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本編

2】『魔王』にされたのね。

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「瘴気がここにね…。ココは瘴気だまりだから、魔獣や魔物が出来ちゃうよね。でも父上たち対処してくれてるって…」

 腕組みして大きな椅子にもたれる。

「それなんですが、あの…300年の間にお父上も王太子殿下方も…天寿を。血族は絶えておりませんが、我が国も公国に形を変えてしまい、我々の事を忘れてしまったようです」

「マジで?」

 思慮深く閉じていた目がバチっと開いた。

「マジでございます」

「そっか。最近手紙も物資も何も無くなってたからなぁ」

 気づいておられていたのか。

「備蓄がございますから油断しておりました」

 別件に追われていたからな…。

「手紙が来なくなったのって…ココに来て、割と早かったね」

「ええ…頑張っちゃいましたからね…。貴方、1年ほどお盛んでしたよね?」

 フツフツと湧き上がる感情。このお方に向けるのはお門違いのは分かってはいるんだが…。怒りが湧いてくる。

「あー、確かにサルだったなぁ…」

 そう、このお方はサルだった。

 気持ちいい事を知って、ココに来て、勉強と公務から解放され、心置きなく歴史書からエロ本に持ち替え自慰を楽しんだ。

『聖女』が来るまで、穢れを抑えればいいと手紙がきていた。
 お気楽に来るべき時まで遊んでようっと自堕落に盛った。
 その上、お父上から送られて来た元娼婦の侍女たちともにゃんにゃんとヤり放題だった。

 アンアンと甘い媚びた声と「おぅッ、あうぅ…」とだらしない主の声が日がな一日屋敷に響いた。

 私は屋敷内を整える為に送られて来た物資と人の対応に追われていた。

 辺境領の屋敷は小ぶりの城の様式だった。ココは他国との国境付近でもあるので、要塞としての役目もあって、生活するには手狭であるが威風堂々やる外観はしていた。

 石造の屋敷に淫靡な空気が漂い。
 世界中の瘴気が集まったという事だ。なんか濃くなったなぁとは思ったけど…。
 彼が快感の絶頂で射精して浄化しても、世界中の瘴気が一気に処理される訳ではない。

 だが、快楽を知ったばかりの男子は、夢中で貪った。彼の精液は瘴気の浄化に使われて、子種は死滅していたので、生殖機能はないのは判明していたが、射精直後の精液には穢れが残っていた。時間が経てば浄化されるが。

 女たちは、王族の彼の子を身籠ればワンチャンと役目も忘れて、避妊具に仕込みをして、穢れを体内に取り込み魔物に変化していった。
 淫魔になって、今も彼を楽しませてる。

 彼女たちは、嘆くどころか楽しそうだ。
 こんな感じで、領民も濃くなってくる瘴気から逃れて行ったりして元から居た者は少なくなっていた。
 代わりに領民となったのは、犯罪歴のある者や各地で穢れや瘴気で変化して居場所を無くした者がここに流れて来た者たちだった。

 ハァ…と重く長いため息を吐き出す彼を見てると、自分の仕事が荒かった事も認めざるを得ない。

「1年で一気に瘴気が濃くなり時間に歪みが出来てしまいまして、そこからは…」

「えーと、そろそろ3年になるね。1年が瘴気の外だと100年?」

 指折り振り返っておられる。
 ちょっと頬が緩んでだらしない顔をしてる気がするが、そこはまぁ、仕方がないか。
 大体そんなところだな。

「ここ最近、妖艶な淫魔ちゃんとちょいちょいしかしてないよ」

 ハイハイ、毎晩しか・・してませんね。
 朝は遅めに目覚めて、中断してた勉強を再開してましたね。算術は300年前のでも通用するかもだが、歴史書はね…。
 領地の事にも意識が向き出してもいた。

 私も、領地で起きる争い事の対処に駆けずり回り日々だった。憲兵はいつの間にかいなくなっていた。嫌気がさしたかと思ってたが、濃い瘴気に魔の者に変化していった事に気づいたのは随分後だった。
 今は、無法地帯になったがそれなりの秩序が出来ていた。
 無法者も彼らなりの秩序があるのだと知った。外では通用しないだろうが。

 その無法地帯に娼館が出来、そこに元侍女の淫魔たちもいついてたりする。そこからこちらに働きに通ってる状態だ。

 王様も真面目な子を選んでくれたのだろう。生活空間の維持を担ってくれている。力仕事などは、外から男衆を連れて来てくれる。彼女たちがこの領主の地位を保つ努力をしてくれていた。領主がいるから自分たちの居場所が保証されていると。

 一時期は蔑んでいた時期もあったが、今は感謝しかない。

「最近さ、男っぽい筋肉質の淫魔ちゃんもいいなぁって思うんだよ」

 部屋の端まで移動していた。
 言葉を頭が理解する前に身体が反応してくれたようだ。

「あー、男は範囲外だから。お前には俺のちんぽ、反応しないよ~。メガネはエロいってフィンちゃん言ってたけどさ」
 お気に入り淫魔の子の名前が出て来た。彼女は顔は幼い感じの豊満な身体の持ち主だった。

「左様で…」

 元の位置に戻って、手元のファイルを開いて、用紙を陛下の前に差し出す。

「ーーーーーマジ?」

 黙って受け取ると、数枚の用紙を読み進め、机に静かに置いた。言葉は軽いが声音は重かった。

「こちらに向かっております。各地に散っている魔獣を討ちながら」

「勇者か…」

「魔王討伐が最終目的です」

「俺が魔王って事なんだよな。俺、殺されるの?」

「このまま放置したら、そうなるかと…」

「迎え撃つ準備が必要って事か」

 ガタッと立ち上がる。
 流石に自分の命が関わってくるとやる気になるよね。私も微力ながら、対処を考えなければ。

「ところで、『聖女』ちゃんはどうなったの?」

 え? そこ??
 確か、『聖女』ちゃんとにゃんにゃんするのを妄想しておられたな…。

 残念でしょうけど、もし来ていただいてもソレはないんですよ。
『聖魔法』を陛下と手を繋いで放出し、陛下を媒体に浄化が完了にもなると、研究者たちからの報告書で回答されていた。
 されてたんだが、そもそも…

「『聖女さま』は来られません。召喚は頓挫して、予算は浄化装置の魔道具に使われました」

 確かにこっちの方が現実的だわな。
 そのお陰で、我が国は公国となって生き残ってる。その辺りの説明は後日でいいだろう。

 結果だけ告げた事で、目の前の彼は、椅子に頽れて溶けている。
 余程『聖女』に幻想妄想でウハウハしていたのだろうか。
 出来ないとなってショックなんですな…。

 真っ白になってますね…。

 彼を執務室に放置して、勇者一行の動向の調査報告を聞きに広間に向かった。

 陛下、泣くほどなんだ…。
 出ていく後ろで、ぐすんと音がしていた。

 今日の当番はフィンだったな。
 慰めて貰って下さい。
 




==============


退屈させてるね。。。スンマソン。
えーと、エロまで長い道のりだ…。
勇者の影がやっとだよ( ̄▽ ̄;)

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