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第60話 もう……面倒だな
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「ミュラ……到着するのが早すぎじゃない?」
大人数の警備隊を引き連れて現れたミュラに、ユーティは鋭い視線を向ける。
警備隊は都市の治安位置が主任務で、対人戦闘においては下手な冒険者より遙かに強い。
だからユーティは警戒しているのか、臨戦態勢を解こうとしなかった。
そんなユーティに向かって、ミュラが言った。
「最近、不穏な噂が流れていましたからね。そのせいで、わたしたちは警備体制を常時展開しなければならなかったのです」
「そう……それはご苦労様」
なるほど……だからオレたちの戦闘を感知したのも、ここに駆けつけたのもあっという間だったというわけか。いずれにしてもミュラとカリンの苦労が窺える。
「それで、どうしてあなたたちが争っていたのですか。事と次第によっては拘留せざるを得ませんよ?」
そんなことを言ってくるミュラに、オレは立ち上がってから弁明を試みる。
「いや、ちょっとした訓練のつもりだったんだ」
「訓練?」
「ああ、それが思いのほかヒートアップしてしまってな」
「なぜ訓練場で行わないのですか。訓練場であれば、わたしたちが出張る必要もなかったのに」
「あー……それは、すまん。少し行き違いがあってだな……」
「つまりケンカということですか?」
「えーっと……その……」
「ケンカであれば見過ごすことは出来ません。分かっていると思いますが、最低でも一ヶ月間の謹慎処分です」
う~ん……参ったな。
せっかく決心してダンジョン上層に向かおうとしたのに、すっかり出鼻を挫かれてしまった。
とはいえレニの様子も気になるし──ちなみにレニは今、レベッカの家に向かっているようだ。準本体が跡を付けている。
だから今回は仕切り直しするしかないか……しかしそうなると、いったいどうやってレニとレベッカに言い分けするかなぁ……
オレは後頭部を掻きながら、ケンカであることを認めようとしたその直前、ユーティがため息をついた。
「もう……面倒だな」
「……?」
その言葉の意図が分からず、オレはユーティを見る。
「面倒って、何が?」
「あなたたちの意向に沿って行動することが」
説明されても意味不明だ。だからオレは再度問うた。
「オレたちの意向って……どういうことだよ?」
しかしユーティはオレに答えることなく、気怠げなその視線をミュラに向けた。
「白状するよ。ジップの噂を流したのは、このわたし」
「……え?」
ユーティが何を言い出したのかが分からず、オレはあっけにとられるしかない。
そんなオレの耳に、ユーティとミュラの声だけが聞こえてきた。
「どうせ、わたしのことを疑っていたんでしょう?」
「ええ、そうですね」
「だから警備隊も、これだけ早く動かせたわけね」
「その通りです」
「なら、さっさと都市追放すればいいじゃない」
「それはわたしが決めることではなく、裁判によって決まることです」
「ほんと、面倒だね。ならもう自主的に出て行くよ。それでいいでしょ」
「……本気ですか?」
「もちろん本気だよ」
オレがぽかんと二人のやりとりを見ていたら──ユーティがオレの手を取った。
「さぁ行こう、ジップ」
「……は?」
「ここにはもう用はないよ」
「え、あ……ちょ、ちょっと……」
オレの手を引いて歩き出したユーティの前に──ミュラが立ちはだかる。
「なぜ、ジップを連れていくのです?」
「なぜも何も、今回の件で、ジップが固有魔法持ちであることはバレたでしょう? だからだよ」
「固有魔法持ちであることが知れ渡ったからといって、都市追放になるわけではありません」
「え、そうなの?」
オレのマヌケな声は、しかし誰にも相手にされなかった……(涙)
ちょっと悲しくなるオレを華麗にスルーしたミュラが話を続ける。
「都市追放の対象者は、固有魔法の存在を吹聴・詮索した者です。故に、ジップは関係ありません」
「でもすでに、市民のほとんどが固有魔法の存在に気づいてるじゃない。ならいつ魔人が知ったっておかしくないでしょ」
「それはあなたの罪であり、ジップの罪ではありません」
「罪云々の話じゃないでしょ? ジップがいたら、魔人に攻め込まれると言っているのよ」
「そうであっても、わたしたちは、罪もないジップを見捨てたりはしません」
ミュラのその断言に、オレは感動する。
思えばこの十八年間、固有魔法持ちであることを隠し続けた結果、心のどこかで恐怖していたのだ。バレたら見捨てられるということを。
だから上層に向かおうとした今回の件も一人で決めたし、その結果、こんな自体になってしまった。
こんなことなら、もっと早くミュラ達に相談していれば良かったと思うも、後の祭りだ。
ならせめて、ユーティの減刑だけでもしてやらないと。
確かにオレの固有魔法は知れ渡ってしまったかもしれないが、しかしフリストル市民は存外に口が硬い。多頭雷龍討伐をオレが討伐したという噂は流れても、「だからジップは固有魔法持ちだ」という推察は誰一人として口にしなかったのだ。
ということは、この都市から情報を漏らさなければ、魔人が気づくこともないかもしれない。であればユーティが流布したことにもならない──というのは詭弁に過ぎないが、減刑くらいは出来るかもしれない。
そう思ってオレが口を開き掛けたとき、先にユーティが言ってしまった。
「もういい。なら推して通るだけだよ」
そうして抜刀してしまう。本来なら一対多数ではユーティに勝ち目はないはずだが……ギルマスと警備隊であっても、ユーティ相手では分が悪すぎる……!
だからオレは、慌ててユーティの前に立った。
「ま、待てユーティ! ここはいったん引こう」
「なんで? 引いたところで、上層を目指す必要があるのには変わらない。なら今すぐ行くべきだよ」
「そうは言ってもだな。補給はどうするんだ?」
「補給?」
その反応からして、ユーティは補給のことを完全に失念しているらしい。ということは、これが説得材料になるはずだ。
オレは言葉に力を込める。
「そう、補給だよ。食料もなしにダンジョン上層を目指せるわけがない。ということはどう考えたって、都市のバックアップが必要なんだよ」
「あなたはどうするつもりだったの?」
「オレは……その……補給のいらない体質でな……」
「そう、良かった。ならわたしもそうだから安心して」
「はぁ……!?」
いったいどういうことだ? オレは、残機無限というチートがあるから結果的に補給いらずなだけで、基本的には飲み食いしなければ死んでしまう。
ということはユーティの固有魔法は、剣技系ではなく、残機無限のような特殊系ということなのか?
だったら、ユーティの強さはいったい……
オレが唖然としていたら、オレの腕を取るユーティの手に力がこもった。
「さぁ、これでなんの問題もないでしょう? ミュラを倒して、ダンジョンに入ろう」
その台詞を聞いて、ミュラ達が身構える。
「待って!」
あわや戦闘かと思ったその直前、オレたちの背後に悲痛な叫び声が響く。
「ジップ! どこに行くの!?」
背後に視線を向けると──そこにはレニとレベッカがいた。
そしてレニが、息を切らしながらも叫んでくる。
「都市は出ていかないって言ったじゃない! なのにどうしてここにいるの!?」
「そ、それは……」
泣きながら訴えてくるレニに、オレは二の句が継げなくなる。
黙るしかないオレにレベッカも言ってきた。
「相談してくれるって言ったわよね! わたしたち、そんなに信用ない!? ジップの役にはまったく立てないの!?」
オレは視線を逸らして、奥歯を噛みしめる。
二人に嘘をついたことを、今さらながらに後悔していた。
確かに、もっと相談すべきだった。頼りにするべきだった。
パーティメンバーなのだから。
きっと、これこそがオレの奢りだったのだろう。
チートを持って生まれてきたのだから、女神様に託されたのだから、すべてを一人で解決しなくちゃいけない、解決するべきだというこの思い込みこそが奢りだ。
その結果、ミュラやカリンには迷惑を掛けて、ユーティは都市追放されかけている。そして大切な仲間──レニとレベッカも悲しませてしまった。
だからオレは、苛立たしげに立っているユーティに言った。
「ごめん、ユーティ……やはりここは引こう」
「………………」
「オレが奢っていたんだ。固有魔法があるからといって、なんでもかんでも一人で出来るわけじゃない。事実、お前にもあっさり負けたしな。だから今後は、みんなと一致団結して──」
「……面倒」
ユーティのそのつぶやきが聞き取れなくて、オレは問い返す。
「え?」
「面倒だと、言ったの」
「ユーティ……」
断固として意見を変えようとしないユーティに、しかしオレは怒りよりも憐憫めいた感情を抱く。
それはなぜなのか?
オレを遙かに凌駕するほどの力があるというのに、彼女は──
「──お前、どうしてそんなに怯えてるんだ?」
「………………」
「そもそも、オレの力が周知されたからといって、魔人に目を付けられると決まったわけじゃないだろ?」
「………………」
「だったらここは、冒険者や市民の力を結集させて事に当たるべきだ」
「………………もういい」
ユーティの瞳の奥に、仄暗い炎が灯る。
「ミュラは、ジップを手放したくない。そしてあなたは、結局はこの都市から離れたくない。そうなのね?」
「そ、それは……」
「あなたをぬくぬく育てたこの都市が……いいえ、あなたを甘やかしてくれるあの女達がいるから未練があるんでしょう?」
「そんなことは……」
「であれば結局変わらない。あなたは変わろうともしない」
「………………」
「なら、わたしがその未練を断ち切ってあげる……!」
「ユーティ……!?」
気づけば、オレの腕を握っていたユーティの手が離れていて──そうしてユーティはゆっくりと虚空に浮き出した……!
「ユーティ……お、お前は……」
「あなたの未練は、この都市よね? ならこの都市を滅ぼしましょう」
「ま、待て!? お前は何を言って──」
「魔獣召喚──この都市を攻め滅ぼせ!」
ユーティが無詠唱で魔法発現した直後。
ダンジョン正門付近の森に、無数の魔獣が出現した!
大人数の警備隊を引き連れて現れたミュラに、ユーティは鋭い視線を向ける。
警備隊は都市の治安位置が主任務で、対人戦闘においては下手な冒険者より遙かに強い。
だからユーティは警戒しているのか、臨戦態勢を解こうとしなかった。
そんなユーティに向かって、ミュラが言った。
「最近、不穏な噂が流れていましたからね。そのせいで、わたしたちは警備体制を常時展開しなければならなかったのです」
「そう……それはご苦労様」
なるほど……だからオレたちの戦闘を感知したのも、ここに駆けつけたのもあっという間だったというわけか。いずれにしてもミュラとカリンの苦労が窺える。
「それで、どうしてあなたたちが争っていたのですか。事と次第によっては拘留せざるを得ませんよ?」
そんなことを言ってくるミュラに、オレは立ち上がってから弁明を試みる。
「いや、ちょっとした訓練のつもりだったんだ」
「訓練?」
「ああ、それが思いのほかヒートアップしてしまってな」
「なぜ訓練場で行わないのですか。訓練場であれば、わたしたちが出張る必要もなかったのに」
「あー……それは、すまん。少し行き違いがあってだな……」
「つまりケンカということですか?」
「えーっと……その……」
「ケンカであれば見過ごすことは出来ません。分かっていると思いますが、最低でも一ヶ月間の謹慎処分です」
う~ん……参ったな。
せっかく決心してダンジョン上層に向かおうとしたのに、すっかり出鼻を挫かれてしまった。
とはいえレニの様子も気になるし──ちなみにレニは今、レベッカの家に向かっているようだ。準本体が跡を付けている。
だから今回は仕切り直しするしかないか……しかしそうなると、いったいどうやってレニとレベッカに言い分けするかなぁ……
オレは後頭部を掻きながら、ケンカであることを認めようとしたその直前、ユーティがため息をついた。
「もう……面倒だな」
「……?」
その言葉の意図が分からず、オレはユーティを見る。
「面倒って、何が?」
「あなたたちの意向に沿って行動することが」
説明されても意味不明だ。だからオレは再度問うた。
「オレたちの意向って……どういうことだよ?」
しかしユーティはオレに答えることなく、気怠げなその視線をミュラに向けた。
「白状するよ。ジップの噂を流したのは、このわたし」
「……え?」
ユーティが何を言い出したのかが分からず、オレはあっけにとられるしかない。
そんなオレの耳に、ユーティとミュラの声だけが聞こえてきた。
「どうせ、わたしのことを疑っていたんでしょう?」
「ええ、そうですね」
「だから警備隊も、これだけ早く動かせたわけね」
「その通りです」
「なら、さっさと都市追放すればいいじゃない」
「それはわたしが決めることではなく、裁判によって決まることです」
「ほんと、面倒だね。ならもう自主的に出て行くよ。それでいいでしょ」
「……本気ですか?」
「もちろん本気だよ」
オレがぽかんと二人のやりとりを見ていたら──ユーティがオレの手を取った。
「さぁ行こう、ジップ」
「……は?」
「ここにはもう用はないよ」
「え、あ……ちょ、ちょっと……」
オレの手を引いて歩き出したユーティの前に──ミュラが立ちはだかる。
「なぜ、ジップを連れていくのです?」
「なぜも何も、今回の件で、ジップが固有魔法持ちであることはバレたでしょう? だからだよ」
「固有魔法持ちであることが知れ渡ったからといって、都市追放になるわけではありません」
「え、そうなの?」
オレのマヌケな声は、しかし誰にも相手にされなかった……(涙)
ちょっと悲しくなるオレを華麗にスルーしたミュラが話を続ける。
「都市追放の対象者は、固有魔法の存在を吹聴・詮索した者です。故に、ジップは関係ありません」
「でもすでに、市民のほとんどが固有魔法の存在に気づいてるじゃない。ならいつ魔人が知ったっておかしくないでしょ」
「それはあなたの罪であり、ジップの罪ではありません」
「罪云々の話じゃないでしょ? ジップがいたら、魔人に攻め込まれると言っているのよ」
「そうであっても、わたしたちは、罪もないジップを見捨てたりはしません」
ミュラのその断言に、オレは感動する。
思えばこの十八年間、固有魔法持ちであることを隠し続けた結果、心のどこかで恐怖していたのだ。バレたら見捨てられるということを。
だから上層に向かおうとした今回の件も一人で決めたし、その結果、こんな自体になってしまった。
こんなことなら、もっと早くミュラ達に相談していれば良かったと思うも、後の祭りだ。
ならせめて、ユーティの減刑だけでもしてやらないと。
確かにオレの固有魔法は知れ渡ってしまったかもしれないが、しかしフリストル市民は存外に口が硬い。多頭雷龍討伐をオレが討伐したという噂は流れても、「だからジップは固有魔法持ちだ」という推察は誰一人として口にしなかったのだ。
ということは、この都市から情報を漏らさなければ、魔人が気づくこともないかもしれない。であればユーティが流布したことにもならない──というのは詭弁に過ぎないが、減刑くらいは出来るかもしれない。
そう思ってオレが口を開き掛けたとき、先にユーティが言ってしまった。
「もういい。なら推して通るだけだよ」
そうして抜刀してしまう。本来なら一対多数ではユーティに勝ち目はないはずだが……ギルマスと警備隊であっても、ユーティ相手では分が悪すぎる……!
だからオレは、慌ててユーティの前に立った。
「ま、待てユーティ! ここはいったん引こう」
「なんで? 引いたところで、上層を目指す必要があるのには変わらない。なら今すぐ行くべきだよ」
「そうは言ってもだな。補給はどうするんだ?」
「補給?」
その反応からして、ユーティは補給のことを完全に失念しているらしい。ということは、これが説得材料になるはずだ。
オレは言葉に力を込める。
「そう、補給だよ。食料もなしにダンジョン上層を目指せるわけがない。ということはどう考えたって、都市のバックアップが必要なんだよ」
「あなたはどうするつもりだったの?」
「オレは……その……補給のいらない体質でな……」
「そう、良かった。ならわたしもそうだから安心して」
「はぁ……!?」
いったいどういうことだ? オレは、残機無限というチートがあるから結果的に補給いらずなだけで、基本的には飲み食いしなければ死んでしまう。
ということはユーティの固有魔法は、剣技系ではなく、残機無限のような特殊系ということなのか?
