3 / 4
温度
しおりを挟む
2人とも無言でコンビニまでの道を歩く。
仕事場からコンビニまでは5分程だ。
途中光輝くんのケータイが鳴り続ける。
「ケータイ、鳴ってますよ?いいんですか?」
多分、彼女だ。
いつも2人でタバコを吸っている時にLINEが来る。
「大丈夫。もういいから」
今日はLINE返さないんだ。
いつもはもうすぐ帰るってLINEを打ってるのに。
少し嬉しい気持ちに心を踊らせていると。
不意に手に暖かい感覚があり、私より大きい手で包まれた。
「ダメ?」
その一言で私はようやく自分の左手に何が起こったのか理解出来た。
手を繋いでくれたのだ。
私は照れている気持ちを抑えながら
「ダメじゃないですけど、光輝くんって絶対遊び人ですよね」
「バレたかぁ。でも、許して。今はほんとに輝利ちゃんに癒されたいから」
許すもなにもないのに。光輝くんになら、好きにされていいのに。
光輝くんの温度に包まれながらコンビニまでの道を歩く。
「癒されるかは分からないですけど、嬉しいです」
「ほんとに癒されてるよ。ありがとう」
光輝くんは、笑いながら言ってくれた。
コンビニの光が近くになり、手を離される。
先程まで暖かかった私の手は急に熱を無くす。
すこし悲しくなったが、私たちは付き合ってないし、当たり前だ。
でも、私の心は温度をあげたまま、なかなか熱が引かない。
「俺、飯も買うけど、輝利ちゃんは?」
「1人だと食べないので大丈夫です」
「食べないと大きくなれないよ?」
「うるさいです」
と、笑いながら言う
「ごめんごめん」
光輝くんは悪びれる様子もなく笑いながら謝る
その反応に頬を膨らましていると
「可愛い」
待って。その言葉は反則。
なんの反応も出来ないまま、光輝くんはさも当然のようにご飯を選んでレジに並ぶ
「輝利ちゃん、いつものでいいよね?」
「ありがとうございます」
「すみません、35番2つお願いします」
「こちらでお間違いないですか?」
「大丈夫です、お願いします」
「2つもいいんですか?」
「いいの、いいの!遠慮しない」
「ありがとうございます」
「お会計2,580円です」
「3,000円でお願いします」
「お釣りとレシートです。ありがとうございました」
コンビニの店員さんの声を後に私たちは外に出た。
「はい!どうぞ!」
「ありがとうございます」
「そろそろ帰るかぁ」
「そうですね」
その言葉を合図に光輝くんはまた、私の手を取った。
また、私の左手は熱を帯びる。
そのまま、私たちは来た道を引き返す。
もっと、一緒にいたい。もっと、もっと光輝くんのそばに。
そんな気持ちを飲み込み、私は5分と言う短い時間の中での幸せと、いまから彼女の元へ帰る光輝くんの横顔を少し眺め寂しさを噛み締めていた。
「また、来週だね」
「そうですね。お疲れ様でした」
「うん。またね。おやすみ」
「おやすみなさい」
光輝くんのまたね。に心を踊らせながら、彼の家にいるであろう彼女に対しての憎悪を私は隠せずにいた。
またね。に対して幸せを感じてた私は、ほんと馬鹿だったよ。
今、こんなことになってんのに。
引き返すなら今だけだよ。この時の私に言ってあげたいよ。
今のこの状況に後悔なんて微塵もしてないけど、ひとつ言えるのは、あんた、ほんとに馬鹿な女だよ。
仕事場からコンビニまでは5分程だ。
途中光輝くんのケータイが鳴り続ける。
「ケータイ、鳴ってますよ?いいんですか?」
多分、彼女だ。
いつも2人でタバコを吸っている時にLINEが来る。
「大丈夫。もういいから」
今日はLINE返さないんだ。
いつもはもうすぐ帰るってLINEを打ってるのに。
少し嬉しい気持ちに心を踊らせていると。
不意に手に暖かい感覚があり、私より大きい手で包まれた。
「ダメ?」
その一言で私はようやく自分の左手に何が起こったのか理解出来た。
手を繋いでくれたのだ。
私は照れている気持ちを抑えながら
「ダメじゃないですけど、光輝くんって絶対遊び人ですよね」
「バレたかぁ。でも、許して。今はほんとに輝利ちゃんに癒されたいから」
許すもなにもないのに。光輝くんになら、好きにされていいのに。
光輝くんの温度に包まれながらコンビニまでの道を歩く。
「癒されるかは分からないですけど、嬉しいです」
「ほんとに癒されてるよ。ありがとう」
光輝くんは、笑いながら言ってくれた。
コンビニの光が近くになり、手を離される。
先程まで暖かかった私の手は急に熱を無くす。
すこし悲しくなったが、私たちは付き合ってないし、当たり前だ。
でも、私の心は温度をあげたまま、なかなか熱が引かない。
「俺、飯も買うけど、輝利ちゃんは?」
「1人だと食べないので大丈夫です」
「食べないと大きくなれないよ?」
「うるさいです」
と、笑いながら言う
「ごめんごめん」
光輝くんは悪びれる様子もなく笑いながら謝る
その反応に頬を膨らましていると
