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第1章
番外編4 ティスリの運転教習
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ティスリたちは、日が沈むころには次の宿場町に到着することが出来て、小さな商店街もあったので、そこで旅に必要な物資や保存食などを一揃えしました。
衣服は、王都の洋服店が旅館に届けてくれたので魔動車に積まれていたのですが、それ以外の物資の準備をしていなかったのです。
なんだか夜逃げ同然で出てきたかのようですね……
しかしすでに追っ手も巻きましたし、魔法で追跡遮断もしていますし、大きな騒ぎでも起こさない限り、わたしたちが王宮の人間に見つかることはないでしょう。
そんなわけで、あとはのんびりとこの旅を楽しめばいいわけですが……
「なぁティスリ、そろそろオレにも運転を教えてくれよ」
宿場町を出てしばらくすると、助手席のアルデがそんなことを言ってきました。
「そうですね……わたしがずっと運転するのも疲れますし、そうしたらこの辺で練習しましょうか」
周囲は、相変わらず畦道が地平線まで続く平原で、遮蔽物もひとけもありませんから、アルデが多少運転をミスったところで危険はないでしょう。
わたしは魔動車を畦道から逸らして止めると、座席を交換しました。
運転席に座ったアルデが興奮気味に言ってきます。
「おお、いよいよ運転できるんだな! なぜかムショーに運転してみたかったんだよこれ!」
「そうなのですか? 取り立てて楽しいことでもないと思いますが……」
「いや、こういうのは男心をくすぐるんだ!」
「そんなものですか……」
そう言えば騎士などにも、やたらと遠乗りをしたがる男性はけっこういましたし、男性は乗り物が好きなのかもしれませんね。
となると魔動車は、男性好みのデザインや性能に特化するといいかもしれません。販売促進に使えそうですし覚えておきましょう。
わたしがそんな事を考えていたら、アルデが目を輝かせながら言ってきました。
「それでそれで!? これはどうやったら動くんだ?」
「そうですね……まずは左足にあるクラッチというペダルを……」
ふふ……アルデはすっかり忘れているようですが……
わたしがクラッチを繋ぎ損ねて、アルデが大笑いをしていたこと……わたしはしっかり覚えていますよ?
この魔動車を盛大にエンストさせて、わたしに嘲笑されるがいいのです!
と思っていたのですが……
「お、おお……! 動いたぞ!?」
アルデは思いのほか慎重な操作をしたため、魔動車はゆっくりと動き始めました。
……むむ……アルデのくせに生意気な……
「動き始めたら、今度は左手で、そこのギアを二速にするのです」
「なるほど、こうだな!」
するとアルデは、妙に滑らかな動作でギアチェンジをします。これも問題なく変速しました。
……くっ。
こ、この男……おバカさんの癖に、どうしてこんなスムーズに運転できるのです!?
いっそ、嘘の運転方法を教えればエンストは起こせますが、しかしそれだとわたしが悪いことになってしまうし……
わたしは内心で舌打ちをしますが、アルデはそんなわたしにはまるで気づかず、スピードを上げていく魔動車に大興奮してました。
「すっげ! めちゃくちゃ早い! こんなに早いのにオレの意のままに動くぞ!?」
「……初心者なのですから、あまりスピードを上げてはいけませんよ」
「分かってるって! ちなみにこの車はどんだけ速くなるんだ!?」
「最高時速は100キロといったところですね」
「100キロってどんだけ速いんだ!?」
「そうですね……二頭立て馬車の十数倍と言ったところでしょうか」
「そんなに早いのか!? 凄まじいな!」
そんな話をしつつ、この辺をぐるぐると周回しているうちに、アルデは運転にすっかり慣れてしまい、結局エンストを起こしませんでした。
「基本的な運転操作はこの辺で十分でしょう。止めてください」
わたしがそう言うと、アルデは魔動車をスッと止めてから、興奮で赤くした顔をこちらに向けてきます。
「いや凄かった! なんだかとてつもなく凄かった!!」
「……そうですか。それは何よりです」
「……? なんだよティスリ、そんな不機嫌な顔して」
「べ、別に不機嫌なんかじゃありません」
「あ、分かった。お前、オレが運転を失敗しなかったことが面白くなかったんだろ?」
「そ、そんなことありませんよ!」
「そういや、お前は車をガッコンガッコンと揺らしてたもんなー。いやごめんな、失敗できなくて?」
「謝る必要ないでしょ!!」
くっ……この男!
超絶天才美少女であるこのわたしを煽るだなんて!
こんな屈辱を受けたのは生まれて初めてです!
いやアルデには毎回屈辱を受けている気がしますが、とにかく毎度が初めてのように腹立たしいのです!!
だからわたしは言ってやりました──爆発しそうになる感情をぐっと抑え込みながら!
「あ、あのですね……たかが周回する程度の運転なんて、誰にでも出来るのですからね?」
「この前は、頭の回転が速くて運動神経もよくないと出来ないみたいなこと言ってたじゃんか」
「そ、それは……あらゆる運転技術をマスターするためにはそうだと言ったのです!」
「あらゆるって……運転技術がどんだけあるのか知らんけど、人っ子一人いないこの平原を走らせる程度なら、そんな技術いらなくね?」
「いいえ! アルデにはすべての技術をマスターしてもらいますから! 最高速度を出しながらも、前方車両を交わしてスピンカーブを曲がりきれるほどの技術を!」
「前方車両やスピンカーブなんてどこにあんだよ!?」
「たまに馬車を追い抜くでしょ! そんなときこそ運転技術が必要なのですからね!」
「追い抜くだけにそこまでの技術はいらんと思うが……」
「つべこべ言っていないで次の練習です!」
そう言ってからわたしは手早く呪文を唱えました。
「S字カーブ!」
即席で作ったS字カーブ魔法は、大地にSの字の畦道を作り、その縁にドンドコとポールを突き立てていきました。
ちなみに──ポールは雷撃の柱です。
「ほら、このS字カーブを見事突破してみせなさい!」
「いや死ヌだろアレ!? なんなんだよあの電撃は!」
「だいじょーぶです。あの雷撃の柱は魔法の力によって、運転手しか感電死させません」
「だから死ヌだろ!?」
「触れなければいいんですよ、触れなければ」
「無茶言うな!?」
ふふ……やはりアルデは、こうやって、ビックリしたり七転八倒してくれなければ面白くありません。
気分がよくなってきたわたしは、勝ち誇って言いました。
「出来ないんですか?」
「出来るわけないだろ!? お前は出来るって言うのかよ!」
「もちろんです。超絶天才美少女であるわたしの辞書に、不可能なんて文字はありません」
「ほぅ? ならやって見せてくれよ」
「……はい?」
アルデは言うや否や運転席から降りてしまい、助手席に回り込むと、扉をドンドン叩いてきました。
「ほーら、早く見本を見せてくれ。そうしたらオレもチャレンジするから」
「い、いや……それは……」
「まーさーかー、今になって出来ないなんて言うわけないよなー? 超絶天才美少女なんだろ?」
「くっ……当たり前です!」
そうしてわたしたちは座席を交代し、わたしがハンドルを握ると、S字カーブの入口へと魔動車を移動させました。
「な、なぁ……ティスリ」
「なんです?」
「せめて、あの電撃は消した方がよくない?」
「その必要はありません!」
「け、けど……」
「いいから黙って見てなさい!」
そう言ってから、わたしは魔動車をソロソロと発進させました。
「お、おい……ゆっくりだぞ……ゆっくりでいいからな……!?」
魔動車がカーブにさしかかると、アルデは、横を見たり後ろを見たりしながら何度も言ってきます。
「ふふ、どうしたのですアルデ? 自分が運転しているわけでもないのに臆病ですね」
「いやだって! こんな目前に電撃があれば誰だってビビるだろ!?」
「あなたはそうやって、臆病風に吹かれていたほうがサマになっ」
バチン!
「イタッ!?」
ハンドルに、強い静電気のような刺激を受けて、わたしは思わず手を離してしまいました。
すると魔動車がカーブの途中で停止します。
「………………」
「………………」
少しの間、気まずい沈黙がおりました──
──いえ、気まずかったのはわたしだけというか。
アルデに視線は向けませんでしたが、あからさまなジト目であることはハッキリと分かりました。
「おまい、感電死とかまたブラフかよ」
「………………」
「しかも見事に失敗してるし」
「………………………………」
「超絶天才美少女サマの辞書には、なんとかの文字はないんじゃなかったっけー?」
ぷっちん。
「アルデなんて! 臆病風に吹かれて逃げ出したでしょう!?」
「感電死とか言われたらそりゃ逃げるだろ!?」
「わたしの護衛なんだから決死の覚悟で挑みなさいよ!」
「どんな理屈だそれは!? そもそもオレは男避けの従者なんだろ!?」
などと言い合いが始まって。
最終的に、お互いの運転技術のどちらが優れているかを競うことになって。
わたしが思いつきで考案した練習メニュー──クランクとか坂道発進とか縦列駐車とかを競っているうちに、辺りはすっかり暗くなってしまいました。
だから今日も、味気ない保存食でお腹を満たし、次の街まで、眠い目をこすって夜通しで運転するハメになったのでした……はぁ。
運転技術はわたしのほうが上だと証明できたので、ちょっとは溜飲が下がりましたけどね?
