えていた。
静かだ。
そばの机にある小箱から鼓動のような振動音だけが聞こえていた。
重い身体を起こし、座り込む。
魔力が枯渇してる。巡環してたのに…。ああ、魔法陣に使われたのか。
結界の装置が作動してるという事は成功したんだ…。
サムエルが呻きながら起きた。
さすが回復オバケ。容量は大きいのに。身体の大きさに比例するのだろうか…。
目が合う。
胡座をかく彼が笑ってる。成功を確信しているのだろう。
そばのクンティンをそっと抱き寄せて、すっぽり彼の腕の中にはまり込んだ。
そうだった。小柄なのに彼が一番の魔力持ちだった。顔が真っ青というより、真っ白になってる。
回復に難があるんだった。
俺が近づこうすると手で静止された。
もう一つ動く影が。魔王が起きた。
彼が起き上がろうとしたら、バランスを崩した。アリスンがしっかり手を掴んでいる。
「熱烈だな…」
戯けてるけど、声の端々に忌々しげな香りがする。
サムエルの忠告があったから、気づいた微かな気配だった。
「あなたに、勝手は、させ、ないわよ…」
少し遅れてアリスンが目を覚まして、握る手に力を込めたのか、魔王が痛そうな仕草をしてる。
「皆、魔力が枯渇してる。各々休んで、調査は回復次第にするでいいか?」
俺は、皆に許可を取るように見回す。
「そうだが、これからの事を話したいから、4人一緒に」
サムエルがクンティンの額に手を置きながら、訂正してきた。そうだ。早く行動しないと、外の時間が過ぎていく。
「そうしよう…」俺は同意して立ち上がった。
それを見ていた魔王が、アリスンの手の甲に口づけて、手を離させると立ち上がった。
「俺は、執務室にいる。リューリと調査しておくよ。動けるようになったら来てくれ」
アリスンが嫌そうな顔で手を振ってる。清浄魔法かけてる…。失礼だよ…。
クンティンの顔色が少しよくなってる。眠ってるようだ。
「装備を整えて、俺の部屋に集まろう」
サムエルがそう言い残して去っていく。なんだか、気持ちの距離(?)を感じた。
「分かった」
残された俺たちは足早にあとを追った。
俺の勘が正しければ、あの会談時に魔力の充実していた勇者に目をつけたと考えるのが順当だろう。あの目の感じ。嫌な感じがする。
彼にその気がなくても本能的に魔力の多い者。相性のいい者を無意識に選んでるとしたらだが…。多分俺の勘は正しい。
あの時、俺の腕の中のクンティンを見られてた。
俺の腕が切られるような視線。クンティンの中を見てくるような視線だった。
腕の中のクンティンを抱え直し、しっかり抱き抱える。
大切な仲間だ。渡すかッ!
俺の魔力譲渡とアリスンの回復魔法で、漸く目を覚ましたクンティンが、慌てて、魔法陣のあった部屋に連れてけと命令してきた。
俺は素直に従い、彼を運ぶ。
部屋では、降ろせとうるさいので、これまた素直に従った。ここにくるまでもうるさかったが。俺としては随分な譲歩だが、急がなければならないのはよく分かってるから、ぐっと堪えて従うまでだ。
クンティンは、よろけながらも魔法陣のあとを確認して、装置の作動状況を見ている。
尻餅をつきそうに身体が揺れたので、すかさず支えた。
「やったよ。成功だよ。フィンさんにでも光りの柱がどうなってたか聞こうかなッ」
青い顔じゃなかったら、素直に喜べるんだが、嬉しそうなクンティンに頷きで応えて、ヨイショと抱き抱えた。
「歩けるぞ」
「回復に回せ。すぐにでも凱旋だ」
ダロンとアリスンの待つ部屋に向かう。
クンティンは、俺に凭れ掛かって、丸くなってる。つむじしか見えない。胸がざわつく…。
「一緒に帰るぞッ」
つむじに向かってキツく言った。
================
なかなか書けない状態でしたが、連日外回りラッシュ(予定になかったやん)をなんとか乗り越えてました(ーー;)偉いこっちゃ。。。
お話は、やっとターゲットロックオンッ!かな?( ̄▽ ̄;)
続きが気になる方、お気に入りに登録またはしおりは如何でしょう?
感想やいいねを頂けたら、さらに嬉しいです。
↓下の方にスタンプや匿名でメッセージ送れるの設置してあるので、使ってみて下さい
https://wavebox.me/wave/8cppcyzowrohwqmz/
0
読んでくれて、ありがとうございます!
『お気に入り』登録してもらえたら嬉しいです。
更に、感想貰えたら嬉しいです!
↓ ▼ ↓ ▼ ↓ ▼ ↓ ▼ ↓
▶︎▶︎恥ずかしがり屋さんの匿名メッセージはココ!◀︎◀︎
(アカウントなしで送れます。スタンプ連打もOK♪)
↑ ▲ ↑ ▲ ↑ ▲ ↑ ▲ ↑
お気に入りに追加
17
あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。


王道にはしたくないので
八瑠璃
BL
国中殆どの金持ちの子息のみが通う、小中高一貫の超名門マンモス校〈朱鷺学園〉
幼少の頃からそこに通い、能力を高め他を率いてきた生徒会長こと鷹官 仁。前世知識から得た何れ来るとも知れぬ転校生に、平穏な日々と将来を潰されない為に日々努力を怠らず理想の会長となるべく努めてきた仁だったが、少々やり過ぎなせいでいつの間にか大変なことになっていた_____。
これは、やりすぎちまった超絶カリスマ生徒会長とそんな彼の周囲のお話である。

姫を拐ったはずが勇者を拐ってしまった魔王
ミクリ21
BL
姫が拐われた!
……と思って慌てた皆は、姫が無事なのをみて安心する。
しかし、魔王は確かに誰かを拐っていった。
誰が拐われたのかを調べる皆。
一方魔王は?
「姫じゃなくて勇者なんだが」
「え?」
姫を拐ったはずが、勇者を拐ったのだった!?

愛人は嫌だったので別れることにしました。
伊吹咲夜
BL
会社の先輩である健二と達哉は、先輩・後輩の間柄であり、身体の関係も持っていた。そんな健二のことを達哉は自分を愛してくれている恋人だとずっと思っていた。
しかし健二との関係は身体だけで、それ以上のことはない。疑問に思っていた日、健二が結婚したと朝礼で報告が。健二は達哉のことを愛してはいなかったのか?

王道学園の冷徹生徒会長、裏の顔がバレて総受けルート突入しちゃいました!え?逃げ場無しですか?
名無しのナナ氏
BL
王道学園に入学して1ヶ月でトップに君臨した冷徹生徒会長、有栖川 誠(ありすがわ まこと)。常に冷静で無表情、そして無言の誠を生徒達からは尊敬の眼差しで見られていた。
そんな彼のもう1つの姿は… どの企業にも属さないにも関わらず、VTuber界で人気を博した個人VTuber〈〈 アイリス 〉〉!? 本性は寂しがり屋の泣き虫。色々あって周りから誤解されまくってしまった結果アイリスとして素を出していた。そんなある日、生徒会の仕事を1人で黙々とやっている内に疲れてしまい__________
※
・非王道気味
・固定カプ予定は無い
・悲しい過去🐜のたまにシリアス
・話の流れが遅い
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる