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捕まえられた後は…

後話8.デートは甘い。(2) 微※

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「あのね、常連の黒服さんがね。もっとキラキラ系のが欲しいって。でね、「待て待て、圧が強いッ。落ち着け」

 ワクワクが溢れるままに話し出す。その場で跳ねそうな程だ。持ち上げてるから出来ないが、身体全体が跳ねるように揺れてる。
 言葉を被せて悪いが、ストップをかけさせて貰った。
 話が見えない。落ち着こうか。俺のナニも落ち着かせて…出来るだけ頑張って貰おう。

 ひと先ず、椅子に座らせて、カウンターに放置されてたブツを盆に乗せるとテーブルに運ぶ。話にはコレが必要なんだろう。

「えーとね、お姉さん達に負けないぐらいのキラキラが欲しいらしんだけど、よく分からないんだよね」
 メモ帳を広げる。俺が座るのを確認すると話し始める。

「んー、姉ちゃん達に?」
 腕組みしながら、コーヒーを啜る。瑠凪るなはそういう世界を直に見た訳じゃない。連れて行ってもいいが、揉みくちゃに可愛がられてそうで…。確実にのおもちゃにされそうだ。『この子可愛い~』と黄色い幻聴がこだまする。
 写真やドラマで十分だろう。

「お店営業中だろうなって時間に来てくれるんだけど、買うのが決まってて、決まってるからソレで良いのかなぁって思ってたら、たまたま話す機会があって。いつも同じだとちょっとって。で、バイトくんに包んでもらってる間に話してたら、最近来てくれるお客さんが女の子達と食べるスイーツにハマってるんだとか。すぐ飽きるかと思ったが続いていて、近くの店をローテーションで回ってたんだって。リクエストが『華やかな』でとザックリでいいんだけど、手詰まりになってきたって」

 一気に喋りやがった。でも、まだ続くな…。
 フォークの柄に指を沿わせ滑らす。
 ケーキに手をつけるかどうか迷ってると、彼は察して『どーぞ』と手で示してくる。

 遠慮せず、『相談事』を聞きながら、アイシングされたショートケーキを口に運ぶ。
 柔らかなスポンジとアイシングの歯触りが面白い。もう少しスポンジは固めでもいいか? もうちょいスポンジにも甘みが欲しいかな…。

「で、事前に連絡貰えたら、デコレーション凝ったのを作りますよって言っちゃってぇ。僕ひとりで作ってるから、そんなに凝ったのは急には無理かもっては言ってたんだけどね。そしたらどういう訳か、SNSを見たって人がコレないの?って来ちゃったのですよぉ~」

『あー困った』という顔で、唇を尖らせてる。
 可愛いねぇ~。
 後味に爽やかな香りが広がる。コーヒーを一口。苦味が混じり合う。ああ、なるほど。これ、いいな~。

 ある程度喋って落ち着いたようだ。テーブルを見て、素っ頓狂な声を上げた。
「ああ! コーヒーじゃなくて紅茶だった…」
 項垂れてる。

 確かに『レモンケーキ』には紅茶の方がいいかもしれんが、俺はにがサッパリも好きだが。

「コーヒーも合うよ?」
 マジで。もぐもぐしながら告げる。

「ホントに?」
 無言で頷いて、カップを傾ける。瑠凪くん、上の空で用意しちゃったらしい。珍しい事。
 んー、行き詰まりかぁ~。ある意味煮詰まってるかな?

 あのスケッチはデコレーションのパーツアイデアって感じだったな。

「デートしようか?」

「えっ?」

「コレ、夏のケーキだろ? ちょっと凝ったデコレーションを加えたいが、ゴテゴテしいのはイヤ…じゃないな。現実的じゃない。いちから開発は難しいが、何かしたい…。同じケーキで違うデコレーション。時間帯で変えてみようかと考えてる?」

「タツオさん、すごいッ。僕そこまで考えてなかったけど。そうだね、時間帯っていいかも…うん、SNSで来てた子達も遅かったし…。いいね」

 後半は独り言に近いな。メモを書いてる。
 空になった皿にフォークを置き、コーヒーを飲む。俺の気持ちもだが、愚息が待てそうになくなってきた。

「ひとりでも無理なくちょっとひと手間をそのケーキに施したいが、ピンと来ないってところか?」

 もう限界なんだ。突っ込ませろッ。

「うん。夏の新作はレモンケーキをアレンジしたいんだ。でも、なんかピンと来ない」

「香りも良い。レモンケーキとしては完成された感じだな。で、気分転換にデートだ。行こう。夏は…海か? だが、春の海はちと寒いからな。水族館てのはどうだ?」

 飲み干したカップをソーサーに置き、両手を広げる。もう汗は引いて、タオルを持ち上げてるそこだけが熱いよ。
 さぁ、コイ! 俺をこれ以上待たせんじゃねぇ!

「あ、その…」
 頬を染めながら、ごにょごにょ言いながら、席を立つと、トコトコと近づいてくる。
 椅子に座る俺の首に腕を回しように抱きついてきた。
 甘い香りとコーヒーの香りが香る髪が頬に寄せられる。

「ありがとう。嬉しい…」

「じゃあ、今度はこっちの相談事を聞き入れて欲しいんだが?」

「うん、いっぱい、聞く…」

 タオルの上から彼の手がそっと触れてきた。エロい触り方してきたよ。竿を撫で上げ、亀頭に指先を添えて、クニュクニュ触っている。
「いっぱい、聞かせて…」

 スラックスの尻に手を添える。割れ目に指をグッと割と入れた。

「あっ……」
 甘い声が漏れた。

「ああ、いっぱい、お前の中に聞いてもらうよ」
 指先に触れる硬質な感触にニンマリ。なんだよ、コイツも『待て』してたのかよ!
 ああ、だから早く話して、ニャンニャンしたかったのか?

 俺の瑠凪は『淫乱変態』さんでした。




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