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犬と猿
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「地震だ!コテージから出よう!カリン、早く!」
僕たちは、お互い裸から慌て装備を整えて、飛び出すようにコテージの外に向かった。
ウゴォウゴォォ!!!
地鳴りのような重低音の音が鳴り響く。
ケルベウスが起きて、耳を立たせて警戒している。
バウ、ワウ、ブルン!
騎士ゴーレムもどこから出したのか長剣を抜いて構えている。
嵐の様にビュウビュウと風が吹いて、舞い散る葉っぱが月の光に照らされている。
ウォオォ!!
「何かが、来る!」
森の樹々がザワザワと不穏な音を立てる。
空気がビリビリ震えるほどの強力で敵意溢れる魔力。
怒り、憎悪、排除、粛正、拒絶、そんな気持ちがジンジンと伝わってくる。
地面がグラグラと揺れて、だんだん大きくなっていく。
信じられないものが見えた。
薄い紫色がかった透明な巨大な水晶玉が宙に浮いている。
しかも、その上にはケルベウスと同じくらい大きな白髭を伸ばした黒い大猿があぐらを書いて座っていた。赤く光る目が怪しく恐ろしい。
ウゴォウゴォォ!!!
大猿がケルベウスを威嚇するように吠える。
地響きのような唸り声。
ケルベウスが空に向かって、遠くまで響くように吠える。
バウウー、ワウウー、ブルルー!
ケルベウスに敵対するほどの強敵。人類が太刀打ちできるはずがない。
僕とカリンは、コテージに身を寄せて、見守ることしかできない。
ケルベウスが躊躇なく強烈な炎を大猿に向けて放つ。身体全体からとんでもない熱と炎が溢れるだす。やっぱり敵なんだ。ケルベウスにとっても。
そして、これがケルベウスの本当の姿。恐ろしすぎる!
一頭のケルベウスの炎の通った地面が燃えて溶けてマグマになる。
なんて火力だ!
大猿がヒョイヒョイと水晶に乗りながら炎を避ける。
ケルベウスがそれぞれの頭から一つずつ連弾で炎放ちまくる。
もう周りの森が大火事だ。
あっという間に森が火の海、岩が溶けたマグマがグツグツ川のように流れるようになってしまった。
ケルベウスの遠吠えを聞きつけて、無数の炎犬と双頭の炎犬が燃え盛る森中に集合してきた。見るにも恐ろしい光景だ。
バウ、ワウ、ブルン!
ケルベウスが3つの頭の火力を合わせた強烈な炎を放つ!
集まった炎犬たちも一斉に炎を放った!
「ピッケル!あ、熱い!」
危険すぎる!地獄絵図。
火に囲まれた大猿がつまらなそうに、無言のまま自分の周りを囲むように水の壁を作る。
ウォオォ!!
薄い水の壁が、完璧にケルベウスの炎を遮断して、炎が大猿に届かない。
強力な魔法を無言で使う大猿。
ケルベウスの炎さえ効かない。流石にケルベウスも、息が切れて、炎が途切れる。
やばい。
ウゴォウゴォォ!!!
今度は、大猿が乗った水晶玉が怪しく紫色に光り始める。
キーラのマフーバに似たゾワゾワした感覚。危険だ。逃げないと!
大猿の前に5個、6個、紫に光る渦巻きが現れた。ギュンギュン嫌な音がする。
周りの炎犬がどんどん吸い込まれていく。
規格外すぎる魔獣同士の戦い。
巻き込まれたら、即死だ。
紫の渦巻きが何もかもを吸い込んでいく。
バウ、ワウ、ブルン!
ケルベウスが地面に足の爪で踏ん張っいる。爪を立ててもガリガリと引きずられるごとに地面ががえぐられて土煙が立つ。土煙もすぐに紫色の渦に吸い込まれていく。
とんでもない吸引力だ!
逃げきれない!
もう遅い!
カリンが騎士ゴーレムにしがみつく。
騎士ゴーレムが両手で剣を地面に突き刺して耐える。
それでも剣がガリガリ引きずられるくらいの力で吸い込まれる。
僕は、掴むものがない。剣を抜いて、地面に刺すしかない!
グサッ!
ジャリジャリッ!
そんなに深くは刺さらない。ズズッと地面に刺した剣ごと引っ張られる。
「もう我慢できないよ!カリン!」
「あたしも!たまらないわ!もうダメェ!あぁ!」
ズピピピ!!!
ウゴォウゴォォ!!!
ゴウゴウ音を立てて、吸引力が急激強まる。
バウ、ワウ、ブルン!
うわぁ!!!
間に合わない!!!
身体が宙に浮いて、一番大きな紫の渦巻きの一つに吸い込まれる。
カリンの叫び声が聞こえる。
「ピッケル!あたしもいく!!あぁぁあ!!!」
ズピュピュ!!!渦に吸い込まれた!
紫色の渦の中でグルグル回る。僕も、カリンも、騎士ゴーレムも、炎犬も!
「ピッケル!!!1人でいかないで!いくならあたしも一緒に!」
カリン、どうして?騎士ゴーレムもカリンと一緒に渦巻きに巻き込まれている。みんな、同じ渦巻きの中心に向かってグルグル回り続ける。
「カリン!!!」
紫の渦巻きの中心は、テレビの砂嵐ようになっている。白と黒のドットがランダムにチカチカしている。
あそこに入るのは、ヤバい!
でも、どうにもできない!吸い込まれる!
「ピッケル!!!」
「カリン!!!」
目の前が真っ白になる。
うわぁぁぁぁ!!!
