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8】会談(下)
しおりを挟む「機会がなく。聖女さまがいらしたら、お伝えするつもりでした。研究者たちからの指示書です」
恭しく魔王に手渡された。
魔王が目を通してる間に俺たちに説明してくれた。
魔法陣の上で、手を繋ぎ、浄化を祈れば、瘴気は消えると言う事だった。
「その指示された魔法陣の描かれてる紙は、どこだ…」
低い声がした。
手元の紙の裏を見たりして、顔をあげた。
魔王が出会って一番の危機迫るキツい表情で執事服の男を睨んでいる。
鋭く刺さりような眼差しだ。空気が冷える。マジに魔王じゃないだろうか。
「よ、汚れて、しまいましたので、陛下の目には…。お許しを」
ガタンと椅子を蹴るように魔王が立ち上がった。
「どこに描いた。そこにあるのだろ? 案内しろッ。お前たちも来てくれ」
地下室ような広い空間に出た。魔道具だろうか灯りは十分だった。
床に人が二人座れるだけの十分な大きさの魔法陣が描かれていた。
「綺麗な魔法陣ですねッ」
嬉しそうにクンティンが目を輝かせて見てる。
彼の得意分野は魔法陣。空間魔法陣を鞄に仕込んで荷物を多く入れられるようにしたり、重力制御なども彼が魔法陣で鞄や着ている物に施して、補助的に使っているらしい。
魔法と自らの力ではどうにもならない事をそれで補完してるのだが、元々が力持ちなので、どこまでの代物なのか、いまいち掴めていない。ただ、毎度食べる食事はバリエーションに富んでいた。毛布もなんでも望めばなんでも出て来そうだった。
「そちは、魔法陣が読めるのか?」
「クンティンと申します。魔法陣学を修めております。このポーチにも空間魔法陣を。なんでも入りますよ」
腰のポーチをポンポンと誇らしげに叩いてる。
「ほぅ、本とかあるか? 艶本がいいんだが」
「えーと、どんなジャンルがいいですか? 熟女系がいいですか? 少女系もありますし、陵辱、純愛、寝取られとか、男同士の純愛も…」
中を物色するようにポーチを覗いてる。日頃のクンティンからは想像できない単語が出てくる。
誰の趣味?! 君の?!
「品揃えがいいの。また後でゆっくり見せてくれ。それよりコレだ」
魔王がノリノリで話してたからすっかり忘れてた。
「何を言われていいように色々入れて来たんで。ーーーーコレ、何で描きました?」
「調合インクで。調合は、一緒に送られてきた材料を調合しました」
自身ありげな凜とした男は、青ざめた顔で答えてる。隠し事がバレバレだ。否、違う。この場所が辛いんだ。汗が酷いな…。
「その質問はあとにしよう。何をどうするとなってる?」
魔王がクンティンの注意を魔法陣に向けさせた。
「ああ、なるほど…。古い言葉ですが、意味は分かります。そして、魔王さんの考えも分かりましたよ。えーと、執事さん? コレだけの大きなのにしてくれてありがとうございます。歪みもなく、綺麗に、丁寧に描かれてる。凄いですッ」
「小さくは書けなかっただけで…文字などは正確にとあったので…」
「確かにこの線の太さではコレがベストですね。魔王さん、早くここを出ましょう。サムエル、支えてあげて」
「ホイよ。言われなくても大丈夫だったけどな」
サムエルが執事服の男を支えていた。
真っ青を通り越して真っ白だ。
さっきの部屋に向かいながら、クンティンが魔王と話している。
サムエルは男を休ませる為に、淫魔メイドの案内で別行動になった。
「きっと別な場所でインクもどきで練習して、あそこで本番作業してたんです。魔王さんも気づいたんでしょ?」
「気づいてたらさせてない」
「血は鮮度も必要だから、1日で描けるインクの量も見極めないといけなかったはず。多分ここに来て、すぐに始めた、否、指示書が来てからかも…」
「サルだったから…気づかなかったよ…」
前を魔王とクンティンは、話しながら歩いてる。
「サル?」
クンティンが聞き返してる。
サル?
俺も分からん。
隣りでアリスンが俯いてる。見える肌が赤く染まってる。
どうやらいやらしい話らしい。
女の子にはキツいよな。
そうだ。何か、元気が出そうな言葉を…。励ましたいけど…。
胸の大きさでは、フィンとか言う淫魔に負けてないけど、そういうの言うと確かダメだったよな。励ましにならないって酒場でそんな話を耳にした。確かグーで殴られたって言ってたな、誰かさん。
「さて、これからの事を話し合おうではないかッ」
元の部屋の扉を開くと、魔王が高らかに宣言した。
「我々の未来のためにッ!」
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出会っても、エロなしで申し訳ない(ーー;)
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