だったら、ユーティの強さはいったい……
オレが唖然としていたら、オレの腕を取るユーティの手に力がこもった。
「さぁ、これでなんの問題もないでしょう? ミュラを倒して、ダンジョンに入ろう」
その台詞を聞いて、ミュラ達が身構える。
「待って!」
あわや戦闘かと思ったその直前、オレたちの背後に悲痛な叫び声が響く。
「ジップ! どこに行くの!?」
背後に視線を向けると──そこにはレニとレベッカがいた。
そしてレニが、息を切らしながらも叫んでくる。
「都市は出ていかないって言ったじゃない! なのにどうしてここにいるの!?」
「そ、それは……」
泣きながら訴えてくるレニに、オレは二の句が継げなくなる。
黙るしかないオレにレベッカも言ってきた。
「相談してくれるって言ったわよね! わたしたち、そんなに信用ない!? ジップの役にはまったく立てないの!?」
オレは視線を逸らして、奥歯を噛みしめる。
二人に嘘をついたことを、今さらながらに後悔していた。
確かに、もっと相談すべきだった。頼りにするべきだった。
パーティメンバーなのだから。
きっと、これこそがオレの奢りだったのだろう。
チートを持って生まれてきたのだから、女神様に託されたのだから、すべてを一人で解決しなくちゃいけない、解決するべきだというこの思い込みこそが奢りだ。
その結果、ミュラやカリンには迷惑を掛けて、ユーティは都市追放されかけている。そして大切な仲間──レニとレベッカも悲しませてしまった。
だからオレは、苛立たしげに立っているユーティに言った。
「ごめん、ユーティ……やはりここは引こう」
「………………」
「オレが奢っていたんだ。固有魔法があるからといって、なんでもかんでも一人で出来るわけじゃない。事実、お前にもあっさり負けたしな。だから今後は、みんなと一致団結して──」
「……面倒」
ユーティのそのつぶやきが聞き取れなくて、オレは問い返す。
「え?」
「面倒だと、言ったの」
「ユーティ……」
断固として意見を変えようとしないユーティに、しかしオレは怒りよりも憐憫めいた感情を抱く。
それはなぜなのか?
オレを遙かに凌駕するほどの力があるというのに、彼女は──
「──お前、どうしてそんなに怯えてるんだ?」
「………………」
「そもそも、オレの力が周知されたからといって、魔人に目を付けられると決まったわけじゃないだろ?」
「………………」
「だったらここは、冒険者や市民の力を結集させて事に当たるべきだ」
「………………もういい」
ユーティの瞳の奥に、仄暗い炎が灯る。
「ミュラは、ジップを手放したくない。そしてあなたは、結局はこの都市から離れたくない。そうなのね?」
「そ、それは……」
「あなたをぬくぬく育てたこの都市が……いいえ、あなたを甘やかしてくれるあの女達がいるから未練があるんでしょう?」
「そんなことは……」
「であれば結局変わらない。あなたは変わろうともしない」
「………………」
「なら、わたしがその未練を断ち切ってあげる……!」
「ユーティ……!?」
気づけば、オレの腕を握っていたユーティの手が離れていて──そうしてユーティはゆっくりと虚空に浮き出した……!
「ユーティ……お、お前は……」
「あなたの未練は、この都市よね? ならこの都市を滅ぼしましょう」
「ま、待て!? お前は何を言って──」
「魔獣召喚──この都市を攻め滅ぼせ!」
ユーティが無詠唱で魔法発現した直後。
ダンジョン正門付近の森に、無数の魔獣が出現した!
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