孤高のぼっち王女が理不尽すぎ! なのに追放平民のオレと……二人っきりの逃避行!?

佐々木直也

文字の大きさ
上 下
96 / 245
第3章

第11話 この方は?

しおりを挟む
「アルデ……帰ってきてたんだ……」

 アルデオレたちが近づくと、シバを撫でていたミアが立ち上がった。

 するとオレの背中が小突かれて、ティスリが言ってくる。

「アルデ。この方は?」

「え? あ、ああ……彼女はミア・ミズーリと言って、村長の娘さんだ」

 オレが紹介すると、ミアはにこやかに会釈をした。

 オレの隣に並んだティスリも会釈を返してから、オレを見上げてくる。どことなく、睨まれているような……?

「ずいぶん親しげなのですね?」

「親しげも何も……そりゃクラスメイトだったんだから当然だろ」

「へぇ……ということはこのミアさんが、ウルグさんの言っていた幼なじみの女性、というわけですか」

「よ、よく覚えているな……っていうか、クラスメイトはみんな幼なじみだからな?」

「ふぅん? ということは、他にも仲良しの女性がいるということなんですね」

「そ、そうは言ってないだろ……!?」

 そんなオレたちのやりとりを、ミアは不思議そうに眺めていたので、オレは、ティスリとの話を打ち切ろうと試みる。

「ほ、ほら、お前の紹介もしなくちゃだから……」

「そうですね。ではそのあとに、アルデのクラスメイト全員を紹介してもらいましょうか」

「な、なんでだよ!?」

「従者の交友関係を把握しておくのもあるじの務めですし」

「んな主いねぇよ!」

「なら、せっかく故郷に来たのですし、この機会に同窓会でもすればいいでしょう? ついでにわたしも参加しますから」

「卒業してから一年半程度で同窓会するものか? ってか、どうしてそこに同窓じゃないお前が入ろうとしてんだよ……」

「なるほど。わたしはけ者、ということですか」

「除け者じゃなくて部外者だろ!?」

「あ、あの……」

 会話の打ち切りに失敗したオレだったが、ミアが戸惑いながらも声を掛けてくれたので、ティスリとの言い合いはひとまず終了する。

 や、やはり……オレの嫌な予感は的中しそうだ……して欲しくはないのだが……

 オレは、内心に冷や汗を掻きながらも、ミアにティスリを紹介する。

「すまんすまん、こっちはティスリ・レイドと言って政商の娘さんだ。今のオレの雇用主でもある」

 そうしてオレは、家族と同じ説明をミアにしようとしたところ、彼女のほうから言ってきた。

「そうだったんだ……ティスリさん、どうぞよろしくお願いします」

「ええ、こちらこそ」

「立ち話もなんですし、うちに来ませんか? 扇風機もあるから涼しいと思いますし」

 オレとしては、出来れば立ち話で済ませてこの場を去りたいところなのだが……

 しかしティスリは、オレが断る前に頷いてしまう。

「そうですね。ちょうど、村長さんにはご挨拶に伺おうと思っていたところでしたので」

「あ、そうでしたか。でも父はあいにく不在でして」

「なら娘さんのあなたでも構いません」

「分かりました。ではすぐそこですから、ご案内しますね」

 そうして、オレの意志とは関係なく、ミアの家へと案内されてしまうのだった。

 何事もなければいいのだが……ってか何事も起きるはずがないのだが……

 オレはどうして、こんなに汗を掻いているのだろう……?

 ああ……夏だからだな。

 どうしてか、汗は冷たかったけれども。
しおりを挟む
感想 12

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

友人(勇者)に恋人も幼馴染も取られたけど悔しくない。 だって俺は転生者だから。

石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていた魔法戦士のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもない状態だった。 だが、此の状態は彼にとっては『本当の幸せ』を掴む事に必要だった 何故なら、彼は『転生者』だから… 今度は違う切り口からのアプローチ。 追放の話しの一話は、前作とかなり似ていますが2話からは、かなり変わります。 こうご期待。

美人四天王の妹とシテいるけど、僕は学校を卒業するまでモブに徹する、はずだった

ぐうのすけ
恋愛
【カクヨムでラブコメ週間2位】ありがとうございます! 僕【山田集】は高校3年生のモブとして何事もなく高校を卒業するはずだった。でも、義理の妹である【山田芽以】とシテいる現場をお母さんに目撃され、家族会議が開かれた。家族会議の結果隠蔽し、何事も無く高校を卒業する事が決まる。ある時学校の美人四天王の一角である【夏空日葵】に僕と芽以がベッドでシテいる所を目撃されたところからドタバタが始まる。僕の完璧なモブメッキは剥がれ、ヒマリに観察され、他の美人四天王にもメッキを剥され、何かを嗅ぎつけられていく。僕は、平穏無事に学校を卒業できるのだろうか? 『この物語は、法律・法令に反する行為を容認・推奨するものではありません』

男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件

美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…? 最新章の第五章も夕方18時に更新予定です! ☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。 ※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます! ※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。 ※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!

クラスメイトの美少女と無人島に流された件

桜井正宗
青春
 修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。  高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。  どうやら、漂流して流されていたようだった。  帰ろうにも島は『無人島』。  しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。  男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?

勇者のハーレムパーティー抜けさせてもらいます!〜やけになってワンナイトしたら溺愛されました〜

犬の下僕
恋愛
勇者に裏切られた主人公がワンナイトしたら溺愛される話です。

スライム10,000体討伐から始まるハーレム生活

昼寝部
ファンタジー
 この世界は12歳になったら神からスキルを授かることができ、俺も12歳になった時にスキルを授かった。  しかし、俺のスキルは【@&¥#%】と正しく表記されず、役に立たないスキルということが判明した。  そんな中、両親を亡くした俺は妹に不自由のない生活を送ってもらうため、冒険者として活動を始める。  しかし、【@&¥#%】というスキルでは強いモンスターを討伐することができず、3年間冒険者をしてもスライムしか倒せなかった。  そんなある日、俺がスライムを10,000体討伐した瞬間、スキル【@&¥#%】がチートスキルへと変化して……。  これは、ある日突然、最強の冒険者となった主人公が、今まで『スライムしか倒せないゴミ』とバカにしてきた奴らに“ざまぁ”し、美少女たちと幸せな日々を過ごす物語。

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

処理中です...