171 / 245
第5章
第4話 大貴族より偉そうなうちの妹
しおりを挟む
なぜか、アルデが謂れのない非難を受けたりしたものの、いずれにしてもティスリは王都に帰ることとなった。
ということは、これで夏のバカンスも終わりかぁ。
名残惜しくもあるが致し方ない。そもそも、ティスリとの旅自体がバカンスみたいなもんだったしな。
ということでみんなが起きたタイミングで、ティスリが全員に話を切り出した。
「実は……仕事でちょっとした揉め事が起きまして。わたしは王都へ戻ることになりました」
貴族反乱は、まだ平民には知らされていない。だからティスリは『仕事』とだけいって話をぼやかしている。余計な混乱を避けるための配慮だった。
そもそもナーヴィン当たりが情報を漏らしかねないし、博識のミアなんかは、必要以上に心配するだろうからな。
案の定、ミアが心配そうに口を開く。
「仕事というと……大丈夫なのでしょうか?」
「ええ、心配には及びません。すぐに片付けてきますので。ですので皆さんは、引き続きバカンスを楽しんでください。この地の施設は、これまで通り使えるよう手配しておきますので」
ナーヴィンが残念そうな声を上げる。
「えー……ティスリさんがいないんじゃ、ここにいる理由もあんまりなくなるなぁ……」
そもそも、ナーヴィン自身がここにいる理由なんてないわけだが、それは黙っておこう。
大人なオレが言葉を飲み込んでいると、ユイナスが聞いてきた。
「お兄ちゃんはどうするの?」
「そりゃ、オレはティスリの側近だからな」
オレがわざと側近の二文字を言っても、ティスリはとくに反論してこない。おお……もしかして、本当に側近として認めているのか?
その代わり、背後に控えているラーフルが剣呑な表情になっているが……やっぱり間違いなく、かなり僻まれてるなオレ。彼女の前では、大人しくしておいたほうがよさそうだ。衛士追放の二の舞にはなりたくないし。
そんな視線をヒシヒシと感じながら、オレは話を続けた。
「だからオレも王都にいくさ。それでいいよな、ティスリ」
「ええ……そうですね。バカンス中止の埋め合わせは、いずれしますので同行してください」
どことなく嬉しそうに、ティスリが答えてくる。
ふっ……オレの同行がそんなに頼もしいってか。なんだかんだいって、オレはティスリに信頼されているようだ。
しかし、そんなティスリとは対照的にユイナスは不服そうだ。
「えー! じゃあわたしだって、ここに残る意味ないじゃない!」
「なんでだよ。まだ南の島での遊びはいろいろあるだろ」
「お兄ちゃんがいなくちゃ、どんな遊びでも楽しくないって意味よ!」
「お前なぁ……」
ユイナスのそんな台詞に、オレは心底呆れた。
「いい歳なんだから、いい加減に兄離れしろよ」
「そこはまんざらでもない顔するのが王道でしょお兄ちゃん!?」
なんの王道なんだかよく分からないが、とりあえずオレは話をまとめる。
「となると……平民組も帰宅ってことでいいのか?」
しかしまたぞろユイナスが余計なことを言ってきた。
「村に帰るわけないじゃない!」
「じゃあどこに帰ると?」
オレが首を傾げると、ユイナスはビシィッとオレを指差した。
「わたしが帰る場所──それは常にお兄ちゃんの元のみよ!」
「前から言ってるが、人を指差すんじゃない」
「感動の名言を完全スルー!?」
ユイナスの言動は、相変わらず分けが分からないので疑問符を浮かべていると、ミアが補足してきた。
「つまりユイナスちゃんも、王都に行きたいってことよね?」
「人の名言を安直に言い換えないでよ! ……でもまぁ、そういうことよ」
「いやすげぇなミア……あの迷言の意図を汲むとは。さすがは成績がよかっただけある」
「そ、そうかな? 割合簡単だと思うけど……」
「お兄ちゃん! メイゲンのニュアンス違くない!?」
オレ達がわいのわいの言い合っていると、リリィが言ってきた。
「えーと……それでどうしますの? 王都に行きたいというのなら、別にそれでも構いませんわよ。観光するのもいいでしょうし」
「え、まぢで?」
大貴族のリリィは簡単に言ってくれるが、オレ達平民にとっては、王都観光なんて、一生に一度あるかないかの出来事だぞ。
そもそも平民──とりわけ農民は、旅行なんて概念がない。戦争や災害でも起きない限り、村を出ることすら滅多にない。もちろん、商人になればまた話も違ってくるが。
オレが王都に上京するときだって一大事だったんだからな。とくに旅費の工面が大変だった。
もちろんほとんどの村人は、王都になんて行かず一生を終える。
だからこそというべきか……お貴族様的な暮らしを夢見がちなユイナスは、リリィの話に思いっきり乗っていた。
「リリィ本当!? 王都に連れてってくれるの!?」
「ええまぁ。わたしも、お姉様が帰られるのでしたら付いていきますが、学生のわたしではやれることもありませんし。なんなら、わたし自らが王都を案内して差し上げますわよ」
「王都……あ、あこがれの王都に、まさかこんな形でいけるなんて……!」
すでに妄想の中に浸っているユイナスの代わりに、オレがリリィに聞いた。
「とは言っても、王都は何かとカネがかかるぞ? とくに宿屋がバカ高いし……」
いくらなんでもオレが使うような安宿に、ミアやユイナスを泊めるわけにもいかないしなぁ……まぁ知り合ったばかりのティスリは泊めたけど、あのときは、ティスリが酔い潰れてしまったのだから仕方がなかったわけだし。
そんなオレに、リリィはあっけらかんと答えてきた。
「王都には、わたしやお姉様の邸宅がありますから、宿泊場所には困らないですわよ」
「ティスリの家なんてイヤよ!」
それを聞いたユイナスが真っ先に言ってくる。
「ティスリの家にお兄ちゃんが出入りして、いわんや「お帰りなさい」とかするなんて……まるでアレみたいじゃない!」
ユイナスが意味不明なことを言い出すので、オレは首を傾げるしかない。
「アレってなんだよ、アレって」
「アレはアレよ!」
「だからなんだよ?」
「分からないならそれでもいいの! とにかくティスリんちはイヤ!」
そんな感じに問答無用で断固拒否され、人知れずティスリが落ち込んでるが……オレ以外は誰も気づいていないのか、宿泊先の話は勝手に進んでいく。
「なら当家のゲストルームを貸しますよ。もちろん無償で、食事もつけますわ」
そんなリリィにユイナスが感心する。
「リリィ……ずいぶんと気前がいいじゃない。今回は、別にティスリも絡んでいないってのに……もしかして、何か裏があるんじゃないでしょうね?」
「う、裏なんてありませんわよ!」
「でもあんた、貴族だし。いつでも権謀術数を巡らせてそう」
「偏見にも程がありますわ! ならユイナスは王都観光しなくていいんですのね!?」
「そんなこといってないでしょ!」
「ならば人の好意は素直に受け取るべきですわ!」
「……まぁ……いいわ。今回は、そうしておく」
「おい妹よ。お前はなんだってそう偉そうなんだ……」
大貴族より偉そうなうちの妹って、いったいどんな立場なんだ?
やむを得ないので、ユイナスの代わりにオレが礼を言うことにした。
「悪いなリリィ。このバカンスといい、いろいろ負担させてしまって」
「構いませんわ。当家にとってはこの程度、負担にもなりませんし」
「そうか……ありがとうな。あと今後も、ユイナスと仲良くしてくれるよ助かるよ」
「べ、別に……仲良くするとかそういうことじゃなくて……ま、まぁ……ユイナスは、ひょっとしたら友達かもしれないですがしかし……」
「もうお兄ちゃん! そんなにへりくだる必要ないのよ! こいつらは、わたしたちの税金で食ってるんだから!」
「いや、お前はまだ税金払ってないだろーが」
何やら、リリィが頬を赤らめながらモゾモゾと言っていたが、ユイナスに遮られてその台詞はよく聞こえなかった。
いずれにしても、ユイナス、ミア、あとついでにナーヴィンは、リリィの世話になりながら王都観光をすることになったのだった。
ということは、これで夏のバカンスも終わりかぁ。
名残惜しくもあるが致し方ない。そもそも、ティスリとの旅自体がバカンスみたいなもんだったしな。
ということでみんなが起きたタイミングで、ティスリが全員に話を切り出した。
「実は……仕事でちょっとした揉め事が起きまして。わたしは王都へ戻ることになりました」
貴族反乱は、まだ平民には知らされていない。だからティスリは『仕事』とだけいって話をぼやかしている。余計な混乱を避けるための配慮だった。
そもそもナーヴィン当たりが情報を漏らしかねないし、博識のミアなんかは、必要以上に心配するだろうからな。
案の定、ミアが心配そうに口を開く。
「仕事というと……大丈夫なのでしょうか?」
「ええ、心配には及びません。すぐに片付けてきますので。ですので皆さんは、引き続きバカンスを楽しんでください。この地の施設は、これまで通り使えるよう手配しておきますので」
ナーヴィンが残念そうな声を上げる。
「えー……ティスリさんがいないんじゃ、ここにいる理由もあんまりなくなるなぁ……」
そもそも、ナーヴィン自身がここにいる理由なんてないわけだが、それは黙っておこう。
大人なオレが言葉を飲み込んでいると、ユイナスが聞いてきた。
「お兄ちゃんはどうするの?」
「そりゃ、オレはティスリの側近だからな」
オレがわざと側近の二文字を言っても、ティスリはとくに反論してこない。おお……もしかして、本当に側近として認めているのか?
その代わり、背後に控えているラーフルが剣呑な表情になっているが……やっぱり間違いなく、かなり僻まれてるなオレ。彼女の前では、大人しくしておいたほうがよさそうだ。衛士追放の二の舞にはなりたくないし。
そんな視線をヒシヒシと感じながら、オレは話を続けた。
「だからオレも王都にいくさ。それでいいよな、ティスリ」
「ええ……そうですね。バカンス中止の埋め合わせは、いずれしますので同行してください」
どことなく嬉しそうに、ティスリが答えてくる。
ふっ……オレの同行がそんなに頼もしいってか。なんだかんだいって、オレはティスリに信頼されているようだ。
しかし、そんなティスリとは対照的にユイナスは不服そうだ。
「えー! じゃあわたしだって、ここに残る意味ないじゃない!」
「なんでだよ。まだ南の島での遊びはいろいろあるだろ」
「お兄ちゃんがいなくちゃ、どんな遊びでも楽しくないって意味よ!」
「お前なぁ……」
ユイナスのそんな台詞に、オレは心底呆れた。
「いい歳なんだから、いい加減に兄離れしろよ」
「そこはまんざらでもない顔するのが王道でしょお兄ちゃん!?」
なんの王道なんだかよく分からないが、とりあえずオレは話をまとめる。
「となると……平民組も帰宅ってことでいいのか?」
しかしまたぞろユイナスが余計なことを言ってきた。
「村に帰るわけないじゃない!」
「じゃあどこに帰ると?」
オレが首を傾げると、ユイナスはビシィッとオレを指差した。
