『カケラ探し』〜全ての感覚が消失。取り戻すには、半身のような唯一を探すしかない。

アキノナツ

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好きになって?

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『今が中央から見て南で、次が東の山間になります。そして、最後が中央です。そこで、私は帰ります』

これからの旅程をざっくり聞きながら、食事。甘みの中に何か味があるような気が…と思いながらも視覚に邪魔されて、食欲が減退する恐れから目を閉じて必死に咀嚼していた。

帰ります?

口の中のものを大慌てで飲み込み。喉に詰まらせかけたのを水で流し込む。

『帰るんですか? お別れ? 嫌だよ!』

返事を待たずに捲し立てる。
別れたくない!
口を手で拭いながら、目を見て頭で言葉を紡ぐ。
まだ耳が使い物にならなくて、発声が出来ずにいた。

『こんなに好きなのに、離れ離れなんて耐えられない!』

『あー、好きとかどうかは別として、私の役目は中央までなので』
要は『ケーキ』たちに引き合わせたら仕事はおしまいという事らしい。

『俺が他の「ケーキ」たちと寝てるのが許せない? もっと愛したら、セックスしたら、好きになってくれる?』

俺の倫理観は元の世界に置いてきてしまったらしい。頭がピンクだ。
この甘ったるい匂いに浸ってるのも良くないと思う。でも、好きで仕方がない。どうすればこの気持ちが伝わるんだろう。

困った笑顔。
困らせてしまった。

腰を浮かせていた椅子に座り直す。

『とりあえず、次の方に会いに行きましょう』
もう下半身が別物な気分。
本当に俺の倫理観は何処に行ってしまったのか…。

『ジュラさん、エッチがしたい』
ほんと何処行ったんだろうな?!

『分かりました』
ベッドに向かいながら、衣服を脱いでいくジュラさんもどうかしてる。
『俺は、ジュラさんが好きだから、エッチがしたいんですからね!』

『私の役目は、訪来者を無事送り届ける事です。これもその一環だと思ってます』

寂しく笑わないで!

『離れたくないって言いたいだけなんだ』
半裸のジュラさんをベッドに押し倒した。

ぎゅっ抱きつくと、ブワッと甘い香りが立つ。発情した。
『ケーキ』はこういう存在なのだろうか…。

甘い口づけをした。
離れたくない。
大好き。
好きになって。

好きをいっぱい伝える。
言葉で。手で。行為で。

大好き。好きなんだ。好きになってと。




==========

駄々っ子なフミです。
大人ぶったりするけど、まだ高校生だもん( ̄▽ ̄;)
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