僕たちは、お互い裸から慌て装備を整えて、飛び出すようにコテージの外に向かった。
ウゴォウゴォォ!!!
地鳴りのような重低音の音が鳴り響く。
ケルベウスが起きて、耳を立たせて警戒している。
バウ、ワウ、ブルン!
騎士ゴーレムもどこから出したのか長剣を抜いて構えている。
嵐の様にビュウビュウと風が吹いて、舞い散る葉っぱが月の光に照らされている。
ウォオォ!!
「何かが、来る!」
森の樹々がザワザワと不穏な音を立てる。
空気がビリビリ震えるほどの強力で敵意溢れる魔力。
怒り、憎悪、排除、粛正、拒絶、そんな気持ちがジンジンと伝わってくる。
地面がグラグラと揺れて、だんだん大きくなっていく。
信じられないものが見えた。
薄い紫色がかった透明な巨大な水晶玉が宙に浮いている。
しかも、その上にはケルベウスと同じくらい大きな白髭を伸ばした黒い大猿があぐらを書いて座っていた。赤く光る目が怪しく恐ろしい。
ウゴォウゴォォ!!!
大猿がケルベウスを威嚇するように吠える。
地響きのような唸り声。
ケルベウスが空に向かって、遠くまで響くように吠える。
バウウー、ワウウー、ブルルー!
ケルベウスに敵対するほどの強敵。人類が太刀打ちできるはずがない。
僕とカリンは、コテージに身を寄せて、見守ることしかできない。
ケルベウスが躊躇なく強烈な炎を大猿に向けて放つ。身体全体からとんでもない熱と炎が溢れるだす。やっぱり敵なんだ。ケルベウスにとっても。
そして、これがケルベウスの本当の姿。恐ろしすぎる!
一頭のケルベウスの炎の通った地面が燃えて溶けてマグマになる。
なんて火力だ!
大猿がヒョイヒョイと水晶に乗りながら炎を避ける。
ケルベウスがそれぞれの頭から一つずつ連弾で炎放ちまくる。
もう周りの森が大火事だ。
あっという間に森が火の海、岩が溶けたマグマがグツグツ川のように流れるようになってしまった。
ケルベウスの遠吠えを聞きつけて、無数の炎犬と双頭の炎犬が燃え盛る森中に集合してきた。見るにも恐ろしい光景だ。
バウ、ワウ、ブルン!
ケルベウスが3つの頭の火力を合わせた強烈な炎を放つ!
集まった炎犬たちも一斉に炎を放った!
「ピッケル!あ、熱い!」
危険すぎる!地獄絵図。
火に囲まれた大猿がつまらなそうに、無言のまま自分の周りを囲むように水の壁を作る。
ウォオォ!!
薄い水の壁が、完璧にケルベウスの炎を遮断して、炎が大猿に届かない。
強力な魔法を無言で使う大猿。
ケルベウスの炎さえ効かない。流石にケルベウスも、息が切れて、炎が途切れる。
やばい。
ウゴォウゴォォ!!!
今度は、大猿が乗った水晶玉が怪しく紫色に光り始める。
キーラのマフーバに似たゾワゾワした感覚。危険だ。逃げないと!
大猿の前に5個、6個、紫に光る渦巻きが現れた。ギュンギュン嫌な音がする。
周りの炎犬がどんどん吸い込まれていく。
規格外すぎる魔獣同士の戦い。
巻き込まれたら、即死だ。
紫の渦巻きが何もかもを吸い込んでいく。
バウ、ワウ、ブルン!
ケルベウスが地面に足の爪で踏ん張っいる。爪を立ててもガリガリと引きずられるごとに地面ががえぐられて土煙が立つ。土煙もすぐに紫色の渦に吸い込まれていく。
とんでもない吸引力だ!
逃げきれない!
もう遅い!
カリンが騎士ゴーレムにしがみつく。
騎士ゴーレムが両手で剣を地面に突き刺して耐える。
それでも剣がガリガリ引きずられるくらいの力で吸い込まれる。
僕は、掴むものがない。剣を抜いて、地面に刺すしかない!
グサッ!
ジャリジャリッ!
そんなに深くは刺さらない。ズズッと地面に刺した剣ごと引っ張られる。
「もう我慢できないよ!カリン!」
「あたしも!たまらないわ!もうダメェ!あぁ!」
ズピピピ!!!
ウゴォウゴォォ!!!
ゴウゴウ音を立てて、吸引力が急激強まる。
バウ、ワウ、ブルン!
うわぁ!!!
間に合わない!!!
身体が宙に浮いて、一番大きな紫の渦巻きの一つに吸い込まれる。
カリンの叫び声が聞こえる。
「ピッケル!あたしもいく!!あぁぁあ!!!」
ズピュピュ!!!渦に吸い込まれた!
紫色の渦の中でグルグル回る。僕も、カリンも、騎士ゴーレムも、炎犬も!
「ピッケル!!!1人でいかないで!いくならあたしも一緒に!」
カリン、どうして?騎士ゴーレムもカリンと一緒に渦巻きに巻き込まれている。みんな、同じ渦巻きの中心に向かってグルグル回り続ける。
「カリン!!!」
紫の渦巻きの中心は、テレビの砂嵐ようになっている。白と黒のドットがランダムにチカチカしている。
あそこに入るのは、ヤバい!
でも、どうにもできない!吸い込まれる!
「ピッケル!!!」
「カリン!!!」
目の前が真っ白になる。
うわぁぁぁぁ!!!
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