「可愛い」
待って。その言葉は反則。
なんの反応も出来ないまま、光輝くんはさも当然のようにご飯を選んでレジに並ぶ
「輝利ちゃん、いつものでいいよね?」
「ありがとうございます」
「すみません、35番2つお願いします」
「こちらでお間違いないですか?」
「大丈夫です、お願いします」
「2つもいいんですか?」
「いいの、いいの!遠慮しない」
「ありがとうございます」
「お会計2,580円です」
「3,000円でお願いします」
「お釣りとレシートです。ありがとうございました」
コンビニの店員さんの声を後に私たちは外に出た。
「はい!どうぞ!」
「ありがとうございます」
「そろそろ帰るかぁ」
「そうですね」
その言葉を合図に光輝くんはまた、私の手を取った。
また、私の左手は熱を帯びる。
そのまま、私たちは来た道を引き返す。
もっと、一緒にいたい。もっと、もっと光輝くんのそばに。
そんな気持ちを飲み込み、私は5分と言う短い時間の中での幸せと、いまから彼女の元へ帰る光輝くんの横顔を少し眺め寂しさを噛み締めていた。
「また、来週だね」
「そうですね。お疲れ様でした」
「うん。またね。おやすみ」
「おやすみなさい」
光輝くんのまたね。に心を踊らせながら、彼の家にいるであろう彼女に対しての憎悪を私は隠せずにいた。
またね。に対して幸せを感じてた私は、ほんと馬鹿だったよ。
今、こんなことになってんのに。
引き返すなら今だけだよ。この時の私に言ってあげたいよ。
今のこの状況に後悔なんて微塵もしてないけど、ひとつ言えるのは、あんた、ほんとに馬鹿な女だよ。
0
お気に入りに追加
2
あなたにおすすめの小説
3年振りに帰ってきた地元で幼馴染が女の子とエッチしていた
ねんごろ
恋愛
3年ぶりに帰ってきた地元は、何かが違っていた。
俺が変わったのか……
地元が変わったのか……
主人公は倒錯した日常を過ごすことになる。
※他Web小説サイトで連載していた作品です
お嬢様、お仕置の時間です。
moa
恋愛
私は御門 凛(みかど りん)、御門財閥の長女として産まれた。
両親は跡継ぎの息子が欲しかったようで女として産まれた私のことをよく思っていなかった。
私の世話は執事とメイド達がしてくれていた。
私が2歳になったとき、弟の御門 新(みかど あらた)が産まれた。
両親は念願の息子が産まれたことで私を執事とメイド達に渡し、新を連れて家を出ていってしまった。
新しい屋敷を建ててそこで暮らしているそうだが、必要な費用を送ってくれている以外は何も教えてくれてくれなかった。
私が小さい頃から執事としてずっと一緒にいる氷川 海(ひかわ かい)が身の回りの世話や勉強など色々してくれていた。
海は普段は優しくなんでもこなしてしまう完璧な執事。
しかし厳しいときは厳しくて怒らせるとすごく怖い。
海は執事としてずっと一緒にいると思っていたのにある日、私の中で何か特別な感情がある事に気付く。
しかし、愛を知らずに育ってきた私が愛と知るのは、まだ先の話。
【R18】黒髪メガネのサラリーマンに監禁された話。
猫足02
恋愛
ある日、大学の帰り道に誘拐された美琴は、そのまま犯人のマンションに監禁されてしまう。
『ずっと君を見てたんだ。君だけを愛してる』
一度コンビニで見かけただけの、端正な顔立ちの男。一見犯罪とは無縁そうな彼は、狂っていた。
隣の席の女の子がエッチだったのでおっぱい揉んでみたら発情されました
ねんごろ
恋愛
隣の女の子がエッチすぎて、思わず授業中に胸を揉んでしまったら……
という、とんでもないお話を書きました。
ぜひ読んでください。
愛娘(JS5)とのエッチな習慣に俺の我慢は限界
レディX
恋愛
娘の美奈は(JS5)本当に可愛い。そしてファザコンだと思う。
毎朝毎晩のトイレに一緒に入り、
お風呂の後には乾燥肌の娘の体に保湿クリームを塗ってあげる。特にお尻とお股には念入りに。ここ最近はバックからお尻の肉を鷲掴みにしてお尻の穴もオマンコの穴もオシッコ穴も丸見えにして閉じたり開いたり。
そうしてたらお股からクチュクチュ水音がするようになってきた。
お風呂上がりのいい匂いと共にさっきしたばかりのオシッコの匂い、そこに別の濃厚な匂いが漂うようになってきている。
でも俺は娘にイタズラしまくってるくせに最後の一線だけは超えない事を自分に誓っていた。
でも大丈夫かなぁ。頑張れ、俺の理性。
女子高生は卒業間近の先輩に告白する。全裸で。
矢木羽研
恋愛
図書委員の女子高生(小柄ちっぱい眼鏡)が、卒業間近の先輩男子に告白します。全裸で。
女の子が裸になるだけの話。それ以上の行為はありません。
取って付けたようなバレンタインネタあり。
カクヨムでも同内容で公開しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる