1 / 4
出会い
しおりを挟む
前の会社を辞め、新しい職場になった時、彼をひと目見た時、恋に落ちた。
「矢川 光輝(やがわ こうき)です。よろしくお願いします」
少しタレ目の優しい声で目が綺麗な人だった。
挨拶も忘れ見入った私を不思議に思った彼は困った顔をした。
その途端、私は我に帰った。
「野山 輝利(のやま きり)です。お願いします」
矢川くんと休憩が一緒になった時に話した会話だけは今でも鮮明に覚えている。
だって、私たちが仲良くなったきっかけだったから。
「え?野山さん、タバコ吸うの?俺も吸う。今日、俺ラストまでだから一緒に吸ってから帰ろうよ」
「矢川くんも吸うんですね。いいですよ」
矢川くんから言われたこの何の変哲もないたった一言、私の何の変哲もないたった一言の返事が私達の人生を狂わせた。
そこから私たちはシフトが被るたび、よく一緒にタバコを吸った。
私は専門学校を卒業して社会人1年目の22歳。
彼は私より1歳年上の大学生。
彼には3歳年下で同じ大学生の彼女がいること。その子と半同棲をしていること。
その事を聞いた時私は絶望した。22年生きてきて、初めての一目惚れはまさかの彼女持ちだった。
でも、光輝くんは仕事終わり少し前、閉店作業をしている時に必ず私を喫煙所に誘ってきた。
「ねぇ、輝利ちゃん。今日も吸って帰るでしょ?」
返事なんて分かってるくせに毎回、毎回聞いてくるこの一言に単純な私は光輝くんに彼女がいることを知っても尚、心を踊らせる。
仕事が終わったあと私たちは毎回喫煙所で色んな話をした。
彼女のこと、光輝くんがどんな性格なのか。
私が前の会社をやめた理由、どんな恋愛をしてきたか。
お互いの好きなこと、趣味、嫌いなこと、好きなタイプ。
少しディープな話だって。
光輝くんの事を少しでも理解できるように。私のことを少しでも知ってもらえるように。
慣れない環境、慣れない仕事を初めて、仕事終わりなんて疲れているはずなのに光輝くんといると疲れが全部飛んで、時間が経つのがなにをするよりも早かった。時間と言う概念が無くなってしまえばいいと思うほどに。
話を聞いていくたびに、話をするたびに私はどんどん彼が欲しくなった。
どうしても私の事を見て欲しかった。彼女じゃなくて私を。ねぇ、どうしたら私を見てくれる?
「あの時はこんなことになるなんてお互い思ってもなかったよね。彼女がいるからで諦めればこんなことにならずにすんだのかな。ねぇ。こーちゃん」
今、私の隣で静かに眠っているこーちゃんに話しかける。
「矢川 光輝(やがわ こうき)です。よろしくお願いします」
少しタレ目の優しい声で目が綺麗な人だった。
挨拶も忘れ見入った私を不思議に思った彼は困った顔をした。
その途端、私は我に帰った。
「野山 輝利(のやま きり)です。お願いします」
矢川くんと休憩が一緒になった時に話した会話だけは今でも鮮明に覚えている。
だって、私たちが仲良くなったきっかけだったから。
「え?野山さん、タバコ吸うの?俺も吸う。今日、俺ラストまでだから一緒に吸ってから帰ろうよ」
「矢川くんも吸うんですね。いいですよ」
矢川くんから言われたこの何の変哲もないたった一言、私の何の変哲もないたった一言の返事が私達の人生を狂わせた。
そこから私たちはシフトが被るたび、よく一緒にタバコを吸った。
私は専門学校を卒業して社会人1年目の22歳。
彼は私より1歳年上の大学生。
彼には3歳年下で同じ大学生の彼女がいること。その子と半同棲をしていること。
その事を聞いた時私は絶望した。22年生きてきて、初めての一目惚れはまさかの彼女持ちだった。
でも、光輝くんは仕事終わり少し前、閉店作業をしている時に必ず私を喫煙所に誘ってきた。
「ねぇ、輝利ちゃん。今日も吸って帰るでしょ?」
返事なんて分かってるくせに毎回、毎回聞いてくるこの一言に単純な私は光輝くんに彼女がいることを知っても尚、心を踊らせる。
仕事が終わったあと私たちは毎回喫煙所で色んな話をした。
彼女のこと、光輝くんがどんな性格なのか。
私が前の会社をやめた理由、どんな恋愛をしてきたか。
お互いの好きなこと、趣味、嫌いなこと、好きなタイプ。
少しディープな話だって。
光輝くんの事を少しでも理解できるように。私のことを少しでも知ってもらえるように。
慣れない環境、慣れない仕事を初めて、仕事終わりなんて疲れているはずなのに光輝くんといると疲れが全部飛んで、時間が経つのがなにをするよりも早かった。時間と言う概念が無くなってしまえばいいと思うほどに。
話を聞いていくたびに、話をするたびに私はどんどん彼が欲しくなった。
どうしても私の事を見て欲しかった。彼女じゃなくて私を。ねぇ、どうしたら私を見てくれる?