「わたしが帰る場所──それは常にお兄ちゃんの元のみよ!」
「前から言ってるが、人を指差すんじゃない」
「感動の名言を完全スルー!?」
ユイナスの言動は、相変わらず分けが分からないので疑問符を浮かべていると、ミアが補足してきた。
「つまりユイナスちゃんも、王都に行きたいってことよね?」
「人の名言を安直に言い換えないでよ! ……でもまぁ、そういうことよ」
「いやすげぇなミア……あの迷言の意図を汲むとは。さすがは成績がよかっただけある」
「そ、そうかな? 割合簡単だと思うけど……」
「お兄ちゃん! メイゲンのニュアンス違くない!?」
オレ達がわいのわいの言い合っていると、リリィが言ってきた。
「えーと……それでどうしますの? 王都に行きたいというのなら、別にそれでも構いませんわよ。観光するのもいいでしょうし」
「え、まぢで?」
大貴族のリリィは簡単に言ってくれるが、オレ達平民にとっては、王都観光なんて、一生に一度あるかないかの出来事だぞ。
そもそも平民──とりわけ農民は、旅行なんて概念がない。戦争や災害でも起きない限り、村を出ることすら滅多にない。もちろん、商人になればまた話も違ってくるが。
オレが王都に上京するときだって一大事だったんだからな。とくに旅費の工面が大変だった。
もちろんほとんどの村人は、王都になんて行かず一生を終える。
だからこそというべきか……お貴族様的な暮らしを夢見がちなユイナスは、リリィの話に思いっきり乗っていた。
「リリィ本当!? 王都に連れてってくれるの!?」
「ええまぁ。わたしも、お姉様が帰られるのでしたら付いていきますが、学生のわたしではやれることもありませんし。なんなら、わたし自らが王都を案内して差し上げますわよ」
「王都……あ、あこがれの王都に、まさかこんな形でいけるなんて……!」
すでに妄想の中に浸っているユイナスの代わりに、オレがリリィに聞いた。
「とは言っても、王都は何かとカネがかかるぞ? とくに宿屋がバカ高いし……」
いくらなんでもオレが使うような安宿に、ミアやユイナスを泊めるわけにもいかないしなぁ……まぁ知り合ったばかりのティスリは泊めたけど、あのときは、ティスリが酔い潰れてしまったのだから仕方がなかったわけだし。
そんなオレに、リリィはあっけらかんと答えてきた。
「王都には、わたしやお姉様の邸宅がありますから、宿泊場所には困らないですわよ」
「ティスリの家なんてイヤよ!」
それを聞いたユイナスが真っ先に言ってくる。
「ティスリの家にお兄ちゃんが出入りして、いわんや「お帰りなさい」とかするなんて……まるでアレみたいじゃない!」
ユイナスが意味不明なことを言い出すので、オレは首を傾げるしかない。
「アレってなんだよ、アレって」
「アレはアレよ!」
「だからなんだよ?」
「分からないならそれでもいいの! とにかくティスリんちはイヤ!」
そんな感じに問答無用で断固拒否され、人知れずティスリが落ち込んでるが……オレ以外は誰も気づいていないのか、宿泊先の話は勝手に進んでいく。
「なら当家のゲストルームを貸しますよ。もちろん無償で、食事もつけますわ」
そんなリリィにユイナスが感心する。
「リリィ……ずいぶんと気前がいいじゃない。今回は、別にティスリも絡んでいないってのに……もしかして、何か裏があるんじゃないでしょうね?」
「う、裏なんてありませんわよ!」
「でもあんた、貴族だし。いつでも権謀術数を巡らせてそう」
「偏見にも程がありますわ! ならユイナスは王都観光しなくていいんですのね!?」
「そんなこといってないでしょ!」
「ならば人の好意は素直に受け取るべきですわ!」
「……まぁ……いいわ。今回は、そうしておく」
「おい妹よ。お前はなんだってそう偉そうなんだ……」
大貴族より偉そうなうちの妹って、いったいどんな立場なんだ?
やむを得ないので、ユイナスの代わりにオレが礼を言うことにした。
「悪いなリリィ。このバカンスといい、いろいろ負担させてしまって」
「構いませんわ。当家にとってはこの程度、負担にもなりませんし」
「そうか……ありがとうな。あと今後も、ユイナスと仲良くしてくれるよ助かるよ」
「べ、別に……仲良くするとかそういうことじゃなくて……ま、まぁ……ユイナスは、ひょっとしたら友達かもしれないですがしかし……」
「もうお兄ちゃん! そんなにへりくだる必要ないのよ! こいつらは、わたしたちの税金で食ってるんだから!」
「いや、お前はまだ税金払ってないだろーが」
何やら、リリィが頬を赤らめながらモゾモゾと言っていたが、ユイナスに遮られてその台詞はよく聞こえなかった。
いずれにしても、ユイナス、ミア、あとついでにナーヴィンは、リリィの世話になりながら王都観光をすることになったのだった。
0
お気に入りに追加
365
あなたにおすすめの小説

友人(勇者)に恋人も幼馴染も取られたけど悔しくない。 だって俺は転生者だから。
石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていた魔法戦士のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもない状態だった。
だが、此の状態は彼にとっては『本当の幸せ』を掴む事に必要だった
何故なら、彼は『転生者』だから…
今度は違う切り口からのアプローチ。
追放の話しの一話は、前作とかなり似ていますが2話からは、かなり変わります。
こうご期待。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
クラスメイトの美少女と無人島に流された件
桜井正宗
青春
修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。
高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。
どうやら、漂流して流されていたようだった。
帰ろうにも島は『無人島』。
しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。
男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

八百長試合を引き受けていたが、もう必要ないと言われたので圧勝させてもらいます
海夏世もみじ
ファンタジー
月一に開催されるリーヴェ王国最強決定大会。そこに毎回登場するアッシュという少年は、金をもらう代わりに対戦相手にわざと負けるという、いわゆる「八百長試合」をしていた。
だが次の大会が目前となったある日、もうお前は必要ないと言われてしまう。八百長が必要ないなら本気を出してもいい。
彼は手加減をやめ、“本当の力”を解放する。

最低最悪の悪役令息に転生しましたが、神スキル構成を引き当てたので思うままに突き進みます! 〜何やら転生者の勇者から強いヘイトを買っている模様
コレゼン
ファンタジー
「おいおい、嘘だろ」
ある日、目が覚めて鏡を見ると俺はゲーム「ブレイス・オブ・ワールド」の公爵家三男の悪役令息グレイスに転生していた。
幸いにも「ブレイス・オブ・ワールド」は転生前にやりこんだゲームだった。
早速、どんなスキルを授かったのかとステータスを確認してみると――
「超低確率の神スキル構成、コピースキルとスキル融合の組み合わせを神引きしてるじゃん!!」
やったね! この神スキル構成なら処刑エンドを回避して、かなり有利にゲーム世界を進めることができるはず。
一方で、別の転生者の勇者であり、元エリートで地方自治体の首長でもあったアルフレッドは、
「なんでモブキャラの悪役令息があんなに強力なスキルを複数持ってるんだ! しかも俺が目指してる国王エンドを邪魔するような行動ばかり取りやがって!!」
悪役令息のグレイスに対して日々不満を高まらせていた。
なんか俺、勇者のアルフレッドからものすごいヘイト買ってる?
でもまあ、勇者が最強なのは検証が進む前の攻略情報だから大丈夫っしょ。
というわけで、ゲーム知識と神スキル構成で思うままにこのゲーム世界を突き進んでいきます!

冤罪をかけられた上に婚約破棄されたので、こんな国出て行ってやります
真理亜
恋愛
「そうですか。では出て行きます」
婚約者である王太子のイーサンから謝罪を要求され、従わないなら国外追放だと脅された公爵令嬢のアイリスは、平然とこう言い放った。
そもそもが冤罪を着せられた上、婚約破棄までされた相手に敬意を表す必要など無いし、そんな王太子が治める国に未練などなかったからだ。
脅しが空振りに終わったイーサンは狼狽えるが、最早後の祭りだった。なんと娘可愛さに公爵自身もまた爵位を返上して国を出ると言い出したのだ。
王国のTOPに位置する公爵家が無くなるなどあってはならないことだ。イーサンは慌てて引き止めるがもう遅かった。

俺しか使えない『アイテムボックス』がバグってる
十本スイ
ファンタジー
俗にいう神様転生とやらを経験することになった主人公――札月沖長。ただしよくあるような最強でチートな能力をもらい、異世界ではしゃぐつもりなど到底なかった沖長は、丈夫な身体と便利なアイテムボックスだけを望んだ。しかしこの二つ、神がどういう解釈をしていたのか、特にアイテムボックスについてはバグっているのではと思うほどの能力を有していた。これはこれで便利に使えばいいかと思っていたが、どうも自分だけが転生者ではなく、一緒に同世界へ転生した者たちがいるようで……。しかもそいつらは自分が主人公で、沖長をイレギュラーだの踏み台だなどと言ってくる。これは異世界ではなく現代ファンタジーの世界に転生することになった男が、その世界の真実を知りながらもマイペースに生きる物語である。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる