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第5章
第26話 涙目になるほど怒ってらっしゃる
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アルデとユイナスが、応接間でティスリの着替えを待つことしばし──
──その間、ユイナスが「今のうちに抜け出そうよお兄ちゃん!」と散々いってきたが、オレは頑として動かなかった。
ただでさえ、休日の一日をユイナスのおもりで潰されてるんだから、平日までもなんて勘弁してくれの一言である。
そんなユイナスと攻防をすることしばし、応接間の扉がノックされる。
「ほらお姉様! 皆にも見てもらいましょう!」
「で、ですが……!」
「大丈夫ですわよ! 誰も変だなんて思いませんわ!」
半開きとなった扉の向こうで、ティスリとリリィが何やら揉めているようだ。着替えは終わったらしいが、ティスリがまだ抵抗しているっぽいな。
学生服になることの何がそんなに嫌なのか、オレにはさっぱりなのだが……
埒があかなさそうなので、オレは立ち上がると扉を開けた。
「なっ……!?」
果たして廊下の向こうには、女子学生姿になったティスリがいた。
それを目撃したオレは、思わず「おお……」と声を漏らしてしまう。
その声を聞いたティスリがキッと睨んできた。
「な、なんですかその反応は!?」
「いや、想像以上に可愛いなと思って……」
「な──!?」
思わずオレが本音をこぼすと、ティスリが真っ赤になる。
「ちょっとお兄ちゃん!?」
すると背後から、ユイナスの怒号が聞こえてきた!
「入学前にわたしが制服を披露したときは、そんな反応しなかったじゃない!」
「は……?」
「いったいどういう了見なのよ!?」
「お前は何を言ってるんだ? 妹の制服姿を見たところで、なんの感情も沸かないのは当然だろ」
「妹差別が酷すぎじゃない!?」
「いや別に、差別しているつもりはないが」
それでもギャーギャー騒ぐユイナスをなだめすかしながらも、オレは横目でティスリを見た。
なんというか……非常に新鮮だ……
もちろんティスリは、黙っていれば美少女なわけで、どんな服を着ても似合うのだが……
なんだって、こんなに新鮮に感じるんだ……!?
そもそも、普段のティスリは比較的大人びた服装をしていたのだ。服のことはまったく分からないオレでもそのくらいは気づく。さらに王女として達振る舞うときは、華美ではないものの、質のよさげな大人っぽいドレスを着ることもあった。
しかしあのブレザーの制服姿は……なんというか……
ちょっと子供っぽい感じというか、あどけなさが残るというかの服装で、とくに、胸元の大きなリボンタイが余計に幼さを引き出している。
だというのにティスリ特有の抜群なスタイルが、その制服とあまりにアンバランスなのだ! ブレザー上からでも胸の膨らみが分かるとかどんだけなんだよ!?
そして極めつけは膝上丈のギザギザしたスカート! いやお前、そんな太もも剥き出しとか……ってかこの学校の女子生徒はみんなそうなんだけど、なぜかティスリがそれを着るとひっじょーに艶めかしくて!?
さらには髪の毛をツインテールなんかにして、しかも銀縁眼鏡なんて掛けているものだから、もはや普段と違いすぎて──
──あ、ヤバイ。
ティスリが……涙目になるほど怒ってらっしゃる。
「そんなにまぢまぢと見ないでください!!」
「お兄ちゃんそのイヤラシイ視線は何!?」
どうやらオレは、気づけばティスリを凝視していたらしい。
ということで……
オレは、ティスリとユイナス両方からグーパンを食らうのだった……
──その間、ユイナスが「今のうちに抜け出そうよお兄ちゃん!」と散々いってきたが、オレは頑として動かなかった。
ただでさえ、休日の一日をユイナスのおもりで潰されてるんだから、平日までもなんて勘弁してくれの一言である。
そんなユイナスと攻防をすることしばし、応接間の扉がノックされる。
「ほらお姉様! 皆にも見てもらいましょう!」
「で、ですが……!」
「大丈夫ですわよ! 誰も変だなんて思いませんわ!」
半開きとなった扉の向こうで、ティスリとリリィが何やら揉めているようだ。着替えは終わったらしいが、ティスリがまだ抵抗しているっぽいな。
学生服になることの何がそんなに嫌なのか、オレにはさっぱりなのだが……
埒があかなさそうなので、オレは立ち上がると扉を開けた。
「なっ……!?」
果たして廊下の向こうには、女子学生姿になったティスリがいた。
それを目撃したオレは、思わず「おお……」と声を漏らしてしまう。
その声を聞いたティスリがキッと睨んできた。
「な、なんですかその反応は!?」
「いや、想像以上に可愛いなと思って……」
「な──!?」
思わずオレが本音をこぼすと、ティスリが真っ赤になる。
「ちょっとお兄ちゃん!?」
すると背後から、ユイナスの怒号が聞こえてきた!
「入学前にわたしが制服を披露したときは、そんな反応しなかったじゃない!」
「は……?」
「いったいどういう了見なのよ!?」
「お前は何を言ってるんだ? 妹の制服姿を見たところで、なんの感情も沸かないのは当然だろ」
「妹差別が酷すぎじゃない!?」
「いや別に、差別しているつもりはないが」
それでもギャーギャー騒ぐユイナスをなだめすかしながらも、オレは横目でティスリを見た。
なんというか……非常に新鮮だ……
もちろんティスリは、黙っていれば美少女なわけで、どんな服を着ても似合うのだが……
なんだって、こんなに新鮮に感じるんだ……!?
そもそも、普段のティスリは比較的大人びた服装をしていたのだ。服のことはまったく分からないオレでもそのくらいは気づく。さらに王女として達振る舞うときは、華美ではないものの、質のよさげな大人っぽいドレスを着ることもあった。
しかしあのブレザーの制服姿は……なんというか……
ちょっと子供っぽい感じというか、あどけなさが残るというかの服装で、とくに、胸元の大きなリボンタイが余計に幼さを引き出している。
だというのにティスリ特有の抜群なスタイルが、その制服とあまりにアンバランスなのだ! ブレザー上からでも胸の膨らみが分かるとかどんだけなんだよ!?
そして極めつけは膝上丈のギザギザしたスカート! いやお前、そんな太もも剥き出しとか……ってかこの学校の女子生徒はみんなそうなんだけど、なぜかティスリがそれを着るとひっじょーに艶めかしくて!?
さらには髪の毛をツインテールなんかにして、しかも銀縁眼鏡なんて掛けているものだから、もはや普段と違いすぎて──
──あ、ヤバイ。
ティスリが……涙目になるほど怒ってらっしゃる。
「そんなにまぢまぢと見ないでください!!」
「お兄ちゃんそのイヤラシイ視線は何!?」
どうやらオレは、気づけばティスリを凝視していたらしい。
ということで……
オレは、ティスリとユイナス両方からグーパンを食らうのだった……
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