孤高のぼっち王女が理不尽すぎ! なのに追放平民のオレと……二人っきりの逃避行!?

佐々木直也

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第2章

第24話 うう……我が弟ながら惚れてしまいそうだよ……

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 アパートに謎の男達が乱入してきて、フォッテスわたしが盾に取られてしまったせいで、ベラトは抵抗らしい抵抗もできずに、わたし共々捕まってしまう。

 両手を縄で縛られて、幌の付いた荷馬車に投げ込まれると馬車はすぐさま発進した。

 荷馬車の中には、黒づくめの男が六人乗り込んでいる。御者台にも三人乗っているようだから、計九人になるだろうか。

 相手の実力にもよるが、これだけの人数を相手に丸腰では、いくらベラトでも切り抜けるのは困難だろう。

 そもそも、いったいこの人達はなんなの……!?

 強盗なら、わたしたちを連れ出すなんてことしないでしょうし……

 わたしは、震える声で隣に座るベラトに聞いた。

「こ、この人達……いったい何者なの……」

「分からない……だけど、それなりに訓練されている」

 狭い荷馬車では、小声でしゃべっていても聞こえたようで、男の一人が怒号を放った。

「おい、勝手にしゃべるな! 死にたいのか!」

 わたしは肩をすくませて押し黙る。体中の震えが止まらないけれど、出来る限り物音を立てないようにじっとしていた。

 荷馬車は幌で覆われているから、今どこに向かっているのかも分からない。ただ、ある瞬間から急に幌内が暗くなったから、日が完全に暮れたというよりも、どこかの屋内に入ったようだった。

 でも屋内に入ったというのに荷馬車はその後もしばらく走って行く。いったいどこに入ったのだろう……?

 恐怖のせいか、いったいどのくらい走っているのかも分からなくなっていた。目が慣れてきたのでベラトの表情がうっすら見えたが、ベラトは力強く頷いてきた。

 乱暴な人達に、両手を縛られて囲まれているというのに、わたしを励まそうとしているのが分かって……

 うう……我が弟ながら惚れてしまいそうだよ……

 などとバカなことを考えていないと、今にも嗚咽を漏らしそうだったので、わたしは奥歯を噛みしめて涙を堪える。

 わたしたち、いったいこれからどうなっちゃうんだろう……

 その不安だけが、胸の中で渦巻いていた。
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