(つづく)
衣服は、王都の洋服店が旅館に届けてくれたので魔動車に積まれていたのですが、それ以外の物資の準備をしていなかったのです。
なんだか夜逃げ同然で出てきたかのようですね……
しかしすでに追っ手も巻きましたし、魔法で追跡遮断もしていますし、大きな騒ぎでも起こさない限り、わたしたちが王宮の人間に見つかることはないでしょう。
そんなわけで、あとはのんびりとこの旅を楽しめばいいわけですが……
「なぁティスリ、そろそろオレにも運転を教えてくれよ」
宿場町を出てしばらくすると、助手席のアルデがそんなことを言ってきました。
「そうですね……わたしがずっと運転するのも疲れますし、そうしたらこの辺で練習しましょうか」
周囲は、相変わらず畦道が地平線まで続く平原で、遮蔽物もひとけもありませんから、アルデが多少運転をミスったところで危険はないでしょう。
わたしは魔動車を畦道から逸らして止めると、座席を交換しました。
運転席に座ったアルデが興奮気味に言ってきます。
「おお、いよいよ運転できるんだな! なぜかムショーに運転してみたかったんだよこれ!」
「そうなのですか? 取り立てて楽しいことでもないと思いますが……」
「いや、こういうのは男心をくすぐるんだ!」
「そんなものですか……」
そう言えば騎士などにも、やたらと遠乗りをしたがる男性はけっこういましたし、男性は乗り物が好きなのかもしれませんね。
となると魔動車は、男性好みのデザインや性能に特化するといいかもしれません。販売促進に使えそうですし覚えておきましょう。
わたしがそんな事を考えていたら、アルデが目を輝かせながら言ってきました。
「それでそれで!? これはどうやったら動くんだ?」
「そうですね……まずは左足にあるクラッチというペダルを……」
ふふ……アルデはすっかり忘れているようですが……
わたしがクラッチを繋ぎ損ねて、アルデが大笑いをしていたこと……わたしはしっかり覚えていますよ?
この魔動車を盛大にエンストさせて、わたしに嘲笑されるがいいのです!
と思っていたのですが……
「お、おお……! 動いたぞ!?」
アルデは思いのほか慎重な操作をしたため、魔動車はゆっくりと動き始めました。
……むむ……アルデのくせに生意気な……
「動き始めたら、今度は左手で、そこのギアを二速にするのです」
「なるほど、こうだな!」
するとアルデは、妙に滑らかな動作でギアチェンジをします。これも問題なく変速しました。
……くっ。
こ、この男……おバカさんの癖に、どうしてこんなスムーズに運転できるのです!?
いっそ、嘘の運転方法を教えればエンストは起こせますが、しかしそれだとわたしが悪いことになってしまうし……
わたしは内心で舌打ちをしますが、アルデはそんなわたしにはまるで気づかず、スピードを上げていく魔動車に大興奮してました。
「すっげ! めちゃくちゃ早い! こんなに早いのにオレの意のままに動くぞ!?」
「……初心者なのですから、あまりスピードを上げてはいけませんよ」
「分かってるって! ちなみにこの車はどんだけ速くなるんだ!?」
「最高時速は100キロといったところですね」
「100キロってどんだけ速いんだ!?」
「そうですね……二頭立て馬車の十数倍と言ったところでしょうか」
「そんなに早いのか!? 凄まじいな!」
そんな話をしつつ、この辺をぐるぐると周回しているうちに、アルデは運転にすっかり慣れてしまい、結局エンストを起こしませんでした。
「基本的な運転操作はこの辺で十分でしょう。止めてください」
わたしがそう言うと、アルデは魔動車をスッと止めてから、興奮で赤くした顔をこちらに向けてきます。
「いや凄かった! なんだかとてつもなく凄かった!!」
「……そうですか。それは何よりです」
「……? なんだよティスリ、そんな不機嫌な顔して」
「べ、別に不機嫌なんかじゃありません」
「あ、分かった。お前、オレが運転を失敗しなかったことが面白くなかったんだろ?」
「そ、そんなことありませんよ!」
「そういや、お前は車をガッコンガッコンと揺らしてたもんなー。いやごめんな、失敗できなくて?」
「謝る必要ないでしょ!!」
くっ……この男!
超絶天才美少女であるこのわたしを煽るだなんて!
こんな屈辱を受けたのは生まれて初めてです!
いやアルデには毎回屈辱を受けている気がしますが、とにかく毎度が初めてのように腹立たしいのです!!
だからわたしは言ってやりました──爆発しそうになる感情をぐっと抑え込みながら!
「あ、あのですね……たかが周回する程度の運転なんて、誰にでも出来るのですからね?」
「この前は、頭の回転が速くて運動神経もよくないと出来ないみたいなこと言ってたじゃんか」
「そ、それは……あらゆる運転技術をマスターするためにはそうだと言ったのです!」
「あらゆるって……運転技術がどんだけあるのか知らんけど、人っ子一人いないこの平原を走らせる程度なら、そんな技術いらなくね?」
「いいえ! アルデにはすべての技術をマスターしてもらいますから! 最高速度を出しながらも、前方車両を交わしてスピンカーブを曲がりきれるほどの技術を!」
「前方車両やスピンカーブなんてどこにあんだよ!?」
「たまに馬車を追い抜くでしょ! そんなときこそ運転技術が必要なのですからね!」
「追い抜くだけにそこまでの技術はいらんと思うが……」
「つべこべ言っていないで次の練習です!」
そう言ってからわたしは手早く呪文を唱えました。
「S字カーブ!」
即席で作ったS字カーブ魔法は、大地にSの字の畦道を作り、その縁にドンドコとポールを突き立てていきました。
ちなみに──ポールは雷撃の柱です。
「ほら、このS字カーブを見事突破してみせなさい!」
「いや死ヌだろアレ!? なんなんだよあの電撃は!」
「だいじょーぶです。あの雷撃の柱は魔法の力によって、運転手しか感電死させません」
「だから死ヌだろ!?」
「触れなければいいんですよ、触れなければ」
「無茶言うな!?」
ふふ……やはりアルデは、こうやって、ビックリしたり七転八倒してくれなければ面白くありません。
気分がよくなってきたわたしは、勝ち誇って言いました。
「出来ないんですか?」
「出来るわけないだろ!? お前は出来るって言うのかよ!」
「もちろんです。超絶天才美少女であるわたしの辞書に、不可能なんて文字はありません」
「ほぅ? ならやって見せてくれよ」
「……はい?」
アルデは言うや否や運転席から降りてしまい、助手席に回り込むと、扉をドンドン叩いてきました。
「ほーら、早く見本を見せてくれ。そうしたらオレもチャレンジするから」
「い、いや……それは……」
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「くっ……当たり前です!」
そうしてわたしたちは座席を交代し、わたしがハンドルを握ると、S字カーブの入口へと魔動車を移動させました。
「な、なぁ……ティスリ」
「なんです?」
「せめて、あの電撃は消した方がよくない?」
「その必要はありません!」
「け、けど……」
「いいから黙って見てなさい!」
そう言ってから、わたしは魔動車をソロソロと発進させました。
「お、おい……ゆっくりだぞ……ゆっくりでいいからな……!?」
魔動車がカーブにさしかかると、アルデは、横を見たり後ろを見たりしながら何度も言ってきます。
「ふふ、どうしたのですアルデ? 自分が運転しているわけでもないのに臆病ですね」
「いやだって! こんな目前に電撃があれば誰だってビビるだろ!?」
「あなたはそうやって、臆病風に吹かれていたほうがサマになっ」
バチン!
「イタッ!?」
ハンドルに、強い静電気のような刺激を受けて、わたしは思わず手を離してしまいました。
すると魔動車がカーブの途中で停止します。
「………………」
「………………」
少しの間、気まずい沈黙がおりました──
──いえ、気まずかったのはわたしだけというか。
アルデに視線は向けませんでしたが、あからさまなジト目であることはハッキリと分かりました。
「おまい、感電死とかまたブラフかよ」
「………………」
「しかも見事に失敗してるし」
「………………………………」
「超絶天才美少女サマの辞書には、なんとかの文字はないんじゃなかったっけー?」
ぷっちん。
「アルデなんて! 臆病風に吹かれて逃げ出したでしょう!?」
「感電死とか言われたらそりゃ逃げるだろ!?」
「わたしの護衛なんだから決死の覚悟で挑みなさいよ!」
「どんな理屈だそれは!? そもそもオレは男避けの従者なんだろ!?」
などと言い合いが始まって。
最終的に、お互いの運転技術のどちらが優れているかを競うことになって。
わたしが思いつきで考案した練習メニュー──クランクとか坂道発進とか縦列駐車とかを競っているうちに、辺りはすっかり暗くなってしまいました。
だから今日も、味気ない保存食でお腹を満たし、次の街まで、眠い目をこすって夜通しで運転するハメになったのでした……はぁ。
運転技術はわたしのほうが上だと証明できたので、ちょっとは溜飲が下がりましたけどね?
(つづく)
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