平凡なオレは、成長チート【残機無限】を授かってダンジョン最強に! でも美少女なのだがニートの幼馴染みに、将来性目当てで言い寄られて困る……

佐々木直也

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第39話 この都市を絶対に守り抜くのです!

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 急いでギルドに帰ったレベッカわたしたちは、多頭雷龍が現れたことをギルドマスターであるミュラさんと、事務局長であるカリンさんに報告する。

 最初は二人とも呆然とするも、すぐに行動を開始した。

 まずダンジョンに潜っている冒険者たちへ非常招集命令が発令される。この命令は、フリストル市からよほど離れてでもいない限りは、冒険証が受信出来る。

 そうして命令を確認した冒険者達は、直ちにフリストル市に帰還しなければならない。

 この命令が発令されるときは、フリストル市が存亡の危機に直面しているときだから、家族や友人がいる都市を放っておく冒険者なんて一人もいない。

 だがダンジョンの奥の方まで入っていると、なかなか駆けつけることは難しくなるが、幸いにして、今は新人冒険者の育成期間だったから、高位の冒険者たちも多数戻ることが出来た。

 約500名の冒険者が戻ってきたところで、ミュラさんが正門空洞で編成を整えつつ、全員に向かって説明を開始する。

「敵は、ダンジョン上層に生息する多頭雷龍です!」

 ほとんど伝説上の魔獣といっても過言ではないその名前を聞き、戦い慣れているはずの冒険者達が騒然となった。

 そんな騒ぎに負けない声で、ミュラさんが説明を続ける。

「静まりなさい! もし多頭雷龍がフリストル市に到達すれば、全滅は必至です! あなたたちの家族も、友人も、恋人もすべて蹂躙されるのですよ!」

 誰もが望まないその光景をイメージしてしまい、全員が息を呑む。しかしそのおかげで正門空洞は静まり返った。

「どういう経緯かはまだ不明ですが、第三階層にまで降りてきたと報告が入っています。よってこれより、わたしたちは多頭雷龍の討伐に向かいます!」

 すると方々から声が上がるが、ミュラさんは一切を無視する。

「怖じ気づいたのなら避難していてもよろしい。ですがどのみち、わたしたちがやられればあとはありません!」

 そうしてまた全員が沈黙する。

「レベル20以上の者は戦闘配備につきなさい。戦略や連携方法は移動中に通達します。レベル20未満のものは後方支援、並びに負傷者の救助を行いなさい」

 わたしとレニは後方支援ということになる。せめて、みんなの足を引っ張らないよう立ち回らないとだけど……

 わたしは、袖にしがみつくレニを見た。戻ってからもずっと泣いていて、今はその泣き顔をわたしの袖に埋めている。

「レニは……どうする? もし怖いのなら今回は──」

「行く」

 普段のレニからは考えられないほどに決然と、彼女は言ってきた。

「わたしも、行く」

「そう──でも死にに行くんじゃないわよ? ジップを助けるために行くんだからね」

 わたしがそう諭すと、レニは無言で頷いた。

 レニの意思を確認し終わった直後、戦闘に立つミュラさんが威風堂々と宣言した。

「それでは出陣です! この都市を絶対に守り抜くのです!」
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