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第4章
第16話 万が一にもアイツにバレたら、間違いなくコロされるぞ!?
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「んだよアルデのやつ。相変わらず付き合い悪いな」
ナーヴィンは、二次会と称して夜の街に行こうとアルデを誘ったのだが、ヤツは──
「ぜっっったいに駄目だ! 万が一にもアイツにバレたら、間違いなくコロされるぞ!? お前もアイツに好かれたいなら絶対やめとけよ!?」
──などと断固拒否したあげく、さっさと帰ってしまったのだ。まるで逃げるかのように。
アルデのヤツ、いったい何に怯えてたんだ?
ということでオレは、繁華街を一人で散策している。
「どうすっかなぁ……この空しい気持ちを埋めたいけど……」
だが知らない土地の夜の街は何かと危険だ。鬱憤を晴らしたくても、ヤバイ人達に捕まってしまっては取り返しが付かない。
まさにこういうとき、腕っ節の強いアルデの出番だというのに、アイツはいつも逃げるんだよな。男なのかと疑いたくなるほどだ。
「まぁ……ちょっと様子を見て、大丈夫そうなら入ってみるか……」
オレは、熟練の勘で夜の街に繋がる路地を見つけると、そこに入っていく。
ふむ……雰囲気は思っていたより悪くない。酷いときには、入った途端に異臭が漂ってきて、そこかしこに人が倒れているからな。
「これなら……大丈夫そうか?」
さすがに郡庁がある街だけあって、夜の街はまともそうだ。これなら今晩は楽しめそうだな──
──と考えていたら、ふっと、路地の陰から人が現れる。
「っと、危ないな」
オレはぶつかる寸前に避けたが、避けたその前にも人が立ち塞がっていた。
「……え?」
そうして気づけば、数人の大男に取り囲まれている。
え、え……え?
「え、いや、あの……お兄さん達、ぼくに何かご用でしょうか……?」
大男達は黒づくめの服に顔までフードで覆っており──どう考えても普通じゃない!
な、なんでだ!?
まだ店にも入っていないというのに、どうしていきなり取り囲まれた!?
こんなに物騒なのが夜の街なんてあり得ない! もはやスラム街だぞ!?
この路地の雰囲気は、そんなふうには見えなかったのに!
「あ、あの……お兄さん方……?」
オレは、あくまでも平和的解決を試みようとするのだが──こいつら!
問答無用で抜刀してきやがった!?
「ちょっ! 待てよ!?」
しかしオレの制止も聞かずに、男達が一斉に斬りかかってきて──
──あ、駄目だ。これ、死ぬやつだ。
などと、唐突に冷静になった頭のどこかが、そんなことをつぶやいた途端。
ボンボン、ボボン!
なぜか、断続的な爆発音が聞こえてきた。
どうやらオレは、思わず目をつぶっていたらしい。
その目をうっすら開いてみると──
「な、なんだ、これ……」
──男達は、見事なまでに真っ黒焦げになって、地面を転がっていた。
「えーと……もしもしー?」
オレは大男の一人を突いてみると「ぐえぇ……!」という呻き声を上げる。どうやら全員、息はあるようだが……
いったいどうなってんだ、これ?
「あ、もしかしてティスリさんですか!?」
そう思って、オレは周囲に「ティスリさーん!」と声を掛けてみるも、まったくもって無反応だ。
うーむ……ティスリさんが魔法で助けてくれたのかと思ったんだが。どうやら違うようだ。助けてくれたのなら、隠れ続ける理由もないし。
「いや、ここで考えていても仕方がない。とりあえず……逃げるか」
またぞろ別の男達がやってきたらたまらない。
オレはそう思って、一目散にその場から逃げ出すのだった。
ナーヴィンは、二次会と称して夜の街に行こうとアルデを誘ったのだが、ヤツは──
「ぜっっったいに駄目だ! 万が一にもアイツにバレたら、間違いなくコロされるぞ!? お前もアイツに好かれたいなら絶対やめとけよ!?」
──などと断固拒否したあげく、さっさと帰ってしまったのだ。まるで逃げるかのように。
アルデのヤツ、いったい何に怯えてたんだ?
ということでオレは、繁華街を一人で散策している。
「どうすっかなぁ……この空しい気持ちを埋めたいけど……」
だが知らない土地の夜の街は何かと危険だ。鬱憤を晴らしたくても、ヤバイ人達に捕まってしまっては取り返しが付かない。
まさにこういうとき、腕っ節の強いアルデの出番だというのに、アイツはいつも逃げるんだよな。男なのかと疑いたくなるほどだ。
「まぁ……ちょっと様子を見て、大丈夫そうなら入ってみるか……」
オレは、熟練の勘で夜の街に繋がる路地を見つけると、そこに入っていく。
ふむ……雰囲気は思っていたより悪くない。酷いときには、入った途端に異臭が漂ってきて、そこかしこに人が倒れているからな。
「これなら……大丈夫そうか?」
さすがに郡庁がある街だけあって、夜の街はまともそうだ。これなら今晩は楽しめそうだな──
──と考えていたら、ふっと、路地の陰から人が現れる。
「っと、危ないな」
オレはぶつかる寸前に避けたが、避けたその前にも人が立ち塞がっていた。
「……え?」
そうして気づけば、数人の大男に取り囲まれている。
え、え……え?
「え、いや、あの……お兄さん達、ぼくに何かご用でしょうか……?」
大男達は黒づくめの服に顔までフードで覆っており──どう考えても普通じゃない!
な、なんでだ!?
まだ店にも入っていないというのに、どうしていきなり取り囲まれた!?
こんなに物騒なのが夜の街なんてあり得ない! もはやスラム街だぞ!?
この路地の雰囲気は、そんなふうには見えなかったのに!
「あ、あの……お兄さん方……?」
オレは、あくまでも平和的解決を試みようとするのだが──こいつら!
問答無用で抜刀してきやがった!?
「ちょっ! 待てよ!?」
しかしオレの制止も聞かずに、男達が一斉に斬りかかってきて──
──あ、駄目だ。これ、死ぬやつだ。
などと、唐突に冷静になった頭のどこかが、そんなことをつぶやいた途端。
ボンボン、ボボン!
なぜか、断続的な爆発音が聞こえてきた。
どうやらオレは、思わず目をつぶっていたらしい。
その目をうっすら開いてみると──
「な、なんだ、これ……」
──男達は、見事なまでに真っ黒焦げになって、地面を転がっていた。
「えーと……もしもしー?」
オレは大男の一人を突いてみると「ぐえぇ……!」という呻き声を上げる。どうやら全員、息はあるようだが……
いったいどうなってんだ、これ?
「あ、もしかしてティスリさんですか!?」
そう思って、オレは周囲に「ティスリさーん!」と声を掛けてみるも、まったくもって無反応だ。
うーむ……ティスリさんが魔法で助けてくれたのかと思ったんだが。どうやら違うようだ。助けてくれたのなら、隠れ続ける理由もないし。
「いや、ここで考えていても仕方がない。とりあえず……逃げるか」
またぞろ別の男達がやってきたらたまらない。
オレはそう思って、一目散にその場から逃げ出すのだった。
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