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第23話 お前さん、本当に新人か?
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オレにとっては見慣れたダンジョン内だが、レニとレベッカにとっては初陣だ。
だから今日のダンジョン探索は、そこまで奥に進むつもりはなく、都市近隣の魔獣を一日数匹でも狩れれば御の字という感じだ。ダンジョンを見学するようなもので、これを一ヵ月ほど行って心身をダンジョンに慣らしていく。
その後は、同行の先輩冒険者と相談しながら、どの程度までダンジョンを進むかを決める。さらに数カ月は先輩に同行してもらったのちに、新人冒険者だけのダンジョン攻略が始まる──という流れが一般的だった。
都市周辺の魔獣は基本的には弱い魔獣ばかりで、新人冒険者でも余裕で倒せるのだが、希に、強い魔獣と出くわしてしまうケースもある。そういう場合に備えて先輩冒険者が同行するわけだ。強い魔獣と戦うのはもちろん、撤退の見極めなんかも、経験の少ない新人冒険者では到底できないだろうからな。
そんな頼りになる先輩であるゲオルクさんが全員に向かって言った。
「そろそろ分岐ポイントだから隊列を組むぞ」
オレたちは頷いて、さきほど取り決めた順序に並ぶ。
本来なら、前衛がゲオルクさんで、中衛のオレとユーティが左右に並び、その後ろに後衛のレニ、レベッカが続くはずだったのだが……
今のレニはレベッカの片腕にしがみついて、しかもほとんど目も開けずに歩いている状態だったから、最後尾にはユーティに入ってもらった。背後からの襲撃を受けないために。
オレが防御魔法を常時展開していてもいいのだが、あまり派手なことをして、固有魔法の存在を疑われてしまうのは避けたいしな。
ということで少々変則的な隊列を組んで歩くこと数分、分岐ポイントに着く。ゲオルクさんがそこでいったん立ち止まった。
「さてと。ここからがいよいよダンジョンって感じだが、どこに行く? まぁ遠くには行かないから、今はどの道でもいんだが」
周囲を見れば、新人パーティたちは道幅の広い通路へと向かっていた。
だからゲオルクさんのその問いかけにはオレが答えた。
「そうですね……初陣ですし、オレたちも広い道を進みましょう」
「了解だ」
ダンジョンは、超巨大な地下迷宮になっている。
人間一万人が余裕で住めて、そんな都市がいくつも存在するくらいには巨大で、さらには、ご先祖様が魔人から逃げおおせられたほどに複雑怪奇でもある。
しかも、この迷宮構造は変化している。だから「ダンジョンは生きている」という研究者までいた。まるで、超巨大な生物の腹の中にでもいるかのようで薄気味悪いが、いずれにしても、迷宮構造が日々刻々と変化しているのは事実だった。
とはいえ、そこまで短時間で変化するわけではなく数年掛けての変化だ。だから午前中に進んだ道が、帰りになくなっている心配はない。
そんなダンジョンだが、まず入口となるダンジョン都市の正門付近は正門空洞と名付けられていて、かなり広い空間になっている。たぶん東京ドームの内部ほどには広い。
その正門空洞をしばらく進んでいくと分岐ポイントにさしかかる。この分岐ポイントから続く通路が少しずつ変化しているわけだ。
分岐ポイントは、まるで蜂の巣のように、たくさんの穴が空いている。それらがすべてダンジョンの通路だった。
地面にも穴が空いているから、その場合は魔法を使って飛び込んだりもする。あるいは天井の穴を進めば地上に出られるのかというと、そういうわけでもないから困りものだ。
通路自体の大きさも様々で、人間一人がなんとか通れる通路から、人の背丈の数倍はある通路もある。だがどの通路も正門空洞ほどの広さはない。
そんな通路を進んでいくとさらに分岐したり、正門空洞より巨大な場所に出たり、ときには草木が生えている場所や、飲める地下水が流れる川のような場所まであったりして、ダンジョン内は多彩なのだ。
果実まで実らせる草木もあるから、それらを食べることで、ダンジョン内でも多少は食い繋げるが……やはり補給ナシで進むのは困難だった。
なんども残機たちにやらせてみたのだが、飲料水や果実が必ず手に入るわけではないし、激しい運動の後に果物的なものだけでは体力も尽きる。
ちなみに魔獣を食べることは出来ない。魔獣を倒すと、すべて魔力となって霧散してしまうからだ。姿形は獣でも、生物とは違う存在なのだろう。いや、獣としての姿をしていない魔獣もいるが。
「お、運がいいな。もう魔獣が出てきたぞ」
小一時間ほど歩いていると、ゲオルクさんがそんなことを言ってきた。
敵が現れたというのに暢気な言い方だが、魔獣を見れば最弱の魔獣・スライムだった。
スライムといっても、日本の某ゲームで有名な愛くるしいほうではなくて、もっとリアルでドロドロしたヤバイほうだ。
ヤツの体液に触れると、ちょっとした火傷を負う。皮膚を溶かされているらしいのだが、しかしそこまで酷い火傷ではなく、少し赤くなる程度だ。とはいえ、60度くらいの熱湯が撥ねるくらいには痛いから、体液は避けた方が無難だが。
そんな魔獣に、ゲオルクさんは人の背丈ほどもある盾を構えると、オレたちに聞いてくる。
「さて、誰が狩る?」
「そうですね……」
オレはさっと後方に視線を送ると、魔獣との遭遇に驚いているレベッカと、ギュッと目をつぶったままのレニが見えた。さらに後ろのユーティはもちろん落ち着き払っている。
そのレベッカの口がわずかに動いた。
「あ、あれが……魔獣……」
新人であるレベッカにとっては、初めて見る魔獣だ。教科書のイラストではたくさん見てきたが、実際に遭遇するとやはり驚きが勝るのだろう。
レベッカなら、遠距離の攻撃魔法で倒せるかなと思ったのだが、今はその余裕がなさそうだ。
オレはそう判断すると、ゲオルクさんの横に並んだ。
「オレがやります」
「そうか、気をつけろよ。分かっているとは思うが、体液を飛ばしてくるからな」
「はい、分かりました」
ゲオルクさんが忠告してくれるが、本来ならレベル40の剣士であるオレが、スライムに手こずるはずもない。
ということで一閃だった。
オレが、スライムに向かって踏み出したとほぼ同時、スライムは真っ二つ。体の中にあるコアを破壊しないとスライムは死なないのだが、そもそもスライムの体は水色の半透明だから、そのコアは丸見えなのだ。
だからコアを仕留め損ねるはずもなかった。
スライムを真っ二つにしてから振り返ると、ぽかんとしている仲間達がいた。レニは未だに目をつぶったままだが。
っていうか……
レベッカに驚かれるのはまだしも、なんでゲオルクさんもあっけにとられているんだろう?
だからオレは、首を傾げるしかなかった。
「えっと……何かまずかったですか?」
「いや……まずいっていうか……」
ゲオルクさんは、目を丸くしながら言ってきた。
「お前さん、本当に新人か?」
「え? ……あ、ああ……」
ゲオルクさんにまで驚かれたのは、スライムを仕留めるオレの手際がよすぎたからだろう。
スライムを仕留めた程度で技量がバレるはずもないと思い込んでいたが、どうやら違ったらしい。
だからオレは、苦笑しながらゲオルクさんに答える。
「まぁ……たくさん訓練をしてきましたから」
「訓練って……オレが知る限り、どんだけ訓練したとしても、初の実戦では戸惑ったり、怖がったりするもんだけどな」
確かに、学校では超優秀だったレベッカでも、さきほどは固まっていたしな。訓練での反応とは明らかに違っていた。
とはいえ、もう切ってしまったものは仕方がない。だからオレは、笑って誤魔化すことにする。
「あー……オレって、どうやら神経が図太いみたいで」
「くく……そうか。なかなかに、可愛げのない新人じゃないか」
などと憎まれ口を叩きながらも、ゲオルクさんは嬉しそうだった。
だから今日のダンジョン探索は、そこまで奥に進むつもりはなく、都市近隣の魔獣を一日数匹でも狩れれば御の字という感じだ。ダンジョンを見学するようなもので、これを一ヵ月ほど行って心身をダンジョンに慣らしていく。
その後は、同行の先輩冒険者と相談しながら、どの程度までダンジョンを進むかを決める。さらに数カ月は先輩に同行してもらったのちに、新人冒険者だけのダンジョン攻略が始まる──という流れが一般的だった。
都市周辺の魔獣は基本的には弱い魔獣ばかりで、新人冒険者でも余裕で倒せるのだが、希に、強い魔獣と出くわしてしまうケースもある。そういう場合に備えて先輩冒険者が同行するわけだ。強い魔獣と戦うのはもちろん、撤退の見極めなんかも、経験の少ない新人冒険者では到底できないだろうからな。
そんな頼りになる先輩であるゲオルクさんが全員に向かって言った。
「そろそろ分岐ポイントだから隊列を組むぞ」
オレたちは頷いて、さきほど取り決めた順序に並ぶ。
本来なら、前衛がゲオルクさんで、中衛のオレとユーティが左右に並び、その後ろに後衛のレニ、レベッカが続くはずだったのだが……
今のレニはレベッカの片腕にしがみついて、しかもほとんど目も開けずに歩いている状態だったから、最後尾にはユーティに入ってもらった。背後からの襲撃を受けないために。
オレが防御魔法を常時展開していてもいいのだが、あまり派手なことをして、固有魔法の存在を疑われてしまうのは避けたいしな。
ということで少々変則的な隊列を組んで歩くこと数分、分岐ポイントに着く。ゲオルクさんがそこでいったん立ち止まった。
「さてと。ここからがいよいよダンジョンって感じだが、どこに行く? まぁ遠くには行かないから、今はどの道でもいんだが」
周囲を見れば、新人パーティたちは道幅の広い通路へと向かっていた。
だからゲオルクさんのその問いかけにはオレが答えた。
「そうですね……初陣ですし、オレたちも広い道を進みましょう」
「了解だ」
ダンジョンは、超巨大な地下迷宮になっている。
人間一万人が余裕で住めて、そんな都市がいくつも存在するくらいには巨大で、さらには、ご先祖様が魔人から逃げおおせられたほどに複雑怪奇でもある。
しかも、この迷宮構造は変化している。だから「ダンジョンは生きている」という研究者までいた。まるで、超巨大な生物の腹の中にでもいるかのようで薄気味悪いが、いずれにしても、迷宮構造が日々刻々と変化しているのは事実だった。
とはいえ、そこまで短時間で変化するわけではなく数年掛けての変化だ。だから午前中に進んだ道が、帰りになくなっている心配はない。
そんなダンジョンだが、まず入口となるダンジョン都市の正門付近は正門空洞と名付けられていて、かなり広い空間になっている。たぶん東京ドームの内部ほどには広い。
その正門空洞をしばらく進んでいくと分岐ポイントにさしかかる。この分岐ポイントから続く通路が少しずつ変化しているわけだ。
分岐ポイントは、まるで蜂の巣のように、たくさんの穴が空いている。それらがすべてダンジョンの通路だった。
地面にも穴が空いているから、その場合は魔法を使って飛び込んだりもする。あるいは天井の穴を進めば地上に出られるのかというと、そういうわけでもないから困りものだ。
通路自体の大きさも様々で、人間一人がなんとか通れる通路から、人の背丈の数倍はある通路もある。だがどの通路も正門空洞ほどの広さはない。
そんな通路を進んでいくとさらに分岐したり、正門空洞より巨大な場所に出たり、ときには草木が生えている場所や、飲める地下水が流れる川のような場所まであったりして、ダンジョン内は多彩なのだ。
果実まで実らせる草木もあるから、それらを食べることで、ダンジョン内でも多少は食い繋げるが……やはり補給ナシで進むのは困難だった。
なんども残機たちにやらせてみたのだが、飲料水や果実が必ず手に入るわけではないし、激しい運動の後に果物的なものだけでは体力も尽きる。
ちなみに魔獣を食べることは出来ない。魔獣を倒すと、すべて魔力となって霧散してしまうからだ。姿形は獣でも、生物とは違う存在なのだろう。いや、獣としての姿をしていない魔獣もいるが。
「お、運がいいな。もう魔獣が出てきたぞ」
小一時間ほど歩いていると、ゲオルクさんがそんなことを言ってきた。
敵が現れたというのに暢気な言い方だが、魔獣を見れば最弱の魔獣・スライムだった。
スライムといっても、日本の某ゲームで有名な愛くるしいほうではなくて、もっとリアルでドロドロしたヤバイほうだ。
ヤツの体液に触れると、ちょっとした火傷を負う。皮膚を溶かされているらしいのだが、しかしそこまで酷い火傷ではなく、少し赤くなる程度だ。とはいえ、60度くらいの熱湯が撥ねるくらいには痛いから、体液は避けた方が無難だが。
そんな魔獣に、ゲオルクさんは人の背丈ほどもある盾を構えると、オレたちに聞いてくる。
「さて、誰が狩る?」
「そうですね……」
オレはさっと後方に視線を送ると、魔獣との遭遇に驚いているレベッカと、ギュッと目をつぶったままのレニが見えた。さらに後ろのユーティはもちろん落ち着き払っている。
そのレベッカの口がわずかに動いた。
「あ、あれが……魔獣……」
新人であるレベッカにとっては、初めて見る魔獣だ。教科書のイラストではたくさん見てきたが、実際に遭遇するとやはり驚きが勝るのだろう。
レベッカなら、遠距離の攻撃魔法で倒せるかなと思ったのだが、今はその余裕がなさそうだ。
オレはそう判断すると、ゲオルクさんの横に並んだ。
「オレがやります」
「そうか、気をつけろよ。分かっているとは思うが、体液を飛ばしてくるからな」
「はい、分かりました」
ゲオルクさんが忠告してくれるが、本来ならレベル40の剣士であるオレが、スライムに手こずるはずもない。
ということで一閃だった。
オレが、スライムに向かって踏み出したとほぼ同時、スライムは真っ二つ。体の中にあるコアを破壊しないとスライムは死なないのだが、そもそもスライムの体は水色の半透明だから、そのコアは丸見えなのだ。
だからコアを仕留め損ねるはずもなかった。
スライムを真っ二つにしてから振り返ると、ぽかんとしている仲間達がいた。レニは未だに目をつぶったままだが。
っていうか……
レベッカに驚かれるのはまだしも、なんでゲオルクさんもあっけにとられているんだろう?
だからオレは、首を傾げるしかなかった。
「えっと……何かまずかったですか?」
「いや……まずいっていうか……」
ゲオルクさんは、目を丸くしながら言ってきた。
「お前さん、本当に新人か?」
「え? ……あ、ああ……」
ゲオルクさんにまで驚かれたのは、スライムを仕留めるオレの手際がよすぎたからだろう。
スライムを仕留めた程度で技量がバレるはずもないと思い込んでいたが、どうやら違ったらしい。
だからオレは、苦笑しながらゲオルクさんに答える。
「まぁ……たくさん訓練をしてきましたから」
「訓練って……オレが知る限り、どんだけ訓練したとしても、初の実戦では戸惑ったり、怖がったりするもんだけどな」
確かに、学校では超優秀だったレベッカでも、さきほどは固まっていたしな。訓練での反応とは明らかに違っていた。
とはいえ、もう切ってしまったものは仕方がない。だからオレは、笑って誤魔化すことにする。
「あー……オレって、どうやら神経が図太いみたいで」
「くく……そうか。なかなかに、可愛げのない新人じゃないか」
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