12 / 45
捕まえられた後は…
後話2.必ず俺の元に。(1)
しおりを挟む長くなる予感(⌒-⌒; )
瑠凪くんの背景が垣間見れる回です。
前回のお話が前振りです。
============
『来いよ』と言えば、やってくる。
ただ都合がつく時だけだ。
俺の所有と言っても、デリヘルのように呼べれる訳ではない。
対馬瑠凪くんは学生だ。勉強の方を優先させている。
「タツオさん」
玄関を開けると、ニコニコと保冷バッグを手に立ってる。
今日もオーバーサイズのカーディガンを着ている。今日は黄色みのあるオレンジ。山吹色とか言ってやがったか。
淡い色味のそれは、瑠凪に似合ってる。
呼び出しは、俺からばかりで彼から『会いたい』なんていう甘いお願いはまだ貰えてない。
合鍵を渡してるのに、ベルを押す。行儀がいいのだが。
下のオートロックで呼び出しを押した時は、『合鍵使えッ!』と思わず怒鳴ってしまった。どんだけ周りに無自覚エロテロしてるか分かってるのか! 頭が痛くなる。
そこで襲われても助けられん。俺もそこそこ敵もいる。
護衛でも付けるか…。中に常駐の人間が居るから、外からの訪問は気にかけてくれてるようだからいいんだが。
部屋番押してるところを見られたら、俺との関係が漏れてしまう。
よくないな。
一層の事、ここに住まわせてしまうか。
そうなれば、誰かを常に付ける事になるな。一般人だ。不自由な事にはしてやりたくない。難しいな。
持って来た桃のムースタルトを頬張る。
タルト生地が程よい固さ。俺好みだ。
ムースがさっぱりしてる。桃の甘ったるいのを想像したが……。
「タツオさん、分かったんだ。洋梨をムースに使ったの。先生にも褒められた」
俺がひと口目で考えてるのを察したようだ。
課題のケーキだったらしい。
俺にも食べて欲しくて、カットした物だけど持ってきたと嬉しそうだった。
俺のちょっとした様子に敏感に察する。
可愛すぎてムラムラしちまう。
瑞々しい桃を頬張る。
可愛らしい口にも突っ込む。
濡れた唇を見ながら、咀嚼して、嚥下。
俺の突っ込みてぇなッ。
「なぁ、お前のその口も下の口も、俺が初めてじゃないよな」
ムラムラしての発言。
最後の一切れを口に収めた。
初めは、何を言われたのか理解できなかったのだろうが、じわじわと顔が赤くなる。涙目。可愛いぃい!
初めてじゃないのは分かりきってる。なんせ売り飛ばそうとした彼氏さんから寝取ったんだからな。
じっと見てる俺から逃れられないと分かってか、何か言おうとして口を開閉してる。唇を舐めて、言葉を探してる。
「どれだけの男がお前の味を知ってるのかと思うと、お兄さん焼けちゃうな」
フォークを振りながら嘯く。
軽口。ご馳走さんと手を合わせる。
「…ごめん、なさい…。僕、よく分からない…」
ん?
えーと、歴代彼氏の数言えばいいんじゃないのか?
武勇伝的に言うと思ってたが。んー、お行儀のいいお子ちゃまは、こんな事は言わないのか。
「すまん、すまん」と言って話題を変えようとした。
テーブルの上を片付ける。
身辺報告の書面を思い返す。
家族構成とか人間関係などを洗っただけだったが、もう少し調べさすか? 否、問題はなかった。必要ないだろう。俺への危険のある関係もなかった。ごく普通の綺麗なもんだ。
何かあるなら本人に喋らせよう。
そう言うのも楽しそうだ。
困り顔で視線がウロウロさせてる。
突きたくなる。いじめてちゃん。無自覚なMっ子だね。
「へー、下のお口は、いっぱい男の味を知ってるって事かな? すっごい淫乱ちゃんじゃん」
真っ赤になって下を向いちまった。尋問してるんじゃなかったんだが。軽いプレイ気分だったんだが?
どうも不穏な空気。
「おい、こっち見ろよ。やましい事でもしてたのか?」
風俗経験は無いとなってたが、あるのか? 年齢的にいつだよ。
高校生か? 援交か?
「あの、よく、覚えてなくて、僕、複数の人に襲われてたかもしれなくて、妄想かも知れないけど…」
悲しそうな顔で見つめて来た。困り顔だ。
妄想か。
にしても、爆弾発言だな。
9
お気に入りに追加
259
あなたにおすすめの小説
小さなことから〜露出〜えみ〜
サイコロ
恋愛
私の露出…
毎日更新していこうと思います
よろしくおねがいします
感想等お待ちしております
取り入れて欲しい内容なども
書いてくださいね
よりみなさんにお近く
考えやすく
目が覚めたら囲まれてました
るんぱっぱ
BL
燈和(トウワ)は、いつも独りぼっちだった。
燈和の母は愛人で、すでに亡くなっている。愛人の子として虐げられてきた燈和は、ある日家から飛び出し街へ。でも、そこで不良とぶつかりボコボコにされてしまう。
そして、目が覚めると、3人の男が燈和を囲んでいて…話を聞くと、チカという男が燈和を拾ってくれたらしい。
チカに気に入られた燈和は3人と共に行動するようになる。
不思議な3人は、闇医者、若頭、ハッカー、と異色な人達で!
独りぼっちだった燈和が非日常な幸せを勝ち取る話。
病気になって芸能界から消えたアイドル。退院し、復学先の高校には昔の仕事仲間が居たけれど、彼女は俺だと気付かない
月島日向
ライト文芸
俺、日生遼、本名、竹中祐は2年前に病に倒れた。
人気絶頂だった『Cherry’s』のリーダーをやめた。
2年間の闘病生活に一区切りし、久しぶりに高校に通うことになった。けど、誰も俺の事を元アイドルだとは思わない。薬で細くなった手足。そんな細身の体にアンバランスなムーンフェイス(薬の副作用で顔だけが大きくなる事)
。
誰も俺に気付いてはくれない。そう。
2年間、連絡をくれ続け、俺が無視してきた彼女さえも。
もう、全部どうでもよく感じた。
鬼上司と秘密の同居
なの
BL
恋人に裏切られ弱っていた会社員の小沢 海斗(おざわ かいと)25歳
幼馴染の悠人に助けられ馴染みのBARへ…
そのまま酔い潰れて目が覚めたら鬼上司と呼ばれている浅井 透(あさい とおる)32歳の部屋にいた…
いったい?…どうして?…こうなった?
「お前は俺のそばに居ろ。黙って愛されてればいい」
スパダリ、イケメン鬼上司×裏切られた傷心海斗は幸せを掴むことができるのか…
性描写には※を付けております。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる