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穏やかなる日々
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「もののふ」「をとめ」三三九度を交はしけり。互に思ひあひ、睦みあひたること無辺なり。当代一のをしどり夫婦と両名を見し人にては思はざるべからざるなり。その噂、城下一圓に流布さるるなり。それより半年一年を閲す。「もののふ」「をとめ」の孕めるを知る。城下吉報に沸けり。
孕めるより十月十日「もののふ」世の常ならず鄭重に取り扱ふ、しかして過ぐ。つひに「をとめ」陣痛を訴ふ「もののふ」「をとめ」が側に居らむとするも、外聞悪しうべしと家臣申せし、これを押し切らむとするも、家臣諫言 鬼気迫る故に為すこと能はず。
「もののふ」不服なるも室にて待つ。然る後産声高く大きく響き渡れり。その聲廊下に響き「もののふ」それを認むれば即ち駆け出づ。産婆「もののふ」を押し留めて曰く「奥方様は健在にして、をのこの生まれ給へりと。」更に加へて「奥方様は未だ産褥 にませり。今入らせなば、悪しきことあるべし。」と。「をとめ」褥婦なるも立ちて出づ。「もののふ」「をとめ」を劬る「よくこそ、産めれ。」と。
孕めるより十月十日「もののふ」世の常ならず鄭重に取り扱ふ、しかして過ぐ。つひに「をとめ」陣痛を訴ふ「もののふ」「をとめ」が側に居らむとするも、外聞悪しうべしと家臣申せし、これを押し切らむとするも、家臣諫言 鬼気迫る故に為すこと能はず。
「もののふ」不服なるも室にて待つ。然る後産声高く大きく響き渡れり。その聲廊下に響き「もののふ」それを認むれば即ち駆け出づ。産婆「もののふ」を押し留めて曰く「奥方様は健在にして、をのこの生まれ給へりと。」更に加へて「奥方様は未だ産褥 にませり。今入らせなば、悪しきことあるべし。」と。「をとめ」褥婦なるも立ちて出づ。「もののふ」「をとめ」を劬る「よくこそ、産めれ。」と。
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