「あの時はこんなことになるなんてお互い思ってもなかったよね。彼女がいるからで諦めればこんなことにならずにすんだのかな。ねぇ。こーちゃん」
今、私の隣で静かに眠っているこーちゃんに話しかける。
0
お気に入りに追加
2
あなたにおすすめの小説
生徒会に脅されて占ってみたら、ここで逆ハーレムしている私が見えましたが、ブラコンなので口が裂けても言えません。
絶対守護天使ちゃん
恋愛
代々、占い素質を持つ家系に生まれた実子環(みこまどか)は不意なことから、生徒会の運命を占うことに。
占った結果、すごいものが見えてしまい、何とか切り抜けようとするがさらに事は面倒な方向に進んでいく。
このままでは、愛しの弟との時間がそがれてしまう!
夫の色のドレスを着るのをやめた結果、夫が我慢をやめてしまいました
氷雨そら
恋愛
夫の色のドレスは私には似合わない。
ある夜会、夫と一緒にいたのは夫の愛人だという噂が流れている令嬢だった。彼女は夫の瞳の色のドレスを私とは違い完璧に着こなしていた。噂が事実なのだと確信した私は、もう夫の色のドレスは着ないことに決めた。
小説家になろう様にも掲載中です
45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる
よっしぃ
ファンタジー
2月26日から29日現在まで4日間、アルファポリスのファンタジー部門1位達成!感謝です!
小説家になろうでも10位獲得しました!
そして、カクヨムでもランクイン中です!
●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●
スキルを強奪する為に異世界召喚を実行した欲望まみれの権力者から逃げるおっさん。
いつものように電車通勤をしていたわけだが、気が付けばまさかの異世界召喚に巻き込まれる。
欲望者から逃げ切って反撃をするか、隠れて地味に暮らすか・・・・
●●●●●●●●●●●●●●●
小説家になろうで執筆中の作品です。
アルファポリス、、カクヨムでも公開中です。
現在見直し作業中です。
変換ミス、打ちミス等が多い作品です。申し訳ありません。
男性向け(女声)シチュエーションボイス台本
しましまのしっぽ
恋愛
男性向け(女声)シチュエーションボイス台本です。
関西弁彼女の台本を標準語に変えたものもあります。ご了承ください
ご自由にお使いください。
イラストはノーコピーライトガールさんからお借りしました
💚催眠ハーレムとの日常 - マインドコントロールされた女性たちとの日常生活
XD
恋愛
誰からも拒絶される内気で不細工な少年エドクは、人の心を操り、催眠術と精神支配下に置く不思議な能力を手に入れる。彼はこの力を使って、夢の中でずっと欲しかったもの、彼がずっと愛してきた美しい女性たちのHAREMを作り上げる。
とある高校の淫らで背徳的な日常
神谷 愛
恋愛
とある高校に在籍する少女の話。
クラスメイトに手を出し、教師に手を出し、あちこちで好き放題している彼女の日常。
後輩も先輩も、教師も彼女の前では一匹の雌に過ぎなかった。
ノクターンとかにもある
お気に入りをしてくれると喜ぶ。
感想を貰ったら踊り狂って喜ぶ。
してくれたら次の投稿が早くなるかも、しれない。
男女比の狂った世界で愛を振りまく
キョウキョウ
恋愛
男女比が1:10という、男性の数が少ない世界に転生した主人公の七沢直人(ななさわなおと)。
その世界の男性は無気力な人が多くて、異性その恋愛にも消極的。逆に、女性たちは恋愛に飢え続けていた。どうにかして男性と仲良くなりたい。イチャイチャしたい。
直人は他の男性たちと違って、欲求を強く感じていた。女性とイチャイチャしたいし、楽しく過ごしたい。
生まれた瞬間から愛され続けてきた七沢直人は、その愛を周りの女性に返そうと思った。
デートしたり、手料理を振る舞ったり、一緒に趣味を楽しんだりする。その他にも、色々と。
本作品は、男女比の異なる世界の女性たちと積極的に触れ合っていく様子を描く物語です。
※カクヨムにも掲載中の作品です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる