平凡なオレは、成長チート【残機無限】を授かってダンジョン最強に! でも美少女なのだがニートの幼馴染みに、将来性目当てで言い寄られて困る……

佐々木直也

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第25話 胸の谷間がバッチリ見えた

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 ジップオレたちがダンジョンに潜り始めてから五日が経った。

 最初は戸惑っていたレベッカも、初討伐以降は本来の能力を取り戻して、討伐数を順調に稼いでいく。その結果、レベル5にアップしていた。

 ゲオルクさんも丁寧な指導をしてくれるし、さらには冗談を言ってくれたりして、陰鬱になりがちなダンジョンという場を盛り上げてくれるからありがたい。ユーティはあまりしゃべらないが、しっかりと最後尾を守ってくれているから心強かった。

 そんなわけでオレたちは、かすり傷ひとつ負うことなく、最初の休みを迎えた。日本と同様に、フリストル市でも一週は七日で休みが二日なのだ。

 だが休みに入った途端……レニが高熱を出して倒れた。

 レニは、レベッカやオレにしがみついてダンジョンを歩いていただけなのだが。おそらく、ダンジョン自体が放っている微弱の魔力に当てられたのだろう……普通の成人であれば、その程度の魔力で弱ることはないのだけれども。

 オレの魔法でも変な病気ではないことは分かったが、念のため医師にも往診に来てもらう。さらには心配したレベッカもレニの部屋を訪れていた。

 そして診察を終えた医師が言った。

「何かの病原菌に感染したわけでもないから、疲れからくる発熱じゃろう。栄養あるものでも食べて安静にしてなさい」

 それを聞いたレベッカは安堵の息を漏らす。

「そうですか……よかった……」

 その後、医師が退室するとレニがつぶやく。

「お腹空いた……」

 それを聞いたレベッカが苦笑した。

「食欲があるならなおさら大丈夫そうね。分かったわ、おかゆでも作ってくる」

 立ち上がるレベッカにオレが言った。

「手伝おうか?」

「大丈夫。ジップはレニの話し相手でもしてあげて」

「お前も疲れているのに悪いな」

「気にしないで」

 そしてレベッカは部屋を出ていった。

 それからオレは、赤みが掛かっているレニの顔を見た。

「まったくお前は……ダンジョンで歩いているだけだってのに、どんな体力なんだよ……」

「うう……わたしが病床に伏せっているっていうのに、ジップ冷たい……歩くだけで体力はおろか気力まで削がれていくのがダンジョンなのに……」

「そんなトラップ、都市近郊のダンジョンにはねぇよ」

「あったもん。わたしにだけ発現してたんだもん。だから風邪引いたんだもん」

「病気じゃないって、お医者さんも言ってたろ」

「熱出てるもん。つらいもん」

「はいはい……分かったから。大人しくしてろって」

 しかしレニは、むくれた感じでなおも言い募る。

「汗掻いた。気持ち悪い」

「んなこと言われても……風邪じゃないとはいえ、熱出ているときに風呂はまずくないか?」

「なら、ジップが体を拭いて」

「はぁ……!?」

 訳が分からず、オレは思わず立ち上がる。

「なんでオレが、お前の体を拭かなくちゃならないんだよ!?」

「なんでって……わたしが熱を出して倒れてるからでしょ」

「レベッカに頼めよ!?」

「今、レベッカいないし」

「ちょ!? をい待て!!」

 熱さで頭がやられているのか、レニはパジャマのボタンを取り始めた!

 だからオレは、慌ててレニの手を掴み上げる。

「何するのぅ……?」

「何してんのはおまいだ!? オレは男だぞ!」

「パパなんだから平気でしょ」

「同い年の娘なんているか! あとお前くらいの歳で、男にパパとか言ったら大問題なんだから他で言うなよ……!?」

「…………?」

 前世の記憶が思わずぶり返したが、フリストル市で生まれ育ったレニは首を傾げるばかりだった。

 だからオレは咳払いを一つすると仕切り直す。

「と、とにかく……いきなり脱ぐな。レベッカに任せっきりになってしまうのは申し訳ないけど、こればっかりは仕方なくてだな──」

 などとオレが説教を始めたところで、部屋の扉がガチャリと開く。

 そして、一人用の土鍋をお盆に乗せたレベッカと目が合った。

「ああ、レベッカ。いいところに来てくれた。またぞろ申し訳ないんだが──」

「あ、あなたたち!?」

 しかしオレの台詞を遮って、レベッカが悲鳴じみた声を上げる。

「いったい何をしているの!?」

「何って……」

 なぜレベッカがそこまで驚いているのか、最初、オレはよく分からなかった。

 だからなんとなく、レニに視線を移す。

 まず、レニはベッドに上体を起こしており、万歳でもしているかのような体勢だった。

 なぜ万歳状態なのかと言えば、オレがレニの手を取り押さえているからだ。

 だから見ようによってはレニが……両手を拘束されているかのようにも……見える。

 さらに、レニの胸元ははだけており、胸の谷間がバッチリ見えた。

 ………………どうやら、レニは就寝時に下着を着けないらしい。

 えっと……………………

 ……………………これは………

 ……まずくね?

 レニが弱っているのをいいことに、あたかもオレが襲いかかろうとしているかのようにも……見えるのでは?

「ま、待てレベッカ!? これは違うんだ!」

「何が違うのよ!」

「レニが勝手に──」

「女の子のせいにするなんて最低!!」

 そうしてオレは、まったくもって悪くないのに、むしろ無防備なレニを止めようとしていただけなのに──

 ──平手打ちを食らう羽目になったのだった。
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